40 / 115
第2章 教会の子供たち
第10話
しおりを挟む
「バルトがそこまで言うなら、そのパーティ、僕が覗きに行ってくるよ」
「覗く?」
バルトロメオが眉間にしわを寄せた。
「養護院の制服は持ってるし、仮装パーティなら案外潜り込めるかも?」
今までの臆病なユァンなら、こんなことは考えもしなかったと思う。
けれどどうしてだろう。バルトロメオと一緒に過ごした時間が、以前よりユァンを大胆にしていた。
ベッドの下の衣装ケースから膝丈のズボンを出してみせると、バルトロメオの目が点になる。
「ちょっと待て! それを着る気なのか」
「入るよ。昔より身長は伸びたけど、腰回りはそんなに変わってないから」
「そういうことじゃなくてだな……っておい、ユァン!?」
2人部屋のスペースを区切るカーテンを引いて着替えていくと、バルトロメオが片手で顔を覆った。
「……なに? そんなに変?」
「逆だ逆! はあ、やっぱり目の毒だな……予想はしていたが」
顔を覆う手のひらの向こうで、バルトロメオが深いため息をつく。
養護院の制服は白いカッターシャツにベージュの吊りズボン。
本来15歳までの少年が着るものだから、ズボン丈が短いのはご愛嬌だ。
あとは季節に合わせ、これにセーターやブレザーを重ねる。
「この服のどこが気になるの?」
バルトロメオの座るベッドの縁まで近づいていってみると、彼の手がユァンの太腿を滑り下り、ひざの裏側を撫でてきた。
「服っていうかアンタだ。こんなきれいな脚見せて歩いたら、周りが変な気を起こすだろ……」
「脚……? 好きなの?」
「そうじゃないけどさ……」
「じゃあ、子供っぽい格好が好き?」
「それは断じて違う」
ユァンのひざ頭から視線を上げ、バルトロメオが怒ったような顔をしてみせた。
座っている彼とほぼ同じ高さで目線が合い、ユァンはドキリとしてしまう。
「好きになった相手がこんなに子供だと、さすがに不安になるんだよ。自分が間違いを起こしてるんじゃないかって疑いたくなる……」
言いながら腰を引き寄せられ、彼のひざに跨がる形で乗せられた。
「わっ」
ユァンは慌ててバルトロメオの肩につかまる。
その拍子に、顎が彼の肩口に乗った。
背中と首の後ろへ回ってきた腕に、ぎゅっと深く抱きしめられる。
「え、と……バルト?」
耳の後ろで彼がため息をついた。
「少しこのまま、俺の視界から外れてろ」
(そのためにこれ?)
幼児だった頃なら親に抱きしめられた気もするが、誰かにこうされるのは慣れていなくて戸惑う。
彼の体温に包まれて、触れ合う胸の鼓動が速かった。
「覗く?」
バルトロメオが眉間にしわを寄せた。
「養護院の制服は持ってるし、仮装パーティなら案外潜り込めるかも?」
今までの臆病なユァンなら、こんなことは考えもしなかったと思う。
けれどどうしてだろう。バルトロメオと一緒に過ごした時間が、以前よりユァンを大胆にしていた。
ベッドの下の衣装ケースから膝丈のズボンを出してみせると、バルトロメオの目が点になる。
「ちょっと待て! それを着る気なのか」
「入るよ。昔より身長は伸びたけど、腰回りはそんなに変わってないから」
「そういうことじゃなくてだな……っておい、ユァン!?」
2人部屋のスペースを区切るカーテンを引いて着替えていくと、バルトロメオが片手で顔を覆った。
「……なに? そんなに変?」
「逆だ逆! はあ、やっぱり目の毒だな……予想はしていたが」
顔を覆う手のひらの向こうで、バルトロメオが深いため息をつく。
養護院の制服は白いカッターシャツにベージュの吊りズボン。
本来15歳までの少年が着るものだから、ズボン丈が短いのはご愛嬌だ。
あとは季節に合わせ、これにセーターやブレザーを重ねる。
「この服のどこが気になるの?」
バルトロメオの座るベッドの縁まで近づいていってみると、彼の手がユァンの太腿を滑り下り、ひざの裏側を撫でてきた。
「服っていうかアンタだ。こんなきれいな脚見せて歩いたら、周りが変な気を起こすだろ……」
「脚……? 好きなの?」
「そうじゃないけどさ……」
「じゃあ、子供っぽい格好が好き?」
「それは断じて違う」
ユァンのひざ頭から視線を上げ、バルトロメオが怒ったような顔をしてみせた。
座っている彼とほぼ同じ高さで目線が合い、ユァンはドキリとしてしまう。
「好きになった相手がこんなに子供だと、さすがに不安になるんだよ。自分が間違いを起こしてるんじゃないかって疑いたくなる……」
言いながら腰を引き寄せられ、彼のひざに跨がる形で乗せられた。
「わっ」
ユァンは慌ててバルトロメオの肩につかまる。
その拍子に、顎が彼の肩口に乗った。
背中と首の後ろへ回ってきた腕に、ぎゅっと深く抱きしめられる。
「え、と……バルト?」
耳の後ろで彼がため息をついた。
「少しこのまま、俺の視界から外れてろ」
(そのためにこれ?)
幼児だった頃なら親に抱きしめられた気もするが、誰かにこうされるのは慣れていなくて戸惑う。
彼の体温に包まれて、触れ合う胸の鼓動が速かった。
0
お気に入りに追加
85
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる