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私の妻
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友人だと認めてあげた王子殿下から、ダンスのお誘いを受けた鬼嫁。
最近、色々とお世話になってるし、美味しいロールケーキもご馳走になったんだから断れないよね…と思った鬼嫁が、ダンスのお誘いを受けようと返事をした後だった。
「王子殿下。大変申し訳ありません。
私の妻は体調があまり良くないようなのです。
周りに心配を掛けたくないようで、いつも無理をし過ぎてしまうので、今日はそうなる前にお暇させて頂きたく思います。」
は…?さっき、私が疲れているからダンスは一曲だけって伯爵様に言ったから、気を遣って断ってくれているの?
王族が誘ってくれているのにそんなこと言って大丈夫?
「伯爵様、一曲くらいなら大丈夫ですわ。
せっかく王子殿下が誘って下さっているのですから。」
「エレノア。君は少し前に過労で倒れたことがあっただろう?
私は君が倒れた時、気が気ではなかった。もうあんな思いはしたくないから、大切な君に無理はさせられない。」
はあ?どの口が言ってんだ?
アンタの面倒見たから過労で倒れたんだろうが!
鬼嫁スイッチが入りそうになるが、くっ…、我慢よ。
「エレノア、過労で倒れたとは本当か?
それは無理はさせられないな。ダンスはまた今度誘うから、今日は気にするな。
何も知らずに悪かったな。」
えー!あの王子殿下が珍しく謝っているんだけど。
本当に大人になったんだね。
「王子殿下。過労で倒れたのは随分前のことですわ。
伯爵様は少し心配性で大袈裟なのですわ。申し訳ありません。
ダンスはまた次回にでも声を掛けて下さったら嬉しいですわ。」
「エレノア。君は私の妻なのだから、夫の私が心配するのは当然だろう?
王子殿下、本当に申し訳ありません。」
うわー。また仲良し夫婦アピールが始まったわ。
「ロジャース伯爵は、随分と妻を大切にしているようだ。
ふっ、それが本心から言っているのならいいのだがな。
エレノア、今日は無理せずに早く帰って休んだ方がいい。
母上がまた茶会をしたいと言っていたから、そのうち招待状が届くだろう。エレノアの好きな物を沢山用意して待ってる。
では、私は失礼する。」
さすが王族だわ。伯爵様の仲良し夫婦アピールが本心からではないことを見破っているのね!
王子殿下をちょっとだけ見直したかも。お花畑のエレノアはこの男の本心を知らずに、うっかり結婚までしてしまったのだからね。
…アレ?何だか北風が吹き荒れているような。急に寒さを感じてきた。
ブルっ。寒っ!
「エレノア、震えているな。やはり体調が悪いみたいだから、今日はもう帰ろう。」
「はい。」
ちょっと!腰を抱いて歩くのやめてよね。
馬車に乗り込んだ後、無言だった伯爵様が口を開く。
「エレノア。私は君のことを何も知らなかったことで、今日ほど悔しく感じたことはない。」
「…はい?」
また面倒な話?今度は何?
また眉間にシワが…。
「王子殿下はエレノアの好きな物を沢山知っていて、エレノアが何をすれば喜んでくれるのかをよく知っているようだった。
それなのに私は…、君の夫なのに何も知らない。」
この伯爵様は、王族の情報収集力に太刀打ち出来るとでも思ってるの?王族舐めんなよ!
「王族ですから、個人情報なんて簡単に調べることが出来るのでしょうね。」
「王族だからとかは関係ないだろう。」
あー、またグダグダ始まったわ。
「お互いのことを知ろうとする前に、私を拒否されたのは伯爵様です。
今更そんなことを言われても困りますわ。」
「……すまなかった。
今日のことはただの嫉妬だ。
夫なのに妻の好きな物は知らないし、誕生日も結婚記念日も何も祝うこともしてこなかった。知らなかったのではなく、知ろうとしなかった私は愚かだな…。」
「そんなことを今更気にしてどうするのです?
どうでもいいことなので気にしないで下さい。」
「私はただ…、後悔しているんだ。」
「………。」
グダグダに付き合っていられない鬼嫁は、もう何も言い返さないことにした。
この伯爵様との会話は、迷路の中をグルグルと迷っているような感じがして疲れるからね…。
伯爵様と一緒に参加する夜会はこんな感じで終わった。
最近、色々とお世話になってるし、美味しいロールケーキもご馳走になったんだから断れないよね…と思った鬼嫁が、ダンスのお誘いを受けようと返事をした後だった。
「王子殿下。大変申し訳ありません。
私の妻は体調があまり良くないようなのです。
周りに心配を掛けたくないようで、いつも無理をし過ぎてしまうので、今日はそうなる前にお暇させて頂きたく思います。」
は…?さっき、私が疲れているからダンスは一曲だけって伯爵様に言ったから、気を遣って断ってくれているの?
王族が誘ってくれているのにそんなこと言って大丈夫?
「伯爵様、一曲くらいなら大丈夫ですわ。
せっかく王子殿下が誘って下さっているのですから。」
「エレノア。君は少し前に過労で倒れたことがあっただろう?
私は君が倒れた時、気が気ではなかった。もうあんな思いはしたくないから、大切な君に無理はさせられない。」
はあ?どの口が言ってんだ?
アンタの面倒見たから過労で倒れたんだろうが!
鬼嫁スイッチが入りそうになるが、くっ…、我慢よ。
「エレノア、過労で倒れたとは本当か?
それは無理はさせられないな。ダンスはまた今度誘うから、今日は気にするな。
何も知らずに悪かったな。」
えー!あの王子殿下が珍しく謝っているんだけど。
本当に大人になったんだね。
「王子殿下。過労で倒れたのは随分前のことですわ。
伯爵様は少し心配性で大袈裟なのですわ。申し訳ありません。
ダンスはまた次回にでも声を掛けて下さったら嬉しいですわ。」
「エレノア。君は私の妻なのだから、夫の私が心配するのは当然だろう?
王子殿下、本当に申し訳ありません。」
うわー。また仲良し夫婦アピールが始まったわ。
「ロジャース伯爵は、随分と妻を大切にしているようだ。
ふっ、それが本心から言っているのならいいのだがな。
エレノア、今日は無理せずに早く帰って休んだ方がいい。
母上がまた茶会をしたいと言っていたから、そのうち招待状が届くだろう。エレノアの好きな物を沢山用意して待ってる。
では、私は失礼する。」
さすが王族だわ。伯爵様の仲良し夫婦アピールが本心からではないことを見破っているのね!
王子殿下をちょっとだけ見直したかも。お花畑のエレノアはこの男の本心を知らずに、うっかり結婚までしてしまったのだからね。
…アレ?何だか北風が吹き荒れているような。急に寒さを感じてきた。
ブルっ。寒っ!
「エレノア、震えているな。やはり体調が悪いみたいだから、今日はもう帰ろう。」
「はい。」
ちょっと!腰を抱いて歩くのやめてよね。
馬車に乗り込んだ後、無言だった伯爵様が口を開く。
「エレノア。私は君のことを何も知らなかったことで、今日ほど悔しく感じたことはない。」
「…はい?」
また面倒な話?今度は何?
また眉間にシワが…。
「王子殿下はエレノアの好きな物を沢山知っていて、エレノアが何をすれば喜んでくれるのかをよく知っているようだった。
それなのに私は…、君の夫なのに何も知らない。」
この伯爵様は、王族の情報収集力に太刀打ち出来るとでも思ってるの?王族舐めんなよ!
「王族ですから、個人情報なんて簡単に調べることが出来るのでしょうね。」
「王族だからとかは関係ないだろう。」
あー、またグダグダ始まったわ。
「お互いのことを知ろうとする前に、私を拒否されたのは伯爵様です。
今更そんなことを言われても困りますわ。」
「……すまなかった。
今日のことはただの嫉妬だ。
夫なのに妻の好きな物は知らないし、誕生日も結婚記念日も何も祝うこともしてこなかった。知らなかったのではなく、知ろうとしなかった私は愚かだな…。」
「そんなことを今更気にしてどうするのです?
どうでもいいことなので気にしないで下さい。」
「私はただ…、後悔しているんだ。」
「………。」
グダグダに付き合っていられない鬼嫁は、もう何も言い返さないことにした。
この伯爵様との会話は、迷路の中をグルグルと迷っているような感じがして疲れるからね…。
伯爵様と一緒に参加する夜会はこんな感じで終わった。
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