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棘
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その後すぐにミアノ様とパウル様もブレスレットを買って戻って来た。赤やオレンジの花で纏まったブレスレットと、ブルー系の花で纏まったブレスレットが加わって、左腕がとても賑やかになった。約束通りにした私のキスに、ご満悦といった様子の二人を見て皆で笑う。それから、屋台を回ろうという事になって街中を歩き出した。
収穫祭の時とは違う屋台を探しながら、いくつか食べて行き、程良くお腹が膨れた頃。
『僕、あれが食べたい』
そう言いながら、アルノルド王子の肩に乗っていたクーがアピールしだした。するとクーの声は聞こえていないはずなのに「何か食べたいんだな」と、肩にクーを乗せたまま王子は屋台の方へ向かって行った。向かった先はクレープが売られている店だった。私より実は意思疎通が出来ているのでは?なんて思いながら、レンゾ様たちと雑談をしながら待っていると、私の背中に小さな衝撃が走った。何事かと振り返ると、マントのフードを深く被った人物が私にぶつかったのだった。
「ああ、申し訳ない。目が悪くて見えんかった」
腰の曲がり具合、声の感じから老女であるのだろうと推測した。
「いえ、別に痛くはなかったですし。お気になさらないでください」
謝る老女にそう言うと「いやいや、それじゃ気が済まん」と言いながら、老女は一つのブレスレットを小さな籠から出す。
『薔薇?』
老女が手にしていたのは、大きな薔薇が一輪付いているブレスレットだった。
「これを詫びの印に。どうかもらってくれんか?」
「でも、これは高価なのでは?」
普通には売られていないはずだ。薔薇をブレスレットにする事自体、珍しいのだ。たかが軽くぶつかった程度で、受け取るには少々高価過ぎる。
「いいんだ。ほんの礼だ。もらってやってくれ」
何度か断ってみるが頑として譲らない老女に、仕方なく自分が折れる事にした。
「ありがとうございます。では、遠慮なくいただきますね」
そう言うと、老女はすかさず私の腕につけようとする。けれど驚いたように身体を揺らした。
「なんと、左は一杯だ」
左腕には皆からもらった色とりどりのブレスレットが付いている。すると老女は右手にブレスレットをつけてくれた。その刹那、ほんの一瞬だったが手首に小さな痛みを感じた。もしかしたら棘が残っていたのかもしれない。ほんの一瞬だったし、そんな事で彼女の親切を無碍にはしたくなかった私は黙っていた。
「もらってくれてありがとうよ」
老女の顔はフードでよく見えないはずなのに、何故か笑ったように感じた。それがなんだか気持ち悪くて何も言えぬまま、彼女が人混みへ溶け込むように消えて行くのを見送った。
「なんか変な人だったね」
レンゾ様が私の右腕に付いているブレスレットを見ながら言う。
「なんとも言えない不気味さがありましたよね」
パウル様も何かを感じたのか、老女が消えて行った先を見つめていた。
「そうか?」
ミアノ様は特に何も感じていないらしく、私たちの言葉に首を傾げていた。
『リア、お待たせー』
ちょうどそのタイミングで戻ってきたクーだったけれど、何故か私に鼻を向けクンクンと匂いを嗅ぎ出す。そしてちょっと嫌そうな顔をした。
『あれ?なんか嫌な臭い?』
「え?もしかして花の香りが混ざってしまったかしら?」
それぞれの花の香りが混ざってそう感じたのかと思ったその時だった。ドクンと心臓が大きく脈を打った。同時に右腕から喉にかけて焼けるような痛みに襲われる。
「くっ」
とても立っていられず、その場で崩れ落ちてしまう。
「リア?」
隣にいたレンゾ様が咄嗟に、私の左腕を掴んだがそれだけでは無理だった。すんでのところでミアノ様に支えられる。だが、私はもう意識を保つ事すら難しかった。
「ここにいては危険だ。とにかく場所を移そう」
王子の言葉を受けて、大通りからすぐ入った路地へ入る。
「リア、リア。大丈夫か?」
私を抱き上げていたミアノ様が呼びかけてくれる。声は聞こえているのに答える事が出来ない。
「リア!しっかりしてください!」
そう言ったパウル様が私の頬に手を置いた。
「凄い熱です!」
パウル様が頬に置いた手を、思わずどけてしまう。それ程の高熱が私を襲っているらしい。
「とにかく、医師に見せなければ。このまま王城へ戻ろう」
アルノルド王子が言うとクーが突然、本来の姿に戻った。
『僕が治す』
「え?」
「今のは?」
ミアノ様とパウル様、レンゾ様の3人は頭に直接声が聞こえた事で驚いたようにキョロキョロしている。クーが言ったとは認識出来ていないようだ。しかし、アルノルド王子は冷静に「出来るのか?」とクーに聞いていた。
『出来る』
その瞬間、九尾それぞれの尾の先に金色の炎が生まれた。意識は朦朧としているのに金色の炎を従えたクーの姿の美しさに目を奪われてしまう。九つの炎は優しく揺らぎながら、私の元に降りて来た。そして残らず私の右腕のブレスレットへ吸い込まれて行く。九つ全てを飲み込んだブレスレットは、大きな金色の炎となって消えた。大きくなった金色の炎は、今度は私の右腕にすうっと入り込むと、胸の辺りで燃え上がって消えた。
収穫祭の時とは違う屋台を探しながら、いくつか食べて行き、程良くお腹が膨れた頃。
『僕、あれが食べたい』
そう言いながら、アルノルド王子の肩に乗っていたクーがアピールしだした。するとクーの声は聞こえていないはずなのに「何か食べたいんだな」と、肩にクーを乗せたまま王子は屋台の方へ向かって行った。向かった先はクレープが売られている店だった。私より実は意思疎通が出来ているのでは?なんて思いながら、レンゾ様たちと雑談をしながら待っていると、私の背中に小さな衝撃が走った。何事かと振り返ると、マントのフードを深く被った人物が私にぶつかったのだった。
「ああ、申し訳ない。目が悪くて見えんかった」
腰の曲がり具合、声の感じから老女であるのだろうと推測した。
「いえ、別に痛くはなかったですし。お気になさらないでください」
謝る老女にそう言うと「いやいや、それじゃ気が済まん」と言いながら、老女は一つのブレスレットを小さな籠から出す。
『薔薇?』
老女が手にしていたのは、大きな薔薇が一輪付いているブレスレットだった。
「これを詫びの印に。どうかもらってくれんか?」
「でも、これは高価なのでは?」
普通には売られていないはずだ。薔薇をブレスレットにする事自体、珍しいのだ。たかが軽くぶつかった程度で、受け取るには少々高価過ぎる。
「いいんだ。ほんの礼だ。もらってやってくれ」
何度か断ってみるが頑として譲らない老女に、仕方なく自分が折れる事にした。
「ありがとうございます。では、遠慮なくいただきますね」
そう言うと、老女はすかさず私の腕につけようとする。けれど驚いたように身体を揺らした。
「なんと、左は一杯だ」
左腕には皆からもらった色とりどりのブレスレットが付いている。すると老女は右手にブレスレットをつけてくれた。その刹那、ほんの一瞬だったが手首に小さな痛みを感じた。もしかしたら棘が残っていたのかもしれない。ほんの一瞬だったし、そんな事で彼女の親切を無碍にはしたくなかった私は黙っていた。
「もらってくれてありがとうよ」
老女の顔はフードでよく見えないはずなのに、何故か笑ったように感じた。それがなんだか気持ち悪くて何も言えぬまま、彼女が人混みへ溶け込むように消えて行くのを見送った。
「なんか変な人だったね」
レンゾ様が私の右腕に付いているブレスレットを見ながら言う。
「なんとも言えない不気味さがありましたよね」
パウル様も何かを感じたのか、老女が消えて行った先を見つめていた。
「そうか?」
ミアノ様は特に何も感じていないらしく、私たちの言葉に首を傾げていた。
『リア、お待たせー』
ちょうどそのタイミングで戻ってきたクーだったけれど、何故か私に鼻を向けクンクンと匂いを嗅ぎ出す。そしてちょっと嫌そうな顔をした。
『あれ?なんか嫌な臭い?』
「え?もしかして花の香りが混ざってしまったかしら?」
それぞれの花の香りが混ざってそう感じたのかと思ったその時だった。ドクンと心臓が大きく脈を打った。同時に右腕から喉にかけて焼けるような痛みに襲われる。
「くっ」
とても立っていられず、その場で崩れ落ちてしまう。
「リア?」
隣にいたレンゾ様が咄嗟に、私の左腕を掴んだがそれだけでは無理だった。すんでのところでミアノ様に支えられる。だが、私はもう意識を保つ事すら難しかった。
「ここにいては危険だ。とにかく場所を移そう」
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「リア、リア。大丈夫か?」
私を抱き上げていたミアノ様が呼びかけてくれる。声は聞こえているのに答える事が出来ない。
「リア!しっかりしてください!」
そう言ったパウル様が私の頬に手を置いた。
「凄い熱です!」
パウル様が頬に置いた手を、思わずどけてしまう。それ程の高熱が私を襲っているらしい。
「とにかく、医師に見せなければ。このまま王城へ戻ろう」
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「え?」
「今のは?」
ミアノ様とパウル様、レンゾ様の3人は頭に直接声が聞こえた事で驚いたようにキョロキョロしている。クーが言ったとは認識出来ていないようだ。しかし、アルノルド王子は冷静に「出来るのか?」とクーに聞いていた。
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