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第7章 それぞれのサイカイ
第56話ー② 復活の炎
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数日後、再び暁は剛の元へ。
そして暁は剛の夢の話を静かに聞いていた。
剛が見ていたその夢は、小学生の時の自分が救えなかった幼馴染の少女との過去の出来事だったそう。
「それでさ、もう1人の俺が言うんだよ。『ここに残ったほうがいい』ってさ。でも俺はまた先生に会いたいって思ってさ、もう1人の俺にガツンと言ってやったわけだよ」
指で鼻をこすりながら、恥ずかしそうにそう言う剛。
――そうか、剛もそんなことを。なんだか嬉しいな。
暁はそう思いながら、微笑んだ。
そういえば、前にキリヤが言っていたな――
『深層心理の世界で、もう1人の僕と会話をしたんだよ』
夢のことを覚えているのは、剛も同じだったってわけか。じゃあ、誰が特別とかではなく、偶然俺と優香だけが見なかったってことなのかな――
「じゃあ俺の夢の話はこんな感じだな」
「ありがとな、剛。大切な話をしてくれてさ」
「いいんだよ! どうしても先生には話したかったから。俺の過去も、どうして強さを求めていたのかも」
「そうか」
出会った頃の剛がなぜ強さにこだわっていたのか、剛の話を聞いた暁はそれがわかったような気がした。
自分が弱かったせいで救えなかった幼馴染の命、か。剛は1人でその思いをずっと抱えて生きてきたんだな――。
「今度は先生が聞かせてくれよ」
「え?」
「俺が眠ってから、いろいろ大変だったってキリヤから聞いたからさ」
それは本当に話すべきことなのか――暁はそう思い、少し考え込んだ。
自分のせいでと剛は己を責めないだろうか。それがストレスになって、また暴走するのではないか――そんな不安が頭の中を駆け巡る。
「――先生。俺はもう大丈夫だから。俺はどんな話を聞く覚悟もできてるから」
剛は暁の顔をまっすぐに見てそう告げる。
その剛の顔を見た暁は、今の剛ならきっと受け入れてくれる――そう信じて、自分のことを話し始めた。
「実はさ……剛が眠った後にな、俺は教師をやめようって思ったんだよ」
「え……」
驚いて、目を見開く剛。
こんなことを聞かされたら、そんな顔になるよな――
「ははは。驚くよな。……あの時の俺は無理をしている剛に気が付けなくて、まゆおにも忠告されていたはずなのに、大丈夫だからって勝手に決めつけたんだよ」
――そうだ。あの頃の俺は、剛が俺のような教師になりたいと言ってくれたことに浮かれていたんだと思う。
「そうなのか……ごめん、俺」
そう言って俯く剛。
「剛が謝る必要はないよ。俺が悪かったんだ。本当にすまなかった。だから、顔を上げてくれ」
「あ、ああ」
顔を上げた剛はとても悲しそうな顔をしていた。
剛は何も悪くない。全部、俺が未熟だったからなんだよ――
「あの時はたくさん悩んだけど、でもキリヤや奏多が支えてくれた。それで俺はまた教師を頑張ろうと思ったんだ。剛が目を覚ました時に、恥ずかしくない教師であろうと」
「……そう、だったんだな」
「それに、剛が言ってくれた言葉もあったから立ち直れたんだと思う」
暁は笑顔で剛にそう告げる。
「俺の言葉が……?」
「そうだ。だから剛、諦めないでくれてありがとう。俺に謝るチャンスをくれてありがとう」
「先生……」
言いたかったことは言えた。あとは――
「なあ、剛。俺は……俺はこのまま教師でいてもいいと思うか? お前の夢を手伝うつもりが邪魔をしてしまった俺が……」
暁が俯きながらそう言うと、
「……何、言ってんだよ。いいに決まってんだろ? 先生は前も今も変わらず、俺の憧れなんだ。だから必ず追いつくから、それまで絶対に教師を辞めないでくれよな!」
剛は笑顔でそう答えたのだった。
その言葉に暁は顔を上げて、微笑む。そして――
「……ありがとう、剛」
そう伝えたのだった。
「おう! 先生も、教師を辞めないでいてくれてありがとな!」
それから暁はもう少しだけ剛と会話した後、剛の個室を後にした。
剛にあんなことを言われたんじゃ、もっと頑張らなくちゃだよな――
暁は帰りの車から外の景色を見ながら、そう思っていた。
もしあの時、剛から辞めてほしいと言われていたら、俺は教師を辞めるつもりだった。でも剛からの言葉は違っていて――
「うん。これからも俺らしく頑張るぞ!!」
それからの暁は剛の言葉から力をもらい、今まで以上に教師として励むのだった。
そして暁は剛の夢の話を静かに聞いていた。
剛が見ていたその夢は、小学生の時の自分が救えなかった幼馴染の少女との過去の出来事だったそう。
「それでさ、もう1人の俺が言うんだよ。『ここに残ったほうがいい』ってさ。でも俺はまた先生に会いたいって思ってさ、もう1人の俺にガツンと言ってやったわけだよ」
指で鼻をこすりながら、恥ずかしそうにそう言う剛。
――そうか、剛もそんなことを。なんだか嬉しいな。
暁はそう思いながら、微笑んだ。
そういえば、前にキリヤが言っていたな――
『深層心理の世界で、もう1人の僕と会話をしたんだよ』
夢のことを覚えているのは、剛も同じだったってわけか。じゃあ、誰が特別とかではなく、偶然俺と優香だけが見なかったってことなのかな――
「じゃあ俺の夢の話はこんな感じだな」
「ありがとな、剛。大切な話をしてくれてさ」
「いいんだよ! どうしても先生には話したかったから。俺の過去も、どうして強さを求めていたのかも」
「そうか」
出会った頃の剛がなぜ強さにこだわっていたのか、剛の話を聞いた暁はそれがわかったような気がした。
自分が弱かったせいで救えなかった幼馴染の命、か。剛は1人でその思いをずっと抱えて生きてきたんだな――。
「今度は先生が聞かせてくれよ」
「え?」
「俺が眠ってから、いろいろ大変だったってキリヤから聞いたからさ」
それは本当に話すべきことなのか――暁はそう思い、少し考え込んだ。
自分のせいでと剛は己を責めないだろうか。それがストレスになって、また暴走するのではないか――そんな不安が頭の中を駆け巡る。
「――先生。俺はもう大丈夫だから。俺はどんな話を聞く覚悟もできてるから」
剛は暁の顔をまっすぐに見てそう告げる。
その剛の顔を見た暁は、今の剛ならきっと受け入れてくれる――そう信じて、自分のことを話し始めた。
「実はさ……剛が眠った後にな、俺は教師をやめようって思ったんだよ」
「え……」
驚いて、目を見開く剛。
こんなことを聞かされたら、そんな顔になるよな――
「ははは。驚くよな。……あの時の俺は無理をしている剛に気が付けなくて、まゆおにも忠告されていたはずなのに、大丈夫だからって勝手に決めつけたんだよ」
――そうだ。あの頃の俺は、剛が俺のような教師になりたいと言ってくれたことに浮かれていたんだと思う。
「そうなのか……ごめん、俺」
そう言って俯く剛。
「剛が謝る必要はないよ。俺が悪かったんだ。本当にすまなかった。だから、顔を上げてくれ」
「あ、ああ」
顔を上げた剛はとても悲しそうな顔をしていた。
剛は何も悪くない。全部、俺が未熟だったからなんだよ――
「あの時はたくさん悩んだけど、でもキリヤや奏多が支えてくれた。それで俺はまた教師を頑張ろうと思ったんだ。剛が目を覚ました時に、恥ずかしくない教師であろうと」
「……そう、だったんだな」
「それに、剛が言ってくれた言葉もあったから立ち直れたんだと思う」
暁は笑顔で剛にそう告げる。
「俺の言葉が……?」
「そうだ。だから剛、諦めないでくれてありがとう。俺に謝るチャンスをくれてありがとう」
「先生……」
言いたかったことは言えた。あとは――
「なあ、剛。俺は……俺はこのまま教師でいてもいいと思うか? お前の夢を手伝うつもりが邪魔をしてしまった俺が……」
暁が俯きながらそう言うと、
「……何、言ってんだよ。いいに決まってんだろ? 先生は前も今も変わらず、俺の憧れなんだ。だから必ず追いつくから、それまで絶対に教師を辞めないでくれよな!」
剛は笑顔でそう答えたのだった。
その言葉に暁は顔を上げて、微笑む。そして――
「……ありがとう、剛」
そう伝えたのだった。
「おう! 先生も、教師を辞めないでいてくれてありがとな!」
それから暁はもう少しだけ剛と会話した後、剛の個室を後にした。
剛にあんなことを言われたんじゃ、もっと頑張らなくちゃだよな――
暁は帰りの車から外の景色を見ながら、そう思っていた。
もしあの時、剛から辞めてほしいと言われていたら、俺は教師を辞めるつもりだった。でも剛からの言葉は違っていて――
「うん。これからも俺らしく頑張るぞ!!」
それからの暁は剛の言葉から力をもらい、今まで以上に教師として励むのだった。
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