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第4章 過去・今・未来
第29話ー② 風は吹いている
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「やっぱり人は信じられないな……」
僕は誰にも聞こえない声で、そう呟いた。
それからまゆおは手にもっている刀になったリモコンを僕に振り降ろす。
僕は紙一重でその刀を躱し、身構える。
まゆおも体勢を立て直し、僕の顔を鋭く睨みつける。
「なかなかやるみたいだね、真一君も」
「それはどうも」
そしてまゆおは息を整えると、今度は次々と技を繰り出していった。
僕は何とかその技を躱せるものの、躱すことが精一杯でまとも反撃はできなかった。
「仲間とか友情とか言っても、まゆおも結局は自分のことしか考えていないんだね」
僕は技をよけながら、嫌味を込めてまゆおにそう言った。
「仲間の尊さや友情から得る力の大きさがわからない君に、そんなことを言われる筋合いはないよ!」
いつものまゆおにはない、とても強気な発言に僕は少々驚いた。
まゆおはいつからこんなに変わったんだろう……。一年前はもっと弱気で、誰かに言い返すなんてことはなかったはずなのに。
それからまゆおの繰り出す技がどんどん鋭く、そして速度が増していくのを感じた。
僕の能力は接近戦には向かない……だからある程度の距離を取らないと僕は能力は使えない。このまま押され続けていると、この勝負の結果は明白だ。
「まずいな……」
僕がそう思ったとき。
「ちょっと! 二人とも何してるの!!」
僕たちを静止するキリヤの声が聞こえた。
そしてそれと同時に僕とまゆおの足元が氷に覆われて動けなくなった。
「キ、リヤ……」
静止されるまでは気が付かなかったけれど、僕とまゆおはお互いに息が切れていた。
「止めないで、キリヤ君。僕は、真一君と決着をつけなくちゃいけない。この間の襲撃事件の時の言動もそうだけど、僕はいろはちゃんの代わりを誰かにしてもらおうなんて思っていないよ!! 僕はただ変わりたいだけなんだ!」
まゆおは必死にそう叫んでいた。
「はあ、真一。まゆおに何を言ったの?」
キリヤはあきれ顔で僕にそう尋ねた。
「いろはの身代わりにしようとしているって……」
僕はもごもごしながらキリヤにそう答えた。
そしてそれを聞いたキリヤは、腰に手を当てて僕の顔を見つめながら、
「真一、それは真一が悪いよ。ちゃんと謝って」
真面目な表情でそう言った。
キリヤはまゆおがまだいろはのことで気に病んでいることをなんとなく察しているからこそ、そう言ったんだと思った。
僕だってそれくらいのことはわかっているつもりだったのに、なんであんなことを言ってしまったのか。
冷静になった僕は、今更自分の行いを後悔した。
「……ごめん、まゆお。僕もちょっと言い過ぎた」
僕が謝るとまゆおも頭が冷えたのか、リモコンを持っていた腕を下ろし、ばつが悪そうな表情をする。
「僕も熱くなってごめんね……。真一君の気持ちも考えずにしつこかったよね」
僕とまゆおがそれぞれ謝罪したところを見たキリヤは笑顔になる。
「これで仲直りだね。もう喧嘩しないでよ? それとここの片づけは二人でやってよね?」
僕はキリヤの言葉を聞いてから周りを見渡すと、せっかく片付けた共同スペースは物が散乱してぐちゃぐちゃになっていることを知った。
「はあ。わかった」
「結局、二人でやり直しになっちゃったね」
まゆおはそう言って、苦笑いをしていた。
それから僕は早速行動しようと足を動かしたけれど、キリヤの能力のせいで僕はその場から動けなかった。
「ねえ。この氷、何とかしてくれない? 動けないんだけど」
僕はキリヤに不満を告げると、
「わかった」
キリヤはそう言ってから僕たちの氷を溶かし、部屋に戻っていった。
それから僕は、まゆおと共に共同スペースの片づけをしていた。
「……」
僕は何も言わずに作業をするまゆおの横顔をちらりと見つめた。
こういう時にまゆおが何も言ってこないことは珍しい。やっぱりまださっきのことを怒っているのだろうか。
僕はふいにそんなことを思っていた。
それからも僕たちは一言も言葉を交わすことなく、黙々と作業をこなしていった。
そして半分くらい片付いたところで、僕はその場に腰を下ろした。
「ふう。ちょっと休憩……」
僕がそう言うと、そんな僕の言葉を聞いたまゆおは「そうだね」と言ってその場に座った。
「……」
「……」
休憩中もまゆおは相変わらず何も言ってこない。いつもならそれでちょうどいいはずなのに、今はなぜか少しの気持ち悪さがあった。
それからまた少しの沈黙ののちにまゆおは急に何かを決心したように頷くと、僕の方に顔を向けてゆっくりと口を開き尋ねる。
「ねえ、真一君。なんであんなことを言ったの? 普段の真一君なら、あんなに熱くなることなんてないのにさ」
僕もまゆおの言う通りだと思った。いつもの僕ならスルー出来たことだったけど、でも今日の僕はできなかった。
それはたぶん、さっきのテレビのせいだ。
「……ちょっと嫌なことを思い出していたから、機嫌が悪かったのかもね」
僕がそう言うと、まゆおは首をかしげた。
「嫌なこと?」
「……」
「その様子は話したくないって感じだね」
まゆおはそう言って僕から視線を移し、天井を見上げていた。
「じゃあいいよ。無理に話してくれなくても。昔の真一君に何があったかなんて僕は知らないし、知るつもりもない。だって僕が知っているのは、ここに来てからの真一君だけだからね」
僕はそれ以上聞いてこないまゆおに驚いた。何があったの? 仲間なんだから、僕にも話してよ! とか言ってくるものだと思っていたから。
「仲間至上主義のまゆおなら、しつこく聞いてくると思っていたけど」
「僕だって、察することくらいできるよ。何年一緒に過ごしていると思ってるの?」
まゆおはそう言いながら、僕に微笑みかける。
「……そうだね」
「僕たちは友達じゃなければ、本当の家族でもない。でもここで一緒に過ごしてきた仲間であることに変わりはないって僕は思っている」
「……」
「真一君は、そういうのが嫌いだってことは知っているけど……でも何かあれば僕は真一君を助けたいし、力になりたいって思っていることだけは忘れないでね。君は一人じゃない」
まゆおはまたそんなことを平然と言うのか……。僕にとって仲間も友達も必要ないものなのに。
でも、ほんの少しだけ僕は……いや。気のせいか。
「はあ。まゆおはやっぱり鬱陶しいよね」
僕がため息交じりにそう言うと、
「え!? 僕、今すごくいい事言っていたと思うんだけど……」
まゆおは困った顔でそう返した。
「鬱陶しいけど、でもまゆおの気持ちは分かったよ。……でも僕は僕を曲げない。だから僕は今まで通り、一人で生きていく」
僕はそう言ってから立ち上がり、再び片づけを始めた。
「じゃあ僕も僕を曲げないよ」
そう言ってまゆおも立ち上がり、作業を再開したのだった。
僕は誰にも聞こえない声で、そう呟いた。
それからまゆおは手にもっている刀になったリモコンを僕に振り降ろす。
僕は紙一重でその刀を躱し、身構える。
まゆおも体勢を立て直し、僕の顔を鋭く睨みつける。
「なかなかやるみたいだね、真一君も」
「それはどうも」
そしてまゆおは息を整えると、今度は次々と技を繰り出していった。
僕は何とかその技を躱せるものの、躱すことが精一杯でまとも反撃はできなかった。
「仲間とか友情とか言っても、まゆおも結局は自分のことしか考えていないんだね」
僕は技をよけながら、嫌味を込めてまゆおにそう言った。
「仲間の尊さや友情から得る力の大きさがわからない君に、そんなことを言われる筋合いはないよ!」
いつものまゆおにはない、とても強気な発言に僕は少々驚いた。
まゆおはいつからこんなに変わったんだろう……。一年前はもっと弱気で、誰かに言い返すなんてことはなかったはずなのに。
それからまゆおの繰り出す技がどんどん鋭く、そして速度が増していくのを感じた。
僕の能力は接近戦には向かない……だからある程度の距離を取らないと僕は能力は使えない。このまま押され続けていると、この勝負の結果は明白だ。
「まずいな……」
僕がそう思ったとき。
「ちょっと! 二人とも何してるの!!」
僕たちを静止するキリヤの声が聞こえた。
そしてそれと同時に僕とまゆおの足元が氷に覆われて動けなくなった。
「キ、リヤ……」
静止されるまでは気が付かなかったけれど、僕とまゆおはお互いに息が切れていた。
「止めないで、キリヤ君。僕は、真一君と決着をつけなくちゃいけない。この間の襲撃事件の時の言動もそうだけど、僕はいろはちゃんの代わりを誰かにしてもらおうなんて思っていないよ!! 僕はただ変わりたいだけなんだ!」
まゆおは必死にそう叫んでいた。
「はあ、真一。まゆおに何を言ったの?」
キリヤはあきれ顔で僕にそう尋ねた。
「いろはの身代わりにしようとしているって……」
僕はもごもごしながらキリヤにそう答えた。
そしてそれを聞いたキリヤは、腰に手を当てて僕の顔を見つめながら、
「真一、それは真一が悪いよ。ちゃんと謝って」
真面目な表情でそう言った。
キリヤはまゆおがまだいろはのことで気に病んでいることをなんとなく察しているからこそ、そう言ったんだと思った。
僕だってそれくらいのことはわかっているつもりだったのに、なんであんなことを言ってしまったのか。
冷静になった僕は、今更自分の行いを後悔した。
「……ごめん、まゆお。僕もちょっと言い過ぎた」
僕が謝るとまゆおも頭が冷えたのか、リモコンを持っていた腕を下ろし、ばつが悪そうな表情をする。
「僕も熱くなってごめんね……。真一君の気持ちも考えずにしつこかったよね」
僕とまゆおがそれぞれ謝罪したところを見たキリヤは笑顔になる。
「これで仲直りだね。もう喧嘩しないでよ? それとここの片づけは二人でやってよね?」
僕はキリヤの言葉を聞いてから周りを見渡すと、せっかく片付けた共同スペースは物が散乱してぐちゃぐちゃになっていることを知った。
「はあ。わかった」
「結局、二人でやり直しになっちゃったね」
まゆおはそう言って、苦笑いをしていた。
それから僕は早速行動しようと足を動かしたけれど、キリヤの能力のせいで僕はその場から動けなかった。
「ねえ。この氷、何とかしてくれない? 動けないんだけど」
僕はキリヤに不満を告げると、
「わかった」
キリヤはそう言ってから僕たちの氷を溶かし、部屋に戻っていった。
それから僕は、まゆおと共に共同スペースの片づけをしていた。
「……」
僕は何も言わずに作業をするまゆおの横顔をちらりと見つめた。
こういう時にまゆおが何も言ってこないことは珍しい。やっぱりまださっきのことを怒っているのだろうか。
僕はふいにそんなことを思っていた。
それからも僕たちは一言も言葉を交わすことなく、黙々と作業をこなしていった。
そして半分くらい片付いたところで、僕はその場に腰を下ろした。
「ふう。ちょっと休憩……」
僕がそう言うと、そんな僕の言葉を聞いたまゆおは「そうだね」と言ってその場に座った。
「……」
「……」
休憩中もまゆおは相変わらず何も言ってこない。いつもならそれでちょうどいいはずなのに、今はなぜか少しの気持ち悪さがあった。
それからまた少しの沈黙ののちにまゆおは急に何かを決心したように頷くと、僕の方に顔を向けてゆっくりと口を開き尋ねる。
「ねえ、真一君。なんであんなことを言ったの? 普段の真一君なら、あんなに熱くなることなんてないのにさ」
僕もまゆおの言う通りだと思った。いつもの僕ならスルー出来たことだったけど、でも今日の僕はできなかった。
それはたぶん、さっきのテレビのせいだ。
「……ちょっと嫌なことを思い出していたから、機嫌が悪かったのかもね」
僕がそう言うと、まゆおは首をかしげた。
「嫌なこと?」
「……」
「その様子は話したくないって感じだね」
まゆおはそう言って僕から視線を移し、天井を見上げていた。
「じゃあいいよ。無理に話してくれなくても。昔の真一君に何があったかなんて僕は知らないし、知るつもりもない。だって僕が知っているのは、ここに来てからの真一君だけだからね」
僕はそれ以上聞いてこないまゆおに驚いた。何があったの? 仲間なんだから、僕にも話してよ! とか言ってくるものだと思っていたから。
「仲間至上主義のまゆおなら、しつこく聞いてくると思っていたけど」
「僕だって、察することくらいできるよ。何年一緒に過ごしていると思ってるの?」
まゆおはそう言いながら、僕に微笑みかける。
「……そうだね」
「僕たちは友達じゃなければ、本当の家族でもない。でもここで一緒に過ごしてきた仲間であることに変わりはないって僕は思っている」
「……」
「真一君は、そういうのが嫌いだってことは知っているけど……でも何かあれば僕は真一君を助けたいし、力になりたいって思っていることだけは忘れないでね。君は一人じゃない」
まゆおはまたそんなことを平然と言うのか……。僕にとって仲間も友達も必要ないものなのに。
でも、ほんの少しだけ僕は……いや。気のせいか。
「はあ。まゆおはやっぱり鬱陶しいよね」
僕がため息交じりにそう言うと、
「え!? 僕、今すごくいい事言っていたと思うんだけど……」
まゆおは困った顔でそう返した。
「鬱陶しいけど、でもまゆおの気持ちは分かったよ。……でも僕は僕を曲げない。だから僕は今まで通り、一人で生きていく」
僕はそう言ってから立ち上がり、再び片づけを始めた。
「じゃあ僕も僕を曲げないよ」
そう言ってまゆおも立ち上がり、作業を再開したのだった。
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