7 / 11
第7話
しおりを挟む
氷室先輩が僕の手首をつかんで向かった先は、2階にある彼の部屋だった。
「先輩! いい加減、放してください」
中に入ったところで、つかまれていた手がようやく離れる。
先輩が後ろ手に部屋の鍵を閉めた。
(ここで2人きりになるのはマズいよ)
せっかく先輩を頼らず1週間頑張ったのに、ここで押し倒されたらなし崩し的に前の関係に戻ってしまう気がする。
「楠木」
「は、はい」
「何逃げてんだよ」
そう言われても、腰が勝手に後ろへ逃げてしまう。
履いているスリッパが、落ちていたスナック菓子の袋を踏んで滑った。
「わっ!?」
「おい!」
先輩の長い腕が伸びてきて、バランスを崩した僕の腰を支える。
その勢いで僕らの体は、奥にあるベッドの上に転がった。
(ちょ、これはますますマズいって……!)
先輩の長い前髪が、はらりと視界に落ちてくる。
真上から見つめてくるその瞳には、同じく目を見開いた僕が映っていた。
「氷室先輩……」
ぬくもりと近すぎる距離に、感情が揺さぶられる。
「お前さ、最近俺のこと避けてるだろ?」
見つめながらため息交じりに言われ、泣きだしたい気分になってしまった。
「違うんです、そうじゃなくて……仕事で先輩を頼って、体だけいいようにされるのは嫌なんです。早く一人前になって先輩に認められたい。少しでも対等な関係に近づきたい」
本音がつらつらと口からこぼれ出る。
「お前まだ入社2カ月だろ」
先輩が困ったように顔を歪めた。
「それで俺に自分を認めさせようなんて、生意気」
先輩の手がシャツのすそから入ってきて、生意気な後輩を懲らしめるように胸の先をつまんだ。
「ゃあっ、でも」
「でも、なんだよ?」
先輩が乱暴な手つきで、僕の服を脱がせ始める。
「だからっ、愛のないセックスは嫌なんです」
「お前は、俺に対する愛はないわけ?」
「……えっ?」
「愛もなく受け入れてんの? それ、傷つく」
シャツの中に入り込んだ手が肩甲骨の上を滑り、次の瞬間には上半身裸にされていた。
それに驚くうちに、下も引きずり下ろされる。
「先輩、だから、だめですって……」
どうしてか、抵抗の声が甘えた響きを帯びてしまう。
「お前に愛がなくても、俺はこの尻がめちゃくちゃ好きだ」
「やっぱり体目当てじゃないですか! そういうの嫌だって――……」
僕を組み敷いたまま、先輩が片手で自らの欲望を取り出した。
先輩のそれは力の違いを誇示するように、大きく持ち上がって僕を威嚇している。
「でも愛してる」
「そんな愛、嫌、だ……ああっ」
ゾクゾクするものが背筋を駆けあがった、次の瞬間。
両ひざを持ち上げられ、露わになったそこに、先輩の雄々しいそれが突き立てられた。
「先輩! いい加減、放してください」
中に入ったところで、つかまれていた手がようやく離れる。
先輩が後ろ手に部屋の鍵を閉めた。
(ここで2人きりになるのはマズいよ)
せっかく先輩を頼らず1週間頑張ったのに、ここで押し倒されたらなし崩し的に前の関係に戻ってしまう気がする。
「楠木」
「は、はい」
「何逃げてんだよ」
そう言われても、腰が勝手に後ろへ逃げてしまう。
履いているスリッパが、落ちていたスナック菓子の袋を踏んで滑った。
「わっ!?」
「おい!」
先輩の長い腕が伸びてきて、バランスを崩した僕の腰を支える。
その勢いで僕らの体は、奥にあるベッドの上に転がった。
(ちょ、これはますますマズいって……!)
先輩の長い前髪が、はらりと視界に落ちてくる。
真上から見つめてくるその瞳には、同じく目を見開いた僕が映っていた。
「氷室先輩……」
ぬくもりと近すぎる距離に、感情が揺さぶられる。
「お前さ、最近俺のこと避けてるだろ?」
見つめながらため息交じりに言われ、泣きだしたい気分になってしまった。
「違うんです、そうじゃなくて……仕事で先輩を頼って、体だけいいようにされるのは嫌なんです。早く一人前になって先輩に認められたい。少しでも対等な関係に近づきたい」
本音がつらつらと口からこぼれ出る。
「お前まだ入社2カ月だろ」
先輩が困ったように顔を歪めた。
「それで俺に自分を認めさせようなんて、生意気」
先輩の手がシャツのすそから入ってきて、生意気な後輩を懲らしめるように胸の先をつまんだ。
「ゃあっ、でも」
「でも、なんだよ?」
先輩が乱暴な手つきで、僕の服を脱がせ始める。
「だからっ、愛のないセックスは嫌なんです」
「お前は、俺に対する愛はないわけ?」
「……えっ?」
「愛もなく受け入れてんの? それ、傷つく」
シャツの中に入り込んだ手が肩甲骨の上を滑り、次の瞬間には上半身裸にされていた。
それに驚くうちに、下も引きずり下ろされる。
「先輩、だから、だめですって……」
どうしてか、抵抗の声が甘えた響きを帯びてしまう。
「お前に愛がなくても、俺はこの尻がめちゃくちゃ好きだ」
「やっぱり体目当てじゃないですか! そういうの嫌だって――……」
僕を組み敷いたまま、先輩が片手で自らの欲望を取り出した。
先輩のそれは力の違いを誇示するように、大きく持ち上がって僕を威嚇している。
「でも愛してる」
「そんな愛、嫌、だ……ああっ」
ゾクゾクするものが背筋を駆けあがった、次の瞬間。
両ひざを持ち上げられ、露わになったそこに、先輩の雄々しいそれが突き立てられた。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
二軍バスケ部寮性活
ザボン
BL
バスケ推薦で入学した目白台学園大学、1年は寮に入らないといけないらしい。そこで教育係の2年、3年のセンパイ達に色々と教育されていく。本当にこんなこと、必要なの?
◇◇◇
辛かった寮生活、やっと2年に進級し出られると思ったら1年の教育係。1年間耐え抜いた辱しめを新1年へしっかりと教育しないと!
目白台学園大二軍バスケ部寮を中心に展開される青春エロストーリー
黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~
ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。
転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。
朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。
生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。
どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。
忙しい大人の甘いオフィスラブ。
フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
逢瀬はシャワールームで
イセヤ レキ
BL
高飛び込み選手の湊(みなと)がシャワーを浴びていると、見たことのない男(駿琉・かける)がその個室に押し入ってくる。
シャワールームでエロい事をされ、主人公がその男にあっさり快楽堕ちさせられるお話。
高校生のBLです。
イケメン競泳選手×女顔高飛込選手(ノンケ)
攻めによるフェラ描写あり、注意。
しのぶ想いは夏夜にさざめく
叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。
玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。
世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう?
その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。
『……一回しか言わないから、よく聞けよ』
世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。
君が好き過ぎてレイプした
眠りん
BL
ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。
放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。
これはチャンスです。
目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。
どうせ恋人同士になんてなれません。
この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。
それで君への恋心は忘れます。
でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?
不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。
「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」
ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。
その時、湊也君が衝撃発言をしました。
「柚月の事……本当はずっと好きだったから」
なんと告白されたのです。
ぼくと湊也君は両思いだったのです。
このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。
※誤字脱字があったらすみません
憧れの先輩にお持ち帰りされて両想いになるまで快楽責めされる話
辻河
BL
・卒業を間近に控えた憧れの先輩のお願いを聞いたら、お持ち帰りされて媚薬や玩具も使われて前後不覚になるまで犯される大学生の話
・執着心の強い先輩(柊木修一/ひいらぎしゅういち)×健気な後輩(佐倉優希/さくらゆうき)
・♡喘ぎ、濁点喘ぎ、淫語、媚薬、玩具責め、尿道責め、結腸責めの要素が含まれます。
※2024.3.29追記 続編を追加いたしました。
お互い社会人になった二人がとろとろぐずぐずの同棲生活を送る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる