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アフターストーリー
第5話ー④ 実来の夢
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「し、真一君!?」
憧れの真一の登場に、目を丸くする実来。
「本当に実来ちゃんは、真一君のことが好きなんですね!」
そう言って笑いながら教室に入って来る凛子。
「わざわざご挨拶にいらしてくださったのですか。ありがとうございます」
織姫はそう言って頭を下げた。
「織姫ちゃんに協力できたんだと思うと嬉しくて、その思いをお伝えに参上したわけなのです!」
結衣は腰に手を当てて、得意満面にそう言った。
「結衣さん……」
「そうそう! それに、真一君を見た実来ちゃんがどんな反応をするのかって言うのも、楽しみだったので☆」
凛子が口元に手を添えてそう言うと、
「相変わらず良い性格してるよな、お前は」
そう言ってあきれ顔をするしおん。
「え? 『相変わらず可愛い性格してるよな、お前は?』まったく、しおん君は。どれだけ私のことが大好きなんですかぁ」
「なっ!? そんなこと言ってねえし!!」
そして凛子としおんはお互いの顔をじっと睨む。
「だから夫婦漫才は――」
「夫婦じゃないっ!!」
声を合わせてしおんと凛子は真一にそう返す。
「はいはい」
真一はそう言って肩を震わせながら、楽しそうに笑っていた。
「相変わらず、仲がよろしいみたいで安心しました」
そう言ってクスクス笑う織姫。
そしてその様子をカタカタと震えながら、実来は見つめていた。
「大丈夫ですか、実来?」
「え、は、はい!」
「なぜ、敬語?」
きょとんとした顔で織姫が実来に尋ねると、
「いえ。真一君が、いらっしゃるので」
実来は硬直した顔のままそう言った。
「だ、そうだぞ?」
しおんが面白そうに真一へそう言うと、真一は「え!?」と少し狼狽えた。そして、
「えっと――今日は頑張って実来」
真一は恥ずかしそうな顔で実来へそう言った。
そして膝から崩れ落ちる実来。
「実来!? 大丈夫ですか!? 貧血ですか!? だ、誰か鉄分補給のものを――」
「まあまあ織姫ちゃん、落ち着いて。貧血ってわけじゃないですよ。ねえ☆」
凛子がそう言ってクスクスと笑うと、
「あははは」
実来はそう笑って、頭を掻いた。
ここにいる人達はみんな、自分の夢を叶えて先に歩いている人たちなんだ。今回は織姫のおかげで私はここに居ることを許されてる。
私はこの先もここにいたい。だから、今日のプロジェクト発表会はその一歩になるようにする――
実来はそう思ったのだった。
すると、
「大丈夫?」
真一は心配そうな顔でそう言って、実来に手を差し伸べた。
「あ、ありがとう、ございます」
そして頬を赤くしながら、その手を取る実来。
それから立ち上がった実来は、
「私、皆さんに追いつけるように頑張ります。まだまだ私の夢は始まったばかりですけど……今の私を全てぶつけるので、目に焼き付けて行ってください!」
そう言って笑った。
「うん」
真一がそう言って微笑むと、そこにいる織姫たちも微笑んだのだった。
「そうだ、真一君」
「え、何?」
「手を差し伸べてもらったのは、これで2回目だったなあと思いまして」
実来がそう言うと、真一はきょとんとした顔をした。
「僕、前にそんなことしたかな?」
あはは、そうだよね。私の中だけの話だからね――
「直接ってことじゃないんです。真一君の歌が私の心を、人生を救ってくれたから。私の暗かった人生を明るく変えてくれたのは、真一君の歌だったんです」
辛かった時、あなたの歌が私の光になってくれたんだよ――
「いつも元気と希望をありがとうございます。これからは私も誰かのそういう存在になれるように頑張ります!!」
実来がそう言って微笑むと、
「――ううん。いつも元気をもらっているのは僕たちの方だから。僕もそういう音楽家でいられるように頑張る。だから、ありがとう」
真一も笑顔でそう返したのだった。
「おやおや、これはなかなかいい雰囲気ですなあ。ねえ、りんりん?」
「これはこれでウフフって感じですねえ☆」
結衣と凛子は実来たちの様子をニヤニヤと見つめていた。
「お前らはすぐそう言う事を――」
「しおん君は真一君が盗られそうで寂しいんですか? 小さいですね。それでも世界を目指しているのですか?」
「うっせえな! そうじゃねえって!!」
しおんと凛子が口喧嘩をしているのを見て、はっとした真一は、
「もう、何勝手なことを言ってるの!!」
そう言って顔を赤くして怒る。
「ほら、みろ~」
「しおん、うるさい!!」
「なんで俺だけ名指し!?」
そんなやり取りを笑いながら見つめる実来だった。
「じゃあ、そろそろ客席に行きましょう。実来ちゃんの邪魔になってしまいそうですからねえ」
「そんなことなかったです! あの、ありがとうございました!!」
実来はそう言って、深く頭を下げた。
それから結衣たちは、実来と織姫へ激励の言葉を伝えると、笑顔で教室を出て行った。
「織姫、みんなすごいなあ」
「ええ。でも、実来だって負けていません。すごいです。そしてここからもっとすごくなります」
「うんっ!!」
そしてプロジェクト発表会は、定刻通りに始まった。
「私たちが立ち上げるプロジェクト名、それは――『アルフェラッツ プロジェクト』です」
織姫から発表されたそのプロジェクト名にメディア関係者たちからは、大きな拍手が送られた。
「『アルフェラッツ』には『実を結ぶ美しき夢』と言う意味の星言葉があります。そんな美しき夢のプロジェクトの始まりに、今日はプロジェクトの先駆けとしてステージを用意いたしました」
織姫のその言葉の後、会場は真っ暗になり、ステージ後方にあるモニターにプロモーションムービーが流れた。
『First Show・・・』
最後にその言葉が映し出されると、画面は真っ暗になり、会場は再び暗闇に包まれた。
そして再び会場が明るくなると、ステージ後方モニターの真下に白色のワンピースを身にまとった無名の素人モデル――如月実来が登場した。
それからステージ中央に向かって、ゆっくりと歩き始める実来。
『誰だ、あのモデル』『あんな子、いたか?』
ざわざわと騒ぎ始める、メディア関係者たち。
素人が作った素人のステージ上のランウェイを歩く、素人のモデル。全てが素人でしかないその空間は魅了された――その一人の素人モデルによって。
桜色の髪に抜群のスタイル、そしてその圧倒的な存在感。誰もが目をそらすことができないほど、彼女のオーラは見るものすべてを虜にした。
今まで頑張ったことは無駄なんかじゃない。みんなが用意してくれたこの場所から、私の夢が始まっていくんだ――
それからランウェイでのウォーキングを終え、最後に客席の方を振り返った実来は、満面の笑みをして深く頭を下げる。
そして実来には大きな拍手と歓声が送られたのだった。
プロジェクト発表会は、そんな大歓声の中で無事に終了した。
憧れの真一の登場に、目を丸くする実来。
「本当に実来ちゃんは、真一君のことが好きなんですね!」
そう言って笑いながら教室に入って来る凛子。
「わざわざご挨拶にいらしてくださったのですか。ありがとうございます」
織姫はそう言って頭を下げた。
「織姫ちゃんに協力できたんだと思うと嬉しくて、その思いをお伝えに参上したわけなのです!」
結衣は腰に手を当てて、得意満面にそう言った。
「結衣さん……」
「そうそう! それに、真一君を見た実来ちゃんがどんな反応をするのかって言うのも、楽しみだったので☆」
凛子が口元に手を添えてそう言うと、
「相変わらず良い性格してるよな、お前は」
そう言ってあきれ顔をするしおん。
「え? 『相変わらず可愛い性格してるよな、お前は?』まったく、しおん君は。どれだけ私のことが大好きなんですかぁ」
「なっ!? そんなこと言ってねえし!!」
そして凛子としおんはお互いの顔をじっと睨む。
「だから夫婦漫才は――」
「夫婦じゃないっ!!」
声を合わせてしおんと凛子は真一にそう返す。
「はいはい」
真一はそう言って肩を震わせながら、楽しそうに笑っていた。
「相変わらず、仲がよろしいみたいで安心しました」
そう言ってクスクス笑う織姫。
そしてその様子をカタカタと震えながら、実来は見つめていた。
「大丈夫ですか、実来?」
「え、は、はい!」
「なぜ、敬語?」
きょとんとした顔で織姫が実来に尋ねると、
「いえ。真一君が、いらっしゃるので」
実来は硬直した顔のままそう言った。
「だ、そうだぞ?」
しおんが面白そうに真一へそう言うと、真一は「え!?」と少し狼狽えた。そして、
「えっと――今日は頑張って実来」
真一は恥ずかしそうな顔で実来へそう言った。
そして膝から崩れ落ちる実来。
「実来!? 大丈夫ですか!? 貧血ですか!? だ、誰か鉄分補給のものを――」
「まあまあ織姫ちゃん、落ち着いて。貧血ってわけじゃないですよ。ねえ☆」
凛子がそう言ってクスクスと笑うと、
「あははは」
実来はそう笑って、頭を掻いた。
ここにいる人達はみんな、自分の夢を叶えて先に歩いている人たちなんだ。今回は織姫のおかげで私はここに居ることを許されてる。
私はこの先もここにいたい。だから、今日のプロジェクト発表会はその一歩になるようにする――
実来はそう思ったのだった。
すると、
「大丈夫?」
真一は心配そうな顔でそう言って、実来に手を差し伸べた。
「あ、ありがとう、ございます」
そして頬を赤くしながら、その手を取る実来。
それから立ち上がった実来は、
「私、皆さんに追いつけるように頑張ります。まだまだ私の夢は始まったばかりですけど……今の私を全てぶつけるので、目に焼き付けて行ってください!」
そう言って笑った。
「うん」
真一がそう言って微笑むと、そこにいる織姫たちも微笑んだのだった。
「そうだ、真一君」
「え、何?」
「手を差し伸べてもらったのは、これで2回目だったなあと思いまして」
実来がそう言うと、真一はきょとんとした顔をした。
「僕、前にそんなことしたかな?」
あはは、そうだよね。私の中だけの話だからね――
「直接ってことじゃないんです。真一君の歌が私の心を、人生を救ってくれたから。私の暗かった人生を明るく変えてくれたのは、真一君の歌だったんです」
辛かった時、あなたの歌が私の光になってくれたんだよ――
「いつも元気と希望をありがとうございます。これからは私も誰かのそういう存在になれるように頑張ります!!」
実来がそう言って微笑むと、
「――ううん。いつも元気をもらっているのは僕たちの方だから。僕もそういう音楽家でいられるように頑張る。だから、ありがとう」
真一も笑顔でそう返したのだった。
「おやおや、これはなかなかいい雰囲気ですなあ。ねえ、りんりん?」
「これはこれでウフフって感じですねえ☆」
結衣と凛子は実来たちの様子をニヤニヤと見つめていた。
「お前らはすぐそう言う事を――」
「しおん君は真一君が盗られそうで寂しいんですか? 小さいですね。それでも世界を目指しているのですか?」
「うっせえな! そうじゃねえって!!」
しおんと凛子が口喧嘩をしているのを見て、はっとした真一は、
「もう、何勝手なことを言ってるの!!」
そう言って顔を赤くして怒る。
「ほら、みろ~」
「しおん、うるさい!!」
「なんで俺だけ名指し!?」
そんなやり取りを笑いながら見つめる実来だった。
「じゃあ、そろそろ客席に行きましょう。実来ちゃんの邪魔になってしまいそうですからねえ」
「そんなことなかったです! あの、ありがとうございました!!」
実来はそう言って、深く頭を下げた。
それから結衣たちは、実来と織姫へ激励の言葉を伝えると、笑顔で教室を出て行った。
「織姫、みんなすごいなあ」
「ええ。でも、実来だって負けていません。すごいです。そしてここからもっとすごくなります」
「うんっ!!」
そしてプロジェクト発表会は、定刻通りに始まった。
「私たちが立ち上げるプロジェクト名、それは――『アルフェラッツ プロジェクト』です」
織姫から発表されたそのプロジェクト名にメディア関係者たちからは、大きな拍手が送られた。
「『アルフェラッツ』には『実を結ぶ美しき夢』と言う意味の星言葉があります。そんな美しき夢のプロジェクトの始まりに、今日はプロジェクトの先駆けとしてステージを用意いたしました」
織姫のその言葉の後、会場は真っ暗になり、ステージ後方にあるモニターにプロモーションムービーが流れた。
『First Show・・・』
最後にその言葉が映し出されると、画面は真っ暗になり、会場は再び暗闇に包まれた。
そして再び会場が明るくなると、ステージ後方モニターの真下に白色のワンピースを身にまとった無名の素人モデル――如月実来が登場した。
それからステージ中央に向かって、ゆっくりと歩き始める実来。
『誰だ、あのモデル』『あんな子、いたか?』
ざわざわと騒ぎ始める、メディア関係者たち。
素人が作った素人のステージ上のランウェイを歩く、素人のモデル。全てが素人でしかないその空間は魅了された――その一人の素人モデルによって。
桜色の髪に抜群のスタイル、そしてその圧倒的な存在感。誰もが目をそらすことができないほど、彼女のオーラは見るものすべてを虜にした。
今まで頑張ったことは無駄なんかじゃない。みんなが用意してくれたこの場所から、私の夢が始まっていくんだ――
それからランウェイでのウォーキングを終え、最後に客席の方を振り返った実来は、満面の笑みをして深く頭を下げる。
そして実来には大きな拍手と歓声が送られたのだった。
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