35 / 39
2度目
閑話 王弟アレクシス
しおりを挟む
「王弟殿下。先程、聖女様が出発されました。」
「…そうか。」
「病気や怪我の人を早く助けに行きたいと、聖女様自ら騎乗して、急いで旅立たれたようです。」
「聖女様が騎乗?」
「はい。聖女様の護衛達の話だと、ここに来るまでも、聖女様が自ら騎乗して来たようです。急ぎだからと飛ばしに飛ばしまくり、王都から3日で到着した、凄いだろうと、あの護衛達に自慢されました。」
「3日だって!普通なら、どんなに飛ばしても5日はかかるだろう。」
「聖女様が、騎士や馬に回復魔法をかけながら、急いで来てくれたようです。」
「そうだったのか…。私達の為にそこまで。感謝しないといけないな。」
聖女は、そのまま結界を張る旅に出かけた。
私の方は、戦後処理で忙しい日々を送ることになるが、敵の将軍を生きて捕らえる事が出来たことが良かった。恐らく、将軍は何かを知っている。
「あの将軍には拷問は必要ない。拷問しても、恐らく口を割らないから、無意味だ。時間をかけて、私が対話して話を聞き出すことにする。他の者には、絶対に手を出さないようにと伝えておけ。」
部下達にそのように指示を出しておく。
一目見て、すぐに気付いた。あの将軍はリーナの護衛騎士だったカーティス・ガルシアだ。見た目も声も、当時と全く変わってない。
前世の記憶を取り戻した私は、かつての友人や知人の生まれ変わりの人物がいたら、当時と見た目が変わっていても、不思議とすぐに分かるのだ。
将軍がガルシア卿だとすると、忠誠心の強い男だったから、多少の拷問なんて効果はないに決まっている。
まあ、いい。あの男は王都に連れて行き、じっくりと話をしよう。
あの時。リーナが1番信頼して、最後の最後まで、唯一側に置いていた、憎らしい男…。
王都で忙しい毎日を過ごしていると、聖女がもうすぐ城に戻って来ると、先触れがある。
何て早いんだ!本当に優秀な聖女らしい。
彼女が来てから、魔物は驚くほど減ったし、貧しい平民にも優しい聖女だと聞く。戦争も彼女のおかげで、勝利出来た。
国中からとても人気のある聖女が戻るということで、城勤めの貴族や使用人達が沢山出迎えに行くようだ。
私も仕事の手を止め、まだ会ったことのない聖女の出迎えに行くことにした。
少し離れた所にいる兄上は嬉しそうにしている。
噂で聞いたが、呪いを解いてもらってからの兄上は、誰が見ても聖女に惚れているのが分かるような雰囲気をだしていたらしい。
あの兄上が恋か…。
父上が病で倒れ、若くして王位を引き継いだ兄上は、とにかく苦労ばかりだった。そんな兄上には幸せになってもらいたいと思う。兄上が、あの聖女に恋をしているなら、私は兄上の恋を応援したいと思う。噂で聞く限り、評判のいい女性らしいから、未来の王妃としても問題は無いだろう。
しかし。
到着して馬から降り、兄上に挨拶をしているのは…。
兄上に抱きしめられて、恥ずかしそうにしているあの表情は…。
どこからどう見ても、私があの時に愛したリーナだった。
「…そうか。」
「病気や怪我の人を早く助けに行きたいと、聖女様自ら騎乗して、急いで旅立たれたようです。」
「聖女様が騎乗?」
「はい。聖女様の護衛達の話だと、ここに来るまでも、聖女様が自ら騎乗して来たようです。急ぎだからと飛ばしに飛ばしまくり、王都から3日で到着した、凄いだろうと、あの護衛達に自慢されました。」
「3日だって!普通なら、どんなに飛ばしても5日はかかるだろう。」
「聖女様が、騎士や馬に回復魔法をかけながら、急いで来てくれたようです。」
「そうだったのか…。私達の為にそこまで。感謝しないといけないな。」
聖女は、そのまま結界を張る旅に出かけた。
私の方は、戦後処理で忙しい日々を送ることになるが、敵の将軍を生きて捕らえる事が出来たことが良かった。恐らく、将軍は何かを知っている。
「あの将軍には拷問は必要ない。拷問しても、恐らく口を割らないから、無意味だ。時間をかけて、私が対話して話を聞き出すことにする。他の者には、絶対に手を出さないようにと伝えておけ。」
部下達にそのように指示を出しておく。
一目見て、すぐに気付いた。あの将軍はリーナの護衛騎士だったカーティス・ガルシアだ。見た目も声も、当時と全く変わってない。
前世の記憶を取り戻した私は、かつての友人や知人の生まれ変わりの人物がいたら、当時と見た目が変わっていても、不思議とすぐに分かるのだ。
将軍がガルシア卿だとすると、忠誠心の強い男だったから、多少の拷問なんて効果はないに決まっている。
まあ、いい。あの男は王都に連れて行き、じっくりと話をしよう。
あの時。リーナが1番信頼して、最後の最後まで、唯一側に置いていた、憎らしい男…。
王都で忙しい毎日を過ごしていると、聖女がもうすぐ城に戻って来ると、先触れがある。
何て早いんだ!本当に優秀な聖女らしい。
彼女が来てから、魔物は驚くほど減ったし、貧しい平民にも優しい聖女だと聞く。戦争も彼女のおかげで、勝利出来た。
国中からとても人気のある聖女が戻るということで、城勤めの貴族や使用人達が沢山出迎えに行くようだ。
私も仕事の手を止め、まだ会ったことのない聖女の出迎えに行くことにした。
少し離れた所にいる兄上は嬉しそうにしている。
噂で聞いたが、呪いを解いてもらってからの兄上は、誰が見ても聖女に惚れているのが分かるような雰囲気をだしていたらしい。
あの兄上が恋か…。
父上が病で倒れ、若くして王位を引き継いだ兄上は、とにかく苦労ばかりだった。そんな兄上には幸せになってもらいたいと思う。兄上が、あの聖女に恋をしているなら、私は兄上の恋を応援したいと思う。噂で聞く限り、評判のいい女性らしいから、未来の王妃としても問題は無いだろう。
しかし。
到着して馬から降り、兄上に挨拶をしているのは…。
兄上に抱きしめられて、恥ずかしそうにしているあの表情は…。
どこからどう見ても、私があの時に愛したリーナだった。
36
お気に入りに追加
1,187
あなたにおすすめの小説
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
結婚したら、愛する夫が前世の憎い婚約者だったことに気付いてしまいました
せいめ
恋愛
伯爵家の私生児として冷遇されて育ったアリシアは、行儀見習いがきっかけで年の差17歳の公爵と出会って結婚。
夫の公爵は家族からの愛を知らずに育ったアリシアを溺愛し、結婚生活は幸せだった。
ところが、幸せを僻んだ姉に階段から突き落とされ、頭を強く打ったことで前世の記憶を思い出してしまう。
前世のアリシアは、アリスという侯爵令嬢で家族から愛されていた。
しかし婚約者の公爵令息とは冷めきった関係で、婚約解消したいと望んでいたが、不慮の事故によりあっさり死んでしまう残念な人生だった。
意識を失っていたアリシアが目覚めると、そこには今世の最愛の夫がいた。
その顔を見たアリシアは……
逃げ出したいアリシアと彼女を絶対に離さない公爵の話。
誤字脱字申し訳ありません。
ご都合主義です。
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました
市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。
……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。
それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?!
上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる?
このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!!
※小説家になろう様でも投稿しています
元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち
せいめ
恋愛
侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。
病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。
また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。
「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」
無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。
そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。
生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。
マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。
「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」
三度目の人生はどうなる⁈
まずはアンネマリー編から。
誤字脱字、お許しください。
素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる