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未亡人になるまで

学園生活とデビュタント

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「シャノン嬢、君がこの学年の首席だと聞いているよ。
 そこでお願いなのだが、生徒会に入ってくれないか?」

 学園に入学してから3ヶ月ほど経つころ、3年生で生徒会長であるアンブリッジ公爵令息が生徒会へのお誘いに来てくれる。

「私には不相応かと思いますわ。他に相応しい方は沢山いらっしゃいます。」

「いや、謙虚な君にぜひお願いしたいのだ。
 今日の放課後は暇か?」

「今日でしょうか?ちょっと……」

「では明日の放課後に見学に来て欲しい。授業が終わったら迎えに来るから待っていてくれ。
 じゃあ、また明日!」

「…えっ?生徒会長?」

 行ってしまった…。強引なお方だわ。

「リア、令嬢で生徒会の勧誘を受けるなんて凄いわよ。」

「そうですわよ!シャノン様、引き受けて下さいませ!」

「私達は、アメリア様を応援しますわ!」

 同じクラスの令嬢達とは、一緒に勉強したり、ダンスの練習をしているうちに順調に仲良くなることが出来た。
 いつ婚約解消か破棄をするのか分からない身の上なのだ。いざという時のため、友人達には味方になってもらえるように、敵は作らず、穏やかな人間関係を築くように心掛けている。

 結局、友人達や先生、生徒会の先輩方に背中を押されて、生徒会に入ることになってしまった。
 3年生の先輩方は、私達新しいメンバーに仕事を教えつつ、引き継ぎを終えたら引退するらしい。必然的に3年生の先輩方と一緒に過ごすことが多くなり、気付くと仲良くなってしまっていた。

 生徒会に所属している方は、高位貴族の子息や令嬢が多く、仲良くしておいた方が良さそうなメンバーなのだ。打算的かもしれないが、後輩の1人として仲良くさせてもらっている。


 学園生活に慣れて来た頃だった。今年16歳になる私達1年生はデビュタントを間近に控えていた。

「リア。デビュタントではきっとあの男に再会することになるだろう。大丈夫か?」

「お父様、大丈夫ですわ。会いたくはありませんが、デビューしてしまったら、嫌でも会う機会はあるのでしょう?少しは慣れるようにしたいと思います。」


 そしてデビュタントの日を迎える。
 お母様の気合いの入れ方が凄まじく、数日前から念入りに髪やお肌のお手入れをされ、デビュタント用の白いドレスは、他国から布地を取り寄せる程だった。

「リア、綺麗よ。お父様もビックリすると思うわ。」

 お金がかかっているのだから、ある程度は綺麗にならないと…。

 メイドに呼ばれてやって来たお父様は、私の瞳の色と同じアメジストのネックレスを着けてくれる。
 
「これは、姉上の形見のネックレスだ。リアに良く似合っているよ。」

 確かに、アメジストの紫が濃くて鮮やかで綺麗なネックレスだ。大切に保管されていたのが分かる。

「こんな大切な物を私が着けていいのですか?」

「姉上も喜ぶだろう。これからはリアが使いなさい。」

「ありがとうございます。」



 この国のデビュタントは、身内がパートナーをすると決まっているらしく、お兄様が私のパートナーをしてくれることになっている。
 お兄様とは仲良しの兄妹なので、ちょうど良かった。

「リア。デビュタントの夜会は、人がとにかく多いから、私の手を離さないようにしろ。」

「分かってますわ。」


 喜ばしいはずのデビュタントで、予想通りの人と再会することになる。


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