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第10章 未来へ繋ぐ想い
第86話ー③ みんな揃って
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レクリエーション開始から10分が経過した。
暁は未だ生徒たちから逃げ回っていた。
「さすがに今回も圧勝かな」
そう呟きながら走っていると、
「センセー、今回は逃がさないよ!!」
そう言っていろはが目の前に現れた。
いろははS級ではないけれど、一応能力者だ。そしてその能力は――
「んじゃ、ちょっと失礼して――」
いろははそう言って近くに生えていた木を引っこ抜くと、
「サクッとやっちゃうよ!」
そう言いながらその木を振り降ろした。
なんだか、前にも同じ光景があったな――
そんな懐かしいことを思い出しながら、暁はその木を躱す。
「へへ、同じ手は通じないぞ!」
そう言って暁はいろはの前まで駆け抜け、そしてその腕を掴んだ。
「ああ、また!?」
それから『無効化』されたいろはは力を失い、持っていた木を落とす。
「ふふふ。甘いな、いろは!!」
「ちぇ……」
唇を尖らせながらそう言って座り込むいろは。
「じゃあな――」
そう言ってその場を立ち去ろうとした時、暁は背後に気配を感じた。
そして暁が後ろを振り返ると、そこには竹刀を構えたまゆおが立っていた。
「まゆお、いつの間に!?」
それからまゆおは、間髪入れずに手に持つ竹刀を振りかぶり、暁へ振り下ろした。
この近距離はまずい――!
そう思いながらも、まゆおの一太刀を紙一重で躱す暁。
「今だと思ったんですけどね……やっぱり先生は一筋縄ではいかないみたいだ」
「俺にも、意地ってもんがあるからな!」
そして暁はまゆおから距離を取る。
「でも、ここいるのは僕だけじゃないですよ」
まゆおがそう言って微笑むと、
まゆおの背後から黒い羽根が暁に向かって飛んでいく。
これは、狂司の『鴉の羽』か――
そして暁は右手を突き出して、その羽を全て『無効化』で消滅させた。
「背中ががら空きだぜ!」
唐突に聞こえたその声に振り返る暁。
「剛!?」
「ちょっと痛いかもしれねえけどっ!!」
剛がそう言いながら炎を纏わせた拳を暁に振り降ろすと、暁は笑顔でその拳を受け止めた。
そしてその拳の纏っていた炎は『無効化』で消えてなくなったのだった。
「あと少しだったのにな……」
拳を掴まれながら、剛は残念そうにそう言った。
「はっはー、惜しかったな」
暁がそう言って微笑むと、
「まあでもこっちには最高の司令官がいてくれるから、負けはないと思うけどな!」
剛はニヤリと笑ってそう言った。
「最高の司令官――ってそれ、どうせ優香だろ!」
「正解!! それに、風の音がなんとなくわかるらしい真一もいるしな!」
真一は風を読めるのか。能力者でなくなっても、今までの感覚が残っているってことなんだろうな。やるな、真一――!
「じゃあ、楽しませてくれよ?」
「おう!」
剛はそう言って笑い、暁から距離を取った。
その行動を不自然に思った暁は首を傾げる。
近接戦が得意な剛がなぜ、俺から距離を――?
それから暁は足元に違和感を覚え、視線を下に向けた。
そして自分の足元に起きている異変に目を見張る暁。
「足が……石化して――」
「ふふふ~ここでは、スイが最強ですからね! えっへん!!」
自慢げにそう言って仁王立ちする水蓮。
「作戦、成功だ! ナイス水蓮!」
「しおん君の指示が完璧でした! すごいです! 真一君と息ぴったりです!!」
「おうよ! 俺と真一は、一蓮托生だからな!!」
「いちれん、たくしょう!? 何それ、かっこいい!!」
しおんと水蓮が楽しそうに会話をしている隙に、その石化を『無効化』で解く暁。
「ふう、危なかった~」
「しおんも水蓮も! 駄弁ってないで、仕事しろよお!」
剛はしおんたちに向かってそう言った。
「す、すんません!!」「つい」
申し訳なさそうな顔をするしおんと水蓮。
「じゃあな!」
暁はそう言ってしおんたちの前から立ち去ったのだった。
暁は未だ生徒たちから逃げ回っていた。
「さすがに今回も圧勝かな」
そう呟きながら走っていると、
「センセー、今回は逃がさないよ!!」
そう言っていろはが目の前に現れた。
いろははS級ではないけれど、一応能力者だ。そしてその能力は――
「んじゃ、ちょっと失礼して――」
いろははそう言って近くに生えていた木を引っこ抜くと、
「サクッとやっちゃうよ!」
そう言いながらその木を振り降ろした。
なんだか、前にも同じ光景があったな――
そんな懐かしいことを思い出しながら、暁はその木を躱す。
「へへ、同じ手は通じないぞ!」
そう言って暁はいろはの前まで駆け抜け、そしてその腕を掴んだ。
「ああ、また!?」
それから『無効化』されたいろはは力を失い、持っていた木を落とす。
「ふふふ。甘いな、いろは!!」
「ちぇ……」
唇を尖らせながらそう言って座り込むいろは。
「じゃあな――」
そう言ってその場を立ち去ろうとした時、暁は背後に気配を感じた。
そして暁が後ろを振り返ると、そこには竹刀を構えたまゆおが立っていた。
「まゆお、いつの間に!?」
それからまゆおは、間髪入れずに手に持つ竹刀を振りかぶり、暁へ振り下ろした。
この近距離はまずい――!
そう思いながらも、まゆおの一太刀を紙一重で躱す暁。
「今だと思ったんですけどね……やっぱり先生は一筋縄ではいかないみたいだ」
「俺にも、意地ってもんがあるからな!」
そして暁はまゆおから距離を取る。
「でも、ここいるのは僕だけじゃないですよ」
まゆおがそう言って微笑むと、
まゆおの背後から黒い羽根が暁に向かって飛んでいく。
これは、狂司の『鴉の羽』か――
そして暁は右手を突き出して、その羽を全て『無効化』で消滅させた。
「背中ががら空きだぜ!」
唐突に聞こえたその声に振り返る暁。
「剛!?」
「ちょっと痛いかもしれねえけどっ!!」
剛がそう言いながら炎を纏わせた拳を暁に振り降ろすと、暁は笑顔でその拳を受け止めた。
そしてその拳の纏っていた炎は『無効化』で消えてなくなったのだった。
「あと少しだったのにな……」
拳を掴まれながら、剛は残念そうにそう言った。
「はっはー、惜しかったな」
暁がそう言って微笑むと、
「まあでもこっちには最高の司令官がいてくれるから、負けはないと思うけどな!」
剛はニヤリと笑ってそう言った。
「最高の司令官――ってそれ、どうせ優香だろ!」
「正解!! それに、風の音がなんとなくわかるらしい真一もいるしな!」
真一は風を読めるのか。能力者でなくなっても、今までの感覚が残っているってことなんだろうな。やるな、真一――!
「じゃあ、楽しませてくれよ?」
「おう!」
剛はそう言って笑い、暁から距離を取った。
その行動を不自然に思った暁は首を傾げる。
近接戦が得意な剛がなぜ、俺から距離を――?
それから暁は足元に違和感を覚え、視線を下に向けた。
そして自分の足元に起きている異変に目を見張る暁。
「足が……石化して――」
「ふふふ~ここでは、スイが最強ですからね! えっへん!!」
自慢げにそう言って仁王立ちする水蓮。
「作戦、成功だ! ナイス水蓮!」
「しおん君の指示が完璧でした! すごいです! 真一君と息ぴったりです!!」
「おうよ! 俺と真一は、一蓮托生だからな!!」
「いちれん、たくしょう!? 何それ、かっこいい!!」
しおんと水蓮が楽しそうに会話をしている隙に、その石化を『無効化』で解く暁。
「ふう、危なかった~」
「しおんも水蓮も! 駄弁ってないで、仕事しろよお!」
剛はしおんたちに向かってそう言った。
「す、すんません!!」「つい」
申し訳なさそうな顔をするしおんと水蓮。
「じゃあな!」
暁はそう言ってしおんたちの前から立ち去ったのだった。
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