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第3章 獅子と牝山羊
第17話
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しかし唇同士が触れ合うまであと一歩のところで動けなくなってしまった。
どうしよう。バルトロメオの戸惑うようなまばたきを、肌で感じる。
「……ユァン、キスしてくれないのか?」
「……っ、やっぱり……また今度……」
「今なら、シプリアーノのおっさんも見ていないと思うけど」
バルトロメオがニヤリと笑った。
ユァンは思わず、あの時の激しいキスを思い出す。
口の中に唾液が溜まった。
自分から彼の口内に舌をねじ込んだらどんな感じがするんだろう。
想像して鳥肌が立つ。
(ああ……、僕はいけないことを考えている)
こんな場所でそんなことを始めたら、勢い余って彼を押し倒してしまいかねないと思った。
それで顔を離そうとすると、バルトロメオが違う場所に接触してくる。
「ユァン」
「!」
ひざ立ちになっていたユァンの下腹部に、彼の大きな手が触れていた。
「なんでここ勃ててる」
「え……?」
自分でもそれが芯を持っていることに気づく。
ゆったりしたローブのおかげで露骨な形は取っていないが、触れられれば隠しようがない。
「キスもできないくせに、ここは素直に反応するんだな」
バルトロメオは囁きながら、布越しにユァンの形を探り始めた。
「やだ、バルトの……えっち」
「エッチなのはどっちだ」
耳元でクスクスと笑われる。
「これ、俺に反応してるのか? そう考えたらすげー可愛い」
「あんっ、バルト……」
彼の手に優しくさすられるたび、熱と疼きが大きくなった。
「……これもうっ、どうしたらいいの」
「素直に出せばいい」
「そんなっ……」
「……ああ、ここのお行儀のいい修道士は、そういうことはしないのか」
からかうように言いながら、バルトロメオはユァンを刺激し続ける。
逃げればいいのに体がその刺激を求めてしまって、ユァンはただ彼の首に抱きついていた。
けれど、次第に布越しのやわらかな刺激では足りなくなってしまう。
「ん、ふっ……バルトぉ……」
泣き声になるユァンに対し、バルトロメオの声は冷静だった。
「なんかさ、教義では性器に粘膜で触れる行為は性交に当たって、男同士だとソドミーに認定されるが、そうでなければお咎めはないらしい」
「……え?」
「つまりキスも、俺がアンタのここを手で撫で回すのも一応、教会法で罰せられる行為じゃないってことになる。眉をひそめられはするけどな」
「…………」
ユァンにも、バルトロメオの言わんとすることが分かってきた。
「ってことで、口と手とどっちがいい? 怒られるのと怒られないのと」
どうしよう。バルトロメオの戸惑うようなまばたきを、肌で感じる。
「……ユァン、キスしてくれないのか?」
「……っ、やっぱり……また今度……」
「今なら、シプリアーノのおっさんも見ていないと思うけど」
バルトロメオがニヤリと笑った。
ユァンは思わず、あの時の激しいキスを思い出す。
口の中に唾液が溜まった。
自分から彼の口内に舌をねじ込んだらどんな感じがするんだろう。
想像して鳥肌が立つ。
(ああ……、僕はいけないことを考えている)
こんな場所でそんなことを始めたら、勢い余って彼を押し倒してしまいかねないと思った。
それで顔を離そうとすると、バルトロメオが違う場所に接触してくる。
「ユァン」
「!」
ひざ立ちになっていたユァンの下腹部に、彼の大きな手が触れていた。
「なんでここ勃ててる」
「え……?」
自分でもそれが芯を持っていることに気づく。
ゆったりしたローブのおかげで露骨な形は取っていないが、触れられれば隠しようがない。
「キスもできないくせに、ここは素直に反応するんだな」
バルトロメオは囁きながら、布越しにユァンの形を探り始めた。
「やだ、バルトの……えっち」
「エッチなのはどっちだ」
耳元でクスクスと笑われる。
「これ、俺に反応してるのか? そう考えたらすげー可愛い」
「あんっ、バルト……」
彼の手に優しくさすられるたび、熱と疼きが大きくなった。
「……これもうっ、どうしたらいいの」
「素直に出せばいい」
「そんなっ……」
「……ああ、ここのお行儀のいい修道士は、そういうことはしないのか」
からかうように言いながら、バルトロメオはユァンを刺激し続ける。
逃げればいいのに体がその刺激を求めてしまって、ユァンはただ彼の首に抱きついていた。
けれど、次第に布越しのやわらかな刺激では足りなくなってしまう。
「ん、ふっ……バルトぉ……」
泣き声になるユァンに対し、バルトロメオの声は冷静だった。
「なんかさ、教義では性器に粘膜で触れる行為は性交に当たって、男同士だとソドミーに認定されるが、そうでなければお咎めはないらしい」
「……え?」
「つまりキスも、俺がアンタのここを手で撫で回すのも一応、教会法で罰せられる行為じゃないってことになる。眉をひそめられはするけどな」
「…………」
ユァンにも、バルトロメオの言わんとすることが分かってきた。
「ってことで、口と手とどっちがいい? 怒られるのと怒られないのと」
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