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22 閑話 テッド
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リリーとトムが出て行ってしまった後、テッドとドリスの間には重苦しい空気が漂っていた。
そして、テッドはマリアが村から居なくなってしまったことを、先程トムから言われるまで知らなかった。
自分はどうして今まで気付かなかったんだろう……
結婚話がなくなったら、面白おかしく噂されたり、悪く言われたりするんだから、今までと同じように村で生活が出来るはずがない。
マリアはそれで村を去ってしまったのか。
あんな別れ方をしてしまい、ずっと心に引っかかっていたが、幼馴染でもあるマリアには本当に悪いことをしてしまった……
マリアの家族が怒るのは当然だ。
テッドは今更になって、マリアにした仕打ちを反省していた。
しかしそれよりも、今は目の前にいる不機嫌な恋人のことを何とかしなければならない。
「……ドーリィー。せっかく来てくれたのに、嫌な思いをさせて悪かったな」
力の抜けた弱々しい声で謝罪するテッドを、ドリスは冷めた目で見ていた。
ドリスはテッドの実家が不便な田舎だと聞いてはいたが、自然の美しい別荘地のような場所を想像していた。
だが実際に来てみると想像以上に不便なド田舎で、地味でボロくて汚らしい小さな家と、山と畑と家畜しかいなくて心の底からガッカリしてしまう。
更に長い時間を歩かされたことで、今日のために買った可愛いワンピースは汗だくになり、気合いを入れてきたバッチリメイクは崩れてしまっていた。
やっとの思いで着いたテッドの実家は、王都育ちのドリスから見たらただの掘っ建て小屋でしかなくて、こんな家に泊まるのかと、ドリスは胸の中でモヤモヤしていた。
それでも、将来有望な騎士であるテッドに嫌われたくないドリスは、テッドの弟と妹に好かれようと精一杯の笑顔を向けた。
それなのに……
可愛い私がここまでしているのに、テッドの弟も妹も何なのよ!
どうせテッドは王都で騎士としてずっと働いていくんだから、ここに住むことはないわよね。
結婚しても私はここに来ないし、弟と妹とも関わらないようにしよう。帰省もテッドだけにしてもらえばいいわ。没交渉してやるんだから!
ドリスはテッドと弟に怒鳴ってやりたいくらいイラついていたが、今は我慢だと自分自身に言い聞かせていた。
「テッドの家族は、あの天パの元恋人を気に入っていたみたいね。
私なりに、テッドの家族と仲良くなりたいと思ってここまで来たのに残念だわ……
でも私はテッドを愛しているから、貴方の家族に受け入れてもらえるように頑張るわね」
ドリスは上目遣いと目を潤ませることが大得意だった。それに、健気な言葉を口にしておけば大抵の男は自分に夢中になることを知っている。
「ドーリィー、私も愛しているよ。
君の気持ちはいつか私の家族にも伝わるから大丈夫だ」
テッドは、健気に振る舞うドリスの本性を見抜けなかった。
しかし、計算高いドリスの思い通りにはならない。
畑仕事から戻ってきたテッドの両親は、ドリスとは最低限の挨拶を交わした後、テッドと大事な話がしたいからと言って、三人で外へ行ってしまったのだ。
小さくてボロいテッドの家は、家族が住む最低限の造りだったので、応接室や客間のような部屋はなかった。テッドと両親は家族だけで大切な話をするためにわざわざ外に出たらしい。
一人取り残されたドリスは、最悪な気分になるのであった。
そして、両親と久しぶりに話をすることになったテッドの方は……
「王都に行ったマリアから、お前に好きな人が出来たから別れることになったという手紙が届いたとマリアの両親から言われた時、お前に限ってそんなことはないと思っていた。
だが、新しい恋人を連れて帰ってきたところを見ると、それは本当だったようだな……」
心底ガッカリしたような目で自分を見つめる父と、軽蔑した眼差しを向ける母。
「テッド。このバカ息子が! 手紙も寄越さないでいきなり帰ってきたのかい?
マリアちゃんはお前に会いに王都に行ってから、一度もここに戻っていないんだよ。
結婚の約束をしたお前に裏切られて、今更ここに戻れないと思ったんだろうね。お前は何てことをしてくれたんだ?
悪いが、今の私たちはお前の新しい恋人を温かく迎えられるほど、寛容な心は持てないよ。
今日はもう暗いから泊めてやるが、明日、朝一番で帰ってくれるかい?」
普段は優しい母が、自分にこんな言葉を投げかけてくるとは思っていなかったので、テッドはショックを受けてしまう。
だが、それよりも気になったことは……
「マリアが王都からずっと戻ってきていないって本当なのか?
マリアは今、どこにいるんだ?
……はっ! マリアの家がなくなって新しい家が建っていたが、何かあったのか?」
自分から捨てておきながら、居なくなったマリアを心配して取り乱すテッド。両親は、その様子を呆れたような目で見ている。
「王都の公爵家で働いているらしいぞ。
仕送りを沢山してくれるから、生活にゆとりが出来たって噂だ……」
「は? 公爵家だって?」
王都に貴族は沢山いることは知っていたが、その中で公爵家と言ったら片手で数えるくらいしかない。
テッドは、そんな凄い所であのマリアが働いているなんて信じられなかった。
「マリアちゃんは王都で公爵令嬢を助けたらしいよ。
それで公爵家からお礼を持った使者がやって来たんだ。大きくて豪華な馬車に乗って来てねぇ、村中がびっくりしたんだよ。
でもマリアちゃんの両親は、公爵家で雇ってもらえるだけで有難いとか言って、お礼を受け取らなかったんだ。
こんなボロい家に高価な物があったら、泥棒に入られるからいらないとか言ってね……
そしたら後日、その話を聞いた公爵夫人から新しい家を贈りたいとか言われたらしくて、建材を持った大工などの職人達がやって来てね……、気付いたらあのお洒落な家が出来上がっていたんだよ。
マリアちゃんは大したもんだ! 今更だけど、こんなバカ息子と別れて良かったんだよ……」
「……っ」
テッドは何も言い返せなかった。
◇◇
その後、機嫌の悪いドリスを連れて何とか王都に戻って来たテッドは、騎士団の仕事に熱心に取り組んでいた。
早く出世しなくては……
家族を失望させてしまって、このままではいけない。
最近はドーリィーにお金をかけ過ぎて、仕送りすら出来ていなかった。家族を楽にさせたくて騎士になったのに、私は何をしているんだ……
そんな焦りが良くなかったのかもしれない。
テッドは騎士団の遠征で辺境の魔物討伐に参加した時に、大怪我を負ってしまうのであった。
そして、テッドはマリアが村から居なくなってしまったことを、先程トムから言われるまで知らなかった。
自分はどうして今まで気付かなかったんだろう……
結婚話がなくなったら、面白おかしく噂されたり、悪く言われたりするんだから、今までと同じように村で生活が出来るはずがない。
マリアはそれで村を去ってしまったのか。
あんな別れ方をしてしまい、ずっと心に引っかかっていたが、幼馴染でもあるマリアには本当に悪いことをしてしまった……
マリアの家族が怒るのは当然だ。
テッドは今更になって、マリアにした仕打ちを反省していた。
しかしそれよりも、今は目の前にいる不機嫌な恋人のことを何とかしなければならない。
「……ドーリィー。せっかく来てくれたのに、嫌な思いをさせて悪かったな」
力の抜けた弱々しい声で謝罪するテッドを、ドリスは冷めた目で見ていた。
ドリスはテッドの実家が不便な田舎だと聞いてはいたが、自然の美しい別荘地のような場所を想像していた。
だが実際に来てみると想像以上に不便なド田舎で、地味でボロくて汚らしい小さな家と、山と畑と家畜しかいなくて心の底からガッカリしてしまう。
更に長い時間を歩かされたことで、今日のために買った可愛いワンピースは汗だくになり、気合いを入れてきたバッチリメイクは崩れてしまっていた。
やっとの思いで着いたテッドの実家は、王都育ちのドリスから見たらただの掘っ建て小屋でしかなくて、こんな家に泊まるのかと、ドリスは胸の中でモヤモヤしていた。
それでも、将来有望な騎士であるテッドに嫌われたくないドリスは、テッドの弟と妹に好かれようと精一杯の笑顔を向けた。
それなのに……
可愛い私がここまでしているのに、テッドの弟も妹も何なのよ!
どうせテッドは王都で騎士としてずっと働いていくんだから、ここに住むことはないわよね。
結婚しても私はここに来ないし、弟と妹とも関わらないようにしよう。帰省もテッドだけにしてもらえばいいわ。没交渉してやるんだから!
ドリスはテッドと弟に怒鳴ってやりたいくらいイラついていたが、今は我慢だと自分自身に言い聞かせていた。
「テッドの家族は、あの天パの元恋人を気に入っていたみたいね。
私なりに、テッドの家族と仲良くなりたいと思ってここまで来たのに残念だわ……
でも私はテッドを愛しているから、貴方の家族に受け入れてもらえるように頑張るわね」
ドリスは上目遣いと目を潤ませることが大得意だった。それに、健気な言葉を口にしておけば大抵の男は自分に夢中になることを知っている。
「ドーリィー、私も愛しているよ。
君の気持ちはいつか私の家族にも伝わるから大丈夫だ」
テッドは、健気に振る舞うドリスの本性を見抜けなかった。
しかし、計算高いドリスの思い通りにはならない。
畑仕事から戻ってきたテッドの両親は、ドリスとは最低限の挨拶を交わした後、テッドと大事な話がしたいからと言って、三人で外へ行ってしまったのだ。
小さくてボロいテッドの家は、家族が住む最低限の造りだったので、応接室や客間のような部屋はなかった。テッドと両親は家族だけで大切な話をするためにわざわざ外に出たらしい。
一人取り残されたドリスは、最悪な気分になるのであった。
そして、両親と久しぶりに話をすることになったテッドの方は……
「王都に行ったマリアから、お前に好きな人が出来たから別れることになったという手紙が届いたとマリアの両親から言われた時、お前に限ってそんなことはないと思っていた。
だが、新しい恋人を連れて帰ってきたところを見ると、それは本当だったようだな……」
心底ガッカリしたような目で自分を見つめる父と、軽蔑した眼差しを向ける母。
「テッド。このバカ息子が! 手紙も寄越さないでいきなり帰ってきたのかい?
マリアちゃんはお前に会いに王都に行ってから、一度もここに戻っていないんだよ。
結婚の約束をしたお前に裏切られて、今更ここに戻れないと思ったんだろうね。お前は何てことをしてくれたんだ?
悪いが、今の私たちはお前の新しい恋人を温かく迎えられるほど、寛容な心は持てないよ。
今日はもう暗いから泊めてやるが、明日、朝一番で帰ってくれるかい?」
普段は優しい母が、自分にこんな言葉を投げかけてくるとは思っていなかったので、テッドはショックを受けてしまう。
だが、それよりも気になったことは……
「マリアが王都からずっと戻ってきていないって本当なのか?
マリアは今、どこにいるんだ?
……はっ! マリアの家がなくなって新しい家が建っていたが、何かあったのか?」
自分から捨てておきながら、居なくなったマリアを心配して取り乱すテッド。両親は、その様子を呆れたような目で見ている。
「王都の公爵家で働いているらしいぞ。
仕送りを沢山してくれるから、生活にゆとりが出来たって噂だ……」
「は? 公爵家だって?」
王都に貴族は沢山いることは知っていたが、その中で公爵家と言ったら片手で数えるくらいしかない。
テッドは、そんな凄い所であのマリアが働いているなんて信じられなかった。
「マリアちゃんは王都で公爵令嬢を助けたらしいよ。
それで公爵家からお礼を持った使者がやって来たんだ。大きくて豪華な馬車に乗って来てねぇ、村中がびっくりしたんだよ。
でもマリアちゃんの両親は、公爵家で雇ってもらえるだけで有難いとか言って、お礼を受け取らなかったんだ。
こんなボロい家に高価な物があったら、泥棒に入られるからいらないとか言ってね……
そしたら後日、その話を聞いた公爵夫人から新しい家を贈りたいとか言われたらしくて、建材を持った大工などの職人達がやって来てね……、気付いたらあのお洒落な家が出来上がっていたんだよ。
マリアちゃんは大したもんだ! 今更だけど、こんなバカ息子と別れて良かったんだよ……」
「……っ」
テッドは何も言い返せなかった。
◇◇
その後、機嫌の悪いドリスを連れて何とか王都に戻って来たテッドは、騎士団の仕事に熱心に取り組んでいた。
早く出世しなくては……
家族を失望させてしまって、このままではいけない。
最近はドーリィーにお金をかけ過ぎて、仕送りすら出来ていなかった。家族を楽にさせたくて騎士になったのに、私は何をしているんだ……
そんな焦りが良くなかったのかもしれない。
テッドは騎士団の遠征で辺境の魔物討伐に参加した時に、大怪我を負ってしまうのであった。
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