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第5章 新しい出会い
第32話ー② 新学期
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――食堂。
「ここでみんな揃って食事を摂っているんだよ」
「へぇ。ちゃんとしているんですねえ」
凛子はそう言って、食堂の中を歩き回る。
「調理スペースもあるんですね」
しおんはそう言って奥にある調理スペースに入っていった。
それぞれの行動を取る2人の姿を見ながら、暁はふと先に建物に向かった少女のことを思い出す。
「そういえば、もう一人はどこへ行ったんだ……」
(初めての施設できっとどこに何があるかなんてわかるはずもないだろうから、今頃、建物内を彷徨っているかもしれないな……)
暁がそんなことを思いながら悩んでいると、食堂にまゆおがやってきた。
「先生、おはようございます。……もしかして転入生の人たちですか?」
まゆおはそう言いながら、暁の隣に立つ。
「ああ、そうだ。……しおん! 凛子も! ちょっといいか?」
暁は食堂内を探索中の2人に声を掛けた。
「はあい!」
「どうしたんですか?」
暁の声に反応して、しおんと凛子は暁の元に戻った。そして暁の隣に立つまゆおを見ると、
「ここに暮らしている人っすね! 俺は鳴海しおんです。よろしくお願いします」
「私は知立凛子です! よろしくお願いします☆」
しおんはぺこっと頭を下げ、凛子は敬礼ポーズをとりながら、それぞれの自己紹介をした。
「丁寧にありがとうございます。僕は狭山まゆおと言います。これからよろしくお願いします。今は高校2年生で、ここには中学1年生の途中からいるので今年で4年目になります。何か困ったことがあれば、なんでも相談してください」
そう言ってから丁寧に頭を下げるまゆお。
「まゆおはしっかり者だから、何かあれば頼りにするといい。きっとお前たちの力になってくれるからな!」
暁がそう言うと、まゆおは恥ずかしそうに両手を前に出して答える。
「そ、そんなことないです! 僕なんて、まだまだ頼りなくて……真一君や桑島さんの方が、僕なんかよりもずっと頼りになりますから!!」
「そう照れるなって! ……あ、そうだ! まゆお、しおんを男子の生活スペースまで案内してやってくれないか? 俺はちょっと人探しをしなくちゃいけなくて」
「人探しですか? まあそういう事なら、わかりました!」
そう言って微笑むまゆお。
「助かるよ! ありがとな!」
暁はそう言いながら、まゆおの前で両手を合わせる。
「あ……でも知立さんはどうするんですか? 僕は女子の生活スペースには入れないですよ?」
まゆおは凛子に視線を向けて暁に問う。
「ああ、凛子はいいよ。俺と一緒にもう一人を発見してから、マリアにお願いしようと思っているんだ。だからしおんを頼むよ」
「わかりました。じゃあ行こうか。えっと……しおん君?」
「うっす!」
そしてまゆおとしおんは食堂を出て行った。
それから暁は凛子に視線を向けると、
「じゃあ俺たちも行こうか」
凛子にそう言って微笑んだ。
「はあい!」
凛子は元気に返事をしてから2人は食堂を出たのだった。
暁は凛子に施設内を案内するついでにもう一人の女子生徒を探していた。
「あいつ、どこいったんだ……?」
ここの施設はいつもお世話になっている研究所ほど広くはないため、人の捜索は難しくないはず。しかしもう一人の転入生の少女は一向に見つからずにいた。
(シアタールームにも大浴場付近にもいなかったな。まさか極度の方向音痴でどこかを彷徨っているんじゃ……)
暁が見つからないもう一人少女の心配をしている隣で、凛子は歩きながら目を輝かせていた。
「本当にいろんな設備が整っているんですね! 食堂、シアタールーム、それに大浴場……しかも生徒一人一人に個室まで! 事務所の合宿所よりも設備が豪華です!」
そう言ってキョロキョロと周りを見ている凛子。
「ははは! ありがとな、凛子。気に入ってくれたみたいで俺も嬉しいよ」
暁はそう言って凛子に笑いかけて、施設内の案内ともう一人の転入生の捜索を続けた。そして施設内を案内しているとき、凛子は終始楽しそうにしているようだった。
「そういえば、さっきしおんが言っていたけど、昔は天才子役だったんだっけ?」
暁は思い出したように凛子へそう問いかけた。
するとそれを聞いた凛子の表情が少しだけ曇ったが、その後はとびっきりの笑顔で暁に答える。
「昔の話なので、忘れちゃいました! それと今はアイドル活動が一番なんですよ! すごく充実していて楽しいですし、ファンのみんなもユニットのメンバーも大好きなんです☆」
凛子の言葉を聞いた暁は嬉しそうに微笑んだ。
(仲間やファンを信じて活動する……きっとこれがプロのアイドルってやつなのかもしれないな)
そう思いつつ暁は、
「そうか。そう思ってもらえるファンもメンバーも幸せだな!」
そう言って歯を見せて笑った。
「はい☆」
凛子は万遍の笑みでそう答えた。
暁はそんな凛子の笑顔を見ながら、ふと思った。
こんなに充実していた生活を送っていた凛子がなぜ、『白雪姫症候群』を発動したんだろう……。やっぱり仕事が忙しいことが原因のストレスとかなのか? なんにしても、凛子がここで暮らす間くらいはゆっくりとした時間を過ごせるようにしよう――と。
そして暁は微笑む凛子を見守ったのだった。
「ここでみんな揃って食事を摂っているんだよ」
「へぇ。ちゃんとしているんですねえ」
凛子はそう言って、食堂の中を歩き回る。
「調理スペースもあるんですね」
しおんはそう言って奥にある調理スペースに入っていった。
それぞれの行動を取る2人の姿を見ながら、暁はふと先に建物に向かった少女のことを思い出す。
「そういえば、もう一人はどこへ行ったんだ……」
(初めての施設できっとどこに何があるかなんてわかるはずもないだろうから、今頃、建物内を彷徨っているかもしれないな……)
暁がそんなことを思いながら悩んでいると、食堂にまゆおがやってきた。
「先生、おはようございます。……もしかして転入生の人たちですか?」
まゆおはそう言いながら、暁の隣に立つ。
「ああ、そうだ。……しおん! 凛子も! ちょっといいか?」
暁は食堂内を探索中の2人に声を掛けた。
「はあい!」
「どうしたんですか?」
暁の声に反応して、しおんと凛子は暁の元に戻った。そして暁の隣に立つまゆおを見ると、
「ここに暮らしている人っすね! 俺は鳴海しおんです。よろしくお願いします」
「私は知立凛子です! よろしくお願いします☆」
しおんはぺこっと頭を下げ、凛子は敬礼ポーズをとりながら、それぞれの自己紹介をした。
「丁寧にありがとうございます。僕は狭山まゆおと言います。これからよろしくお願いします。今は高校2年生で、ここには中学1年生の途中からいるので今年で4年目になります。何か困ったことがあれば、なんでも相談してください」
そう言ってから丁寧に頭を下げるまゆお。
「まゆおはしっかり者だから、何かあれば頼りにするといい。きっとお前たちの力になってくれるからな!」
暁がそう言うと、まゆおは恥ずかしそうに両手を前に出して答える。
「そ、そんなことないです! 僕なんて、まだまだ頼りなくて……真一君や桑島さんの方が、僕なんかよりもずっと頼りになりますから!!」
「そう照れるなって! ……あ、そうだ! まゆお、しおんを男子の生活スペースまで案内してやってくれないか? 俺はちょっと人探しをしなくちゃいけなくて」
「人探しですか? まあそういう事なら、わかりました!」
そう言って微笑むまゆお。
「助かるよ! ありがとな!」
暁はそう言いながら、まゆおの前で両手を合わせる。
「あ……でも知立さんはどうするんですか? 僕は女子の生活スペースには入れないですよ?」
まゆおは凛子に視線を向けて暁に問う。
「ああ、凛子はいいよ。俺と一緒にもう一人を発見してから、マリアにお願いしようと思っているんだ。だからしおんを頼むよ」
「わかりました。じゃあ行こうか。えっと……しおん君?」
「うっす!」
そしてまゆおとしおんは食堂を出て行った。
それから暁は凛子に視線を向けると、
「じゃあ俺たちも行こうか」
凛子にそう言って微笑んだ。
「はあい!」
凛子は元気に返事をしてから2人は食堂を出たのだった。
暁は凛子に施設内を案内するついでにもう一人の女子生徒を探していた。
「あいつ、どこいったんだ……?」
ここの施設はいつもお世話になっている研究所ほど広くはないため、人の捜索は難しくないはず。しかしもう一人の転入生の少女は一向に見つからずにいた。
(シアタールームにも大浴場付近にもいなかったな。まさか極度の方向音痴でどこかを彷徨っているんじゃ……)
暁が見つからないもう一人少女の心配をしている隣で、凛子は歩きながら目を輝かせていた。
「本当にいろんな設備が整っているんですね! 食堂、シアタールーム、それに大浴場……しかも生徒一人一人に個室まで! 事務所の合宿所よりも設備が豪華です!」
そう言ってキョロキョロと周りを見ている凛子。
「ははは! ありがとな、凛子。気に入ってくれたみたいで俺も嬉しいよ」
暁はそう言って凛子に笑いかけて、施設内の案内ともう一人の転入生の捜索を続けた。そして施設内を案内しているとき、凛子は終始楽しそうにしているようだった。
「そういえば、さっきしおんが言っていたけど、昔は天才子役だったんだっけ?」
暁は思い出したように凛子へそう問いかけた。
するとそれを聞いた凛子の表情が少しだけ曇ったが、その後はとびっきりの笑顔で暁に答える。
「昔の話なので、忘れちゃいました! それと今はアイドル活動が一番なんですよ! すごく充実していて楽しいですし、ファンのみんなもユニットのメンバーも大好きなんです☆」
凛子の言葉を聞いた暁は嬉しそうに微笑んだ。
(仲間やファンを信じて活動する……きっとこれがプロのアイドルってやつなのかもしれないな)
そう思いつつ暁は、
「そうか。そう思ってもらえるファンもメンバーも幸せだな!」
そう言って歯を見せて笑った。
「はい☆」
凛子は万遍の笑みでそう答えた。
暁はそんな凛子の笑顔を見ながら、ふと思った。
こんなに充実していた生活を送っていた凛子がなぜ、『白雪姫症候群』を発動したんだろう……。やっぱり仕事が忙しいことが原因のストレスとかなのか? なんにしても、凛子がここで暮らす間くらいはゆっくりとした時間を過ごせるようにしよう――と。
そして暁は微笑む凛子を見守ったのだった。
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