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第7章 それぞれのサイカイ

第55話ー② キリヤたちの休日

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 暁たちが食堂に着くと、まゆおが真一を連れて戻っていた。

 そしてキリヤたちの存在に気が付いたまゆおは、

「キリヤ君、久しぶり!!」

 そう言って微笑んだ。

「まゆお、元気そうだね! みんなも久しぶり!!」

 そう言いながら、キリヤと優香はまゆおたちのいる食堂の中央まで歩みを進める。

「本当にお久しぶりですな。2人ともお元気にしておられましたか!!」
「ええ。私達は元気にやっていましたよ。そういう流山さんはどうでした?」
「私ももちろん元気でしたぞ! この前も――」

 結衣が話し始めたタイミングで、キリヤは生徒たちから少し離れたところに立っていた暁の隣にやってきた。

 キリヤ、どうしたんだろう。みんなと話せばいいのにな。もしかして……俺が寂しそうに見えたのか――!?

 暁はそんなことを思いながら、隣のキリヤをちらりと見た。

 気を遣わせたんだろうか……なんだか申し訳ないな。それに隣に来ても何も言ってこないし……。今は少し待ってみるか――

 それから生徒たちの方に視線を向ける暁。

 そして生徒たちは、みんなで結衣の自室で起きた武勇伝を聞いているようだった。

 優香は相変わらずみたいだな。暴走したって聞いたときは心配だったけど、見るからに今は大丈夫そうだ――。

 そんなことを思いながら、暁は食堂にいる子供たちを笑顔で見つめる。

「そういえば、前に電話でさ――」
 
 暁はそう言いながらキリヤの方を見ると、キリヤは不安げな表情で優香を見つめていた。

「キリヤ? どうしたんだ? なんだか不安な顔をしているみたいだけど?」

 暁はキリヤの顔を覗き込みながら、そう尋ねる。

「え……うーん。大丈夫! やっぱり、今じゃないよね。うん。またあとで詳しく話すよ」
「ん? あ、ああ。わかった」

 それからまた結衣の元に向かうキリヤ。

 今は話せない、か。まあ後からキリヤも話すって言っているし、待つしかないな。きっとキリヤなりにここにいる生徒たちのことを気遣ったんだろう――そう思いながら、生徒たちの元に向かうキリヤを見つめる暁だった。

 それからキリヤと生徒たちが楽しそうに会話をしていると、そこへしおんがやってくる。

「おーい、真一。新曲のことなんだけど……誰?」

 キリヤたちを見たしおんは驚いた表情をしていた。

 真一は今日のこと、しおんには何にも話していないんだな――。

 そんなことを思いつつ、暁はすまし顔の真一の方を見て笑った。

「えっと……桑島キリヤです。ここの卒業生で……たぶんマリアのことは知っているよね? 僕はマリアの兄です」

 キリヤはそう言いながら、頭を下げた。

「ご、ご丁寧にありがとうございます。自分は鳴海しおんと言います。そこの真一とロックミュージシャンを目指しているアマチュアギタリストです」

 そう言って、しおんは丁寧に頭を下げた。

「……真一が、ロックミュージシャン?」

 驚いた顔をしながら、キリヤは真一にそう尋ねた。

「そう。僕としおんは一緒に音楽活動をすることにした」

 真一は淡々とキリヤにそう言った。

「し、真一が誰かと一緒に……? しかも、音楽活動って……え? ええ!?」

 驚きのあまりで目が点になっているキリヤ。

 そんなキリヤを見て、暁は「ふふっ」と笑う。

 キリヤが驚くのも無理はない。だってキリヤの知っている真一は馴れ合いなんてしないやつだっただろうから。今のキリヤが変化のあった真一を見て、どう思うのか少し楽しみだな――。

 そんなことを思いつつ、暁はみんなの会話を見守っていた。
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