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03 破落戸とお嬢様
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テッドの裏切を知ったマリアは、王都の街を泣きながら歩き続けていた。
「……グズッ、……テッドのバカ」
テッドには内緒にしていたのだが、田舎の実家で農業の手伝いをするよりは、王都で働いた方がいいだろうと両親とマリアで話をしていた。
どうせテッドと結婚して王都に引っ越す予定なのだから、今から王都で仕事をして結婚資金を貯めておいた方がいいだろうと。
そんなこともあって、テッドに会うついでに自分の職探しをするつもりでいたマリアは、数日泊まる予定で安宿を決め、荷物はそこに預けてきたのだが……
「こんなんで王都で職探しなんて出来ないわよ。
ううっ……、テッドのバカヤロー!」
その時、道ゆく人達からの冷たい視線に気付いてしまった。
泣いてブツブツ文句を言いながら歩いている田舎者のマリアは、王都の人達からは不審者に見えたらしい。
ハッとしたマリアは、人の多い大通りの道から人の少ない細い道へと入る。少し歩くと小さな公園のような場所がありベンチを見つけた。歩き疲れたマリアは、そのベンチに座って休むことにした。
ベンチに座っていると、建物の間から綺麗な夕焼けが見えた。
すると、テッドと二人で夕焼けを見ていたあの頃を思い出してしまう。田舎で何もない村だけど、夕焼けや星空だけは綺麗だった。二人で手を繋いで、綺麗だねって話をしながら歩いたあの田舎道……
あの頃はずっと二人でいれるものだと思っていた。
しかし、もうテッドと二人で夕焼けを見ることはないだろう。今頃、アイツはあの可愛い子と二人でいるのだろうから……
悔しくて悲しくて、またポロポロと涙が流れてくる。
その時……
「離してくださいませ! 誰か助けて!」
聞いたことのないようなお上品な声が聞こえてくる。声の方を見ると、大金持ちのお嬢様らしき女性がガラの悪そうな男二人に手を掴まれていた。
「お嬢さん、こんな所で一人でフラフラしていたら危ないから、俺らが一緒にいてやるよ」
夕焼けを眺めながら感傷に浸っていたのに雰囲気をぶち壊しやがって……と、マリアは心の中で舌打ちをしていた。
「嫌よ! 話して下さいまし」
お嬢様はどう見ても嫌がっていて、男たちはしつこい破落戸にしか見えなかった。
「いいから、俺らと遊ぼうぜ!」
周りにも人は何人かいるが、破落戸二人が怖そうだからか、誰も助けにいけないようだった。
その時、マリアの怒りは頂点に達していた。
お嬢様に付き纏う自己中な身の程知らずの破落戸も、お嬢様が助けを求めているのに、近くて見て見ぬ振りをする弱っちい男達も、私の一途な思いを踏みにじって裏切ったテッドも……、男なんてみんなクソ野郎だと思ってしまったのだ。
気がつくとマリアは、つかつかとお嬢様と破落戸たちの所に向かっていた。
「ちょっと! お嬢様が嫌がっているじゃないの。
離してあげなさいよ」
「何だ、この天パの女?」
「お前みたいな芋くさい女に用はねぇよ!
あっち行ってろ」
この天パをここでもバカにされるなんてと、マリアが更にイラッとした瞬間だった。
私だって好きでこんな髪に生まれたわけじゃないのに。
本当は私だってテッドの新しい恋人みたいに、サラサラの髪の可愛い人になりたかった……
アンタたち破落戸に私の気持ちが分かってたまるかと、激しい怒りが込み上げてきたマリアは我慢の限界に達していた。
「アンタ達、煩いわよ!」
その瞬間、マリアはお嬢様の腕を掴んでいた破落戸Aの股間に蹴りを入れていた。
普段、農家の手伝いをしているマリアの足腰はとても強く鍛えられており、そんな脚から力強く蹴られた破落戸Aは涙目になって苦しんでいる。
「……うっ。……っ!」
「おい! 大丈夫か?」
股間の痛みに苦しむ破落戸Aに、破落戸Bの意識が向いている。その間に、マリアはお嬢様の手を引いて逃げ出すことにした。
「お嬢様、今のうちに逃げますよ!」
「……ええ」
「……グズッ、……テッドのバカ」
テッドには内緒にしていたのだが、田舎の実家で農業の手伝いをするよりは、王都で働いた方がいいだろうと両親とマリアで話をしていた。
どうせテッドと結婚して王都に引っ越す予定なのだから、今から王都で仕事をして結婚資金を貯めておいた方がいいだろうと。
そんなこともあって、テッドに会うついでに自分の職探しをするつもりでいたマリアは、数日泊まる予定で安宿を決め、荷物はそこに預けてきたのだが……
「こんなんで王都で職探しなんて出来ないわよ。
ううっ……、テッドのバカヤロー!」
その時、道ゆく人達からの冷たい視線に気付いてしまった。
泣いてブツブツ文句を言いながら歩いている田舎者のマリアは、王都の人達からは不審者に見えたらしい。
ハッとしたマリアは、人の多い大通りの道から人の少ない細い道へと入る。少し歩くと小さな公園のような場所がありベンチを見つけた。歩き疲れたマリアは、そのベンチに座って休むことにした。
ベンチに座っていると、建物の間から綺麗な夕焼けが見えた。
すると、テッドと二人で夕焼けを見ていたあの頃を思い出してしまう。田舎で何もない村だけど、夕焼けや星空だけは綺麗だった。二人で手を繋いで、綺麗だねって話をしながら歩いたあの田舎道……
あの頃はずっと二人でいれるものだと思っていた。
しかし、もうテッドと二人で夕焼けを見ることはないだろう。今頃、アイツはあの可愛い子と二人でいるのだろうから……
悔しくて悲しくて、またポロポロと涙が流れてくる。
その時……
「離してくださいませ! 誰か助けて!」
聞いたことのないようなお上品な声が聞こえてくる。声の方を見ると、大金持ちのお嬢様らしき女性がガラの悪そうな男二人に手を掴まれていた。
「お嬢さん、こんな所で一人でフラフラしていたら危ないから、俺らが一緒にいてやるよ」
夕焼けを眺めながら感傷に浸っていたのに雰囲気をぶち壊しやがって……と、マリアは心の中で舌打ちをしていた。
「嫌よ! 話して下さいまし」
お嬢様はどう見ても嫌がっていて、男たちはしつこい破落戸にしか見えなかった。
「いいから、俺らと遊ぼうぜ!」
周りにも人は何人かいるが、破落戸二人が怖そうだからか、誰も助けにいけないようだった。
その時、マリアの怒りは頂点に達していた。
お嬢様に付き纏う自己中な身の程知らずの破落戸も、お嬢様が助けを求めているのに、近くて見て見ぬ振りをする弱っちい男達も、私の一途な思いを踏みにじって裏切ったテッドも……、男なんてみんなクソ野郎だと思ってしまったのだ。
気がつくとマリアは、つかつかとお嬢様と破落戸たちの所に向かっていた。
「ちょっと! お嬢様が嫌がっているじゃないの。
離してあげなさいよ」
「何だ、この天パの女?」
「お前みたいな芋くさい女に用はねぇよ!
あっち行ってろ」
この天パをここでもバカにされるなんてと、マリアが更にイラッとした瞬間だった。
私だって好きでこんな髪に生まれたわけじゃないのに。
本当は私だってテッドの新しい恋人みたいに、サラサラの髪の可愛い人になりたかった……
アンタたち破落戸に私の気持ちが分かってたまるかと、激しい怒りが込み上げてきたマリアは我慢の限界に達していた。
「アンタ達、煩いわよ!」
その瞬間、マリアはお嬢様の腕を掴んでいた破落戸Aの股間に蹴りを入れていた。
普段、農家の手伝いをしているマリアの足腰はとても強く鍛えられており、そんな脚から力強く蹴られた破落戸Aは涙目になって苦しんでいる。
「……うっ。……っ!」
「おい! 大丈夫か?」
股間の痛みに苦しむ破落戸Aに、破落戸Bの意識が向いている。その間に、マリアはお嬢様の手を引いて逃げ出すことにした。
「お嬢様、今のうちに逃げますよ!」
「……ええ」
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