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家族と仲間たち

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 存在を忘れていたが、お父様は仕事から帰って来てから、私が目覚めたことを初めて知らされたようだ。
 バタバタと私の部屋に駆け込んで来て、ベッドにいる私と目が合うと号泣していた。

「ソ、ソフィー。……お父様は、ソフィーがいないとダメなんだ。だから目覚めてくれて良かった。これからは、ずっと一緒にいよう。お父様とお母様がお前を守るからね。もう無理に嫁になんて出さないからね。」

 うーむ。娘というより、恋人みたいだな。でも、ソフィアさんはお父様から溺愛されていたのね。あんな結婚させられたけれど。
 お母様もお父様もこんな感じなら、実家は過ごしやすそうだ。そこは良かったかな。

 お兄様は、今はクラーク侯爵家の領地に戻っていて、領地経営の勉強をしているようだ。
 私を心配して、なかなか行きたがらなかったらしいが、お母様が強引に追い出したらしい。いつ目覚めるのか分からないのだから、今自分のやるべきことをやってこいと。お母様はすごいパワフルな方のようだ。

 リハビリ生活を送っていると、なんとアマリアさんが訪ねて来てくれた。
 お母様が教えてくれたのだが、アマリアさんや治療師仲間のおばちゃん達は、私が毒で意識を失って、王宮で治療を受けている時に、何度も治療をしに来てくれていたようだ。だから意識が戻ってから、お礼の手紙を出したのだが、早速、私の顔を見に来てくれたようだ。

「ソフィア!助かって良かった。みんな喜んでいるのよ。だから、元気になったら戻って来て。」

「アマリアさん、助けてくれてありがとうございました。まだまだ体調がもどるのに時間はかかりそうですが、いつか、皆さんにお礼を伝えに行きたいと思います。」

 アマリアさんは、本当に面倒見のよいお姉さんだった。婚約解消したことも、毒の後遺症が不安であることも、正直に話したらスッキリした。
 アマリアさんは治癒魔法をかけながら、色々励ましてくれた。

「邸にこもっていると気分が落ち込んでしまうから、ある程度動けるようになったら、また働きにくればいいわよ。婚約解消になったって聞いたら、喜ぶ騎士達が沢山いるわよ!まだ若いのだから、楽しまないと。また飲みに行きましょう!」

「飲みに行きたいですね!だから、早く元気になりたいです。」

 アマリアさんに会えて良かった。



 そして。

「ソフィー。エドワーズ公爵様が貴女に会いたいって手紙をくれているけど、どうする?」

「いえ、もう会いません。今後、同様のことを言われても断ってください。」

「婚約解消になったから、それで全て終わりという訳ではないのよ。会って話くらいしてもいいと思うわよ。」

「もう会いたくないのです。私のことは忘れて欲しいと伝えて下さい。」

「…分かったわ。」


 しばらくして。

 アマリアさんや、治療師のおばちゃん達が定期的に、治癒魔法をかけに来てくれたのと、リハビリの効果もあって、以前のように自分で動いて行動できるようになってきた。
 自分で動けることは、こんなにも幸せなのね。励ましてくれたお母様やお父様、そしてアマリアさん達にはとにかく感謝だ。

「ソフィー、エドワーズ公爵様から貴女宛にお手紙が届いているわよ。」

「手紙は困りますと伝えて頂いても?」

「…そう。分かったわ。」



 そんなある日。


「お嬢様!大変です。お忍びで国王陛下がいらしてます!」

 あのデキる男風の家令が慌てている。
 はあ?国王陛下って言った?お父様もお母様もいないのにー。

 お忍びで国王が来るとか、身内でもないにあり得ないから!あの、腹黒陛下は何を考えているんだ?



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