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幼馴染?
しおりを挟む「まあ!エドワーズ公爵様。ご機嫌よう。」
イーサン様に話し掛ける声が聞こえてくる。誰だろう?
声の主を見ると、そこには真っ赤で豪華なドレスに身を包んだ美人さんがいた。大人な雰囲気で、色気がある。あっ、この人は確か貴族名鑑で見たな。確か、エドワーズ公爵領の隣の領地の、ザンビーニ伯爵令嬢だ。私より年上のお姉様だよね。隣の領地の、幼馴染みたいな感じなのかな?
「ザンビーニ嬢か。」
えっ?家名で呼んでるの?しかも、イーサン様の目が笑ってない。
「エドワーズ公爵様、ずっとお会いしたかったですわ。うちの両親も公爵様に会いたがっていますのよ。ぜひ、遊びに来て下さいませ。」
私の存在を無視して、イーサン様に上目遣いで話す令嬢。
なかなか、面白い令嬢のようだ。せっかくだから、この令嬢を観察させて貰おう。
イーサン様は嫌そうな表情を隠さずに無言だ。ある意味で怖い。
「公爵様、最近噂で婚約されたとお聞きしましたが、ただの噂ですわよね?公爵様は結婚はしないと言ってましたし。もしかして、お飾りの方と婚約されたとか?あら、こちらは?とてもお美しいけど、愛妾の方かしら?貴女、挨拶も出来ないの?いくら愛妾と言っても、最低限のマナーくらいは知らないと、公爵様に恥をかかせてしまうわよ。」
ソフィアさんは、か弱くて守ってあげたい女の子に見えるから、悪意を持ってやってくる女子にはナメられやすいんだよねぇ。
「……ソフィーどうする?」
怒ってるな、イーサン様は。
「挨拶しましょうか。」
令嬢に向けてニコって微笑む私。
「婚約者のソフィア・クラークと申しますわ。ふふっ!クラーク侯爵家も、随分と下に見られているようですわね。伯爵令嬢にお飾りだとか、愛妾呼ばわりされた上、マナーまで語られてしまうなんて。このことは、私から両親に報告させて頂きますわ。クラーク侯爵家は、ザンビーニ伯爵家より格下のダメな侯爵家だと思われているようだと。ふふっ。」
周りの貴族達が私達のやり取りをじっと見ている。クラーク侯爵家と聞いて顔色が悪くなるザンビーニ伯爵令嬢。自分より身分の高い令嬢だと知って、驚いているようだ。
「ザンビーニ伯爵家は、私の愛する婚約者を侮辱した。伯爵には正式に抗議させてもらう。ザンビーニ嬢は、今後一切、私とソフィーには接触ないでくれ。不愉快極まりない!…ソフィー、行こうか。」
イーサン様は、ザンビーニ伯爵令嬢をキツく睨みつけた後にフワッと私に優しく微笑むと、私の腰を抱いて歩き出す。
「イーサン様、一応はお隣の領地のお方ですよね?いいのでしょうか?幼馴染では?」
「幼馴染だって?昔からあんな風に馴れ馴れしくされて、大嫌いな令嬢としか思ってなかったぞ。ソフィーと出会う前は、結婚なんて考えてなかったからな。だったら、お飾りでもいいから私なんてどうですか?なんて言ってくるような、図々しい女だ。…私のソフィーを侮辱したのだ。正々堂々と縁を切れるから良かった。ザンビーニ伯爵家には強く抗議しておこうな。ソフィーの実家には私から報告しておくから安心しろ。エドワーズ公爵家とクラーク侯爵家を怒らせたのだ。あの令嬢は社交界で孤立するぞ。」
確かに、チラッとザンビーニ伯爵令嬢を見たら、皆んなから避けられて、ボッチになっている。美人なのに、何も考えないでペラペラと口にしたのが良くなかったよね。
イーサン様と飲み物を飲んでいると、国王陛下が入場してきてパーティーが始まったようだ。
国王陛下はまだ独身なのか!令嬢達がみんなハイエナのような目で見ているわ。この国1番の独身男だもんねぇ。誰が国王陛下争奪戦に勝利するのか、今から楽しみだわ。
音楽が流れ、ダンスが始まるようだ。相手のいない陛下は踊らないのか。始まりのダンスは陛下が踊るのかと思ってたよ。
「ソフィー。私と踊って頂けますか?」
イーサン様がわざわざ跪いて、ダンスを申し込んでくれた。
「はい。喜んで。」
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