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義弟、断罪する 3
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泣きそうな顔のアブス子爵令嬢を、ギルは更に問い詰める。
「エイジャー伯爵家の給仕も調べさせてもらいましたが、給仕の中にアブス子爵令嬢から、ワインを頼まれた者がいたと聞きました。アブス子爵令嬢は、普段はワインは口にしないと聞きましたが、そのワインは誰かに飲ませようとしたのですかね?」
「……。」
「アブス子爵令嬢の購入された『野獣の愛』の副作用は、歩行困難や意識障害です。
あの日、伯爵様が気分が悪くなった時の症状と一緒ですね。歩くのも困難な状態で、記憶が曖昧で気づいたら朝になっていたと聞いておりますから。」
「……っ!」
「普通なら、夜会のワインに『野獣の愛』を入れて、伯爵様に飲ませたのだと考えるでしょうね…。
伯爵様の友人方が教えてくださったのですが…、ロジャース伯爵はお酒に強く、元々、女性が得意な方ではないので、酒に酔って不貞行為をするはずはないと話していました。」
「……。」
「そろそろ、アブス子爵令嬢から、本当のことをお話して頂けませんか…?
私達に話してくれないなら、騎士団で話されてもいいのです。夫婦でもない、赤の他人に同意なく媚薬を盛るのは立派な犯罪ですからね。」
「うちの娘が申し訳ありませんでした!!娘は犯罪行為を致しました。すぐに修道院に入れます。
本当に申し訳ありません!どうか、お許しください!」
空気だと思っていた子爵が謝り出した。
「あなた!修道院だなんて、そんな…。
ララのお腹には、伯爵様の子がいるのかもしれないのですわよ。」
やっぱりね…。
「なっ……!どういうことだ?私はあの日、君に避妊薬を飲むように勧めたはずだが?」
「始めから伯爵様との子を身籠るつもりで計画されていたのでしょうかね?
本当に非常識な母と娘ですこと…。」
「アブス子爵令嬢!君がそんな人間だったとは!
私に妻を裏切らせ、第二夫人になって、私の子供を産めば、全て手に入れられると思ったのか?
犯罪者である君の子供なんて認められないし、私の妻はエレノアだけだ!
君も、君が産むかもしれない子も、私は一生愛することはないだろう。
私は君が憎い!!」
言うよねーー。
あらら、アブスが涙を流している…。
「お願いです!娘は伯爵様のお子を身籠もっている可能性があるのです。そんな娘を修道院などあんまりです。
ロジャース伯爵と夫人の2人を支えられるようにさせますし、2人の邪魔は絶対にさせません。
ですから…、どうか娘を第二夫人にして下さいませ!
ほら、ララも泣いてないで頼みなさい!」
アブス子爵夫人が跪き始めた。
このババア、なかなかすごいわ。
「…っく。…うっ。わ、私は、ロジャース伯爵様がずっと好きで。
奥様と…、結婚したと聞いても、伯爵様はあまり奥様を愛してないと…っ、聞きましたので、お慰めしたいと……。ど、どうかお許しください…。」
「何だと?…私はエレノアを愛している!君はなんて醜い女なんだ!私達を引き離すつもりでこんなことをしたのか?
許せるわけがないだろう!」
心にもないことを言っているわ…。私ではなくて、私の金を愛しているんでしょ?
「アブス子爵令嬢。私の大切な義姉を侮辱するのですか?貴女のしたことを、ベネット家は許しませんから。」
ギルも怒っているわ!!
伯爵様はどうだっていいけど、怒ったギルはちょっと可愛いわね。
「ベネット卿、どうかお許しくださいませ!
娘はただ伯爵様をお慕いして、行動が行き過ぎてしまっただけなのです。」
キリが無いな…
「アブス子爵令嬢とうちの伯爵様が一夜を共にしたという噂話が立ってしまった以上、もし令嬢が妊娠してしまったら、令嬢のお腹の子の父は伯爵様だと誰もが思うことでしょう。
令嬢が修道院に入ったとしても、伯爵様が一夜を共にしたのに、責任を取らなかったと思う方が沢山いるでしょうし、伯爵様の評判に関わると思いますわ。
伯爵様、貴方は被害者かもしれませんが、夜会の夜に、みんなにバレるように関係を結ばされてしまった以上は、なかなか逃げるのは難しいですわよ。
この女狐にやられてしまいましたわね。」
「エレノア、私には君だけだ。私の妻はエレノアだけ…。」
「媚薬を盛ったことは犯罪ですから、いくらでも告訴は出来ると思いますし、犯罪者として罰してもらうことは可能だと思います。しかし、もし妊娠していたとしたら、産まれてくるかもしれない伯爵様のお子は、犯罪者との子供だと後ろ指をさす方は沢山いるでしょうね。
伯爵様、この女狐に本当にやられてしまいましたわね…。」
「よくも…、よくもこんな事をしてくれたな!」
伯爵様がアブスを目で殺す勢いだ。
アブスが震えているわ…。ふふっ!
この辺で、この優しい鬼嫁が妥協案を出して、助けてあげようか?
「アブス子爵と夫人。令嬢を告訴されたくないですよね?」
「許して下さるのですか?」
アブス子爵夫人が食いついてきたわ…。ふふっ!
「エイジャー伯爵家の給仕も調べさせてもらいましたが、給仕の中にアブス子爵令嬢から、ワインを頼まれた者がいたと聞きました。アブス子爵令嬢は、普段はワインは口にしないと聞きましたが、そのワインは誰かに飲ませようとしたのですかね?」
「……。」
「アブス子爵令嬢の購入された『野獣の愛』の副作用は、歩行困難や意識障害です。
あの日、伯爵様が気分が悪くなった時の症状と一緒ですね。歩くのも困難な状態で、記憶が曖昧で気づいたら朝になっていたと聞いておりますから。」
「……っ!」
「普通なら、夜会のワインに『野獣の愛』を入れて、伯爵様に飲ませたのだと考えるでしょうね…。
伯爵様の友人方が教えてくださったのですが…、ロジャース伯爵はお酒に強く、元々、女性が得意な方ではないので、酒に酔って不貞行為をするはずはないと話していました。」
「……。」
「そろそろ、アブス子爵令嬢から、本当のことをお話して頂けませんか…?
私達に話してくれないなら、騎士団で話されてもいいのです。夫婦でもない、赤の他人に同意なく媚薬を盛るのは立派な犯罪ですからね。」
「うちの娘が申し訳ありませんでした!!娘は犯罪行為を致しました。すぐに修道院に入れます。
本当に申し訳ありません!どうか、お許しください!」
空気だと思っていた子爵が謝り出した。
「あなた!修道院だなんて、そんな…。
ララのお腹には、伯爵様の子がいるのかもしれないのですわよ。」
やっぱりね…。
「なっ……!どういうことだ?私はあの日、君に避妊薬を飲むように勧めたはずだが?」
「始めから伯爵様との子を身籠るつもりで計画されていたのでしょうかね?
本当に非常識な母と娘ですこと…。」
「アブス子爵令嬢!君がそんな人間だったとは!
私に妻を裏切らせ、第二夫人になって、私の子供を産めば、全て手に入れられると思ったのか?
犯罪者である君の子供なんて認められないし、私の妻はエレノアだけだ!
君も、君が産むかもしれない子も、私は一生愛することはないだろう。
私は君が憎い!!」
言うよねーー。
あらら、アブスが涙を流している…。
「お願いです!娘は伯爵様のお子を身籠もっている可能性があるのです。そんな娘を修道院などあんまりです。
ロジャース伯爵と夫人の2人を支えられるようにさせますし、2人の邪魔は絶対にさせません。
ですから…、どうか娘を第二夫人にして下さいませ!
ほら、ララも泣いてないで頼みなさい!」
アブス子爵夫人が跪き始めた。
このババア、なかなかすごいわ。
「…っく。…うっ。わ、私は、ロジャース伯爵様がずっと好きで。
奥様と…、結婚したと聞いても、伯爵様はあまり奥様を愛してないと…っ、聞きましたので、お慰めしたいと……。ど、どうかお許しください…。」
「何だと?…私はエレノアを愛している!君はなんて醜い女なんだ!私達を引き離すつもりでこんなことをしたのか?
許せるわけがないだろう!」
心にもないことを言っているわ…。私ではなくて、私の金を愛しているんでしょ?
「アブス子爵令嬢。私の大切な義姉を侮辱するのですか?貴女のしたことを、ベネット家は許しませんから。」
ギルも怒っているわ!!
伯爵様はどうだっていいけど、怒ったギルはちょっと可愛いわね。
「ベネット卿、どうかお許しくださいませ!
娘はただ伯爵様をお慕いして、行動が行き過ぎてしまっただけなのです。」
キリが無いな…
「アブス子爵令嬢とうちの伯爵様が一夜を共にしたという噂話が立ってしまった以上、もし令嬢が妊娠してしまったら、令嬢のお腹の子の父は伯爵様だと誰もが思うことでしょう。
令嬢が修道院に入ったとしても、伯爵様が一夜を共にしたのに、責任を取らなかったと思う方が沢山いるでしょうし、伯爵様の評判に関わると思いますわ。
伯爵様、貴方は被害者かもしれませんが、夜会の夜に、みんなにバレるように関係を結ばされてしまった以上は、なかなか逃げるのは難しいですわよ。
この女狐にやられてしまいましたわね。」
「エレノア、私には君だけだ。私の妻はエレノアだけ…。」
「媚薬を盛ったことは犯罪ですから、いくらでも告訴は出来ると思いますし、犯罪者として罰してもらうことは可能だと思います。しかし、もし妊娠していたとしたら、産まれてくるかもしれない伯爵様のお子は、犯罪者との子供だと後ろ指をさす方は沢山いるでしょうね。
伯爵様、この女狐に本当にやられてしまいましたわね…。」
「よくも…、よくもこんな事をしてくれたな!」
伯爵様がアブスを目で殺す勢いだ。
アブスが震えているわ…。ふふっ!
この辺で、この優しい鬼嫁が妥協案を出して、助けてあげようか?
「アブス子爵と夫人。令嬢を告訴されたくないですよね?」
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アブス子爵夫人が食いついてきたわ…。ふふっ!
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