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第4章 過去・今・未来
第28話ー① 繋がる絆
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俺は研究所に来ていた。
所長にシロが過去に戻ったことを報告することと、もう一つ目的があったからだ。
「そうか、シロくんが。わかった、ありがとう」
「所長はシロが過去から来たことに驚かないのですね」
俺の問いに、所長は顔色を変えずに答える。
「まあ、『白雪姫症候群』が当たり前の時代だからね。そんな事例があってもおかしくはないさ」
「そう、ですか」
「何か聞きたそうな顔をしているね?」
俺の納得のいかない表情を見た所長が、俺に問う。
「そんなことはないです」
「ふふ。そうか。まあいずれわかることだとは思うけどね」
所長はそう言いながら、窓の外を見つめる。
「わかりました」
俺がそう言うと、所長は振り返り笑顔を作りながら、何かを思い出したように俺に告げる。
「そういえば、君はもう帰るのかい? もし時間があるのなら、新作のコーヒーが……」
「いえ、今日は他に約束があるので」
俺がそう答えると所長は少し落ち込んだ表情をしていた。
「ああ。そうか……じゃあまた今度にしよう」
「すみません」
俺が申し訳なさそうにそう言うと所長は笑いながら、
「いやいや、構わんよ」
優しくそう言ってくれた。
それから俺は所長室を出て、研究所に併設されているカフェへ向かった。
カフェに着くと、多くの人でごった返していた。
「まあ平日の昼飯時だし、当たり前か……」
俺が入り口で棒立ちをしていると、後ろから腕を掴まれて引っ張られる。
「こっち」
その方に目を向けると、そこには白銀さんの姿があった。
「白銀さん!?」
そして俺は白銀さんに連れられて、外にある非常階段の踊り場に来ていた。
「ここ、景色が綺麗なんだ」
そう言いながら、白銀さんはそこから見える景色を楽しんでいた。
「白銀さん、あの……」
「約束を果たしに来たんだろう。暁先生?」
「……はい」
そして白銀さんは手首に着けているブレスレットを見せる。
「マリアお姉ちゃんが最後にくれたブレスレットだよ。……久しぶりだね。シロとして会うのは20年ぶりなのかな」
それを見た俺はシロが無事だったことに安堵して、大きな息が漏れる。
「……よかった。ちゃんと生きていてくれて」
「あれからいろいろあったけど、私は今日まで無事に生きてくることができた。先生たちに会いたい一心と、所長の櫻井さんのおかげでね」
そう言って微笑む白銀さん。
「やっぱり所長は知っていたんですね。シロのことも……」
「そう、だね」
白銀さんの表情が陰る。
「じゃあこの間の襲撃事件のこともわかっていたんですか?」
「ああ。私はあの事件がきっかけで記憶を取り戻すからね。だから私は歴史を変えない為に行動した。……生徒たちに危険なことをさせてしまって、本当にすまなかった」
白銀さんはそう言いながら、頭を下げた。
「頭を上げてください、白銀さん。誰も犠牲にはならなかったし、それにあの事件は白銀さん自身もリスクがある行為だったでしょう?」
「そう、だね。時間の軸の中でうまくいかなかった私もいるからね。この時間軸は正しいルートに進んでくれたようだ」
白銀さんは顔を上げると、とても安心した表情をしていた。きっとシロがここへ来てからずっと不安だったんだろう。
今回の世界はどうなるのか、自分はどんな選択を取るのかと……。
そして白銀さんはすっきりとした顔で笑う。
「そういう意味では、みんなの行動に感謝しなくちゃいけないね。ありがとう。先生や施設のみんなのおかげだよ」
「いいえ、俺は何も。白銀さんが自ら掴んだ未来です」
俺がそう言うと、白銀さんはニコッと微笑む。
「ありがとう、暁先生」
そして俺は白銀さんの顔をまっすぐに見つめ、問いかける。
「……白銀さん。白銀さんが過去に戻った後の話って、聞いてもいいですか?」
「ああ。でもここだと、立ち話になってしまうけどいいかい?」
「はい」
「わかった」
それから白銀さんは俺たちと別れた後のことを話し始めた。
所長にシロが過去に戻ったことを報告することと、もう一つ目的があったからだ。
「そうか、シロくんが。わかった、ありがとう」
「所長はシロが過去から来たことに驚かないのですね」
俺の問いに、所長は顔色を変えずに答える。
「まあ、『白雪姫症候群』が当たり前の時代だからね。そんな事例があってもおかしくはないさ」
「そう、ですか」
「何か聞きたそうな顔をしているね?」
俺の納得のいかない表情を見た所長が、俺に問う。
「そんなことはないです」
「ふふ。そうか。まあいずれわかることだとは思うけどね」
所長はそう言いながら、窓の外を見つめる。
「わかりました」
俺がそう言うと、所長は振り返り笑顔を作りながら、何かを思い出したように俺に告げる。
「そういえば、君はもう帰るのかい? もし時間があるのなら、新作のコーヒーが……」
「いえ、今日は他に約束があるので」
俺がそう答えると所長は少し落ち込んだ表情をしていた。
「ああ。そうか……じゃあまた今度にしよう」
「すみません」
俺が申し訳なさそうにそう言うと所長は笑いながら、
「いやいや、構わんよ」
優しくそう言ってくれた。
それから俺は所長室を出て、研究所に併設されているカフェへ向かった。
カフェに着くと、多くの人でごった返していた。
「まあ平日の昼飯時だし、当たり前か……」
俺が入り口で棒立ちをしていると、後ろから腕を掴まれて引っ張られる。
「こっち」
その方に目を向けると、そこには白銀さんの姿があった。
「白銀さん!?」
そして俺は白銀さんに連れられて、外にある非常階段の踊り場に来ていた。
「ここ、景色が綺麗なんだ」
そう言いながら、白銀さんはそこから見える景色を楽しんでいた。
「白銀さん、あの……」
「約束を果たしに来たんだろう。暁先生?」
「……はい」
そして白銀さんは手首に着けているブレスレットを見せる。
「マリアお姉ちゃんが最後にくれたブレスレットだよ。……久しぶりだね。シロとして会うのは20年ぶりなのかな」
それを見た俺はシロが無事だったことに安堵して、大きな息が漏れる。
「……よかった。ちゃんと生きていてくれて」
「あれからいろいろあったけど、私は今日まで無事に生きてくることができた。先生たちに会いたい一心と、所長の櫻井さんのおかげでね」
そう言って微笑む白銀さん。
「やっぱり所長は知っていたんですね。シロのことも……」
「そう、だね」
白銀さんの表情が陰る。
「じゃあこの間の襲撃事件のこともわかっていたんですか?」
「ああ。私はあの事件がきっかけで記憶を取り戻すからね。だから私は歴史を変えない為に行動した。……生徒たちに危険なことをさせてしまって、本当にすまなかった」
白銀さんはそう言いながら、頭を下げた。
「頭を上げてください、白銀さん。誰も犠牲にはならなかったし、それにあの事件は白銀さん自身もリスクがある行為だったでしょう?」
「そう、だね。時間の軸の中でうまくいかなかった私もいるからね。この時間軸は正しいルートに進んでくれたようだ」
白銀さんは顔を上げると、とても安心した表情をしていた。きっとシロがここへ来てからずっと不安だったんだろう。
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そして白銀さんはすっきりとした顔で笑う。
「そういう意味では、みんなの行動に感謝しなくちゃいけないね。ありがとう。先生や施設のみんなのおかげだよ」
「いいえ、俺は何も。白銀さんが自ら掴んだ未来です」
俺がそう言うと、白銀さんはニコッと微笑む。
「ありがとう、暁先生」
そして俺は白銀さんの顔をまっすぐに見つめ、問いかける。
「……白銀さん。白銀さんが過去に戻った後の話って、聞いてもいいですか?」
「ああ。でもここだと、立ち話になってしまうけどいいかい?」
「はい」
「わかった」
それから白銀さんは俺たちと別れた後のことを話し始めた。
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