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第4章 過去・今・未来
第26話ー④ 未来へ進む路
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俺は所長室に到着し、部屋の扉をノックする。
部屋の中から、「どうぞ」と所長の声が聞こえた。
それから俺は扉を開け、部屋に入った。
「やあ。よく来たね」
所長はソファに座り微笑みながら、そう言った。
「今日はどんなご用件でしょうか?」
俺がそう所長に問うと、
「まあそこに座りなさい」
と所長は自分の正面に座るよう俺にそう言った。
そして俺は所長に言われるがまま、ソファに腰を掛ける。
「そういえば、いいコーヒーが入ったんだ。君も飲むだろう?」
「は、はあ。では、いただきます」
俺がそう言うと、所長は楽しそうに部屋の奥にある給湯室へ向かい、コーヒーの準備をしていた。
「さあどうぞ」
「ありがとうございます」
そして所長から差し出されたコーヒーはとても香ばしい香りが広がっており、質のいいコーヒーだということがすぐにわかった。
でもわざわざなぜ、こんないいものを用意して待っていたのだろうか。
もしかして優香の飛び級の件のことを考え直してくれとでもいうつもりなんじゃ……
じゃあ、もしかして……このコーヒーは承諾させるための人参か?
一杯のコーヒーを前に、俺はいろんな考えが頭をよぎる。
「ん? どうしたんだい? 飲まないのかい?」
「い、いや。あの、少し考え事を……」
「そうか。それと一つ言っておくと、このコーヒーに深い意味はないよ。ただ君とコーヒーを飲みたいと思っただけのことさ。だから何も気にせずに飲んでくれ」
「は、はい」
所長もそういっていることだし、信じてみようかな。
そうして俺はようやくコーヒーに口をつけた。
「あ、おいしいですね」
俺はそのコーヒーを口にして、純粋に思ったことを口にしていた。
「そうだろう。ようやく手に入れた代物なんだ! いやあ。やっぱり普段の安物とは比べ物にならないくらい、品のいい口当たりだ!! 香りも……本当に素晴らしい!」
所長は幸せそうにコーヒーについて語っていた。
普段は大人の雰囲気を出している所長だが、たまには無邪気に好きなものに浸りたいときだってあるんだなと俺はそう思った。
「そうだ。いつまでもコーヒーに浸っている場合じゃないですよ! 俺をここに呼んだ理由はなんですか!!」
「お! すまん、すまん!」
所長はすっかり忘れていたようで、申し訳なさそうな顔を俺に向ける。
それから所長は本題に入る。
「実は先日の優香君の飛び級の件だ」
俺は息をのんだ。
「もしかして、やっぱり無しとかじゃないですよね?」
「いや。それはないさ。優香君の飛び級は認める。だが、それには条件がある!!」
「条件……?」
「ああ。高校3年生レベルの学力が備わっていることが確認できたら、飛び級は認める。まあ今の優香君ならば、十分だと思うがね」
「なるほど……でもそれってどうやって確認するんですか?」
「普段の授業で使用しているタブレットがあるだろう? それで高校3年生までの範囲を卒業するまでに終わらせること。それが条件だ」
「それって、かなり大変なんじゃ……」
2年生の範囲とプラスアルファで3年生の範囲まで。
しかも残り5か月ほどで終わらせることは可能なんだろうか。
「そうだ。これはかなりリスクのある挑戦だ。下手をすれば、剛君のように成りかねない」
剛のように……。
俺はその言葉に、気持ちが揺らぐ。
キリヤたちには自分のやりたいことをやってほしいと思っているけれど、でも無理をして、能力が暴走してしまったら……
「君の返答次第で、優香君の飛び級の話がどうなるかが決まる。さあ選んでくれ。時間はないぞ」
所長は真剣な顔で、俺に告げた。
今決めろと所長はそう言っているんだと思った。
そして俺はキリヤと職員室で話したことを思い出す。
――僕は先生みたいに教師にはなれなくても、違う方法で同じ境遇の子供たちを救いたいんだ!!
あの時のキリヤは本気だった。
そんなキリヤの進む路を俺は妨げたくない。
優香には確かに負担になるかもしれないけれど、でもきっと俺やキリヤがそばにいれば大丈夫だ。同じ過ちは絶対に繰り返さない。
俺は教師として、生徒たちの未来を支えるんだ。
俺は決意を固めて、所長に答えた。
「俺は優香を信じます。剛のようにならないように、俺とキリヤで彼女を支えます!!」
コーヒーを飲みながら、所長は微笑む。
「そうか。では、私も精一杯の手助けはしよう。4月に二人そろって、研究所に来てくれることを楽しみにしているよ」
それから俺はコップのコーヒーを飲みほして、所長室を後にした。
「これからが大変だな。よし!!」
そして俺は施設に戻った。
施設に戻った俺は早速キリヤと優香を職員室に呼び出して、飛び級の条件に付いて話した。
「以上が所長から出された条件だ」
それを聞いたキリヤは心配そうな表情を浮かべる。
しかしそれとは反対にケロッとしている優香。
「優香、大丈夫そうか?」
「ふふふ。もちろん問題ありません。もともとお勉強は嫌いではないですし、キリヤ君との今後が関わっているならば、なおさら気合が入ります!!」
そう言って、微笑む優香。
その顔に不安はない様子だった。
「でも無理をしたら、剛みたいに……」
「そうだ。だからそうならない為に、俺とキリヤで優香を支えるんだ。優香一人に大きな負担を背負わせないさ。3人で分担すれば、少しは楽になるだろう?」
「先生の言う通りです。私は一人じゃない。だって、こういってくれる先生やキリヤ君がいる。だから私はできるって思うんです。キリヤ君、私を信じてください! ね?」
そう言って、キリヤに微笑む優香。
「そう、だね。先生もいるし、僕も優香を信じるよ!!」
優香の言葉でキリヤの不安は取り除けたようだ。
「頑張ろう、二人とも!!」
「「はい!!」」
そしてキリヤと優香の進路が決まり、卒業に向けて動き出した。
部屋の中から、「どうぞ」と所長の声が聞こえた。
それから俺は扉を開け、部屋に入った。
「やあ。よく来たね」
所長はソファに座り微笑みながら、そう言った。
「今日はどんなご用件でしょうか?」
俺がそう所長に問うと、
「まあそこに座りなさい」
と所長は自分の正面に座るよう俺にそう言った。
そして俺は所長に言われるがまま、ソファに腰を掛ける。
「そういえば、いいコーヒーが入ったんだ。君も飲むだろう?」
「は、はあ。では、いただきます」
俺がそう言うと、所長は楽しそうに部屋の奥にある給湯室へ向かい、コーヒーの準備をしていた。
「さあどうぞ」
「ありがとうございます」
そして所長から差し出されたコーヒーはとても香ばしい香りが広がっており、質のいいコーヒーだということがすぐにわかった。
でもわざわざなぜ、こんないいものを用意して待っていたのだろうか。
もしかして優香の飛び級の件のことを考え直してくれとでもいうつもりなんじゃ……
じゃあ、もしかして……このコーヒーは承諾させるための人参か?
一杯のコーヒーを前に、俺はいろんな考えが頭をよぎる。
「ん? どうしたんだい? 飲まないのかい?」
「い、いや。あの、少し考え事を……」
「そうか。それと一つ言っておくと、このコーヒーに深い意味はないよ。ただ君とコーヒーを飲みたいと思っただけのことさ。だから何も気にせずに飲んでくれ」
「は、はい」
所長もそういっていることだし、信じてみようかな。
そうして俺はようやくコーヒーに口をつけた。
「あ、おいしいですね」
俺はそのコーヒーを口にして、純粋に思ったことを口にしていた。
「そうだろう。ようやく手に入れた代物なんだ! いやあ。やっぱり普段の安物とは比べ物にならないくらい、品のいい口当たりだ!! 香りも……本当に素晴らしい!」
所長は幸せそうにコーヒーについて語っていた。
普段は大人の雰囲気を出している所長だが、たまには無邪気に好きなものに浸りたいときだってあるんだなと俺はそう思った。
「そうだ。いつまでもコーヒーに浸っている場合じゃないですよ! 俺をここに呼んだ理由はなんですか!!」
「お! すまん、すまん!」
所長はすっかり忘れていたようで、申し訳なさそうな顔を俺に向ける。
それから所長は本題に入る。
「実は先日の優香君の飛び級の件だ」
俺は息をのんだ。
「もしかして、やっぱり無しとかじゃないですよね?」
「いや。それはないさ。優香君の飛び級は認める。だが、それには条件がある!!」
「条件……?」
「ああ。高校3年生レベルの学力が備わっていることが確認できたら、飛び級は認める。まあ今の優香君ならば、十分だと思うがね」
「なるほど……でもそれってどうやって確認するんですか?」
「普段の授業で使用しているタブレットがあるだろう? それで高校3年生までの範囲を卒業するまでに終わらせること。それが条件だ」
「それって、かなり大変なんじゃ……」
2年生の範囲とプラスアルファで3年生の範囲まで。
しかも残り5か月ほどで終わらせることは可能なんだろうか。
「そうだ。これはかなりリスクのある挑戦だ。下手をすれば、剛君のように成りかねない」
剛のように……。
俺はその言葉に、気持ちが揺らぐ。
キリヤたちには自分のやりたいことをやってほしいと思っているけれど、でも無理をして、能力が暴走してしまったら……
「君の返答次第で、優香君の飛び級の話がどうなるかが決まる。さあ選んでくれ。時間はないぞ」
所長は真剣な顔で、俺に告げた。
今決めろと所長はそう言っているんだと思った。
そして俺はキリヤと職員室で話したことを思い出す。
――僕は先生みたいに教師にはなれなくても、違う方法で同じ境遇の子供たちを救いたいんだ!!
あの時のキリヤは本気だった。
そんなキリヤの進む路を俺は妨げたくない。
優香には確かに負担になるかもしれないけれど、でもきっと俺やキリヤがそばにいれば大丈夫だ。同じ過ちは絶対に繰り返さない。
俺は教師として、生徒たちの未来を支えるんだ。
俺は決意を固めて、所長に答えた。
「俺は優香を信じます。剛のようにならないように、俺とキリヤで彼女を支えます!!」
コーヒーを飲みながら、所長は微笑む。
「そうか。では、私も精一杯の手助けはしよう。4月に二人そろって、研究所に来てくれることを楽しみにしているよ」
それから俺はコップのコーヒーを飲みほして、所長室を後にした。
「これからが大変だな。よし!!」
そして俺は施設に戻った。
施設に戻った俺は早速キリヤと優香を職員室に呼び出して、飛び級の条件に付いて話した。
「以上が所長から出された条件だ」
それを聞いたキリヤは心配そうな表情を浮かべる。
しかしそれとは反対にケロッとしている優香。
「優香、大丈夫そうか?」
「ふふふ。もちろん問題ありません。もともとお勉強は嫌いではないですし、キリヤ君との今後が関わっているならば、なおさら気合が入ります!!」
そう言って、微笑む優香。
その顔に不安はない様子だった。
「でも無理をしたら、剛みたいに……」
「そうだ。だからそうならない為に、俺とキリヤで優香を支えるんだ。優香一人に大きな負担を背負わせないさ。3人で分担すれば、少しは楽になるだろう?」
「先生の言う通りです。私は一人じゃない。だって、こういってくれる先生やキリヤ君がいる。だから私はできるって思うんです。キリヤ君、私を信じてください! ね?」
そう言って、キリヤに微笑む優香。
「そう、だね。先生もいるし、僕も優香を信じるよ!!」
優香の言葉でキリヤの不安は取り除けたようだ。
「頑張ろう、二人とも!!」
「「はい!!」」
そしてキリヤと優香の進路が決まり、卒業に向けて動き出した。
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