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第3章 毒リンゴとお姫様
第21話ー① 眠り姫を起こすのは王子様のキス
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翌朝、いろははいつも通りに元気になっていた。
「いろは、もう大丈夫なのか?」
俺は食堂でいつも通り食事を楽しむいろはを見て問いかけた。
「うん! センセーにも心配かけたよね……ごめん、ありがと!」
そう言って、いろはは微笑んだ。
「いや、いいんだ。でも何もなくて、本当に良かったよ! ははは」
俺はいろはにそう言ってから、食べ物を取りに行く。
いろはの笑顔を見た俺は安心して、ほっと胸を撫でおろした。
もしいろはが暴走して目覚めなかったら――
そう思って昨夜は過ごしていたから。……でもまだ安心はできない。そう。根本的なことは何一つ解決していないからだ。
いろはの中にある『ポイズン・アップル』を取りださないことには、いろはは常に危険にさらされる。
あとどれくらいの時間があるのだろう。もしかしてもう時間が残されていないんじゃ……。
そんな不安が押し寄せる。
「はあ。今日はから揚げが食べたい気分だな」
それから俺は目の前にあるご飯を頬張ったのだった。
朝食後、俺は授業の準備のために職員室にいた。
「とりあえずいろはが元気になってくれてよかったというべきか」
でもいくら元気になったといっても何かが変わったわけじゃない。
このまま俺は何もせずにいていいのか。いろはが苦しんでいても何もできないまま見ているだけでいいのか。
「いや。今は余計なことを考えるな。俺は所長たちを信じて待つんだろ」
そして俺は授業のために教室へ向かった。
教室では今日もいつも通りの授業風景が広がっていた。
しかし今日は一つだけ、いつもと違っていた。
いつも最後まで残っているまゆおが、今日はいつもより早いペースでノルマをこなしていたからだ。
「まゆお、大丈夫なのか……」
俺はそんなまゆおを見て、無理をしているんじゃないかと不安な気持ちになった。
そしてペースを変えず学習ノルマを終えたまゆおは無言で立ち上がり、そそくさと教室を出て行った。
さすがに優香やキリヤより早いことはないが、それでもいつものまゆおよりは確実早いペースだった。
「まゆお殿、珍しいですな」
「そうだね。なんだかすごい気迫?」
「何かあったのでしょうか」
他の生徒たちは驚いた顔をしながら、教室を出ていくまゆおを見ていた。
「まゆお、どうしたんだろう。珍しいよね、こんなに早くノルマを終えるなんてさ。それに今朝も早起きして、剣道の練習とかしてたし」
いろはは心配そうにそう呟いていた。
「早朝に剣道の練習?」
「うん。アタシが起きて、一度シャワー浴びるために浴室に行ったんだけど、その帰りに素振りをするまゆおの姿が見えたんだ」
「そうなのか……」
昨日の一件でまゆおに何らかの変化があったのかもしれないな。
「まゆおも男になったってことなのかもな」
「え? どういう意味??」
「そういう意味だよ。ははは!」
俺がそう言って笑うといろはは首をかしげていた。
――そうか、まゆおはまゆおのできることをやろうとしているんだ。
だったら俺も頑張らなくちゃだな。
そう言いながら、俺は自分の口角が上がるのがわかった。
俺も俺がやるべきことをするんだ。
「じゃあそろそろ勉強を再開しろよー」
「「はーい」」
そして生徒たちは勉強に戻った。
授業後、僕は竹刀を手に持ってどこかへ向かうまゆおを見つけるとこっそり後をつけた。
とても深刻な顔をしているまゆおに僕は少し心配になる。
そしてそんな表情のままでまゆおが向かった場所は、
「屋上……? まゆおが? 珍しいよね」
いつもは行くはずのないその場所に入っていった。
そして屋上に着くと、まゆおは自室から持ってきた竹刀を取り出して素振りを始めた。
「僕がいろはちゃんを助けるんだ。もっと剣技を磨いて、そして……」
そんな姿を僕は扉越しにこっそりのぞいていた。
「そうか。まゆおは本気なんだ……」
まゆおの真剣な表情を見て、僕の心が熱くなるのを感じた。
僕も僕が今できることをやらなきゃ! 後悔はしたくないから。
それから僕はスマホを取り出し、所長に連絡を入れた。
『どうしたんだい? まさか、いろは君にまた何か!?』
所長は驚いた様子だった。
確かに僕から連絡があるとすれば、いろはに何かがあった時と考えるのは当たり前かもしれない。
「違うんです。僕、今回のことで思ったんですが、もっと『ポイズン・アップル』のことを知りたいってそう思って……だから、もっと詳しく教えてくれませんか」
『……そうか。君も変わろうとしているんだね。わかった。君は未来の『グリム』隊員だ。今わかっている調査結果を全て教えよう。実は研究所にいくつか調査資料がある。それを見に来たらいい』
「ありがとうございます!」
そして僕は今週末に研究所へ行くことになった。
先生には検査の為に研究所へ向かうと伝えると、それを聞いた先生はとても心配そうにしていた。
そんな先生を見て、いつか真実を語れるようになった時にきちんと謝罪しようと僕はそう思った。
そして週末。僕は研究所へ向かったのだった。
研究所に着いた僕をゆめかさんが出迎えてくれた。
「やあ、キリヤ君。調子はどうだい?」
ゆめかさんはいつものように笑顔で僕にそう問いかける。
「いつも通りですよ。ゆめかさんは、どうですか?」
「私もいつも通りさ。気にかけてくれてありがとう。さあ、行こうか」
そして僕たちは『グリム』の部屋に向かうため、歩き出す。
「所長から話は聞いたよ。君も変わろうとしているんだね」
「はい。同じクラスの友達が大切の人の為に自分ができることをしようと頑張っているんです。それを見たら、僕も僕にできることを頑張ろうって思って」
「そうなのか。ふふふ。素敵な話だね。私は君を応援しているよ。でも無理は禁物だからね」
ゆめかさんは笑いながら、そう僕に告げた。
「はい。また先生に心配はかけたくないですからね!」
「うん。いい心がけだ!」
そして僕たちは隠し部屋の壁の前に到着した。
ゆめかさんは慣れた手つきで壁に触れ、秘密の扉が開く。
「さあ行こうか」
僕たちは奥の部屋へと進んでいった。
「いろは、もう大丈夫なのか?」
俺は食堂でいつも通り食事を楽しむいろはを見て問いかけた。
「うん! センセーにも心配かけたよね……ごめん、ありがと!」
そう言って、いろはは微笑んだ。
「いや、いいんだ。でも何もなくて、本当に良かったよ! ははは」
俺はいろはにそう言ってから、食べ物を取りに行く。
いろはの笑顔を見た俺は安心して、ほっと胸を撫でおろした。
もしいろはが暴走して目覚めなかったら――
そう思って昨夜は過ごしていたから。……でもまだ安心はできない。そう。根本的なことは何一つ解決していないからだ。
いろはの中にある『ポイズン・アップル』を取りださないことには、いろはは常に危険にさらされる。
あとどれくらいの時間があるのだろう。もしかしてもう時間が残されていないんじゃ……。
そんな不安が押し寄せる。
「はあ。今日はから揚げが食べたい気分だな」
それから俺は目の前にあるご飯を頬張ったのだった。
朝食後、俺は授業の準備のために職員室にいた。
「とりあえずいろはが元気になってくれてよかったというべきか」
でもいくら元気になったといっても何かが変わったわけじゃない。
このまま俺は何もせずにいていいのか。いろはが苦しんでいても何もできないまま見ているだけでいいのか。
「いや。今は余計なことを考えるな。俺は所長たちを信じて待つんだろ」
そして俺は授業のために教室へ向かった。
教室では今日もいつも通りの授業風景が広がっていた。
しかし今日は一つだけ、いつもと違っていた。
いつも最後まで残っているまゆおが、今日はいつもより早いペースでノルマをこなしていたからだ。
「まゆお、大丈夫なのか……」
俺はそんなまゆおを見て、無理をしているんじゃないかと不安な気持ちになった。
そしてペースを変えず学習ノルマを終えたまゆおは無言で立ち上がり、そそくさと教室を出て行った。
さすがに優香やキリヤより早いことはないが、それでもいつものまゆおよりは確実早いペースだった。
「まゆお殿、珍しいですな」
「そうだね。なんだかすごい気迫?」
「何かあったのでしょうか」
他の生徒たちは驚いた顔をしながら、教室を出ていくまゆおを見ていた。
「まゆお、どうしたんだろう。珍しいよね、こんなに早くノルマを終えるなんてさ。それに今朝も早起きして、剣道の練習とかしてたし」
いろはは心配そうにそう呟いていた。
「早朝に剣道の練習?」
「うん。アタシが起きて、一度シャワー浴びるために浴室に行ったんだけど、その帰りに素振りをするまゆおの姿が見えたんだ」
「そうなのか……」
昨日の一件でまゆおに何らかの変化があったのかもしれないな。
「まゆおも男になったってことなのかもな」
「え? どういう意味??」
「そういう意味だよ。ははは!」
俺がそう言って笑うといろはは首をかしげていた。
――そうか、まゆおはまゆおのできることをやろうとしているんだ。
だったら俺も頑張らなくちゃだな。
そう言いながら、俺は自分の口角が上がるのがわかった。
俺も俺がやるべきことをするんだ。
「じゃあそろそろ勉強を再開しろよー」
「「はーい」」
そして生徒たちは勉強に戻った。
授業後、僕は竹刀を手に持ってどこかへ向かうまゆおを見つけるとこっそり後をつけた。
とても深刻な顔をしているまゆおに僕は少し心配になる。
そしてそんな表情のままでまゆおが向かった場所は、
「屋上……? まゆおが? 珍しいよね」
いつもは行くはずのないその場所に入っていった。
そして屋上に着くと、まゆおは自室から持ってきた竹刀を取り出して素振りを始めた。
「僕がいろはちゃんを助けるんだ。もっと剣技を磨いて、そして……」
そんな姿を僕は扉越しにこっそりのぞいていた。
「そうか。まゆおは本気なんだ……」
まゆおの真剣な表情を見て、僕の心が熱くなるのを感じた。
僕も僕が今できることをやらなきゃ! 後悔はしたくないから。
それから僕はスマホを取り出し、所長に連絡を入れた。
『どうしたんだい? まさか、いろは君にまた何か!?』
所長は驚いた様子だった。
確かに僕から連絡があるとすれば、いろはに何かがあった時と考えるのは当たり前かもしれない。
「違うんです。僕、今回のことで思ったんですが、もっと『ポイズン・アップル』のことを知りたいってそう思って……だから、もっと詳しく教えてくれませんか」
『……そうか。君も変わろうとしているんだね。わかった。君は未来の『グリム』隊員だ。今わかっている調査結果を全て教えよう。実は研究所にいくつか調査資料がある。それを見に来たらいい』
「ありがとうございます!」
そして僕は今週末に研究所へ行くことになった。
先生には検査の為に研究所へ向かうと伝えると、それを聞いた先生はとても心配そうにしていた。
そんな先生を見て、いつか真実を語れるようになった時にきちんと謝罪しようと僕はそう思った。
そして週末。僕は研究所へ向かったのだった。
研究所に着いた僕をゆめかさんが出迎えてくれた。
「やあ、キリヤ君。調子はどうだい?」
ゆめかさんはいつものように笑顔で僕にそう問いかける。
「いつも通りですよ。ゆめかさんは、どうですか?」
「私もいつも通りさ。気にかけてくれてありがとう。さあ、行こうか」
そして僕たちは『グリム』の部屋に向かうため、歩き出す。
「所長から話は聞いたよ。君も変わろうとしているんだね」
「はい。同じクラスの友達が大切の人の為に自分ができることをしようと頑張っているんです。それを見たら、僕も僕にできることを頑張ろうって思って」
「そうなのか。ふふふ。素敵な話だね。私は君を応援しているよ。でも無理は禁物だからね」
ゆめかさんは笑いながら、そう僕に告げた。
「はい。また先生に心配はかけたくないですからね!」
「うん。いい心がけだ!」
そして僕たちは隠し部屋の壁の前に到着した。
ゆめかさんは慣れた手つきで壁に触れ、秘密の扉が開く。
「さあ行こうか」
僕たちは奥の部屋へと進んでいった。
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