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森で運動

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 ブレストと一緒に歩いていると子供が珍しいのか沢山の注目を浴びたが気にせず砦の奥に進むと、フォレシアの森に入る入り口が奥に見えてきた。

「お~あそこが出口か」
「入り口でもあるな」
「んじゃ出入り口と言うことで。フォレシアの森って確か自然の迷宮って呼ばれてるんだよな?」
「そうだぞ~まぁ道なりに歩けば迷うことは無いけどな」

 これから入る森は通称自然の迷宮と呼ばれ、森に迷い込んだらよっぽどの運が無い限りは出ることが出来ないと言われるほど危ない森なのだ。何故そこまで危険だと言われているのかは、出現する魔物の強さと絶えず成長し一面に生い茂る植物達の所為だと言われている。まぁこれは本で学んだことだから実際に経験してみないとどれだけ危険か分からないけどな。

「んじゃ道から外れないように気を付けないとな」

 よく分からない場所は変な事をしないで正しい手順と手段を取るのが当たり前だ。俺達なら大体の事は何とかなるだろうけど、不測の事態に陥らないとは限らないしな。

「町に行って森に慣れるまではそうだな」

 ブレストは危険が無ければ驚くようなことをするが基本的には慎重だ。俺も知らない土地で無茶はしないぜ。フォレシアの入り口に辿り着くと、そこには青い髪をした強そうな女の人が笑顔で俺達を待っていた。

「やぁ」
「アマロさん」
「誰?」
「この砦の責任者だな」

 何故フォレシアの入り口にこの砦の責任者が居るんだ?恐らくブレストが来たという報告を聞いてわざわざ来てくれたんだろうけど・・・・何が目的だ?

「どうも、初めましてこの砦に所属している衛兵隊の体調を務めているアマロだ。君があのクロガネ君だね噂は聞いてるよ」
「初めまして、良い噂だと良いですけど」
「シュナイザーがべた褒めだったぞ」
「仲が良いんですね」
「幼馴染だからね」

 上司であり領主であるシュナイザー様を呼び捨てとは仲が良いなと思ったけど、幼馴染なのか~

「今日はどんなご用事で?」
「なに、クロガネ君を一目見たかったのとお世話になったからその見送りだよ」
「そうですか、一応冒険者証見せておきますね」

 特に驚いた顔もせずに淡々とブレストは話し俺達の冒険者証を確認した後、手元にあった書類に書きこむと笑顔で

「冒険者証を確認しました。貴方達の通行を認めます。そして改めまして私達の為に戦ってくれてありがとうございました。そして、私から一つ助言を。生きて通るためには絶対に道から外れないで下さい。お二人の旅が希望に満ち溢れたものであることを祈ります」

 特に俺達を引き留める事無く見送ってくれたアマロさん。俺達はお礼を言いながら門をくぐり森に出ると城壁の上から多くの人達が手を振りながら森の中を進んで行った

「ブレストさんありがと~」
「元気でな!」
「危なくなったらすぐに戻って来いよ~!」

 それに手を上げ答えながら俺達は森を進んで行った。関りは少なかっただろうけど、あんな風に見送って貰えるなんて相当心を掴んだみたいだな。

「人気者じゃん」
「そんなことねーよ」
「そう?そうは見えなかったけどな」
「はいはい、揶揄ってないで周囲の警戒を怠るなよ」
「勿論、索敵はしっかりしてるよ。それにしても、壁を越えただけでここまで違うものなのか」

 フォレシアの森に入るのは初めてだが入った瞬間に景色が一変した。ウォルマの周辺にあった森は背が高く緑が生い茂り深い緑色に包まれた森だったが、この森は赤黄青など色とりどりの葉を生やす木々に、まるで動物の様に動く花々。そして、木々は真っすぐでは無く捻じ曲がり、木々の種類も様々だ。色々な植物が在る所為で匂いが混ざり魔物の匂いが感じづらいな。

「俺もここまで変な森を見るのは久々だな。あれなんてお辞儀するように木が曲がってるぜ」
「あれって・・・・スマッシュツリーか」

 スマッシュツリーそれは根元に動物を呼び寄せる匂いだを出す果実を作り、寄ってきた魔物や動物をよくしなる幹を動かし枝と葉で叩き潰し栄養とする植物だ。魔力が豊富な森でしか見掛けることが出来ない珍しい木だ。こういった不思議な植物は魔力を持ってるんだけど、索敵の邪魔になるんだよな~

「植物が多すぎて目がチカチカするな。気配の主張も激しいし索敵が面倒だ」
「魔力感知だと色々引っ掛かり過ぎだな」
「気配を探ってるけどいつも程正確じゃ無いから気を付けて」
「俺も警戒はしてるから大丈夫さ」

 植物なのに動く奴が居るせいで魔物と動物と植物の区別がしづらくて苦戦していると、明らかに俺達に向かって来る5体の気配を感じた。

「右斜め前方から素早い四足歩行が5体来る」
「四足・・・・ウルフか?」
「たぶん!10秒後接敵する・・・・避けろ!!」

 俺達は向かってくる気配の方を睨みつけ待ち構えていると、一瞬魔法を使う気配を感じ俺達は大きく後方に飛ぶと俺達が居た場所に無数の刃が刺さった。

「ブレイドウルフか」
「俺こいつと相性悪いんだけどな~」

 無数の刃を飛ばす素早い四足歩行そして群れということはブレイドウルフしか居ない。茂みから現れた5体のブレイドウルフは毛がまるで剣のように鋭く鉄のように鈍色に光っている。一体だけ少しからが大きいからあいつがボスだな。

「ブレイドウルフには」
「雷だろ!」

 俺は装填しておいた雷の矢を五発全て撃ち込むが少し動きが止まった程度で大したダメージになっていない。

「マジか」
「ボスは相手してやるから他の奴は頑張れ」

 そう言ってブレストはボスに突っ込んでしまったので俺は後の四体を相手しないとな。威力を上げてもう一回でも良いけど、棒手裏剣を使うか?いや、あまりあれに頼り過ぎても良く無いよな。四体で連携をしながら絶え間なく飛んで来る刃をナイフで弾きながら、隙を伺うが互いに隙を補ってるのか・・・・面倒だな。あの毛は金属のように固く鋭い触るだけでこっちが怪我をするから俺のナイフじゃリーチも力強さも足りないんだよな。仕方が無い生き物ならではの所を狙うか。

 俺は素早く雷の矢をクロスボウに装填すると速さと正確さを重視し、8本の矢を操りブレイドウルフの顔面へと飛ばす。

狙うのは・・・・眼球!

 眼球に矢を食らったブレイドウルフは痛み苦しみ悶えた隙に俺の全力の雷の矢を食らわせ止めを刺した。本当ならもっと素早く苦しませずに倒したかったんだがな・・・・

「終わったみたいだな」
「なんとかな。このレベルの奴がわんさか居るのか~ちょっともう少し強くならないと駄目だな」

 毎回毎回全力の魔法を使わないと止めを刺せないんじゃすぐに魔力切れを起こしちまうな。棒手裏剣を使えば何とかなるだろうけど、素の力でこいつらに勝てるようになっとかないとこの先困りそうだ。

「まぁまぁ戦えるけど、どうしても威力がな。魔力の密度を上げれば威力は上がるぞ~」
「それはまだ練習中なんだよ~」
「実践あるのみだぜ」

 ナイフの切れ味を上げる為に魔力を刃に集中させる技術は魔法でも同じことが出来るみたいで籠める魔力の密度を上げてやれば威力が上がるんだけどこれも難しいんだよな~さっきの戦闘で威力不足を実感したけど、もう一つ感じたことが

「まぁ練習は続けるよ。あともう一つ直さないといけないことが出来たな」
「ん?どこをだ?」
「太った」
「は?」

 さっき動いて分かったけど明らかに体重が増えている。シュナイザー家に居た時は山盛りの美味しい量を食べて、指南役として指導していたから完全な運動不足だったんだよな。そりゃ体重も増える。

「何処が太ったていうんだ?同年代と比べても痩せている方だろ。会った時なんて骨と皮ってぐらいだったんだからな」
「それは仕方が無いだろ」

 あの時は食べることも少なかったから痩せて当たり前だ。今も確かにテセウとかに比べると細いけど、俺は素早さが売りだし木の上に乗ったりするから体重は軽い方が良いんだよ。

「徐々に体重を戻してやっと普通より痩せてるくらいになったんだから、増やすのは良いけど減らすのは許しません。取りあえず平均ぐらいにはなって貰わないと」
「え~でも支障が」
「体を犠牲にするくらいなら、その方法自体を変えた方が良い。それに俺の体重でも、しっかりと工夫と正しい乗り方をすれば木の上に乗っても大丈夫なんだから減らす必要は無いだろ。それとクロガネの歳ならそれは太ったんじゃなくて成長したんだよ」 
「成長か~」
「ただでさえ今まで食べてこなかった所為で魔力の割には少食だし、体の肉も付きにくいんだから痩せるなんて許しません!」
「は~い」

 確かに筋肉になる脂肪が付きづらくて鍛えてるのに全然太くならないんだよな。火力不足は体重の所為でもあったりするし、ブレストが絶対許してくれないだろうから今の身体に慣れるしか無いか。

「小さい間に栄養を沢山取らないと丈夫な体にならないんだからな」
「分かったって」
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