【完結】運命の番? この世界に白馬の王子様はいないようなので、退場させていただきます。

 断罪シーンの立ち位置で、自分が転生者のヒロインだと自覚したアンジュ。しかし、アンジュには目的があった。それは自分の叔母である現王妃を救い出すこと。

 番というものがあるこの世界で、政略結婚の末に現国王の番の影に追いやられた叔母。白い結婚のまま王宮で肩身の狭い思いをした後に、毒殺未遂をさててしまう。

 そんな叔母を救うためには、国王の王弟殿下であるアレン様に近づきその力を借りること。しかし目的があって近づいたアンジュをアレンは運命の番として見染める。

 ただ殿下には国王と同じく、公爵令嬢のティナという婚約者がいた。ティナは王妃となるために教育を受け、ただ殿下を素直に愛してきた。

 その殿下を番という立場の者に、すんなりと盗られてしまう。その悔しさからアンジュへのいじめが始まった。

 そして自分をいじめたために断罪されるティナを見た時、アンジュの中で考えが変わる。

 国王と同じことを繰り返そうとする王弟殿下。殿下にとって自分が番であっても関係ない。少なくともアンジュにとってアレンは、前世で夢見た白馬の王子様ではなかったから……。

 ティナの手を引き、アンジュはヒロインからの退場を宣言する。

「殿下にとって私は運命の番でも、私にとっては運命ではなかったみたいです」
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