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第7章 それぞれのサイカイ
第52話ー⑦ 青春
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真一との練習を終えたしおんは一人でギターのメンテナンスをしていた。
「アーティスト名か……俺と真一の共通点――」
ブーッ、ブーーーッ
振動するスマホに目を向けるしおん。
「ん……メッセージ? あやめからか。えっと、新しいはちみつジンジャードリンクのレシピって……あいつは一体何を目指してるんだ?」
そんなあやめのメッセージにおかしくて、「ふっ」と笑うしおん。
「また真一に作って……そうか!」
何かをひらめいたしおんは部屋を出て、真一の元へと向かった。
* * *
――2週間後。
「よし! 今日はとうとう撮影日だ! しおんも真一も準備はいいな?」
ビデオカメラを片手に持つ暁は、しおんと真一の方を見てそう言った。
「はい!」
「もちろん」
「じゃあスタンバイだ! 一発取りだから失敗はできない。でもお前たちらしくた楽しめよ!」
「はい!」
そして暁はふと、凛子が言っていたあれはどうなったんだ――と思う。
「なあ。そういえば、アーティスト名って決まったのか?」
暁がそう問うと、
「うん」
「あとから楽しみにしていてください!」
真一たちは笑顔でそう答えた。
「わかった! 楽しみにしておくよ」
それから凛子が来ると、さっそく撮影が始まった。
* * *
「みなさーん♪ こんにちは! りんりんこと知立凛子です☆ 今日は私の友人を紹介していくね! これから来るって言われている、大注目の新人アーティスト君たちを紹介するよー! じゃあさっそく、行ってみましょう☆」
(おおお、なんかテレビっぽいな……)
そう思いながら、暁は前を歩く凛子にカメラを向けて、その後を追っていた。
「ちなみに今日この撮影に協力してくださっている力強い味方を紹介します!」
そう言いながら凛子はくるりと振り返る。
「臨時カメラマンの三谷暁先生です☆」
そう言って暁にウインクを飛ばす凛子。
「え……あ、どうも。三谷です。知立さんの担任教師をしています」
「かたいなあ。いつもみたいに『凛子~☆』って呼んでくれていいんですよお?」
「俺って、そんな呼び方だったか……?」
そもそもこんなの段取りになかったはずじゃ……でも凛子が楽しそうならいいか――。
凛子のアドリブに困惑しつつもその笑顔を見た暁は、凛子だったらきっと何があっても何とかしてくれるだろうと信じて、そのまま凛子にすべてを任せることにした。
「いつもはもっとユーモアがあって、優しくて。とっても素敵な先生なんですよ☆ ちなみに素敵な婚約者さんがいるので、私が先生に好意を抱いたりはしませんからねえ。ファンの皆さん、ご安心ください☆」
「ちょ! 俺のプライバシーは!?」
「あはは」
そう言って楽しそうに笑う凛子。
「まったく……」
そんな凛子を見て、暁も思わず笑みがこぼれていた。それは、凛子はちゃんとアイドルなんだな――とそう思ったからだった。
それから暁たちはしおんの部屋の前に着く。
「さて! とうとう目的地へとやってきました! ここが噂の新人アーティスト君たちの拠点です!」
暁の知る段取りは、ここからこっそりと部屋を覗き、静かに部屋の中を観察してから部屋にゆっくりと入っていくという流れだった。しかし――
「それでは! 突撃!!」
凛子はそう言いながら、思いっきり部屋の扉を開く。
凛子ならそうすると思ったよ――と思いながら、やれやれと苦笑いをする暁。
「はあ!? な、なんだ!? って凛子?? 話とちが……ってもうカメラが回ってる!?」
いきなりの凛子の登場にかなり動揺するしおん。
まああんなに読み込めと言われていた台本と全く異なる展開じゃあな――と暁はしおんの顔を見ながら、同情していた。
「どうしたの? 凛子がここへ来るなんて珍しい」
そう言って動揺するしおんとは反対に冷静に対応する真一。
(アドリブも完璧だ……さすがだな。まさか真一はこうなることを見込んでいたのか?)
真一の対応に心の中で大きな拍手を贈る暁。
「今日は私の突撃取材に来ちゃいました!! 普段の2人の様子を聞かせてください☆」
「普段の僕たち……。わかった。いいよ」
そう言って頷く真一。そんな真一を横目に見るしおんは、
「真一、呑み込みが早いな」
未だに動揺を隠せずにいたのだった。
「じゃあ、いろいろと質問していくね!」
それから凛子の取材が始まった。
2人が音楽をすることになったきっかけや2人の出会い、結成秘話など台本にあった通りの質問をこなしていく。
真一は冷静に答え、しおんは感情が高ぶっているのか熱い返答をしていた。
「じゃあ最後に質問です! お2人が今後活動していくにあたってのアーティスト名をお伺いしてもいいですか?」
その問いにしおんと真一はお互いの顔を見合わせて頷くと、しおんがその問いにゆっくりと答える。
「俺たちのアーティスト名は『はちみつとジンジャー』です」
「その名前の由来は?」
「どんなアーティスト名にしようかって2人で話あったけど、結局わからなくて。そんな時、あやめ……弟からはちみつジンジャードリンクの新作レシピが贈られてきたんだ」
照れながらそう答えるしおん。
「僕としおんが音楽以外で共通しているものと言えば、このはちみつジンジャードリンクだったなって気が付いたんだよね」
「そう! それでそこから話し合って、この『はちみつとジンジャー』ってことになったんだ」
しおんは笑顔でそう答えた。
「へえ。いいですね☆ あまーい歌声を持つ真一君と少し粗さがありつつも激しいギターサウンドを奏でるしおん君。お2人にはぴったりのアーティスト名だと思います☆」
凛子のその言葉に照れるしおんと真一。
「皆さん! これから大注目の『はちみつとジンジャー』をよろしくお願いしますね!」
「「よろしくお願いします!」」
そう言って頭を下げるしおんと真一。
「じゃあこの後は一曲披露してくれるってことでしたよねえ!」
「はい! SNSで話題になったあの曲と初めてのライブをしたあの場所で!」
「それでは移動しますよー! ワープ!!」
そして暁はそこでカメラを止めた。
「アーティスト名か……俺と真一の共通点――」
ブーッ、ブーーーッ
振動するスマホに目を向けるしおん。
「ん……メッセージ? あやめからか。えっと、新しいはちみつジンジャードリンクのレシピって……あいつは一体何を目指してるんだ?」
そんなあやめのメッセージにおかしくて、「ふっ」と笑うしおん。
「また真一に作って……そうか!」
何かをひらめいたしおんは部屋を出て、真一の元へと向かった。
* * *
――2週間後。
「よし! 今日はとうとう撮影日だ! しおんも真一も準備はいいな?」
ビデオカメラを片手に持つ暁は、しおんと真一の方を見てそう言った。
「はい!」
「もちろん」
「じゃあスタンバイだ! 一発取りだから失敗はできない。でもお前たちらしくた楽しめよ!」
「はい!」
そして暁はふと、凛子が言っていたあれはどうなったんだ――と思う。
「なあ。そういえば、アーティスト名って決まったのか?」
暁がそう問うと、
「うん」
「あとから楽しみにしていてください!」
真一たちは笑顔でそう答えた。
「わかった! 楽しみにしておくよ」
それから凛子が来ると、さっそく撮影が始まった。
* * *
「みなさーん♪ こんにちは! りんりんこと知立凛子です☆ 今日は私の友人を紹介していくね! これから来るって言われている、大注目の新人アーティスト君たちを紹介するよー! じゃあさっそく、行ってみましょう☆」
(おおお、なんかテレビっぽいな……)
そう思いながら、暁は前を歩く凛子にカメラを向けて、その後を追っていた。
「ちなみに今日この撮影に協力してくださっている力強い味方を紹介します!」
そう言いながら凛子はくるりと振り返る。
「臨時カメラマンの三谷暁先生です☆」
そう言って暁にウインクを飛ばす凛子。
「え……あ、どうも。三谷です。知立さんの担任教師をしています」
「かたいなあ。いつもみたいに『凛子~☆』って呼んでくれていいんですよお?」
「俺って、そんな呼び方だったか……?」
そもそもこんなの段取りになかったはずじゃ……でも凛子が楽しそうならいいか――。
凛子のアドリブに困惑しつつもその笑顔を見た暁は、凛子だったらきっと何があっても何とかしてくれるだろうと信じて、そのまま凛子にすべてを任せることにした。
「いつもはもっとユーモアがあって、優しくて。とっても素敵な先生なんですよ☆ ちなみに素敵な婚約者さんがいるので、私が先生に好意を抱いたりはしませんからねえ。ファンの皆さん、ご安心ください☆」
「ちょ! 俺のプライバシーは!?」
「あはは」
そう言って楽しそうに笑う凛子。
「まったく……」
そんな凛子を見て、暁も思わず笑みがこぼれていた。それは、凛子はちゃんとアイドルなんだな――とそう思ったからだった。
それから暁たちはしおんの部屋の前に着く。
「さて! とうとう目的地へとやってきました! ここが噂の新人アーティスト君たちの拠点です!」
暁の知る段取りは、ここからこっそりと部屋を覗き、静かに部屋の中を観察してから部屋にゆっくりと入っていくという流れだった。しかし――
「それでは! 突撃!!」
凛子はそう言いながら、思いっきり部屋の扉を開く。
凛子ならそうすると思ったよ――と思いながら、やれやれと苦笑いをする暁。
「はあ!? な、なんだ!? って凛子?? 話とちが……ってもうカメラが回ってる!?」
いきなりの凛子の登場にかなり動揺するしおん。
まああんなに読み込めと言われていた台本と全く異なる展開じゃあな――と暁はしおんの顔を見ながら、同情していた。
「どうしたの? 凛子がここへ来るなんて珍しい」
そう言って動揺するしおんとは反対に冷静に対応する真一。
(アドリブも完璧だ……さすがだな。まさか真一はこうなることを見込んでいたのか?)
真一の対応に心の中で大きな拍手を贈る暁。
「今日は私の突撃取材に来ちゃいました!! 普段の2人の様子を聞かせてください☆」
「普段の僕たち……。わかった。いいよ」
そう言って頷く真一。そんな真一を横目に見るしおんは、
「真一、呑み込みが早いな」
未だに動揺を隠せずにいたのだった。
「じゃあ、いろいろと質問していくね!」
それから凛子の取材が始まった。
2人が音楽をすることになったきっかけや2人の出会い、結成秘話など台本にあった通りの質問をこなしていく。
真一は冷静に答え、しおんは感情が高ぶっているのか熱い返答をしていた。
「じゃあ最後に質問です! お2人が今後活動していくにあたってのアーティスト名をお伺いしてもいいですか?」
その問いにしおんと真一はお互いの顔を見合わせて頷くと、しおんがその問いにゆっくりと答える。
「俺たちのアーティスト名は『はちみつとジンジャー』です」
「その名前の由来は?」
「どんなアーティスト名にしようかって2人で話あったけど、結局わからなくて。そんな時、あやめ……弟からはちみつジンジャードリンクの新作レシピが贈られてきたんだ」
照れながらそう答えるしおん。
「僕としおんが音楽以外で共通しているものと言えば、このはちみつジンジャードリンクだったなって気が付いたんだよね」
「そう! それでそこから話し合って、この『はちみつとジンジャー』ってことになったんだ」
しおんは笑顔でそう答えた。
「へえ。いいですね☆ あまーい歌声を持つ真一君と少し粗さがありつつも激しいギターサウンドを奏でるしおん君。お2人にはぴったりのアーティスト名だと思います☆」
凛子のその言葉に照れるしおんと真一。
「皆さん! これから大注目の『はちみつとジンジャー』をよろしくお願いしますね!」
「「よろしくお願いします!」」
そう言って頭を下げるしおんと真一。
「じゃあこの後は一曲披露してくれるってことでしたよねえ!」
「はい! SNSで話題になったあの曲と初めてのライブをしたあの場所で!」
「それでは移動しますよー! ワープ!!」
そして暁はそこでカメラを止めた。
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