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伯爵様も泣く
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2年間の苦労を思い出し、涙が止まらなくなってしまった鬼嫁。
この結婚のことで泣くのも今日で最後よ!
「伯爵様、みっともない姿をお見せして申し訳ありませんでした。
私も悪いのです…。貴族の結婚なのに、愛だとか恋だとか、自分の感情だけを最優先に考えておりました。
私はお金に困らない家で育ちましたので、結婚相手に経済力や家同士の繋がりを求めるという考えは持っておりませんでした。そのかわり、愛を求めようとしていたのだと思います。
本当に世間知らずでした。もう結婚に愛は求めませんわ。
しかし伯爵様、次に結婚するお方にあんなことは言ってはいけませんわよ。
貴族の結婚に愛を求めるのはダメかもしれませんが、結婚生活の始まりの日にあんなことを言われたら本気で傷付きますし、一生恨まれますわ。
今回の結婚での反省を活かして、次の結婚相手になるお方は幸せにしてあげて下さいね。」
優しい鬼嫁は、はなむけの言葉を伯爵様に贈ったつもりだったのだが……
「…エレノア、何を言っている?
貴族の結婚だって愛は必要だし、私はエレノアを愛していると何度も伝えたはずだ。私の妻は君だけだし、次の結婚なんて有り得ない。
酷いことを言ってしまったり、沢山苦労もかけた。夫婦らしいことも出来なかったし、本当に後悔しかないんだ。悪かったと思っている。
でも私は君を愛しているから、手放すことは出来ないんだ…。我儘なのは認める。
君が幸せになれるように努力する。エレノアのことを沢山知りたいし、君がどうすれば笑ってくれて、何をすれば喜んでくれるのかを考えていきたい。二人で色々な所に行きたいし、これから先のエレノアの誕生日は毎年必ずお祝いしたい。
エレノアとずっと一緒にいたいんだ。
だから……、出て行かないでくれ!」
「………。」
うーむ…。本当に好きな人から言われたら、嬉しく感じるのかもしれないけれど…。
あれだけ私に苦労させたくせに、まだ私を解放する気はないってこと?
この伯爵様は自己中だよね…?
伯爵様が薄っぺらい愛について語っているけどさ、私を本気で愛しているのなら、私の幸せの為に身を引こうとか考えてもよくない?
結局、伯爵様の都合しか考えてないじゃん!!
「伯爵様…、私は結婚初夜の日に貴方への愛情がなくなりました。貴方を好きだったあの頃のエレノアはもういないのです。
あの日から私は、伯爵様とどうすれば離縁が出来るのかを考える日々でした。
2年我慢すれば白い結婚が認められるので、その日が来ることだけを支えにして今まで頑張ってこれましたわ。
もし伯爵様が本当に私を愛しているのなら、今後の私の幸せのために、邸から出て行くことをお許しくださいませ。
これからは、信頼し合えるビジネスパートナーになれましたら嬉しいと思っておりますわ。」
伯爵様の目から涙がはらはらと落ちるのが分かった。
「……っ!エレノア…、お願いだ。私を捨てないでくれ。私にはエレノアしかいないのだ。
愛してる…。」
跪きながら涙を流す伯爵様。これは見る人によっては、鬼嫁が可哀想な伯爵様を虐めているように見えてしまうかもしれない…。
鬼嫁なのは認めるけど、悪女だとは言われたくはないのよ。
キョロキョロ…
周りを見ると今は誰も居ないようにみえるけど、誰が来るか分からないし、よく見ると木の影にレイクス卿が隠れているわ。
「伯爵様…、とりあえず座って下さい。少し落ち着いて話をしましょう。」
伯爵様の手を引き、隣に座らせる鬼嫁。
「……っ、…うっ。エレノア、すまない。」
「伯爵様…、泣かないで下さい。
私達は夫婦にはなれませんでしたが、これで全て終わりではないのです。
一緒に事業もやっていきますし、その…、友人として仲良く出来たら嬉しいですわ。」
鬼嫁は、非常にありきたりな〝友達になろう〟作戦を決行することにした。
だって、泣いてる伯爵様を慰める他の方法が思いつかないんだもん!
「友人だとか言っておきながら、夫婦でなくなったら、エレノアは私のことなど忘れるだろうし、相手にしてくれなくなるのだろう?
私はそんなのは耐えられないのだ。」
ギクっ!鋭いな。
もう、いい加減に泣き止んでよー!
私が悪者みたいじゃないの!
この結婚のことで泣くのも今日で最後よ!
「伯爵様、みっともない姿をお見せして申し訳ありませんでした。
私も悪いのです…。貴族の結婚なのに、愛だとか恋だとか、自分の感情だけを最優先に考えておりました。
私はお金に困らない家で育ちましたので、結婚相手に経済力や家同士の繋がりを求めるという考えは持っておりませんでした。そのかわり、愛を求めようとしていたのだと思います。
本当に世間知らずでした。もう結婚に愛は求めませんわ。
しかし伯爵様、次に結婚するお方にあんなことは言ってはいけませんわよ。
貴族の結婚に愛を求めるのはダメかもしれませんが、結婚生活の始まりの日にあんなことを言われたら本気で傷付きますし、一生恨まれますわ。
今回の結婚での反省を活かして、次の結婚相手になるお方は幸せにしてあげて下さいね。」
優しい鬼嫁は、はなむけの言葉を伯爵様に贈ったつもりだったのだが……
「…エレノア、何を言っている?
貴族の結婚だって愛は必要だし、私はエレノアを愛していると何度も伝えたはずだ。私の妻は君だけだし、次の結婚なんて有り得ない。
酷いことを言ってしまったり、沢山苦労もかけた。夫婦らしいことも出来なかったし、本当に後悔しかないんだ。悪かったと思っている。
でも私は君を愛しているから、手放すことは出来ないんだ…。我儘なのは認める。
君が幸せになれるように努力する。エレノアのことを沢山知りたいし、君がどうすれば笑ってくれて、何をすれば喜んでくれるのかを考えていきたい。二人で色々な所に行きたいし、これから先のエレノアの誕生日は毎年必ずお祝いしたい。
エレノアとずっと一緒にいたいんだ。
だから……、出て行かないでくれ!」
「………。」
うーむ…。本当に好きな人から言われたら、嬉しく感じるのかもしれないけれど…。
あれだけ私に苦労させたくせに、まだ私を解放する気はないってこと?
この伯爵様は自己中だよね…?
伯爵様が薄っぺらい愛について語っているけどさ、私を本気で愛しているのなら、私の幸せの為に身を引こうとか考えてもよくない?
結局、伯爵様の都合しか考えてないじゃん!!
「伯爵様…、私は結婚初夜の日に貴方への愛情がなくなりました。貴方を好きだったあの頃のエレノアはもういないのです。
あの日から私は、伯爵様とどうすれば離縁が出来るのかを考える日々でした。
2年我慢すれば白い結婚が認められるので、その日が来ることだけを支えにして今まで頑張ってこれましたわ。
もし伯爵様が本当に私を愛しているのなら、今後の私の幸せのために、邸から出て行くことをお許しくださいませ。
これからは、信頼し合えるビジネスパートナーになれましたら嬉しいと思っておりますわ。」
伯爵様の目から涙がはらはらと落ちるのが分かった。
「……っ!エレノア…、お願いだ。私を捨てないでくれ。私にはエレノアしかいないのだ。
愛してる…。」
跪きながら涙を流す伯爵様。これは見る人によっては、鬼嫁が可哀想な伯爵様を虐めているように見えてしまうかもしれない…。
鬼嫁なのは認めるけど、悪女だとは言われたくはないのよ。
キョロキョロ…
周りを見ると今は誰も居ないようにみえるけど、誰が来るか分からないし、よく見ると木の影にレイクス卿が隠れているわ。
「伯爵様…、とりあえず座って下さい。少し落ち着いて話をしましょう。」
伯爵様の手を引き、隣に座らせる鬼嫁。
「……っ、…うっ。エレノア、すまない。」
「伯爵様…、泣かないで下さい。
私達は夫婦にはなれませんでしたが、これで全て終わりではないのです。
一緒に事業もやっていきますし、その…、友人として仲良く出来たら嬉しいですわ。」
鬼嫁は、非常にありきたりな〝友達になろう〟作戦を決行することにした。
だって、泣いてる伯爵様を慰める他の方法が思いつかないんだもん!
「友人だとか言っておきながら、夫婦でなくなったら、エレノアは私のことなど忘れるだろうし、相手にしてくれなくなるのだろう?
私はそんなのは耐えられないのだ。」
ギクっ!鋭いな。
もう、いい加減に泣き止んでよー!
私が悪者みたいじゃないの!
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