81 / 125
2回目の断罪?
しおりを挟む
応接室に入ると……
え?何なの、この大きなスクリーンは?
ギルってば、この大きなスクリーンにあの生々しい画像を映すの?
ポルノ映画を観るみたいじゃないの。
アブス子爵家の皆様も、応接室の異様さに気付いたようだ。
大きなスクリーンがあるのも変だし、騎士が6人も待機しているなんて普通ならおかしいと感じるだろう。
騎士達には、一瞬たりともアブスから目を離すなと言ってあるからか、アブスは騎士達からジロっと見られていて、居心地が悪そうにしている。
「話をする前に、まずはアブス子爵様と夫人に見て欲しいものがありますの。
ギル、毒の方をまず見せてくれるかしら?」
「毒ね。分かった。」
生々しい方はヤバそうだから後にして、まずは毒を買ってくるようにと頼んでいるシーンを見てもらおうと思ったのだ。
隠しカメラで撮られた動画にしては、綺麗に撮られたものだった。
質素な狭い部屋で、男女が体を密着させている姿が映っている。女がアブスだと誰が見てもはっきり分かるものだった。
『ねぇー、マシュー。お願いがあるの。私の為なら何でもしてくれるって言ってたでしょ?』
『お嬢さんのお願いですか?』
『誰にもバレないように毒を買って来て欲しいの。』
『……毒ですか?』
『お願い!私が幸せになるのには必要なのよ。』
『それは…、少し考えさせて下さい。毒がどこで売っているのかも知りませんし。』
アブス子爵家の皆様は絶句していた。
アブスの顔が怖い……
自分の部屋が隠し撮りされていたことに驚いたかな。
違う日の動画
『マシュー。毒のこと調べられた?用意出来そう?』
『お嬢さん、毒を用意して何に使うのです?自殺でもする気ですか?』
『私は死なないわよ。ただ、憎らしい女にちょっとね…。』
『お嬢さん…、私には毒は用意出来ませんよ。
私はお嬢さんに道を踏み外して欲しくない。』
『な、何で?マシューだけはいつも私の力になってくれたじゃないの。…マシューまで私から離れるの?』
マシューはアブスを強く抱きしめる。
『私はお嬢さんが許してくれる限りはずっと側にいます。
ただ…、お嬢さんを深く愛しているからこそ、その命令だけは聞けません。お許しください。』
ちょっとした昼ドラみたいで、つい動画に見入ってしまった鬼嫁。
マシュー、いい奴じゃないのー!!
「…コホン!」
ギルがワザとらしく咳払いをした。
いけない…。つい夢中になってしまったわ。
「第二夫人が毒を手に入れようとしていると情報が入ったので、ちょっと調査させて頂きましたの。
ですから先程のボディチェックは、侮辱行為ではなく正当な防衛行為ですわ。」
「ララ…。これは……」
ババアが煩くなりそうだ。その前に…
「ギル、生々しい方をよろしく。」
「了解!」
さっきと同じ部屋でアブスとマシューが抱き合っている。
『アラン様は、全く私を相手にしてくれないの。
私ってそんなに魅力がないのかしら…。』
『お嬢さんは、とっても可愛くて素敵です。私にとって特別な人です。』
『そんなの嘘よ!』
『私は嘘はついていません。私は昔からお嬢さんだけを見てきましたから。』
『マシュー…。それが本当なら私を抱ける?』
『お、お嬢さん。何を言っているのです?お嬢さんは伯爵様が好きなのですよね?』
『好きよ。愛しているわ!でも、アラン様は私を見てくれないの。寂しくて、恋しくて…。私、どうしていいか分からないの。
マシュー、助けて。』
『………お嬢さん。途中でやめられませんよ。』
マシューはアブスに激しくキスをして、ベッドに押し倒した。
『お嬢さん。昔から好きだった…。こうやって触れることが出来て嬉しい。
愛してます。』
チュッ、チュッ…
おおー!
動画が盛り上がってきたその時…
「もう、やめて頂きたい!!」
いいところで、子爵からストップがかかってしまった。
父が娘のこんな動画を観るのは辛いよね。
スミマセン…。
「うちの娘が毒を使って夫人を陥れようと考えていたことや、里帰り中に使用人と不貞をしていたことは分かりました。
媚薬を盛って無理やり第二夫人になったのに、今度は不貞行為をして裏切るなど、これほどにバカな娘だとは知らずに、大変申し訳ないことをしました。
これ以上伯爵様にご迷惑を掛けるわけにはいきませんので、離縁させて頂きます。
慰謝料も何とか工面しますから、どうかうちのアブス子爵家をお許しください。時期当主である息子を守りたいのです。」
「私からもお願いします。娘がここまでとは知りませんでした。申し訳ありませんでした。」
離縁を向こうから言ってくれて助かったわ。
伯爵様も少しホッとした顔をしている。
「では、今すぐ離縁届けにサインをして欲しい。」
「分かりました。
ララ、すぐにサインしなさい!」
子爵が顔色を悪くするアブスにペンを渡した時だった。
「………いよ。」
アブスがボソっと何かを言っている。
「…ララ?早くサインをするんだ。最後くらいは伯爵様と夫人を困らせるな。」
「アンタのせいよ!!アンタがいるから、アラン様は私を見てくれないの!」
急に金切り声を上げたアブス。
その姿に皆が驚き固まっていると、ペンを振り上げて、鬼嫁に向かって来た。
ヤバい…!刺される……
え?何なの、この大きなスクリーンは?
ギルってば、この大きなスクリーンにあの生々しい画像を映すの?
ポルノ映画を観るみたいじゃないの。
アブス子爵家の皆様も、応接室の異様さに気付いたようだ。
大きなスクリーンがあるのも変だし、騎士が6人も待機しているなんて普通ならおかしいと感じるだろう。
騎士達には、一瞬たりともアブスから目を離すなと言ってあるからか、アブスは騎士達からジロっと見られていて、居心地が悪そうにしている。
「話をする前に、まずはアブス子爵様と夫人に見て欲しいものがありますの。
ギル、毒の方をまず見せてくれるかしら?」
「毒ね。分かった。」
生々しい方はヤバそうだから後にして、まずは毒を買ってくるようにと頼んでいるシーンを見てもらおうと思ったのだ。
隠しカメラで撮られた動画にしては、綺麗に撮られたものだった。
質素な狭い部屋で、男女が体を密着させている姿が映っている。女がアブスだと誰が見てもはっきり分かるものだった。
『ねぇー、マシュー。お願いがあるの。私の為なら何でもしてくれるって言ってたでしょ?』
『お嬢さんのお願いですか?』
『誰にもバレないように毒を買って来て欲しいの。』
『……毒ですか?』
『お願い!私が幸せになるのには必要なのよ。』
『それは…、少し考えさせて下さい。毒がどこで売っているのかも知りませんし。』
アブス子爵家の皆様は絶句していた。
アブスの顔が怖い……
自分の部屋が隠し撮りされていたことに驚いたかな。
違う日の動画
『マシュー。毒のこと調べられた?用意出来そう?』
『お嬢さん、毒を用意して何に使うのです?自殺でもする気ですか?』
『私は死なないわよ。ただ、憎らしい女にちょっとね…。』
『お嬢さん…、私には毒は用意出来ませんよ。
私はお嬢さんに道を踏み外して欲しくない。』
『な、何で?マシューだけはいつも私の力になってくれたじゃないの。…マシューまで私から離れるの?』
マシューはアブスを強く抱きしめる。
『私はお嬢さんが許してくれる限りはずっと側にいます。
ただ…、お嬢さんを深く愛しているからこそ、その命令だけは聞けません。お許しください。』
ちょっとした昼ドラみたいで、つい動画に見入ってしまった鬼嫁。
マシュー、いい奴じゃないのー!!
「…コホン!」
ギルがワザとらしく咳払いをした。
いけない…。つい夢中になってしまったわ。
「第二夫人が毒を手に入れようとしていると情報が入ったので、ちょっと調査させて頂きましたの。
ですから先程のボディチェックは、侮辱行為ではなく正当な防衛行為ですわ。」
「ララ…。これは……」
ババアが煩くなりそうだ。その前に…
「ギル、生々しい方をよろしく。」
「了解!」
さっきと同じ部屋でアブスとマシューが抱き合っている。
『アラン様は、全く私を相手にしてくれないの。
私ってそんなに魅力がないのかしら…。』
『お嬢さんは、とっても可愛くて素敵です。私にとって特別な人です。』
『そんなの嘘よ!』
『私は嘘はついていません。私は昔からお嬢さんだけを見てきましたから。』
『マシュー…。それが本当なら私を抱ける?』
『お、お嬢さん。何を言っているのです?お嬢さんは伯爵様が好きなのですよね?』
『好きよ。愛しているわ!でも、アラン様は私を見てくれないの。寂しくて、恋しくて…。私、どうしていいか分からないの。
マシュー、助けて。』
『………お嬢さん。途中でやめられませんよ。』
マシューはアブスに激しくキスをして、ベッドに押し倒した。
『お嬢さん。昔から好きだった…。こうやって触れることが出来て嬉しい。
愛してます。』
チュッ、チュッ…
おおー!
動画が盛り上がってきたその時…
「もう、やめて頂きたい!!」
いいところで、子爵からストップがかかってしまった。
父が娘のこんな動画を観るのは辛いよね。
スミマセン…。
「うちの娘が毒を使って夫人を陥れようと考えていたことや、里帰り中に使用人と不貞をしていたことは分かりました。
媚薬を盛って無理やり第二夫人になったのに、今度は不貞行為をして裏切るなど、これほどにバカな娘だとは知らずに、大変申し訳ないことをしました。
これ以上伯爵様にご迷惑を掛けるわけにはいきませんので、離縁させて頂きます。
慰謝料も何とか工面しますから、どうかうちのアブス子爵家をお許しください。時期当主である息子を守りたいのです。」
「私からもお願いします。娘がここまでとは知りませんでした。申し訳ありませんでした。」
離縁を向こうから言ってくれて助かったわ。
伯爵様も少しホッとした顔をしている。
「では、今すぐ離縁届けにサインをして欲しい。」
「分かりました。
ララ、すぐにサインしなさい!」
子爵が顔色を悪くするアブスにペンを渡した時だった。
「………いよ。」
アブスがボソっと何かを言っている。
「…ララ?早くサインをするんだ。最後くらいは伯爵様と夫人を困らせるな。」
「アンタのせいよ!!アンタがいるから、アラン様は私を見てくれないの!」
急に金切り声を上げたアブス。
その姿に皆が驚き固まっていると、ペンを振り上げて、鬼嫁に向かって来た。
ヤバい…!刺される……
154
お気に入りに追加
6,647
あなたにおすすめの小説

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる