47 / 86
終わりと出会い
すやすやグレス
しおりを挟む
シオンは自分が街に拘束されてしまう事を承知で、魔物の蹂躙の知らせをしたのだ。自分の自由より大勢の命を助けるため、その可能性に気付いてしまったら気づいてない振りは出来ない。命を救う薬師として、魔物と戦う冒険者としてなにより、もしも街を見捨て逃げたらグレスになんて言ったら良いのか分からない。それにまだ魔物の蹂躙が起こるとは限らない。ラドはその覚悟をシオンから感じた、命の恩人であるシオンが死んでしまうかもしれないなついているグレスはどうするのだとラドは怒りを覚える。
「どうして何も知らない街の為に縛られたんだ!逃げればいいじゃないか!グレスを頼むってなんだよ。助けたのはシオンだろ!?」
「えぇグレスを助けてここまで連れてきたのは私よ。だからこそ、グレスの安全を確保する必要があるの」
「まだ会ったばかりの俺にグレスを任せるな!もし俺が悪人だったらどうするんだ!?」
「数日しか過ごしてないけどラドが子供を傷つけないことぐらい分かるわよ」
ラドはシオンに怒鳴るが、シオンは笑ったままラドの言葉を受け流していく。自分の命を軽く考えているようなそぶりにグレスは怒りを積もらせるが、シオンは笑いながら
「確かにこの街のことあまり知らないわ。でも、見ず知らずのラドを助けたように知らない街でも助けるのよ」
「っ・・・・」
シオンに助けられたラドは何も言えなくなってしまう。街を助けることを否定するのは自分を助けたことを否定するのと同じであり、シオンの意思の硬さを感じ言葉に詰まってしまったが目を伏せながら文句を言う
「狡くないか?そのことを出すのは・・・」
「ごめんなさいね。でも、魔物の蹂躙が起きると決まったわけじゃないし早目に対処すれば何とかなるわよ」
「グレスはシオンと一緒に居たいと思うぞ」
「そうかしら・・・グレスはどう思う?」
シオンとラドはグレスの方を見ると、グレスはソファーにもたれながらすやすやと寝ていた。顔や態度では分からなかったが、一日中走ったことと旅の疲れが溜まっていたのだろう2人が知らな内に、グレスは寝てしまっていた。
「あら、静かだと思ってたけど寝てしまってたのね」
「一日中走ってれば疲れるだろうからな」
「平気そうに見えたけど、やっぱり疲れてたのね。表情に出ないからより一層気を付けなきゃ・・・」
熟睡しているグレスを見て2人のピリピリとした雰囲気が和らぎラドの顔にも笑顔が浮かんだ。グレスは普段から自分から喋ることはあまりない。しかも表情にも表れないため疲れているのか痛いのか、お腹が空いているのかなどの感情を読み取ることが難しいため気を付ける必要があると改めて思い、シオンは寝ているグレスの頭を撫でた。
「今は、魔物の蹂躙が起こらない可能性や違う可能性を信じましょ」
「そうだな・・・」
可能性をいくら考えても、調査をするまで確証を得ることは出来ない。たらればの話より確かに未来を掴むために行動することが必要だと2人は頷き優しい顔でグレスを見る。
「それにしても・・・グレスの寝顔をしっかりと見るのは初めてだが整った顔をしているよな」
「そうね。白い髪は痛んでいないし、肌は健康的に焼けてるし顔のパーツも整ってるわよね」
「綺麗って感じよりカッコイイって感じだな」
「瞳の色も素敵よね。まだ、少年って顔つきだけど成長したら男らしく育つと思うわよ」
「確かに、無表情だけどいつかは笑った顔が見たいな」
「そうね」
事実グレスの容姿は整っているが、自分の子どもを可愛がるようにべた褒めしていることを眠りの世界に入っているグレスは知ることは無かった。
「どうして何も知らない街の為に縛られたんだ!逃げればいいじゃないか!グレスを頼むってなんだよ。助けたのはシオンだろ!?」
「えぇグレスを助けてここまで連れてきたのは私よ。だからこそ、グレスの安全を確保する必要があるの」
「まだ会ったばかりの俺にグレスを任せるな!もし俺が悪人だったらどうするんだ!?」
「数日しか過ごしてないけどラドが子供を傷つけないことぐらい分かるわよ」
ラドはシオンに怒鳴るが、シオンは笑ったままラドの言葉を受け流していく。自分の命を軽く考えているようなそぶりにグレスは怒りを積もらせるが、シオンは笑いながら
「確かにこの街のことあまり知らないわ。でも、見ず知らずのラドを助けたように知らない街でも助けるのよ」
「っ・・・・」
シオンに助けられたラドは何も言えなくなってしまう。街を助けることを否定するのは自分を助けたことを否定するのと同じであり、シオンの意思の硬さを感じ言葉に詰まってしまったが目を伏せながら文句を言う
「狡くないか?そのことを出すのは・・・」
「ごめんなさいね。でも、魔物の蹂躙が起きると決まったわけじゃないし早目に対処すれば何とかなるわよ」
「グレスはシオンと一緒に居たいと思うぞ」
「そうかしら・・・グレスはどう思う?」
シオンとラドはグレスの方を見ると、グレスはソファーにもたれながらすやすやと寝ていた。顔や態度では分からなかったが、一日中走ったことと旅の疲れが溜まっていたのだろう2人が知らな内に、グレスは寝てしまっていた。
「あら、静かだと思ってたけど寝てしまってたのね」
「一日中走ってれば疲れるだろうからな」
「平気そうに見えたけど、やっぱり疲れてたのね。表情に出ないからより一層気を付けなきゃ・・・」
熟睡しているグレスを見て2人のピリピリとした雰囲気が和らぎラドの顔にも笑顔が浮かんだ。グレスは普段から自分から喋ることはあまりない。しかも表情にも表れないため疲れているのか痛いのか、お腹が空いているのかなどの感情を読み取ることが難しいため気を付ける必要があると改めて思い、シオンは寝ているグレスの頭を撫でた。
「今は、魔物の蹂躙が起こらない可能性や違う可能性を信じましょ」
「そうだな・・・」
可能性をいくら考えても、調査をするまで確証を得ることは出来ない。たらればの話より確かに未来を掴むために行動することが必要だと2人は頷き優しい顔でグレスを見る。
「それにしても・・・グレスの寝顔をしっかりと見るのは初めてだが整った顔をしているよな」
「そうね。白い髪は痛んでいないし、肌は健康的に焼けてるし顔のパーツも整ってるわよね」
「綺麗って感じよりカッコイイって感じだな」
「瞳の色も素敵よね。まだ、少年って顔つきだけど成長したら男らしく育つと思うわよ」
「確かに、無表情だけどいつかは笑った顔が見たいな」
「そうね」
事実グレスの容姿は整っているが、自分の子どもを可愛がるようにべた褒めしていることを眠りの世界に入っているグレスは知ることは無かった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる