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裏切りと別れ
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次の満月の夜に私が元の世界に帰ることが決まった。
みんなとの別れは寂しいが、帰りたくて今まで頑張っていた私はとても嬉しかった。
そんな時に偶然私は、殿下と側近達の会話を聞いてしまった。
「殿下!本当にリーナを帰してしまっていいのです?リーナは貴族や国民にとても人気がありますし、殿下もリーナが好きなのでしょう?残ってもらって、妃になってもらえばいいじゃないですか?皆、それを望んでいますよ。」
次期宰相で、殿下の最側近のアレンの声だとすぐに分かった。
……何を言ってるの?
「自分もそう思います。沢山の騎士や国民を助け、心優しくて努力家のリーナは、国母に相応しい。帰してはなりません。何より、殿下は愛する人がいなくなることに耐えられるのですか?」
これは殿下の護衛騎士をしている、次期騎士団長のブラッドの声だ。
「殿下、みんなリーナが大好きなのです。別れたくないのですよ。殿下が正直に望めばいい。帰る術が無くなったと言えば、リーナは諦めるでしょう。」
次期魔術師団長のリアムの声もする。
聞いていて震えてきた。私帰れないの?目の前が真っ暗になる。
私の隣で、一緒に殿下達の会話を聞いてしまった、私の護衛騎士のカーティスは、私が顔色を悪くしているのを見て、黙って私の手を引いてその場から離してくれた。
みんな親友とか仲間だと思っていた。結界を張る旅を一緒にしてきて、辛い時に沢山助けてくれたし、心から信用していたのに。それなのに約束を破るつもりなの?
それ以前に私はまだ高校生。勉強ばっかりで人生をそんなに楽しんでないのに、この年で結婚とか有り得ない!
裏切られたような気がして、悲しくて涙が流れていた。
「……リーナ?大丈夫ですか?」
普段は無口なカーティスが声を掛けてくれた。
「私、全て終わったら元の世界に帰してもらうって約束の為に今まで頑張って来たの。だから……、裏切られたような気がして。」
「私はリーナが無事に帰るまで、命をかけて貴女を守ります。……だから諦めないで。それに陛下は、貴女の約束をきっと守ってくれるはずです。」
普段、無口な人の言葉は、なぜか説得力があった。
その日から殿下と側近達とは距離を取った。食事も面会も茶会もすべて断るようにした。
殿下からは何度もお誘いを受けたが、全部拒否して生活した。
誰とも交流する気にもなれず、気分が悪いということにして、部屋から出るのをやめた。
そして、満月の夜。
私は国王陛下の計らいでこれから帰れることになる。
神殿での帰還の儀式には、陛下に頼んで最低限の人だけにきてもらうことにした。
お世話になった自分のメイド達と、護衛騎士のカーティス、そして帰還の儀式を行う神官のみ。
国王陛下は何か言いたそうにしていたが、別れが寂しくなるからと言うと、それを聞き入れてくれた。
ここに来た時の制服に着替えて旅立つ私。
メイド達はみんな泣いていた。
「聖女様、ありがとうございました。どうかお元気で。大好きでしたわ。」
1番の仲良しだったメイドのマリー。私も大好きだった。
「マリー、私も大好き。マリーがいてくれたから、私は元気でいれたの。今までありがとう。お世話になりました。」
「……リーナ。貴女の護衛になれて、私は幸せでした。私の剣はこれからもずっと貴女だけのもの。リーナと過ごした日々は、私はずっと忘れない。」
「カーティス、いつも守ってくれてありがとう。私も貴方を忘れないよ。幸せになってね。さようなら。」
私は強い光に包まれた……
気付くと、日本の暑い夏に戻っていた。穴に落ちたかと思ったら、転びそうになっていただけだった。
何事も無かったかのように、私は家に帰った。
母の作った夕飯が美味しくて、涙が溢れてきた。
みんなとの別れは寂しいが、帰りたくて今まで頑張っていた私はとても嬉しかった。
そんな時に偶然私は、殿下と側近達の会話を聞いてしまった。
「殿下!本当にリーナを帰してしまっていいのです?リーナは貴族や国民にとても人気がありますし、殿下もリーナが好きなのでしょう?残ってもらって、妃になってもらえばいいじゃないですか?皆、それを望んでいますよ。」
次期宰相で、殿下の最側近のアレンの声だとすぐに分かった。
……何を言ってるの?
「自分もそう思います。沢山の騎士や国民を助け、心優しくて努力家のリーナは、国母に相応しい。帰してはなりません。何より、殿下は愛する人がいなくなることに耐えられるのですか?」
これは殿下の護衛騎士をしている、次期騎士団長のブラッドの声だ。
「殿下、みんなリーナが大好きなのです。別れたくないのですよ。殿下が正直に望めばいい。帰る術が無くなったと言えば、リーナは諦めるでしょう。」
次期魔術師団長のリアムの声もする。
聞いていて震えてきた。私帰れないの?目の前が真っ暗になる。
私の隣で、一緒に殿下達の会話を聞いてしまった、私の護衛騎士のカーティスは、私が顔色を悪くしているのを見て、黙って私の手を引いてその場から離してくれた。
みんな親友とか仲間だと思っていた。結界を張る旅を一緒にしてきて、辛い時に沢山助けてくれたし、心から信用していたのに。それなのに約束を破るつもりなの?
それ以前に私はまだ高校生。勉強ばっかりで人生をそんなに楽しんでないのに、この年で結婚とか有り得ない!
裏切られたような気がして、悲しくて涙が流れていた。
「……リーナ?大丈夫ですか?」
普段は無口なカーティスが声を掛けてくれた。
「私、全て終わったら元の世界に帰してもらうって約束の為に今まで頑張って来たの。だから……、裏切られたような気がして。」
「私はリーナが無事に帰るまで、命をかけて貴女を守ります。……だから諦めないで。それに陛下は、貴女の約束をきっと守ってくれるはずです。」
普段、無口な人の言葉は、なぜか説得力があった。
その日から殿下と側近達とは距離を取った。食事も面会も茶会もすべて断るようにした。
殿下からは何度もお誘いを受けたが、全部拒否して生活した。
誰とも交流する気にもなれず、気分が悪いということにして、部屋から出るのをやめた。
そして、満月の夜。
私は国王陛下の計らいでこれから帰れることになる。
神殿での帰還の儀式には、陛下に頼んで最低限の人だけにきてもらうことにした。
お世話になった自分のメイド達と、護衛騎士のカーティス、そして帰還の儀式を行う神官のみ。
国王陛下は何か言いたそうにしていたが、別れが寂しくなるからと言うと、それを聞き入れてくれた。
ここに来た時の制服に着替えて旅立つ私。
メイド達はみんな泣いていた。
「聖女様、ありがとうございました。どうかお元気で。大好きでしたわ。」
1番の仲良しだったメイドのマリー。私も大好きだった。
「マリー、私も大好き。マリーがいてくれたから、私は元気でいれたの。今までありがとう。お世話になりました。」
「……リーナ。貴女の護衛になれて、私は幸せでした。私の剣はこれからもずっと貴女だけのもの。リーナと過ごした日々は、私はずっと忘れない。」
「カーティス、いつも守ってくれてありがとう。私も貴方を忘れないよ。幸せになってね。さようなら。」
私は強い光に包まれた……
気付くと、日本の暑い夏に戻っていた。穴に落ちたかと思ったら、転びそうになっていただけだった。
何事も無かったかのように、私は家に帰った。
母の作った夕飯が美味しくて、涙が溢れてきた。
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