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閑話 ロジャース伯爵
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あの夜会から2週間ほど経ったある日、エイベル伯爵家より手紙が届く。
手紙には、先日の夜会でエイベル伯爵令嬢がエレノアを侮辱した上に、後日、碌に反省もせずに無礼な手紙を出してしまって申し訳ないという謝罪の手紙であった。
王家の夜会でのことだった為、王妃殿下と王子殿下からもお叱りを受け、令嬢は3年間王宮に立ち入り禁止となり、更に1年間の社交の禁止まで言い渡されたと書いてある。
令嬢は領地に戻らせ、謹慎生活を送らせて反省させるらしい。
3年間の王宮への立ち入り禁止と、1年間の社交の禁止とはかなり重い処分だ。令嬢として結婚相手を探すために社交は大切なのに、これでは貴族社会から追放されたようなものだ。
ここまで重い処分をするほど、あの王子殿下はエレノアを守りたいと考えているのだろう。
間違いなく、王子殿下はエレノアのことを好いている…。
しかも数日前には、その王子殿下からエレノア宛に手紙が届いたらしい。どんな内容の手紙だったのか、気になって仕方がないのだが、そのことをエレノアに聞きに行けたのなら、どんなに楽だったか。
エレノアは私の妻で一緒に住んでいるのに、こんなにも距離が遠く感じるのだ。
そんな時、第二夫人のあの悪女が体調不良だと知らされる。家令やメイド長が侍医に診てもらおうと声を掛けるが、病気ではないから必要ないと拒否しているらしい。
本人がそう言うなら放っておけと言っていたが、そのことを知ったエレノアは、妊娠の可能性があるから侍医に診てもらうように、私から直接あの女に言って聞かせろと言う。
妊娠という言葉にゾッとした。あんな女の産んだ子など認められないし、愛せるはずがないからだ。
しかし、その可能性がある以上は放っておくことは出来ない。すぐに侍医を呼んでもらい、直接私が対応することになった。
結果的に妊娠はしていないことが分かり安堵したのだが…。あの女があそこまで狂っていて、エレノアに敵意を剥き出しにしているのを見て、いかに危険な女なのかを自覚することになる。
自分は妊娠している、エレノアに命を狙われている、侍医は信用出来ない、私をもっと愛して欲しい…など、支離滅裂な言動を繰り返した為、実家に帰して療養させることにした。
あの女の狂気をはらんだ目…。
あの目は、亡くなった母上が父上の肖像画を見つめていた時の目と同じ目だ。
あの女は危険だ。妊娠してないならば、出来るだけ早く離縁するように動こう。
そのことをエレノアにも報告し、あの女と離縁が出来たら、今度こそエレノアとやり直したいことや、今まで夫として何もしてあげられなかったことを償いたいということを伝えた。
しかし、エレノアから返ってきたのは拒絶の言葉。
いくら媚薬を盛られたと言っても、他の女と情を交わした人と普通の夫婦にはなれないことや、私やあの女を見ると、まぐわっていたことを想像して気分が悪くなるし、償いは必要ないから離縁して欲しいとまで言われてしまった。
その時にトーマスの言葉を思い出した。
『旦那様は媚薬を盛られたとはいえ、他の女とまぐわい、第二夫人まで作られて…。1番お辛いのはエレノア様です。
旦那様はもうすぐ捨てられます。私がエレノア様なら、どんな手を使ってでも離縁したいと考えます』
私はエレノアに捨てられるのか……
その後、私は人手不足なのもあり忙しく働く。
あの悪女のことやエレノアのことで悩み、夜は眠れず、食欲もない日々が続いていた。
そしてある日、執務中に倒れてしまうのであった。
手紙には、先日の夜会でエイベル伯爵令嬢がエレノアを侮辱した上に、後日、碌に反省もせずに無礼な手紙を出してしまって申し訳ないという謝罪の手紙であった。
王家の夜会でのことだった為、王妃殿下と王子殿下からもお叱りを受け、令嬢は3年間王宮に立ち入り禁止となり、更に1年間の社交の禁止まで言い渡されたと書いてある。
令嬢は領地に戻らせ、謹慎生活を送らせて反省させるらしい。
3年間の王宮への立ち入り禁止と、1年間の社交の禁止とはかなり重い処分だ。令嬢として結婚相手を探すために社交は大切なのに、これでは貴族社会から追放されたようなものだ。
ここまで重い処分をするほど、あの王子殿下はエレノアを守りたいと考えているのだろう。
間違いなく、王子殿下はエレノアのことを好いている…。
しかも数日前には、その王子殿下からエレノア宛に手紙が届いたらしい。どんな内容の手紙だったのか、気になって仕方がないのだが、そのことをエレノアに聞きに行けたのなら、どんなに楽だったか。
エレノアは私の妻で一緒に住んでいるのに、こんなにも距離が遠く感じるのだ。
そんな時、第二夫人のあの悪女が体調不良だと知らされる。家令やメイド長が侍医に診てもらおうと声を掛けるが、病気ではないから必要ないと拒否しているらしい。
本人がそう言うなら放っておけと言っていたが、そのことを知ったエレノアは、妊娠の可能性があるから侍医に診てもらうように、私から直接あの女に言って聞かせろと言う。
妊娠という言葉にゾッとした。あんな女の産んだ子など認められないし、愛せるはずがないからだ。
しかし、その可能性がある以上は放っておくことは出来ない。すぐに侍医を呼んでもらい、直接私が対応することになった。
結果的に妊娠はしていないことが分かり安堵したのだが…。あの女があそこまで狂っていて、エレノアに敵意を剥き出しにしているのを見て、いかに危険な女なのかを自覚することになる。
自分は妊娠している、エレノアに命を狙われている、侍医は信用出来ない、私をもっと愛して欲しい…など、支離滅裂な言動を繰り返した為、実家に帰して療養させることにした。
あの女の狂気をはらんだ目…。
あの目は、亡くなった母上が父上の肖像画を見つめていた時の目と同じ目だ。
あの女は危険だ。妊娠してないならば、出来るだけ早く離縁するように動こう。
そのことをエレノアにも報告し、あの女と離縁が出来たら、今度こそエレノアとやり直したいことや、今まで夫として何もしてあげられなかったことを償いたいということを伝えた。
しかし、エレノアから返ってきたのは拒絶の言葉。
いくら媚薬を盛られたと言っても、他の女と情を交わした人と普通の夫婦にはなれないことや、私やあの女を見ると、まぐわっていたことを想像して気分が悪くなるし、償いは必要ないから離縁して欲しいとまで言われてしまった。
その時にトーマスの言葉を思い出した。
『旦那様は媚薬を盛られたとはいえ、他の女とまぐわい、第二夫人まで作られて…。1番お辛いのはエレノア様です。
旦那様はもうすぐ捨てられます。私がエレノア様なら、どんな手を使ってでも離縁したいと考えます』
私はエレノアに捨てられるのか……
その後、私は人手不足なのもあり忙しく働く。
あの悪女のことやエレノアのことで悩み、夜は眠れず、食欲もない日々が続いていた。
そしてある日、執務中に倒れてしまうのであった。
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