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第9章 新たな希望と変わる世界
第68話ー② 黒翼の復帰
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朝食後、暁はエントランスゲートへと向かっていった。
「そろそろ着いたかな……あ!」
暁がエントランスゲートを見ていると一台の車が止まり、そこからリュックを背負った少年出てきた。
「狂司……」
それから暁はゲートへ急いで向かい、狂司と久しぶりに対面する。
「久しぶりですね、先生?」
そう言ってニコっと微笑む狂司。
「ああ、久しぶりだな」
何か企んでいるのか――?
微笑む狂司を見て、そんなことを思う暁。
「ふふ。相変わらずみたいで安心しました」
「そ、そうか?」
「ええ」
「あはは……じゃあ、立ち話もなんだし、建物の中に行こうか」
「はい」
狂司はそう言ってゲートを潜った。
「三谷さん、宜しくお願い致しますね!」
狂司を運んできた運転手の青年がそう言って頭を下げた。
「はい! 送迎ありがとうございました」
「笹垣さん、ありがとうございました。今夜は眠れるといいですね?」
狂司はそう言って運転手の青年に笑いかけた。
「あはは。そうだといいけどね。じゃあまた! 暁さんも!!」
そう言って運転手の青年は、研究所に戻って行った。
「僕たちも行きましょうか」
「ああ」
そして暁たちは建物の中へと向かっていった。
建物内、廊下――
「……」
「……」
無言で歩く暁と狂司。
な、何か会話をしないと……でも、何を話せば――
暁がそんなことを思って目を泳がせていると、狂司がその沈黙を破る。
「はは。そんなに警戒しないでくださいよ? 僕はもう『アンチドーテ』じゃないんですから」
「そう、なのか?」
「ええ。『アンチドーテ』は役目を終えたので解散したんです。だから今はただの烏丸狂司です」
狂司は暁の顔を見ることもなくそう告げた。
狂司の言う事は本当なんだろうか――暁はそう思いながら、狂司に疑いの目を向けた。
「まあすぐに信じてくれなくてもいいですよ。僕もそれなりのことをしたわけですしね」
そう言って狂司は暁に向かって微笑んだ。
その笑顔は何を伝えようとしているのか、今の暁にはわからなかったけれど、狂司を信じてみようと思うきっかけには十分なものだった。
――そうだよな。何があったとしても、狂司は俺の生徒だったことに変わりないんだったよな。
「……すまない。俺も疑って悪かったな。今日から狂司はまた俺の生徒だ! だから狂司のことを信じるよ! 昔は昔、今は今だもんな!!」
暁はそう言って狂司に笑顔を向けたのだった。
「……やっぱり先生は、変わりないんですね。いや、前よりも温かくなったのかな」
「そうか? ははは。そうだといいな!」
「改めて、これからよろしくお願いします! 暁先生」
そう言って頭を下げる狂司。
「ああ、またよろしくな!!」
暁は狂司に笑顔でそう答えたのだった。
――夕食時、食堂。
暁は生徒たちを食堂に集めて、狂司の紹介をすることになり――
「えーっと、今日から施設に戻って来た烏丸狂司だ! みんな仲良くな!!」
「宜しくお願い致します」
狂司はそう言って頭を下げる。
「ああああ!! お前!!」
そう言って声を上げたのは剛だった。
「あれ、剛と狂司ってここで面識なんてあったか?」
「違うんだよ! こいつは――」
「研究所ぶりですね! 剛君??」
狂司はそう言って剛の顔を見ながら笑った。
「なんで俺の名前!」
「それはまあ、いろいろとね。これから宜しくお願い致します!」
「あ、ああ」
そう言ってお互いに向き合ったまま、無言になる剛と狂司。
剛の反応を見た暁は、剛が狂司のことをあまりよく思っていないことを察した。
このままじゃ、せっかく2人とも戻って来たのに――
「まあこれからお互いを知って、仲良くなってくれればいいから! 今日は軽い自己紹介ってことでさ!!」
狂司と剛の間に立って、2人をなだめる暁。
この先、衝突しなきゃいいけどな――
そう思う暁だった。
それから織姫と凛子も一言二言だけ狂司と会話を交わし、この日の夕食を終えたのだった。
そして翌日。早速問題が発生した。
「――剛君、もっと静かにできませんか?」
「はあ? 俺、うるさくなんてしてねえだろ!」
そう言いながら、狂司に噛みつく剛。
「無意識だから気づいていないんですね、可哀そうに。君は一問ごとにため息を吐いているんです。聞かされるこっちの身にもなってくださいよ」
呆れた声でそう告げる狂司。
「ぐ……それは悪かった。でももっと良い方ってもんがあるだろ!」
「んー。ため息を吐くと幸せが逃げますよ?」
「そうじゃねえ!」
やっぱりうまくいかないか――
いがみ合う2人を見て、そう思う暁。
「お前ら、何揉めてるんだ!! 剛は大人なんだから、狂司の挑発に乗るな! 狂司も言い方を考えてだな――」
「だ、そうですよ? 剛君、いい大人がみっともないですね」
そう言って剛に嫌味な顔を向ける狂司。
「先生――!!」
剛はそう言いながら、悔しそうな顔をして暁の顔を見た。
「そ、そういう事を言ってんじゃなくて! はあ……」
しおんが卒業して、教室内でのいがみ合いがなくなったと思っていたけど、まさかこんな展開が待っていたなんてな――
そう思いながら、頭を抱える暁。
そして凛子と織姫は我関せずといった感じに黙々とノルマをこなしていた。
このままじゃ、このクラスが崩壊しそうだ……それはまずい――!
「これはどうにかしないと……」
そして暁はあることをひらめく。
「――よし。レクリエーションをやるぞ!!」
「「は??」」
教室にいた全員が驚き、暁の方を見たのだった。
「そろそろ着いたかな……あ!」
暁がエントランスゲートを見ていると一台の車が止まり、そこからリュックを背負った少年出てきた。
「狂司……」
それから暁はゲートへ急いで向かい、狂司と久しぶりに対面する。
「久しぶりですね、先生?」
そう言ってニコっと微笑む狂司。
「ああ、久しぶりだな」
何か企んでいるのか――?
微笑む狂司を見て、そんなことを思う暁。
「ふふ。相変わらずみたいで安心しました」
「そ、そうか?」
「ええ」
「あはは……じゃあ、立ち話もなんだし、建物の中に行こうか」
「はい」
狂司はそう言ってゲートを潜った。
「三谷さん、宜しくお願い致しますね!」
狂司を運んできた運転手の青年がそう言って頭を下げた。
「はい! 送迎ありがとうございました」
「笹垣さん、ありがとうございました。今夜は眠れるといいですね?」
狂司はそう言って運転手の青年に笑いかけた。
「あはは。そうだといいけどね。じゃあまた! 暁さんも!!」
そう言って運転手の青年は、研究所に戻って行った。
「僕たちも行きましょうか」
「ああ」
そして暁たちは建物の中へと向かっていった。
建物内、廊下――
「……」
「……」
無言で歩く暁と狂司。
な、何か会話をしないと……でも、何を話せば――
暁がそんなことを思って目を泳がせていると、狂司がその沈黙を破る。
「はは。そんなに警戒しないでくださいよ? 僕はもう『アンチドーテ』じゃないんですから」
「そう、なのか?」
「ええ。『アンチドーテ』は役目を終えたので解散したんです。だから今はただの烏丸狂司です」
狂司は暁の顔を見ることもなくそう告げた。
狂司の言う事は本当なんだろうか――暁はそう思いながら、狂司に疑いの目を向けた。
「まあすぐに信じてくれなくてもいいですよ。僕もそれなりのことをしたわけですしね」
そう言って狂司は暁に向かって微笑んだ。
その笑顔は何を伝えようとしているのか、今の暁にはわからなかったけれど、狂司を信じてみようと思うきっかけには十分なものだった。
――そうだよな。何があったとしても、狂司は俺の生徒だったことに変わりないんだったよな。
「……すまない。俺も疑って悪かったな。今日から狂司はまた俺の生徒だ! だから狂司のことを信じるよ! 昔は昔、今は今だもんな!!」
暁はそう言って狂司に笑顔を向けたのだった。
「……やっぱり先生は、変わりないんですね。いや、前よりも温かくなったのかな」
「そうか? ははは。そうだといいな!」
「改めて、これからよろしくお願いします! 暁先生」
そう言って頭を下げる狂司。
「ああ、またよろしくな!!」
暁は狂司に笑顔でそう答えたのだった。
――夕食時、食堂。
暁は生徒たちを食堂に集めて、狂司の紹介をすることになり――
「えーっと、今日から施設に戻って来た烏丸狂司だ! みんな仲良くな!!」
「宜しくお願い致します」
狂司はそう言って頭を下げる。
「ああああ!! お前!!」
そう言って声を上げたのは剛だった。
「あれ、剛と狂司ってここで面識なんてあったか?」
「違うんだよ! こいつは――」
「研究所ぶりですね! 剛君??」
狂司はそう言って剛の顔を見ながら笑った。
「なんで俺の名前!」
「それはまあ、いろいろとね。これから宜しくお願い致します!」
「あ、ああ」
そう言ってお互いに向き合ったまま、無言になる剛と狂司。
剛の反応を見た暁は、剛が狂司のことをあまりよく思っていないことを察した。
このままじゃ、せっかく2人とも戻って来たのに――
「まあこれからお互いを知って、仲良くなってくれればいいから! 今日は軽い自己紹介ってことでさ!!」
狂司と剛の間に立って、2人をなだめる暁。
この先、衝突しなきゃいいけどな――
そう思う暁だった。
それから織姫と凛子も一言二言だけ狂司と会話を交わし、この日の夕食を終えたのだった。
そして翌日。早速問題が発生した。
「――剛君、もっと静かにできませんか?」
「はあ? 俺、うるさくなんてしてねえだろ!」
そう言いながら、狂司に噛みつく剛。
「無意識だから気づいていないんですね、可哀そうに。君は一問ごとにため息を吐いているんです。聞かされるこっちの身にもなってくださいよ」
呆れた声でそう告げる狂司。
「ぐ……それは悪かった。でももっと良い方ってもんがあるだろ!」
「んー。ため息を吐くと幸せが逃げますよ?」
「そうじゃねえ!」
やっぱりうまくいかないか――
いがみ合う2人を見て、そう思う暁。
「お前ら、何揉めてるんだ!! 剛は大人なんだから、狂司の挑発に乗るな! 狂司も言い方を考えてだな――」
「だ、そうですよ? 剛君、いい大人がみっともないですね」
そう言って剛に嫌味な顔を向ける狂司。
「先生――!!」
剛はそう言いながら、悔しそうな顔をして暁の顔を見た。
「そ、そういう事を言ってんじゃなくて! はあ……」
しおんが卒業して、教室内でのいがみ合いがなくなったと思っていたけど、まさかこんな展開が待っていたなんてな――
そう思いながら、頭を抱える暁。
そして凛子と織姫は我関せずといった感じに黙々とノルマをこなしていた。
このままじゃ、このクラスが崩壊しそうだ……それはまずい――!
「これはどうにかしないと……」
そして暁はあることをひらめく。
「――よし。レクリエーションをやるぞ!!」
「「は??」」
教室にいた全員が驚き、暁の方を見たのだった。
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