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018 あふれ出る欲望
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市場にて買ったたくさんの食材たちを厨房に運び込むと、気分は上々だ。
特に今日は前からずっと作りたかった調味料を作るんだもの。
「ふふふふふ」
並べられた食材を前に、私は一人微笑んだ。
「不気味なので変な声を出すのは辞めて下さい、ミレイヌ様」
「え? あ、声出てた?」
「声も欲望も出てました」
「ハイ……すみません」
微笑んだつもりだったのになぁ。
堪えきれずに声まで出ていたなんて。
さすがにシェフたちも引き気味だし、気を付けないと。
ただでさえ今、厨房に勝手に出入りして何か作り出す変わった人ポジなんだから。
「で、その欲望駄々洩れで何を作る気なのですか?」
「んとねー。マヨネーズとケチャップっていう調味料よ」
もどき、だけどねー。
しかも作り方なんて、なんとなくしか分からないからちゃんと出来るかどうかも分からないし。
「さてと~。んじゃ、作っていこー」
「奥様、お手伝いしますよ」
私をマネするように、料理長が腕まくりしながらやってくる。
この前、燃焼系スープを作って以来、みんな私の料理を手伝ってくれるのよね。
「それならこのトマトとたまねぎもどきをみじん切りにしてね」
刻んだトマトとたまねぎに水を入れを鍋の中で煮込みながら潰し、さらににんにくとビネガー塩を入れる。
「ん-。やっぱり砂糖も必要かな」
煮詰めつつ味見をすると、やっぱり甘みが足りない。
私はそこにさらに砂糖を入れて、強火で煮詰めていく。
「なにか物足りないんだけど、分かんないなぁ~」
色も思ったりオレンジだし、甘さの中にある辛みみたいなものが足りない。
でも足りないものの、何が入ってるか想像もつかなかった。
ん-。辛いっていっても、まさか唐辛子ってわけではないよねぇ。
こういう時、ちゃんと成分表示とか見ておけば良かったな。
ああいうのって、すぐにポイしちゃうから気にも留めなかったのよね。
まさか自分が転生するなんて思ってもいなかったし。
「なんかミレイヌ様これ、すごくドロドロになってきましたね」
「うん。調味料だからねー。ちょっと味は物足りないけど、濃いからいいや」
そう。今は濃ければオッケーかな。
あとで一旦作ったあとで、味が物足りなければ調味料足してみてもいいし。
ぐつぐつとある意味、マグマに似たトマトたちの火を止めた。
にんにくの匂いが食欲をそそるのか、安定に鍋の周りは人だかりになっている。
「これだけとろとろになって、ヘラでまぜた時に鍋の底が見えるからいい感じだわ。このまま冷ましてしまえば、何にでも使えるようになるわ」
これで一つ目は完成ね。
「このケチャップ? ていうのは、何かにつけて食べる感じですか?」
「そうね。つけてもいいし、これを入れて食材を炒めても美味しいわ」
ケチャップ炒めかぁ。
んんん。オムライスが食べたい。
とろりとした卵の下にしっかりケチャップの味が付いたご飯。
そしてさらにその上にかけたケチャップがトドメとなる。
「米があればなぁ」
この国に米があれば、もっとケチャップが有効活用できるのに。
いつかこの国で米探しもしたいわね。
米は小麦よりも腹持ちもいいし、低カロリー。
ダイエットには米。私には米。米たべたーーーーい。
「ミレイヌ様、だから口から欲望が……」
「ハイ……すみません」
二度もツッコまれながら、私は今度はマヨネーズ作りを考え出した。
特に今日は前からずっと作りたかった調味料を作るんだもの。
「ふふふふふ」
並べられた食材を前に、私は一人微笑んだ。
「不気味なので変な声を出すのは辞めて下さい、ミレイヌ様」
「え? あ、声出てた?」
「声も欲望も出てました」
「ハイ……すみません」
微笑んだつもりだったのになぁ。
堪えきれずに声まで出ていたなんて。
さすがにシェフたちも引き気味だし、気を付けないと。
ただでさえ今、厨房に勝手に出入りして何か作り出す変わった人ポジなんだから。
「で、その欲望駄々洩れで何を作る気なのですか?」
「んとねー。マヨネーズとケチャップっていう調味料よ」
もどき、だけどねー。
しかも作り方なんて、なんとなくしか分からないからちゃんと出来るかどうかも分からないし。
「さてと~。んじゃ、作っていこー」
「奥様、お手伝いしますよ」
私をマネするように、料理長が腕まくりしながらやってくる。
この前、燃焼系スープを作って以来、みんな私の料理を手伝ってくれるのよね。
「それならこのトマトとたまねぎもどきをみじん切りにしてね」
刻んだトマトとたまねぎに水を入れを鍋の中で煮込みながら潰し、さらににんにくとビネガー塩を入れる。
「ん-。やっぱり砂糖も必要かな」
煮詰めつつ味見をすると、やっぱり甘みが足りない。
私はそこにさらに砂糖を入れて、強火で煮詰めていく。
「なにか物足りないんだけど、分かんないなぁ~」
色も思ったりオレンジだし、甘さの中にある辛みみたいなものが足りない。
でも足りないものの、何が入ってるか想像もつかなかった。
ん-。辛いっていっても、まさか唐辛子ってわけではないよねぇ。
こういう時、ちゃんと成分表示とか見ておけば良かったな。
ああいうのって、すぐにポイしちゃうから気にも留めなかったのよね。
まさか自分が転生するなんて思ってもいなかったし。
「なんかミレイヌ様これ、すごくドロドロになってきましたね」
「うん。調味料だからねー。ちょっと味は物足りないけど、濃いからいいや」
そう。今は濃ければオッケーかな。
あとで一旦作ったあとで、味が物足りなければ調味料足してみてもいいし。
ぐつぐつとある意味、マグマに似たトマトたちの火を止めた。
にんにくの匂いが食欲をそそるのか、安定に鍋の周りは人だかりになっている。
「これだけとろとろになって、ヘラでまぜた時に鍋の底が見えるからいい感じだわ。このまま冷ましてしまえば、何にでも使えるようになるわ」
これで一つ目は完成ね。
「このケチャップ? ていうのは、何かにつけて食べる感じですか?」
「そうね。つけてもいいし、これを入れて食材を炒めても美味しいわ」
ケチャップ炒めかぁ。
んんん。オムライスが食べたい。
とろりとした卵の下にしっかりケチャップの味が付いたご飯。
そしてさらにその上にかけたケチャップがトドメとなる。
「米があればなぁ」
この国に米があれば、もっとケチャップが有効活用できるのに。
いつかこの国で米探しもしたいわね。
米は小麦よりも腹持ちもいいし、低カロリー。
ダイエットには米。私には米。米たべたーーーーい。
「ミレイヌ様、だから口から欲望が……」
「ハイ……すみません」
二度もツッコまれながら、私は今度はマヨネーズ作りを考え出した。
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