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第3章 毒リンゴとお姫様
第21話ー⑨ 眠り姫を起こすのは王子様のキス
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研究所から戻った僕は自室に戻ろうと廊下を歩いていると、誰かの叫び声が聞こえた。
「何かあったのかな……」
そして僕はその声がする場所を探す。
「いろはちゃん!! ねえ、どうしたの!?」
するとその叫び声は食堂から聞えていた。
「この声はまゆお。それにいろはに何かあったんじゃ……」
僕はいろはに何かあったことを察し、急いでまゆおたちのもとへと向かった。
それから僕が食堂に着くと、意識のないいろはにまゆおが寄り添っていた。
「どうしたの、まゆお!! いろはに何が!!」
「キリヤ君!! ……いろはちゃんが急に苦しみだして、それで!!」
もしかして、もうタイムリミットなのか。
「とりあえず医務室に運ぼう」
「うん」
そして僕たちはいろはを医務室へと運んだ。
「……キリヤ君。いろはちゃんは大丈夫なの?」
「わからない。でも時間がないことは確かだ」
「そんな……」
「まゆお。技は完成した?」
「……」
僕の問いにまゆおは俯く。
「そっか。なら、今の僕たちにできることは何もないよ」
「技の完成には僕の自信が必要だったんだ。それがわかったのに僕は今でも自信を持てずにいる」
「自信……」
なるほど。そう言われてみればそうかもしれない。まゆおはずっと自分に自信がないままだったから。
でもそれがわかったとしても、まゆおにどうやって自信をつけさせる?
いや。今はゆっくり考えている時間はない。すぐ答えを出さないと、きっと手遅れになる。
どうする、僕……。
そして僕は屋上でまゆおを見ていた時のいろはの言葉を思い出した。
「……いろはが言っていたよ。どんな結果になっても、自分のために行動してくれる友達を信じるって。どんなに可能性が低くても、きっとなんとかしてくれると信じているって」
「いろはちゃんがそんなことを……」
「いろははまゆおのことを信じている。だから、そんないろはが信じるまゆおを信じてみないか」
「でも僕は……」
そう言ってまゆおは俯く。
僕はできる限りのことはやった。あとはまゆおが決めることだ。
「僕は……ううん。僕もいろはちゃんを信じてる。だから、そんないろはちゃんの信じる僕自身を信じるよ!!」
そしてまゆおは顔を上げて、いろはの顔を見る。
「竹刀、取ってくる!!」
まゆおはそう言って、走りだした。
「いろは、頑張って。きっとまゆおは君を救ってくれるから」
僕はいろはを見つめながら、そう言った。
それから異変を察知した優香が医務室にやってきた。
「キリヤ君、これはどういうこと!? 速水さんは大丈夫なの!?」
「わからない。でもきっとまゆおがどうにかしてくれる。僕たちはまゆおを信じて待とう」
「うん」
それからしばらくして、まゆおは戻ってきた。
そしてその後ろには先生の姿があった。
「一体、どうしたんだ!? ……って、いろは!?」
先生はいろはの状況を見て、驚いている様子だった。
でも今は先生に説明している時間はない。
「まゆお、やろう!!」
そして優香が『ポイズン・アップル』の埋入地点をまゆおに伝える。
「この辺です。一瞬の一撃ですよ。大丈夫ですか、狭山君?」
「……うん。僕は僕の技といろはちゃんを信じてるから!!」
まゆおの顔は自信に満ちた顔をしていた。
そしてまゆおは竹刀を構える。
全員が息をのみ、その様子を静かに見つめた。
大丈夫、まゆおなら絶対に!! 僕はまゆおを信じてるから。
まゆおは目を閉じて、ゆっくりと息を吐く。
そして息を止めて目を見開き、いろはに向けて技を放った。
「ふう」
まゆおは呼吸を整え、まっすぐいろはの前で立っていた。
「やった……のかな?」
僕は一瞬の出来事で何が起こったのか、見えなかった。
「……僕にできることはやったよ。あとは、キリヤ君に任せる」
「わかった。……先生、所長に連絡して! 今すぐ、いろはを研究所に連れて行こう!」
唖然とする先生にそう告げると、先生は我に返ったようだった。
「あ、ああ。わかった!」
それから僕たちはいろはを連れ、研究所に向かう。
「キリヤたちは施設に残ってもよかったんだぞ?」
「ううん。僕はやらなきゃいけないことがあるから。それに施設には優香が残ってくれているし、大丈夫だよ」
「そうだな。……まゆおは、着いてきて大丈夫なのか?」
まゆおは意識の戻らないいろはをずっと心配していて、先生の言葉が耳に届いていないようだった。
「黙っていてごめん、先生。僕もまゆおも『ポイズン・アップル』のことを知っているんだ。だから、大丈夫だよ」
「……やっぱりそうだったんだな」
「気が付いていたの?」
「まあなんとなくな。いろはのために最近研究所で何かしているんだろうとは思っていたから」
「そう……」
先生は怒ったかな。僕は先生に信じるってそう言ったのに、それを裏切るような行動をしてしまったこと。
「……信じていたよ。いつか本当のことを話してくれるって」
そう言って、先生は僕に微笑みかけてくれた。
「怒らないの? 危ないことだって、わかっていたのに」
「もちろん心配はしていたけど、でもキリヤならうまくやるって思っていたからな。それにキリヤは俺の自慢の生徒だから」
まったくこの人は……僕の期待をいい意味で裏切ってくれる。
「先生、ありがとう。僕は先生の生徒でよかった」
そして僕たちは、研究所に到着した。
研究所に着くと、いろはは検査場に連れていかれた。
僕たちは検査場の前にある椅子に腰を掛けて、いろはの検査が終わるのを待っていた。
そしてまゆおは祈るように手を組んでいた。
それをみた先生はまゆおに優しく声を掛ける。
「いろはなら大丈夫さ。信じて待とう、まゆお」
「……はい」
それから数分後。いろはは検査場から出てきて、個室に運ばれた。
まゆおはいろはの個室に向かい、僕と先生は所長室へと案内された。
「何かあったのかな……」
そして僕はその声がする場所を探す。
「いろはちゃん!! ねえ、どうしたの!?」
するとその叫び声は食堂から聞えていた。
「この声はまゆお。それにいろはに何かあったんじゃ……」
僕はいろはに何かあったことを察し、急いでまゆおたちのもとへと向かった。
それから僕が食堂に着くと、意識のないいろはにまゆおが寄り添っていた。
「どうしたの、まゆお!! いろはに何が!!」
「キリヤ君!! ……いろはちゃんが急に苦しみだして、それで!!」
もしかして、もうタイムリミットなのか。
「とりあえず医務室に運ぼう」
「うん」
そして僕たちはいろはを医務室へと運んだ。
「……キリヤ君。いろはちゃんは大丈夫なの?」
「わからない。でも時間がないことは確かだ」
「そんな……」
「まゆお。技は完成した?」
「……」
僕の問いにまゆおは俯く。
「そっか。なら、今の僕たちにできることは何もないよ」
「技の完成には僕の自信が必要だったんだ。それがわかったのに僕は今でも自信を持てずにいる」
「自信……」
なるほど。そう言われてみればそうかもしれない。まゆおはずっと自分に自信がないままだったから。
でもそれがわかったとしても、まゆおにどうやって自信をつけさせる?
いや。今はゆっくり考えている時間はない。すぐ答えを出さないと、きっと手遅れになる。
どうする、僕……。
そして僕は屋上でまゆおを見ていた時のいろはの言葉を思い出した。
「……いろはが言っていたよ。どんな結果になっても、自分のために行動してくれる友達を信じるって。どんなに可能性が低くても、きっとなんとかしてくれると信じているって」
「いろはちゃんがそんなことを……」
「いろははまゆおのことを信じている。だから、そんないろはが信じるまゆおを信じてみないか」
「でも僕は……」
そう言ってまゆおは俯く。
僕はできる限りのことはやった。あとはまゆおが決めることだ。
「僕は……ううん。僕もいろはちゃんを信じてる。だから、そんないろはちゃんの信じる僕自身を信じるよ!!」
そしてまゆおは顔を上げて、いろはの顔を見る。
「竹刀、取ってくる!!」
まゆおはそう言って、走りだした。
「いろは、頑張って。きっとまゆおは君を救ってくれるから」
僕はいろはを見つめながら、そう言った。
それから異変を察知した優香が医務室にやってきた。
「キリヤ君、これはどういうこと!? 速水さんは大丈夫なの!?」
「わからない。でもきっとまゆおがどうにかしてくれる。僕たちはまゆおを信じて待とう」
「うん」
それからしばらくして、まゆおは戻ってきた。
そしてその後ろには先生の姿があった。
「一体、どうしたんだ!? ……って、いろは!?」
先生はいろはの状況を見て、驚いている様子だった。
でも今は先生に説明している時間はない。
「まゆお、やろう!!」
そして優香が『ポイズン・アップル』の埋入地点をまゆおに伝える。
「この辺です。一瞬の一撃ですよ。大丈夫ですか、狭山君?」
「……うん。僕は僕の技といろはちゃんを信じてるから!!」
まゆおの顔は自信に満ちた顔をしていた。
そしてまゆおは竹刀を構える。
全員が息をのみ、その様子を静かに見つめた。
大丈夫、まゆおなら絶対に!! 僕はまゆおを信じてるから。
まゆおは目を閉じて、ゆっくりと息を吐く。
そして息を止めて目を見開き、いろはに向けて技を放った。
「ふう」
まゆおは呼吸を整え、まっすぐいろはの前で立っていた。
「やった……のかな?」
僕は一瞬の出来事で何が起こったのか、見えなかった。
「……僕にできることはやったよ。あとは、キリヤ君に任せる」
「わかった。……先生、所長に連絡して! 今すぐ、いろはを研究所に連れて行こう!」
唖然とする先生にそう告げると、先生は我に返ったようだった。
「あ、ああ。わかった!」
それから僕たちはいろはを連れ、研究所に向かう。
「キリヤたちは施設に残ってもよかったんだぞ?」
「ううん。僕はやらなきゃいけないことがあるから。それに施設には優香が残ってくれているし、大丈夫だよ」
「そうだな。……まゆおは、着いてきて大丈夫なのか?」
まゆおは意識の戻らないいろはをずっと心配していて、先生の言葉が耳に届いていないようだった。
「黙っていてごめん、先生。僕もまゆおも『ポイズン・アップル』のことを知っているんだ。だから、大丈夫だよ」
「……やっぱりそうだったんだな」
「気が付いていたの?」
「まあなんとなくな。いろはのために最近研究所で何かしているんだろうとは思っていたから」
「そう……」
先生は怒ったかな。僕は先生に信じるってそう言ったのに、それを裏切るような行動をしてしまったこと。
「……信じていたよ。いつか本当のことを話してくれるって」
そう言って、先生は僕に微笑みかけてくれた。
「怒らないの? 危ないことだって、わかっていたのに」
「もちろん心配はしていたけど、でもキリヤならうまくやるって思っていたからな。それにキリヤは俺の自慢の生徒だから」
まったくこの人は……僕の期待をいい意味で裏切ってくれる。
「先生、ありがとう。僕は先生の生徒でよかった」
そして僕たちは、研究所に到着した。
研究所に着くと、いろはは検査場に連れていかれた。
僕たちは検査場の前にある椅子に腰を掛けて、いろはの検査が終わるのを待っていた。
そしてまゆおは祈るように手を組んでいた。
それをみた先生はまゆおに優しく声を掛ける。
「いろはなら大丈夫さ。信じて待とう、まゆお」
「……はい」
それから数分後。いろはは検査場から出てきて、個室に運ばれた。
まゆおはいろはの個室に向かい、僕と先生は所長室へと案内された。
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