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2度目
旅立ち
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体調が良くなった私は、すぐに聖女教育を始めさせてもらった。
陛下はまだ私の体調を心配しているようだけど、もうすっかり元気だし、戦地では騎士達が戦っているのだから、早く彼らの元に駆けつけて、力になりたいのだ。そのことを話すと、陛下も理解してくれた。
聖女教育は1度目に受けた時と、ほぼ内容は変わっていなかったので、私にとっては復習のような感じであった。講師になってくれた魔導師や神官達は、そんな私を優秀だと褒めてくれたが、先生方の教え方が素晴らしいのですと言って誤魔化した。
陛下は私に護衛騎士を付けてくれる。陛下が認めている騎士数人の中から、私に選ばせてくれたが、私はベテランの強面の騎士にお願いすることにした。
同世代のイケメン騎士は、ちょっと今回はやめておこう。ベテランの方がいい距離感で付き合えそうだし、安心出来そうだからね。
私の護衛騎士のライアンは、見た目は怖くて貫禄があるが、子供好きで面倒見の良い騎士様だった。
そして、この世界に来て2か月が経つ頃。
勉強や魔法の訓練などを最速で終わらせた私は、早速、戦地に旅立つことになった。国境付近で戦っている騎士達の力になる為に急いで向かう。その後は、国境沿いを移動しながら、新しい結界を張る予定だ。
今回は時間がかかる馬車ではなく、馬に騎乗して向かうことにした。前回の召喚で、何となく馬に乗れるようになった私は、馬術にハマり、大学で乗馬のサークルに入っていたのだ。なので、時間短縮の為に馬に騎乗して行くことに決めた。
メイド代わりの女性騎士2人を含め、護衛の騎士達と魔導師、総勢20名で旅立つ。国境沿いは魔物が沢山出ることを考えると、決して多いとは言えない人数ではあるが、早い移動を考えるとこれくらいの人数の方が動きやすいだろうと、この人数となった。
魔導師と同じ衣装を着て、フードを深く被り、聖女には見えない服装の私。ドレスと比べて動きやすいので、割と気に入っている。今回はこの服装で行くことに決めた!
旅立つ前に、王宮に結界を張ることを忘れない。もしかしたら、敵が直接王宮に乗り込んでくるかもしれないからね。陛下に王宮に結界を張ることを提案したら、かなり喜ばれたので良かったと思う。
そして出発直前。私は陛下の執務室に寄るように言われてやって来た。
執務室に入ると、陛下は護衛や側近達を部屋の外で待つようにと言って出してしまったので、今は部屋に2人きりだ。……気まずいな。
陛下は私に、王家の紋章の入った綺麗なペンダントを首に着けてくれた。
「これは身分証になるから、必ず着けているように。」
なるほど…。確かにこの服装で馬に騎乗していたら、聖女には見えないもんね。
「分かりました。ありがとうございます。」
陛下は私を寂しそうにじっと見つめている。
「リーナ。気を付けて行くようにな。君が無事に帰ってくるのを待ってる…。」
そう言って私をギュッと抱きしめ、額や頬、そして唇にまでキスをする陛下。
何だコレ?恥ずかし過ぎるから!男性経験の少ない私はドキっとしてしまった。
「…陛下。あの…、こ、困ります。」
「すまない。今だけは許してくれ。…そろそろ出発の時間だな。見送る。」
陛下は私達が出発する正門の所まで、私の手を取りエスコートしてくれた。
陛下や側近、登城している貴族や、使用人達に見送られ、私達は出発したのであった。
陛下はまだ私の体調を心配しているようだけど、もうすっかり元気だし、戦地では騎士達が戦っているのだから、早く彼らの元に駆けつけて、力になりたいのだ。そのことを話すと、陛下も理解してくれた。
聖女教育は1度目に受けた時と、ほぼ内容は変わっていなかったので、私にとっては復習のような感じであった。講師になってくれた魔導師や神官達は、そんな私を優秀だと褒めてくれたが、先生方の教え方が素晴らしいのですと言って誤魔化した。
陛下は私に護衛騎士を付けてくれる。陛下が認めている騎士数人の中から、私に選ばせてくれたが、私はベテランの強面の騎士にお願いすることにした。
同世代のイケメン騎士は、ちょっと今回はやめておこう。ベテランの方がいい距離感で付き合えそうだし、安心出来そうだからね。
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今回は時間がかかる馬車ではなく、馬に騎乗して向かうことにした。前回の召喚で、何となく馬に乗れるようになった私は、馬術にハマり、大学で乗馬のサークルに入っていたのだ。なので、時間短縮の為に馬に騎乗して行くことに決めた。
メイド代わりの女性騎士2人を含め、護衛の騎士達と魔導師、総勢20名で旅立つ。国境沿いは魔物が沢山出ることを考えると、決して多いとは言えない人数ではあるが、早い移動を考えるとこれくらいの人数の方が動きやすいだろうと、この人数となった。
魔導師と同じ衣装を着て、フードを深く被り、聖女には見えない服装の私。ドレスと比べて動きやすいので、割と気に入っている。今回はこの服装で行くことに決めた!
旅立つ前に、王宮に結界を張ることを忘れない。もしかしたら、敵が直接王宮に乗り込んでくるかもしれないからね。陛下に王宮に結界を張ることを提案したら、かなり喜ばれたので良かったと思う。
そして出発直前。私は陛下の執務室に寄るように言われてやって来た。
執務室に入ると、陛下は護衛や側近達を部屋の外で待つようにと言って出してしまったので、今は部屋に2人きりだ。……気まずいな。
陛下は私に、王家の紋章の入った綺麗なペンダントを首に着けてくれた。
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なるほど…。確かにこの服装で馬に騎乗していたら、聖女には見えないもんね。
「分かりました。ありがとうございます。」
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「リーナ。気を付けて行くようにな。君が無事に帰ってくるのを待ってる…。」
そう言って私をギュッと抱きしめ、額や頬、そして唇にまでキスをする陛下。
何だコレ?恥ずかし過ぎるから!男性経験の少ない私はドキっとしてしまった。
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「すまない。今だけは許してくれ。…そろそろ出発の時間だな。見送る。」
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