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閑話 ギルバート
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ロジャース伯爵と義姉の婚約期間中、何度か伯爵と顔を合わせたことがあったが、私はあまり伯爵に良い印象は持てなかった。
「義姉さん、今日は義姉さんの誕生日なのに、ロジャース伯爵と出掛けたりしなくていいの?」
「アラン様は、伯爵家の借金を返すために質素な生活をしているのよ。だから私から誕生日は家族でお祝いするので、何も要りませんって言って遠慮したわ。」
はあ?いくら借金があるとは言え、婚約者の誕生日なら、何かしらのお祝いくらいはするだろう。
義姉は私の誕生日を祝ってくれるくらい、誕生日を大切にする人なのに…。
「ギル、そんな嫌そうな顔をしないでちょうだい。
私はロジャース伯爵様が好きだから、婚約できて幸せだと思っているわ。無理に誕生日を祝ってもらったりして、あの方の重荷にはなりたくないのよ。」
そんなことを話す義姉の顔は寂しそうな表情に見えた。
「義姉さん、明日は休みだから私と出かけようか?
ほら、新しく出来た店に行きたいって言っていただろう?私も気になっていたから行きたいと思っていたんだよね。」
「えっ?いいの?」
「勿論だよ。明日は私に付き合ってくれる?」
「ギル、ありがとう!」
ロジャース伯爵は、婚約者の義姉に会いに来たりとか、プレゼントを贈ったりするような男ではなかった。
時々、伯爵から手紙が届くことがあったが、義姉が手紙を出したから、渋々返事をくれたようにしか見えない。
伯爵から積極的に義姉に関わろうとしている様子が全く感じられなかったのだ。
ごく稀に、2人で夜会に出掛けたりとかはあったようだが、他のカップルと比べたら、かなり少ないように思える。
正直義姉は、婚約者として伯爵から大切にされているようには見えなかった。
「義姉さん。本当にロジャース伯爵でいいの?婚約なんて、今からでも取り消せ……」
「ギル!これは私が望んだことなのよ!」
「分かった…。ごめん。」
その後、義姉は学園を卒業して少ししてから、ロジャース伯爵と結婚した。
この日の為にデザイナーと何度も打ち合わせをして作ったドレスを着て、嬉しそうに微笑む義姉は、世界一美しい花嫁だったと思う。
しかし、幸せになって欲しいと願って送り出した義姉は、結婚式から数日後には実家に戻ってきた。
そんな義姉が私に教えてくれたのは、結婚初夜にロジャース伯爵から、『君を愛するつもりはない』と言われたということだった。
あんなに好きだった人にそんな酷いことを言われたのに平気な顔をして、普通の態度で私に打ち明けてくれる義姉。
泣いたっておかしくはない状況なのに。
「私があんな顔だけの男に騙されたのが悪かったのよ…。私がバカだったの。」
そうか…。怒りも悲しみも通り越して、義姉はこんな風に変わってしまったのか。
そんな義姉を見て、私の方が泣きたい気分になってしまった。
私に居場所を与えてくれ、家族の温かさを教えてくれた優しい義姉。
そんな義姉には、絶対に幸せになって欲しかったのに。
ロジャース伯爵…、絶対に許さない。
その日私は、義姉の白い結婚に向けての手助けをすることに決めたのであった。
ロジャース伯爵は、義姉との結婚生活で色々とやらかしていた。伯爵自身が悪いわけではないのかもしれないが、伯爵の親族は腐ったような人物ばかりだったし、伯爵に近付く女も酷い女だった。家族を持つ身になったのだから、妻を守るためにもしっかりすべきなのに、本当に駄目な夫だったのだ。
義姉の心が離れていることに気付いた伯爵は、慌てて義姉からの信頼を取り戻そうとしていたが、もう手遅れになっていた。
白い結婚が認められた後の夜会では、義姉が臣籍降下したナイトレイ公爵閣下にエスコートされて出てきた姿を見て、伯爵が死にそうな顔で2人を見ていたが、正直いい気味だと思った。
その夜会では、公爵閣下が義姉に贈ったドレスやネックレスが話題になっていた。プレゼントをまともに贈ったことがない伯爵は、その話を聞いてどう思ったのだろう?今となっては私には関係ないことだが…。
ナイトレイ公爵閣下は、ずっと義姉を諦めずにいたようだった。
最近は義姉に対して優しく接することが出来るようになったみたいだし、義姉自身も、以前とは違う公爵閣下を、前ほど嫌っているようには見えない。むしろ、2人は仲良くなったように見える。
今の公爵閣下なら、義姉と上手くいくのではと考えていたある日……
義姉が夜会に出かけた次の日の朝一番で、ナイトレイ公爵閣下が訪ねてきた。
こんな朝早くに何の用だろう?
ちなみに夜会の次の日は、義姉は遅くまでのんびり寝ている人なので、今日はまだ起きていない。公爵閣下は私が対応することになった。
「ナイトレイ公爵閣下。おはようございます。
義姉はまだ起きていないのですが、急ぎの御用でしょうか?」
「ギルバート、朝早く申し訳ないな…。」
公爵閣下がいつもと違う。機嫌が良さそうに見えるけど、何となくソワソワしているような…。
「いえ。義姉を急いで起こして来ましょうか?」
「ギルバート…。実は昨夜の夜会で私は……、エレノアに婚約を申し込んだ。」
「こ、婚約をですか?」
昨夜、夜会に行かなかった私は義姉より先に寝てしまったので、まだ何も聞いていなかった。そのため、私はかなり驚いてしまったのだが、そんな私の反応に公爵閣下は恥ずかしそうに顔を赤くする。
「自分の気持ちを正直に伝えなくてはいけない状況になったから、勢いで告白をした。」
「それで、義姉は何と?」
「よろしくお願いしますと言ってくれた…。」
義姉はあれだけ遠回りをして、やっと公爵閣下を受け入れることにしたんだな。
「公爵閣下、いえ…、義兄上とお呼びした方がいいでしょうか?」
「ギルバート。非常に恥ずかしいが……、そう呼んでくれたら嬉しい。」
一つ年上の公爵閣下がなぜか可愛くみえた。
「分かりました。義兄上、すぐに義姉を呼びますね。」
「ま、待ってくれ!
実は昨夜、私は嬉し過ぎて、夜会の後すぐに離宮に住む両親のところに行き、エレノアとの婚約の許しを得てきた。」
夜会の後、夜遅い時間に離宮に行ったのか?離宮って、少し遠い場所だったような…。
「それで今朝早く、兄上…じゃなくて陛下にお願いして、婚約の許可をもらってきた。書類もここにある。」
え?今だって朝早いのに、陛下を朝早く起こして婚約の許可をもらい、書類まで作成してきただって?
陛下は何時に起こされたんだ?
その時、公爵閣下の従者が眠そうな顔をしていることに気付いてしまった。
「義兄上…、なかなか仕事が早いですね。」
「…ああ。エレノアの気が変わらないうちに、早く婚約の書類にサインをもらいたいと思って急いで来たのだが、まだ寝ているなら、ここで起きてくるのを待たせてもらってもいいだろうか?」
そこまで義姉が好きなんだな…。
ロジャース伯爵とは大違いだ。
公爵閣下は血筋も育ちも、容姿も全てが完璧で、仕事も出来る方だと聞いている。
望めば何でも手に入りそうなのに、義姉のことになるとこんなにも四苦八苦する公爵閣下に、なぜか親しみを感じてしまう。
私は、義姉が大好きすぎる未来の義兄に協力することに決めた!
「義兄上。とりあえず私は、今から早馬をベネット家に飛ばして義両親を呼びます。先に義両親に話をして、婚約届けに両親のサインをもらってしまいましょう。
義姉は、夜会の次の日は起きるのが遅いですし、無理に起こして寝起きが悪かったりしたら、色々と厄介です。
私達は朝食でもゆっくり食べながら、義姉が起きてくるのを待ちませんか?こんな時は慌てては駄目です。
大丈夫ですよ。もう義姉は逃げられませんから。」
「ギルバート…、お前は本当に頼りになる義弟だな。さすがベネット家の時期当主だ。
これからもよろしく頼む!」
「義兄上、こちらこそ末永くよろしくお願い致します。」
義姉には絶対に幸せになってもらいたいのだ。
「義姉さん、今日は義姉さんの誕生日なのに、ロジャース伯爵と出掛けたりしなくていいの?」
「アラン様は、伯爵家の借金を返すために質素な生活をしているのよ。だから私から誕生日は家族でお祝いするので、何も要りませんって言って遠慮したわ。」
はあ?いくら借金があるとは言え、婚約者の誕生日なら、何かしらのお祝いくらいはするだろう。
義姉は私の誕生日を祝ってくれるくらい、誕生日を大切にする人なのに…。
「ギル、そんな嫌そうな顔をしないでちょうだい。
私はロジャース伯爵様が好きだから、婚約できて幸せだと思っているわ。無理に誕生日を祝ってもらったりして、あの方の重荷にはなりたくないのよ。」
そんなことを話す義姉の顔は寂しそうな表情に見えた。
「義姉さん、明日は休みだから私と出かけようか?
ほら、新しく出来た店に行きたいって言っていただろう?私も気になっていたから行きたいと思っていたんだよね。」
「えっ?いいの?」
「勿論だよ。明日は私に付き合ってくれる?」
「ギル、ありがとう!」
ロジャース伯爵は、婚約者の義姉に会いに来たりとか、プレゼントを贈ったりするような男ではなかった。
時々、伯爵から手紙が届くことがあったが、義姉が手紙を出したから、渋々返事をくれたようにしか見えない。
伯爵から積極的に義姉に関わろうとしている様子が全く感じられなかったのだ。
ごく稀に、2人で夜会に出掛けたりとかはあったようだが、他のカップルと比べたら、かなり少ないように思える。
正直義姉は、婚約者として伯爵から大切にされているようには見えなかった。
「義姉さん。本当にロジャース伯爵でいいの?婚約なんて、今からでも取り消せ……」
「ギル!これは私が望んだことなのよ!」
「分かった…。ごめん。」
その後、義姉は学園を卒業して少ししてから、ロジャース伯爵と結婚した。
この日の為にデザイナーと何度も打ち合わせをして作ったドレスを着て、嬉しそうに微笑む義姉は、世界一美しい花嫁だったと思う。
しかし、幸せになって欲しいと願って送り出した義姉は、結婚式から数日後には実家に戻ってきた。
そんな義姉が私に教えてくれたのは、結婚初夜にロジャース伯爵から、『君を愛するつもりはない』と言われたということだった。
あんなに好きだった人にそんな酷いことを言われたのに平気な顔をして、普通の態度で私に打ち明けてくれる義姉。
泣いたっておかしくはない状況なのに。
「私があんな顔だけの男に騙されたのが悪かったのよ…。私がバカだったの。」
そうか…。怒りも悲しみも通り越して、義姉はこんな風に変わってしまったのか。
そんな義姉を見て、私の方が泣きたい気分になってしまった。
私に居場所を与えてくれ、家族の温かさを教えてくれた優しい義姉。
そんな義姉には、絶対に幸せになって欲しかったのに。
ロジャース伯爵…、絶対に許さない。
その日私は、義姉の白い結婚に向けての手助けをすることに決めたのであった。
ロジャース伯爵は、義姉との結婚生活で色々とやらかしていた。伯爵自身が悪いわけではないのかもしれないが、伯爵の親族は腐ったような人物ばかりだったし、伯爵に近付く女も酷い女だった。家族を持つ身になったのだから、妻を守るためにもしっかりすべきなのに、本当に駄目な夫だったのだ。
義姉の心が離れていることに気付いた伯爵は、慌てて義姉からの信頼を取り戻そうとしていたが、もう手遅れになっていた。
白い結婚が認められた後の夜会では、義姉が臣籍降下したナイトレイ公爵閣下にエスコートされて出てきた姿を見て、伯爵が死にそうな顔で2人を見ていたが、正直いい気味だと思った。
その夜会では、公爵閣下が義姉に贈ったドレスやネックレスが話題になっていた。プレゼントをまともに贈ったことがない伯爵は、その話を聞いてどう思ったのだろう?今となっては私には関係ないことだが…。
ナイトレイ公爵閣下は、ずっと義姉を諦めずにいたようだった。
最近は義姉に対して優しく接することが出来るようになったみたいだし、義姉自身も、以前とは違う公爵閣下を、前ほど嫌っているようには見えない。むしろ、2人は仲良くなったように見える。
今の公爵閣下なら、義姉と上手くいくのではと考えていたある日……
義姉が夜会に出かけた次の日の朝一番で、ナイトレイ公爵閣下が訪ねてきた。
こんな朝早くに何の用だろう?
ちなみに夜会の次の日は、義姉は遅くまでのんびり寝ている人なので、今日はまだ起きていない。公爵閣下は私が対応することになった。
「ナイトレイ公爵閣下。おはようございます。
義姉はまだ起きていないのですが、急ぎの御用でしょうか?」
「ギルバート、朝早く申し訳ないな…。」
公爵閣下がいつもと違う。機嫌が良さそうに見えるけど、何となくソワソワしているような…。
「いえ。義姉を急いで起こして来ましょうか?」
「ギルバート…。実は昨夜の夜会で私は……、エレノアに婚約を申し込んだ。」
「こ、婚約をですか?」
昨夜、夜会に行かなかった私は義姉より先に寝てしまったので、まだ何も聞いていなかった。そのため、私はかなり驚いてしまったのだが、そんな私の反応に公爵閣下は恥ずかしそうに顔を赤くする。
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「それで、義姉は何と?」
「よろしくお願いしますと言ってくれた…。」
義姉はあれだけ遠回りをして、やっと公爵閣下を受け入れることにしたんだな。
「公爵閣下、いえ…、義兄上とお呼びした方がいいでしょうか?」
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一つ年上の公爵閣下がなぜか可愛くみえた。
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「ま、待ってくれ!
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え?今だって朝早いのに、陛下を朝早く起こして婚約の許可をもらい、書類まで作成してきただって?
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そこまで義姉が好きなんだな…。
ロジャース伯爵とは大違いだ。
公爵閣下は血筋も育ちも、容姿も全てが完璧で、仕事も出来る方だと聞いている。
望めば何でも手に入りそうなのに、義姉のことになるとこんなにも四苦八苦する公爵閣下に、なぜか親しみを感じてしまう。
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義姉は、夜会の次の日は起きるのが遅いですし、無理に起こして寝起きが悪かったりしたら、色々と厄介です。
私達は朝食でもゆっくり食べながら、義姉が起きてくるのを待ちませんか?こんな時は慌てては駄目です。
大丈夫ですよ。もう義姉は逃げられませんから。」
「ギルバート…、お前は本当に頼りになる義弟だな。さすがベネット家の時期当主だ。
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