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新しい生活

妃殿下と護衛騎士

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 王妃殿下はどんなに忙しくても、ランチの時間とお茶を飲む休憩時間は、必ず取れるように配慮してくれる。

 王宮の外に沢山お店があるので、そこに食べに行ったり、テイクアウトしたり、王宮の中にあるレストランを利用したりと、割と自由なお昼休みを過ごせているので、私は今の職場環境にはとにかく満足しているのだ。

 ただ、王宮のレストランで食べると相席を求められて、知らない騎士や文官達に話しかけられることが多く、ゆっくり食事が出来ない。
 知らない男性と会話するのは苦手なのよね。

 だから私は天気が悪くない限りは、外の店でテイクアウトした物を、王宮の裏庭や庭園の人の少ない場所で読書でもしながら、のんびりと食事するのが好きなのだ。

 今日もサンドイッチをテイクアウトして、人の少ない裏庭のガゼボの椅子に座って食事をしている。


 食事の後、まだ時間が残っていたので、夢中になって読書をしていた私に急に話しかけてくる人が…。


「ご機嫌よう。」

 
 人は少ないが、全く人がいない訳でもないので、人が歩いていても気にせずに読書をしていた私は、少し驚いてしまった。

 声のする方を振り向きそのお方を見て、慌てて立ち上がり、カーテシーをする。
 そこにいたのは、護衛騎士を1人引き連れた王太子妃殿下だったからだ。

「王太子妃殿下、ご機嫌よう。」

 王太子殿下の妃であるこのお方とまともに話すのは初めてだ。遠目でしか見たことがない方が、何の用があって私に話しかけて来たのだろう?

「そこまで堅苦しくしないで。
 休憩中にごめんなさいね。」

 小柄で儚げな雰囲気の妃殿下。
 ……同性の私から見ても、守ってあげたくなるような、可愛らしい雰囲気の方だわ。

「王妃殿下の侍女をしているシャノン様は貴女かしら?」

「はい。私でございます。」

「まあ、やはりそうなのね…。噂通りの美しさだわ。
 城で働く文官や騎士達が、貴女に夢中になる理由が分かったわ。」

 何を言いたいのだろう?
 でも、妃殿下の表情を見る限り嫌味とかを言っているようには見えない。
 なぜか目をキラキラさせて私を見ている。

「とんでもございませんわ。
 私はただの未亡人でございます。私ではない、どなたか別の方のことだと思われますわ。」

「その若さで未亡人だなんて、なんてこと……。
 ああ、貴女とは沢山お話しをしてみたいわ。後日、私のお茶会に来て下さらない?」

 とても行きたくないわね。
 でも、私の立場で断れない……

「妃殿下からそのようなお声を掛けて頂き、大変光栄でございますわ。」

「嬉しいわ!!
 後でシャノン様宛に招待状を出しますわね。」

 そんなキラキラした目で見ないで欲しいわ。

「ありがとうございます。
 ところで、私のような者に〝様〟は付けないで下さいませ。」

「では、貴女の名前で呼んでもいいかしら?」

「勿論でございます。アメリアとお呼び下さいませ。」

「分かったわ。アメリア、よろしくね。」

 フワッと微笑んた妃殿下は、可憐な花のようだった…。



 
 一緒にいた護衛騎士が、妃殿下の情夫?
 あまり顔を見れなかったけど、妃殿下より年上のキリッとした美丈夫だった。


 しかし…、お茶会にどうして私が呼ばれたのかしら?

 私みたいなパッとしない未亡人ではなくて、公爵家とかの夫人や令嬢を誘えばいいのに。

 行きたくないわね。




 
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