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第7章 それぞれのサイカイ
第54話ー③ 白銀さんの施設訪問!
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面談をすることになった暁はゆめかと共に職員室に適当なところへ座り、面談が始まった。
『よく眠れているか』『ストレスになるようなことはないか』『最近、身体に変化はないか』など一般的なことを順番に問われていく暁。
「じゃあこれは最後の質問だ。……プライベートは充実しているかい?」
「プライベート……?」
暁はそう言って首をかしげた。
「まあ恋人とはどうだって話さ」
「え!? 白銀さん、俺の恋愛事情をご存じなんですか!?」
誰だ!? いったい誰なんだ!! もしかして、キリヤが? 白銀さんに!? いや、キリヤがそんなはず――
そんなことを思いながら、プライベートを知られている恥ずかしさで赤面する暁。
「まあ少し、ね。たまに優香くんとコイバナをするからね!」
「へ、へえ」
優香でもコイバナをするんだな。……え、優香って白銀さんに対してそんなに心を開いているのか――!?
暁はゆめかと優香の関係に驚きつつ、研究所ではどんな女子トークをしているのかが少々気になった。
あれ……でも、コイバナとはお互いの想い人について語るものじゃないのか? なぜ俺の話が出るんだよ!? それはコイバナじゃなく、ただの噂話なんじゃ――
そんなことを思いつつ、暁はため息を吐いた。
研究所にはきっとここにはない楽しいことがあるんだろうなと思い、優香の生活が充実しているんだなと安心する暁。
「大丈夫かい?」
「え、ええ。でも研究所って、意外と和気あいあいとお仕事をしているんですね! 驚きました」
暁がそう言うと、
「そうだね。『グリム』のメンバーは、集まればみんな和気あいあいとしているかもしれないね。まあ私は他のメンバーと違って任務に出ることがないから、帰ってきたメンバーから何があったのかを聞くくらいだけど」
ゆめかはそう言ってニコッと微笑んだ。
「へえ、そうなんですか……キリヤたちも今はずっと外に出ているんですか?」
「そうだね。最近は任務を任されることもあるから、ずっと外で活動しているかな。今度、また2人だけの任務に出るみたいだから、たまには励ましの言葉でもかけてあげるとキリヤ君は喜ぶかもしれないね」
今のキリヤに俺の言葉なんて必要なんだろうか――そんなことを思い、暁は俯く。
「そう、でしょうか。もう俺に頼る必要なんてないくらい、キリヤはたくましくなっているんじゃないかって俺は思っているんですけどね」
「……もしかして連絡がなかったことを寂しく思っているのかい?」
ゆめかは暁の顔を覗き込みながら、そう問いかけた。
「あ、ちがっ……いえ、そうかもしれませんね。卒業して1年半くらい経ちますけど、帰ってくることもなければ、キリヤから連絡をくれることもなくて。俺のことなんてどうでもよくなったのかなって少し寂しく思っていました。俺だけがキリヤのことを思い出して寂しく思っているのかなって」
「ふふふ。心配には及ばないさ」
「え?」
「キリヤ君も本当は君に会いたいし、声も聴きたいはずなんだよ。でもね、ここへ出るときに先生には頼らないって決めたそうだよ。だから少し意地を張っていて、自分から連絡できないだけなのさ」
その言葉に暁は顔を上げて、
「そう、なんですか?」
と目を丸くしながらそう呟く。
「ああ、だから今度試しに君から連絡してみたらいい。きっとキリヤ君は喜ぶよ」
「はは。わかりました! 今度、連絡してみます!」
そしてゆめかは施設をぐるりを周った後、研究所に帰っていった。
『よく眠れているか』『ストレスになるようなことはないか』『最近、身体に変化はないか』など一般的なことを順番に問われていく暁。
「じゃあこれは最後の質問だ。……プライベートは充実しているかい?」
「プライベート……?」
暁はそう言って首をかしげた。
「まあ恋人とはどうだって話さ」
「え!? 白銀さん、俺の恋愛事情をご存じなんですか!?」
誰だ!? いったい誰なんだ!! もしかして、キリヤが? 白銀さんに!? いや、キリヤがそんなはず――
そんなことを思いながら、プライベートを知られている恥ずかしさで赤面する暁。
「まあ少し、ね。たまに優香くんとコイバナをするからね!」
「へ、へえ」
優香でもコイバナをするんだな。……え、優香って白銀さんに対してそんなに心を開いているのか――!?
暁はゆめかと優香の関係に驚きつつ、研究所ではどんな女子トークをしているのかが少々気になった。
あれ……でも、コイバナとはお互いの想い人について語るものじゃないのか? なぜ俺の話が出るんだよ!? それはコイバナじゃなく、ただの噂話なんじゃ――
そんなことを思いつつ、暁はため息を吐いた。
研究所にはきっとここにはない楽しいことがあるんだろうなと思い、優香の生活が充実しているんだなと安心する暁。
「大丈夫かい?」
「え、ええ。でも研究所って、意外と和気あいあいとお仕事をしているんですね! 驚きました」
暁がそう言うと、
「そうだね。『グリム』のメンバーは、集まればみんな和気あいあいとしているかもしれないね。まあ私は他のメンバーと違って任務に出ることがないから、帰ってきたメンバーから何があったのかを聞くくらいだけど」
ゆめかはそう言ってニコッと微笑んだ。
「へえ、そうなんですか……キリヤたちも今はずっと外に出ているんですか?」
「そうだね。最近は任務を任されることもあるから、ずっと外で活動しているかな。今度、また2人だけの任務に出るみたいだから、たまには励ましの言葉でもかけてあげるとキリヤ君は喜ぶかもしれないね」
今のキリヤに俺の言葉なんて必要なんだろうか――そんなことを思い、暁は俯く。
「そう、でしょうか。もう俺に頼る必要なんてないくらい、キリヤはたくましくなっているんじゃないかって俺は思っているんですけどね」
「……もしかして連絡がなかったことを寂しく思っているのかい?」
ゆめかは暁の顔を覗き込みながら、そう問いかけた。
「あ、ちがっ……いえ、そうかもしれませんね。卒業して1年半くらい経ちますけど、帰ってくることもなければ、キリヤから連絡をくれることもなくて。俺のことなんてどうでもよくなったのかなって少し寂しく思っていました。俺だけがキリヤのことを思い出して寂しく思っているのかなって」
「ふふふ。心配には及ばないさ」
「え?」
「キリヤ君も本当は君に会いたいし、声も聴きたいはずなんだよ。でもね、ここへ出るときに先生には頼らないって決めたそうだよ。だから少し意地を張っていて、自分から連絡できないだけなのさ」
その言葉に暁は顔を上げて、
「そう、なんですか?」
と目を丸くしながらそう呟く。
「ああ、だから今度試しに君から連絡してみたらいい。きっとキリヤ君は喜ぶよ」
「はは。わかりました! 今度、連絡してみます!」
そしてゆめかは施設をぐるりを周った後、研究所に帰っていった。
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