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義兄とデート
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とある昼下がり。
ザック義兄様と共に街中を歩いている。せっかく街に来たのだから、楽しむ事にしようというザック義兄様の提案で、ウィンドウショッピング中だ。
「あ、あれ。絶対にカメリア姉様に似合うわ」
「え?どれだい」
今は、カメリア姉様に何か贈り物をしたいというザック義兄様の為に物色中だ。カメリア姉様が出会った当初、自分に対して辛辣だった理由を意図せずに知ってしまった義兄様は、お詫びの意味を込めて普段使いのアクセサリーを選びたいのだそうだ。
「ごめんね。私のせいよね」
「ははは、どうして謝るの?別に喧嘩にもなっていないんだし気にする事なんてないよ。私としては、理由が知れて良かったと思っているんだから」
「ザック義兄様は、カメリア姉様が何故、自分の事を嫌っているのかって気にならなかったの?」
「そうだね。あの時は気にならなかったな。女性に嫌われる事がなかったから新鮮だったんだ。それに、嫌いからスタートしたらあとはもう上に上がるしかないだろ?それにばかり気を取られていたから、理由なんて考えもしなかった」
はははと笑いながら教えてくれるザック義兄様。見た目は神経質そうなのに豪快だ。
店内に入って見せてもらう。
「リリー、窓際で見せてもらおう。陽の光でどう輝くのが見たいから」
「ええ、そうね」
窓際まで移動していくつか出してもらう。
「やっぱり外から見えたあのブローチがいいわ」
お店の人が持って来てくれたブローチは、アンティーク調で三日月に乗るように椿に似た薄ピンクの花が付いていた。そして三日月の上には揺れるデザインで雫型のダイヤの粒。花の上に夜露が落ちる姿を連想させる。
「ほら、この花、椿みたい。色もカメリア姉様の髪色だし」
「そうだね。ちょっとリリーに合わせてみてもいいかな?」
「ええ、どうぞ」
ザック義兄様が、私の襟元に着けてみる。
「なるほど、確かにいいね」
ハーフアップにしていた私の髪をすくって前に持ってくる。
「うん、いい。リリーはセンスがあるね」
私の頬に手を当て、親指でサラリと頬を撫でた。少しくすぐったくて笑ってしまう。
「ふふふ、ザック義兄様くすぐったいわ」
「はは、リリーの頬は柔らかくて触り心地がいいね」
「もう、ぷにぷにしているって事?」
「ははは、そんなに頬を膨らませると、はじけそうだよ」
そんな冗談を言いながらブローチを包んでもらう。
「カフェでお茶にしないか?」
「賛成!」
レジナルドと行った店とは違うカフェに来た私たちはここでもテラス席に座る。案の定、ザック義兄様に女性の視線は集まった。
「ザック義兄様もモテモテなのね」
「そうかい?」
「ええ、だって周りの女性の視線は全て義兄様に集まっていると言っても過言ではないわ」
「それは困ったね。私には可愛い義妹しか見えていないというのに」
向かいの席ではなく、隣に座っているザック義兄様は、私の手を取ると指先にキスを落とした。
「ふふ、ザック義兄様ったらキザだわ」
「これが他の女性に対しての威嚇になるんだよ。あんなに仲が良いカップルに割って入るなんて無理だと思わせるんだよ」
「へえ、なるほどね」
「それでも来る女性に対しては、目つきでわからせるんだ。汚いものを見るような目を向けるとかしてね」
「なんだかとっても勉強になるわ」
「そうだろう。連れがいても平気でアプローチをしてくるのは、女性の方が多いからね。男は連れがいたら声を掛けることはしないものだよ」
「女の方が強かだということね」
「その通り」
注文したものが席に置かれる。
「とっても濃厚だけれど美味しい!」
私はオペラというチョコレートのケーキを頼んだ。濃厚な味が癖になる。
「口元にチョコが付いてるよ」
ザック義兄様が指で拭ってくれた。そしてそのまま拭った指をペロッと舐めた。
「!」
「はは、威嚇だよ」
甘っと言いながらコーヒーを飲む義兄様。その日は本当に視線を感じるだけで、声をかけてくる女性はいなかった。
ザック義兄様と共に街中を歩いている。せっかく街に来たのだから、楽しむ事にしようというザック義兄様の提案で、ウィンドウショッピング中だ。
「あ、あれ。絶対にカメリア姉様に似合うわ」
「え?どれだい」
今は、カメリア姉様に何か贈り物をしたいというザック義兄様の為に物色中だ。カメリア姉様が出会った当初、自分に対して辛辣だった理由を意図せずに知ってしまった義兄様は、お詫びの意味を込めて普段使いのアクセサリーを選びたいのだそうだ。
「ごめんね。私のせいよね」
「ははは、どうして謝るの?別に喧嘩にもなっていないんだし気にする事なんてないよ。私としては、理由が知れて良かったと思っているんだから」
「ザック義兄様は、カメリア姉様が何故、自分の事を嫌っているのかって気にならなかったの?」
「そうだね。あの時は気にならなかったな。女性に嫌われる事がなかったから新鮮だったんだ。それに、嫌いからスタートしたらあとはもう上に上がるしかないだろ?それにばかり気を取られていたから、理由なんて考えもしなかった」
はははと笑いながら教えてくれるザック義兄様。見た目は神経質そうなのに豪快だ。
店内に入って見せてもらう。
「リリー、窓際で見せてもらおう。陽の光でどう輝くのが見たいから」
「ええ、そうね」
窓際まで移動していくつか出してもらう。
「やっぱり外から見えたあのブローチがいいわ」
お店の人が持って来てくれたブローチは、アンティーク調で三日月に乗るように椿に似た薄ピンクの花が付いていた。そして三日月の上には揺れるデザインで雫型のダイヤの粒。花の上に夜露が落ちる姿を連想させる。
「ほら、この花、椿みたい。色もカメリア姉様の髪色だし」
「そうだね。ちょっとリリーに合わせてみてもいいかな?」
「ええ、どうぞ」
ザック義兄様が、私の襟元に着けてみる。
「なるほど、確かにいいね」
ハーフアップにしていた私の髪をすくって前に持ってくる。
「うん、いい。リリーはセンスがあるね」
私の頬に手を当て、親指でサラリと頬を撫でた。少しくすぐったくて笑ってしまう。
「ふふふ、ザック義兄様くすぐったいわ」
「はは、リリーの頬は柔らかくて触り心地がいいね」
「もう、ぷにぷにしているって事?」
「ははは、そんなに頬を膨らませると、はじけそうだよ」
そんな冗談を言いながらブローチを包んでもらう。
「カフェでお茶にしないか?」
「賛成!」
レジナルドと行った店とは違うカフェに来た私たちはここでもテラス席に座る。案の定、ザック義兄様に女性の視線は集まった。
「ザック義兄様もモテモテなのね」
「そうかい?」
「ええ、だって周りの女性の視線は全て義兄様に集まっていると言っても過言ではないわ」
「それは困ったね。私には可愛い義妹しか見えていないというのに」
向かいの席ではなく、隣に座っているザック義兄様は、私の手を取ると指先にキスを落とした。
「ふふ、ザック義兄様ったらキザだわ」
「これが他の女性に対しての威嚇になるんだよ。あんなに仲が良いカップルに割って入るなんて無理だと思わせるんだよ」
「へえ、なるほどね」
「それでも来る女性に対しては、目つきでわからせるんだ。汚いものを見るような目を向けるとかしてね」
「なんだかとっても勉強になるわ」
「そうだろう。連れがいても平気でアプローチをしてくるのは、女性の方が多いからね。男は連れがいたら声を掛けることはしないものだよ」
「女の方が強かだということね」
「その通り」
注文したものが席に置かれる。
「とっても濃厚だけれど美味しい!」
私はオペラというチョコレートのケーキを頼んだ。濃厚な味が癖になる。
「口元にチョコが付いてるよ」
ザック義兄様が指で拭ってくれた。そしてそのまま拭った指をペロッと舐めた。
「!」
「はは、威嚇だよ」
甘っと言いながらコーヒーを飲む義兄様。その日は本当に視線を感じるだけで、声をかけてくる女性はいなかった。
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