まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

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未亡人の私は

義弟

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 私は、喪が明けたらこの邸を出るつもりであることと、義弟のアドルフ様に爵位を継承する手続きをとって頂きたいことを話したのだが、普段は無表情のアドルフ様は険しい表情になってしまった。

 もしかして…!旦那様が亡くなったばかりなのに、もう邸を出て行く話をしている私は、薄情だと思われてしまったかしら?

「アドルフ様…、申し訳ありません。旦那様が亡くなったばかりなのに、このような話をしてしまい気分を悪くされましたよね。
 爵位を継承するにあたって色々と引き継ぎがありますので、早めにお話をした方がよろしいかと考えたのですが、配慮が足りず申し訳ありませんでした。
 この話はもう少し落ち着いてからに致しますわ。」

「違います!
 私はそのように考えたのではなく、貴女がこの邸を出て行くつもりであることを知り、ショックを受けただけなのです。」

「…え?」

「兄上と義姉上はとても仲の良い夫婦でしたよね?
 その…、もしかしたら兄上との子がいる可能性もあるのに、出て行くだなんて…。そんなことは私は望みません。
 今後の伯爵家のことや、私のことを気遣ってそのように考えられたのかもしれませんが、私は貴女を追い出すようなことはしたくないのです。
 兄上が亡くなったばかりで、1番お辛いのは貴女のはずなのに、1人でそこまで先のことまで考えていたなんて…。
 私達は家族なのですから、私にも頼って下さい。」

 今までこの方とここまで話したことはなかったから知らなかったけど、真面目で優しい方のようだ。

 妊娠の可能性も考えてくれていたのね…。絶対にないのだけれど。

「そこまで考えて下さっていたのですね…。ありがとうございます。
 もし新しい命が宿っているような場合は、その時に考えていきたいと思いますわ。
 しかし、爵位はアドルフ様に引き継いで頂きたいという考えは変わりません。どうかよろしくお願い致します。」

「貴女がそこまでおっしゃるなら…。
 ただ…、しばらくその話を両親に話すのはやめた方がいいかと思います。話す時が来たら、私も同席するようにしたいのですが、よろしいですか?」

 大事な話なのだから、同席してくれた方がいいだろう…。

「そうですわね。もう少し落ち着いてからお話しするようにします。話す時は、アドルフ様が同席出来る日にしましょう。」


 アドルフ様は、時間がある時は邸に来て、仕事の引き継ぎを受けてくれるようになる。爵位継承するのに何の問題もなさそうだ。



 気がつくと、旦那様が亡くなって半年が経っていた。
 ここまで経てば、旦那様の子は妊娠していないと周りは分かるだろう。アドルフ様には、邸を出る方向で考えていると改めて伝えておこうかしら。




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