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モテ期?

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 今日は店の定休日だ。すると、アンナさんが私にお小遣いをくれる。

「今日は天気がいいから、街中を散歩して来るといいよ。お店も沢山あるから、見て歩くだけでも楽しいだろうからね。ただ治安はいい街だけど、裏道とか人気の少ない所は行かないようにしな。スリにも気をつけるんだよ。」

「ありがとうございます。せっかくなので、出かけて来ますね。」

 という事で、私を逃してくれたシスターが用意してくれていた、可愛いワンピースを着て、出掛ける事にした。あの親切なシスターは、可愛いデザインの服がお好みだったのかな?今更、気付く私。

 最近は、食材の買い物などで、アンナさんと出掛けることが多かったから、街中の道は覚えている。せっかくだから、可愛いお店とか、スイーツのお店とか行ってみようかなぁ。
 
 洋服屋さんとか、雑貨屋さんとかを見た後、お腹が空いて来た私。どこかでランチにしようかなぁとキョロキョロして歩いていると…

「あれっ?君はアンナさんの店の?」

 知ってる人か?振り向くと、お店によく来てくれる、お得意様の騎士様がいた。騎士様って感じのキリッとしたイケメンだ。
 お得意様向けの笑顔で挨拶する私。

「ご機嫌よう。騎士様はお仕事ですか?」

「…やっぱりそうか!私は今からランチに行くところだ。君は、今日はお休みの日か?」

「はい。お休みなので、散歩をしていました。」

「よかったら、一緒にランチに行かないか?私1人だから、誰か一緒に行ける人を探していたんだ。」

 うーん。顔見知りだけど、そこまでお客さんと仲良くしていいのかな?

「…迷っているなら、行こう!」

 結構強引に手を引かれてしまった。

 騎士様は、落ち着いた何となく高そうなお店に連れて来てくれた。一応、侯爵家から持って来たお金も持っているけど、足りるかな?

 騎士様はエスコートしてくれ、椅子まで引いてくれる。騎士団には貴族が多く所属しているとか聞いていたけど、この人も貴族っぽいわね。エスコートは慣れているし、よく見ると品がある。

「嫌いな食材はあるか?」

「特にありませんわ。」

「そうか!」

 騎士様は、ランチコースを頼んでくれた。
 久しぶりのコース料理は、すごーく美味しかった。

「君は美味しそうに食べるな。所作も綺麗だし、テーブルマナーも完璧だし…。どこの家門の令嬢なんだ?」

 あれ?家門を聞かれてる?バレたの?

「……平民ですわ。」

「…そうか。言えないこともあるだろうが、君はどう見ても平民には見えないから、気をつけて生活するようにな。言葉も綺麗だし、外見だって、平民にはいない容姿だ。」

 特に意識していなかったが、無意識にソフィアさんの体の動きや、言葉遣いが出てしまっているのかもしれない。体が覚えているんだろうな。

「はい。気を付けます。」

「…認めるんだな。くっ、くっ。」

 何故か笑われている私。

「君は名前は?」

「ダイアナですわ。」

「そうか。ダイアナって呼んでもいいか?」

 呼び捨てかよ!って思うが、騎士様の方が身分が上だし、20代半ばの年上っぽいから、10代の平民の小娘には呼び捨てになるよね。

「はい。ダイアナとお呼び下さいませ。」

 騎士様は、誘ったのは私だからご馳走すると言って、私のランチ代を払ってくれた。
 何だか悪いな。この店、高そうだし。あっ、そうだ!
 騎士様の左手に巻いてある包帯が気になった私。

「騎士様、そちらの手は?」

「ああ、これは遠征先で魔物にやられた傷だ。」

「左手、少し失礼しますね。」

 私は包帯の上から治癒魔法をかけてみる。最近、包丁で切った時とか、軽く火傷した時とかに治癒魔法をしていたから、前よりは上手になってきたと思うんだよね。包帯の上からだから、強めにかけてみよう!

「えっ?治癒魔法か?」

「はい。」

 騎士様は、恐る恐る包帯を外している。傷は綺麗に治っていたようだった。おおー!我ながらグッジョブだわ!

「これは…!ずっと悩んでいた傷だったのだが…。君はすごいんだな!ありがとう。」

 騎士様は治った手を見て、かなり驚いていた。あれっ?目が潤んでいるような?そんなに酷い傷だったのかなぁ?
 しかし、その直後にイケメンのスマイルを頂きました。

「いえ、食事のお礼ですわ。今日はありがとうございました。そろそろお仕事のお時間ですよね?お邪魔してしまいますので、私はこれで失礼致しますわ。」

 その騎士様は、その後もお得意様としてお店に来てくれている。しかも、スイーツや花を持って来てくれるようになった。それを見ていた他のお客さんまで、差し入れを持って来てくれるようになる。流石にこの量は食べきれないので、アンナさんやボブさんと分けて、美味しく頂いている。

「アナはモテモテだね!ただ、貴族の騎士には気をつけなよ。いいように遊んで、捨てられることがあるからね。」

 確かに!貴族から見たら平民の小娘なんて、遊ぶには丁度良さそうだもん。注意はしないとね。
 アンナさんは私のお母さんみたいだわ。

「はい。気を付けますね。」



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