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第4章 過去・今・未来
第30話ー⑥ それは幸せな物語
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神宮寺家に来てから数時間後。俺は部屋の窓から見えた空が薄暗くなり始めていることを知った。
そして時計に目を向けると、時刻はまもなく『17時』になろうとしていた。
「もうこんな時間か……そろそろ帰るよ」
俺がそう言って立ち上がると、
「では、施設までお送り致しますね。もちろん私もご一緒に」
奏多は立ち上がりながらそう言った。
「え、でも……それじゃ、奏多が」
「うふふ。いいんです。だって少しでも長く、先生と一緒にいたいんですから」
そう言って微笑む奏多。
そんな奏多の想いが嬉しくて、俺は思わず笑みがこぼれる。
「ははは。ありがとう、奏多。嬉しいよ」
それから俺たちは部屋を出て、玄関へと向かった。その途中の廊下で後ろから俺を呼ぶ声がした。
「三谷さん! もう帰りですか?」
その声に振り返ると、そこには奏多によく似た女性が柔らかな笑顔で俺を見ていた。
「お母様! 帰っていらしたのですか?」
「お、お母様!?」
少し似ているとは思ったけど、まさか奏多のお母さんだったなんて……失礼のないようにしないと。
そんなことを思い、俺はお母さんの方を向いてまっすぐに立った。
「今日は早めに仕事が終わったのよ」
「そう、でしたか」
そう言う奏多の方を見ると、その横顔は少し不安げだった。
奏多は両親と良好な関係を築いていると思っていたけど、もしかして違うのか……。
そんなことを思いつつ、俺はそんな奏多の横顔を見ていた。
「奏多、三谷さんを連れてくるなら、連れてくるって前もって言ってちょうだいよ。何かご用意したのに! ごめんなさいね、何もおもてなしができなくて」
奏多のお母さんは申し訳なさそうな顔で俺に言った。
「いえ! 自分もお母さんがご帰宅されていたのに、ご挨拶もなくてすみませんでした」
「いいのよ、そんなこと。またわが家へいらしたときは、奏多との思い出話をゆっくりと聞かせてくださいね。もちろんその時はお父さんも一緒に。うふふ」
「ちょ……もう、お母様!!」
そう言って顔が真っ赤になる奏多。
奏多が不安な顔をしたのは、お母さんのいたずらを危惧してのことだったという事なんだな。そして奏多のたまに意地悪なところは、お母さん譲りなのかもしれない――。
そんなことを思いながら、俺は二人のやり取りを見ていた。
「では、お気をつけて」
そう言ってニコッと微笑み、奏多のお母さんはその場を後にした。
「すみません、先生。お母様が勝手なことを……」
奏多はそう言って、申し訳なさそうな表情をしていた。
「謝ることなんてないさ。でも、すごく素敵なお母さんなんだな」
「ええ。たまに意地悪な時はありますが、優しくて頭が良くて。そしてかっこいい自慢のお母様です」
そう言って誇らしげに話す奏多に、俺は心が温かくなるのを感じた。家族の絆は素敵だな――と。
「じゃあ施設に向かいましょうか。あまり遅くなるとよろしくないですよね」
「そうだな。急ごう!」
そして俺たちは車に乗り込み、施設に向かって走りだした。
帰りの途中、車の窓からクリスマスカラーのイルミネーションが見えた。
「綺麗ですね」
奏多はそう言って目を輝かせながら、イルミネーションを見ていた。
そんな奏多を見て、
「夜の街も歩いてみたかったな」
俺はそう呟いた。
すると奏多は俺の方を向き、
「そうですね。でもそれはまた今度にしましょう。来年でも再来年でもまだいくらでもチャンスはありますから」
と笑顔で答えた。
奏多がそう言ってくれることはとても嬉しく思った。でも奏多は俺よりも若いし、きっとこれからまだ素敵な出会いがある可能性だって……。
「でも奏多の気が変わって、来年からはもう一緒に過ごせないってこともあるかもしれないだろう?」
俺はそんな不安をふと口にしていた。
「そうですね。来年の今日がどうなっているかなんて、誰にもわからないことですものね。もしかしたら先生の気が変わっていて、来年は一緒に過ごせない可能性だってありますよ?」
奏多は顎に指を添えて、考えるしぐさをしながらそう言った。
「そんなことは絶対にない! 俺は来年も奏多と過ごしたいって思ってる。もちろん再来年もその先もずっと……」
って俺、奏多に何を言っているんだよ!
俺は自分で言った言葉に急に恥ずかしくなった。
「ふふふ。私も同じ思いですよ、先生」
そう言って、肩を寄せる奏多。
「……」
「……」
そして俺たちの間には沈黙の時間が流れる。
この瞬間、俺の心臓の鼓動の音は外に聞えるんじゃないかってくらいに波打っていた。
このまま奏多とずっと、一緒に……。
そう思った俺は、奏多への今の想いを告げることにした。伝えなかったことを後悔しないように――。
「奏多、好きだよ」
俺がそう言うと奏多はくすっと笑い、
「……私もです」
と俺の方を向いてそう言いながら、そっと俺の手に自分の手を重ねた。
自分より冷たい奏多の手の感触が伝わり、俺の胸の鼓動がさらに高鳴る。
――さすがにこの鼓動は聞こえていない、よな!?
そんなことを思いつつ、俺は近くにいる奏多にドキドキして何も言葉を発することができずにいた。
俺の想い、ちゃんと奏多に伝わったのかな――。
そう思った俺は奏多の方をちらりと見ると、奏多が微笑んでいるのが見えた。
――よかった。ちゃんと伝わったんだな。
俺はそう思いながら、ほっと胸を撫でおろした。
それからも俺たちは言葉を交わさず、二人だけの静かな時間を過ごしたのだった。
そして俺たちを乗せた車が、目的地である保護施設に到着した。
「着いたみたいだな」
「ええ」
「じゃあ、またな」
そう言って俺が車を降りようとした時、「先生!」と奏多から急に呼ばれた。
そしてその声に俺が振り返ると、俺の目の前には奏多の顔があった。
――そう。これが俺のファーストキスだった。
それから奏多は俺から離れて、
「じゃあまた明日」
と顔を真っ赤にしながらそう言った。
「あ、ああ」
俺はそう言って呆然としながら車を降りると、奏多を乗せた車は走り去っていった。
俺は一瞬のことで理解が追い付かず、しばらくその場に立ち尽くしていた。
俺、奏多と……!?
そしてさっきの現実をじわじわと実感する。
「うわあああ!」
俺はそう叫びながら、エントランスゲートの前で悶絶していた。
それから気持ちを落ち着けた後、俺はエントランスゲートを潜り建物の中に戻った。
そして時計に目を向けると、時刻はまもなく『17時』になろうとしていた。
「もうこんな時間か……そろそろ帰るよ」
俺がそう言って立ち上がると、
「では、施設までお送り致しますね。もちろん私もご一緒に」
奏多は立ち上がりながらそう言った。
「え、でも……それじゃ、奏多が」
「うふふ。いいんです。だって少しでも長く、先生と一緒にいたいんですから」
そう言って微笑む奏多。
そんな奏多の想いが嬉しくて、俺は思わず笑みがこぼれる。
「ははは。ありがとう、奏多。嬉しいよ」
それから俺たちは部屋を出て、玄関へと向かった。その途中の廊下で後ろから俺を呼ぶ声がした。
「三谷さん! もう帰りですか?」
その声に振り返ると、そこには奏多によく似た女性が柔らかな笑顔で俺を見ていた。
「お母様! 帰っていらしたのですか?」
「お、お母様!?」
少し似ているとは思ったけど、まさか奏多のお母さんだったなんて……失礼のないようにしないと。
そんなことを思い、俺はお母さんの方を向いてまっすぐに立った。
「今日は早めに仕事が終わったのよ」
「そう、でしたか」
そう言う奏多の方を見ると、その横顔は少し不安げだった。
奏多は両親と良好な関係を築いていると思っていたけど、もしかして違うのか……。
そんなことを思いつつ、俺はそんな奏多の横顔を見ていた。
「奏多、三谷さんを連れてくるなら、連れてくるって前もって言ってちょうだいよ。何かご用意したのに! ごめんなさいね、何もおもてなしができなくて」
奏多のお母さんは申し訳なさそうな顔で俺に言った。
「いえ! 自分もお母さんがご帰宅されていたのに、ご挨拶もなくてすみませんでした」
「いいのよ、そんなこと。またわが家へいらしたときは、奏多との思い出話をゆっくりと聞かせてくださいね。もちろんその時はお父さんも一緒に。うふふ」
「ちょ……もう、お母様!!」
そう言って顔が真っ赤になる奏多。
奏多が不安な顔をしたのは、お母さんのいたずらを危惧してのことだったという事なんだな。そして奏多のたまに意地悪なところは、お母さん譲りなのかもしれない――。
そんなことを思いながら、俺は二人のやり取りを見ていた。
「では、お気をつけて」
そう言ってニコッと微笑み、奏多のお母さんはその場を後にした。
「すみません、先生。お母様が勝手なことを……」
奏多はそう言って、申し訳なさそうな表情をしていた。
「謝ることなんてないさ。でも、すごく素敵なお母さんなんだな」
「ええ。たまに意地悪な時はありますが、優しくて頭が良くて。そしてかっこいい自慢のお母様です」
そう言って誇らしげに話す奏多に、俺は心が温かくなるのを感じた。家族の絆は素敵だな――と。
「じゃあ施設に向かいましょうか。あまり遅くなるとよろしくないですよね」
「そうだな。急ごう!」
そして俺たちは車に乗り込み、施設に向かって走りだした。
帰りの途中、車の窓からクリスマスカラーのイルミネーションが見えた。
「綺麗ですね」
奏多はそう言って目を輝かせながら、イルミネーションを見ていた。
そんな奏多を見て、
「夜の街も歩いてみたかったな」
俺はそう呟いた。
すると奏多は俺の方を向き、
「そうですね。でもそれはまた今度にしましょう。来年でも再来年でもまだいくらでもチャンスはありますから」
と笑顔で答えた。
奏多がそう言ってくれることはとても嬉しく思った。でも奏多は俺よりも若いし、きっとこれからまだ素敵な出会いがある可能性だって……。
「でも奏多の気が変わって、来年からはもう一緒に過ごせないってこともあるかもしれないだろう?」
俺はそんな不安をふと口にしていた。
「そうですね。来年の今日がどうなっているかなんて、誰にもわからないことですものね。もしかしたら先生の気が変わっていて、来年は一緒に過ごせない可能性だってありますよ?」
奏多は顎に指を添えて、考えるしぐさをしながらそう言った。
「そんなことは絶対にない! 俺は来年も奏多と過ごしたいって思ってる。もちろん再来年もその先もずっと……」
って俺、奏多に何を言っているんだよ!
俺は自分で言った言葉に急に恥ずかしくなった。
「ふふふ。私も同じ思いですよ、先生」
そう言って、肩を寄せる奏多。
「……」
「……」
そして俺たちの間には沈黙の時間が流れる。
この瞬間、俺の心臓の鼓動の音は外に聞えるんじゃないかってくらいに波打っていた。
このまま奏多とずっと、一緒に……。
そう思った俺は、奏多への今の想いを告げることにした。伝えなかったことを後悔しないように――。
「奏多、好きだよ」
俺がそう言うと奏多はくすっと笑い、
「……私もです」
と俺の方を向いてそう言いながら、そっと俺の手に自分の手を重ねた。
自分より冷たい奏多の手の感触が伝わり、俺の胸の鼓動がさらに高鳴る。
――さすがにこの鼓動は聞こえていない、よな!?
そんなことを思いつつ、俺は近くにいる奏多にドキドキして何も言葉を発することができずにいた。
俺の想い、ちゃんと奏多に伝わったのかな――。
そう思った俺は奏多の方をちらりと見ると、奏多が微笑んでいるのが見えた。
――よかった。ちゃんと伝わったんだな。
俺はそう思いながら、ほっと胸を撫でおろした。
それからも俺たちは言葉を交わさず、二人だけの静かな時間を過ごしたのだった。
そして俺たちを乗せた車が、目的地である保護施設に到着した。
「着いたみたいだな」
「ええ」
「じゃあ、またな」
そう言って俺が車を降りようとした時、「先生!」と奏多から急に呼ばれた。
そしてその声に俺が振り返ると、俺の目の前には奏多の顔があった。
――そう。これが俺のファーストキスだった。
それから奏多は俺から離れて、
「じゃあまた明日」
と顔を真っ赤にしながらそう言った。
「あ、ああ」
俺はそう言って呆然としながら車を降りると、奏多を乗せた車は走り去っていった。
俺は一瞬のことで理解が追い付かず、しばらくその場に立ち尽くしていた。
俺、奏多と……!?
そしてさっきの現実をじわじわと実感する。
「うわあああ!」
俺はそう叫びながら、エントランスゲートの前で悶絶していた。
それから気持ちを落ち着けた後、俺はエントランスゲートを潜り建物の中に戻った。
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