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第五章
第七十一話 合わせ鏡のような呪縛④
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私たちの足音だけがこの空間に、響き渡る。
平民や犯罪を犯した者よりかははるかにマシだと言われた地下牢は、牢屋を初めて見る私からすれば、何がマシなのか分からないほどだ。
ジメジメとした空気に、やや湿気臭いにおいが、重い空気と共に体に纏わりついてくる。
「チェリー」
一番奥の牢に、チェリーは入れられていた。
髪は乱れ、床に座り込むチェリーのドレスは薄汚れていた。
その顔に精気はない。
しかし私を見つけると、チェリーは勢いよく立上がり鉄格子に手をかけた。
「姉ぇさま、無事だったのですね!」
「ええ。まだフラフラするから、歩くことは出来ないけど」
「ああ、良かった……。本当によかった……」
今にも泣きそうな安堵した表情。
そしてかけられたその言葉は、やはり私には本心のように思える。
「良かったと思うのならば、なぜアイリスを殺そうとしたんだ」
「殿下、違います。わたしは姉を殺そうなどとしてはいません。グレン様もどうか信じて下さい」
「毒を盛って、アイリスの乗った馬車の車輪に傷を付けさせ、転倒させた。これが殺人未遂でなく、何だと言うのだ」
キースは肩を震わせ激高している。
「違います! わたしじゃない! 確かに、端から見ればわたしは姉に嫉妬をし、嫌がらせをしてきた人間に思えるでしょう。でも全部目的が……叶えたい願いがあったから。だから決して、姉を傷つけたりはしていない」
首を横に振り、必死にチェリーが訴える。
真っすぐとチェリーは私を見た。
ああ違う。
この感覚……唯奈が、私を見ていた。
グレンと揉めている時から思っていた。
チェリーの叶えたい願い。
求めたものとはなんだったのかなって。
「あなたの願いはなんだったの?」
「わたしは姉さまに分かってもらいたかっただけ。姉さまにわたしだけを見て欲しかっただけ。そしてなにより、派手なことも人付き合いも苦手な姉さんを、貴族社会から逃がしてあげたかった」
「それはどういう意味なの?」
「姉さんは何も分かってない。今まで貴族社会にほとんど関わってこなかったから余計に、ね。その面は、侯爵家においてわたしが担ってきたもの」
確かにそれはそう。
私はまったく極力そういったことには、関わってこなかったもの。
チェリーはいつも親たちのこと言うことをお利口さんに聞いて、夜会やいろんなとこに参加していたっけ。
しかも私と違い婚約者も決まっていなかったから、余計にそうだろう。
「でもだからと言って、やり方がダメだったとは思わないの?」
「やり方や手段なんて、どうでもいいのよ。姉さんは本当に何も分かってない。ここは本当に伏魔殿以上の地獄よ」
「伏魔殿って……」
「わたしは一人でここで戦ってきた。いろんな貴族たちや、あの人と。それがどれだけ大変だったか」
「あの人?」
あの人とは誰のことを指すのだろう。
黒幕?
ただ聞き返した私に、チェリーは力なく首を横に振った。
「一人で両親の期待を背負うわたしに侍女たちは同情的だった。ただだからこそ、そこに付け込まれたことに気づかなかったのよ。事故も毒もそう……」
侍女たちはチェリーの弱さに付け込まれたという感じなのかな。
孤独だったこの子に付け込むことで、自分たちも利益を得ようとした。
しかし解雇され、それが叶わなくなると腹いせとしてチェリーに毒を渡し、罪を擦り付けようとした。
と考えるのが普通だろう。
でもチェリーが名前を言わないあの人は誰なの。
もっと話は単純ではない気がした。
「でも、姉さま、わたしは」
私はキースを見上げ、その場に降ろすように頼む。
私の行動に関して諦めているキースは、そのままそっと降ろしてくれた。
フラフラした足取りのまま、チェリーの前に立つ。
「姉さま、わたしは本当に! どうか信じて!」
「……姉と呼ぶのは辞めてって、いつも言っているでしょう」
私のその言葉に、チェリーは大きく目を見開き、息を飲む。
私が唯花だったあの日、唯奈に伝えた言葉だ。
「アイリス?」
私の発言の意図が分からないキースたちは、ただ首を傾げ様子を見守る。
「まさか記憶が……戻ったの?」
「戻っていたのよ。馬車の事故の時にね」
「それならどうして」
「どうして? そうではないでしょう。どうしてそれを告げなければいけなかったの?」
「だってわたしたちは」
「ねえ、チェリー。唯花と唯奈だった私たちは、あの日二人とも事故で死んだのよ。そしてこの世界に、アイリスとチェリーとして生まれてきた。違う?」
前世の記憶なんて、過去のことなんて全部無視してしまえばよかったのに。
引きずって拗れて、結果こんなことになってしまっている。
違う人間として生まれてきたのだから、違う人間として生きていけばよかったのに。
それは私そう。
悩むことも、めんどくさいことも考えもせず、正々堂々とアイリスとして生きればよかった。
「そうね。そうやっていつも自信たっぷりで、わたしのことを見下す唯花が大嫌いだったわ。わたしは瑞葉よりどれだけでも努力してあの位置にいたのに、努力なんて知りませんという澄ました顔をして、いつもいつもわたしの先に行こうとする」
チェリーの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「私はいつも誰からも愛されて、みんなの中心にいる唯奈が大嫌いだった。私にはないものをたくさん持っていて、いつでもそれを私にひけらかしていたわよね」
「わたしはそうすることで、ずっと自分の弱い心を守ってきたの。わたしがどれだけ努力しても、どんなに見下しても、素知らぬ顔で、わたしの前をいく唯花から。何にも努力なんてしていないくせに、どうして唯花はそのままでいいと言われて、どうしてわたしだけが努力をし続けなければいけなかったのよ!」
チェリーのその言葉は、叫びにも似ていた。
いつかキースが、チェリーは本当は私のことが羨ましいのではないかと言っていたっけ。
私たちはお互いがお互いに持ってないものを羨ましがって、こんな風に拗れてしまったのだろう。
「私たちはずっと同じだったから。私は唯奈が眩しくて、そして羨ましくて。だから見ないようにずっと避けて一人ぼっちを貫いてきた。でもそれは唯奈も同じで、お互いがないものをねだって羨ましがって、ずっと傷つけあってきたのね」
「……」
平民や犯罪を犯した者よりかははるかにマシだと言われた地下牢は、牢屋を初めて見る私からすれば、何がマシなのか分からないほどだ。
ジメジメとした空気に、やや湿気臭いにおいが、重い空気と共に体に纏わりついてくる。
「チェリー」
一番奥の牢に、チェリーは入れられていた。
髪は乱れ、床に座り込むチェリーのドレスは薄汚れていた。
その顔に精気はない。
しかし私を見つけると、チェリーは勢いよく立上がり鉄格子に手をかけた。
「姉ぇさま、無事だったのですね!」
「ええ。まだフラフラするから、歩くことは出来ないけど」
「ああ、良かった……。本当によかった……」
今にも泣きそうな安堵した表情。
そしてかけられたその言葉は、やはり私には本心のように思える。
「良かったと思うのならば、なぜアイリスを殺そうとしたんだ」
「殿下、違います。わたしは姉を殺そうなどとしてはいません。グレン様もどうか信じて下さい」
「毒を盛って、アイリスの乗った馬車の車輪に傷を付けさせ、転倒させた。これが殺人未遂でなく、何だと言うのだ」
キースは肩を震わせ激高している。
「違います! わたしじゃない! 確かに、端から見ればわたしは姉に嫉妬をし、嫌がらせをしてきた人間に思えるでしょう。でも全部目的が……叶えたい願いがあったから。だから決して、姉を傷つけたりはしていない」
首を横に振り、必死にチェリーが訴える。
真っすぐとチェリーは私を見た。
ああ違う。
この感覚……唯奈が、私を見ていた。
グレンと揉めている時から思っていた。
チェリーの叶えたい願い。
求めたものとはなんだったのかなって。
「あなたの願いはなんだったの?」
「わたしは姉さまに分かってもらいたかっただけ。姉さまにわたしだけを見て欲しかっただけ。そしてなにより、派手なことも人付き合いも苦手な姉さんを、貴族社会から逃がしてあげたかった」
「それはどういう意味なの?」
「姉さんは何も分かってない。今まで貴族社会にほとんど関わってこなかったから余計に、ね。その面は、侯爵家においてわたしが担ってきたもの」
確かにそれはそう。
私はまったく極力そういったことには、関わってこなかったもの。
チェリーはいつも親たちのこと言うことをお利口さんに聞いて、夜会やいろんなとこに参加していたっけ。
しかも私と違い婚約者も決まっていなかったから、余計にそうだろう。
「でもだからと言って、やり方がダメだったとは思わないの?」
「やり方や手段なんて、どうでもいいのよ。姉さんは本当に何も分かってない。ここは本当に伏魔殿以上の地獄よ」
「伏魔殿って……」
「わたしは一人でここで戦ってきた。いろんな貴族たちや、あの人と。それがどれだけ大変だったか」
「あの人?」
あの人とは誰のことを指すのだろう。
黒幕?
ただ聞き返した私に、チェリーは力なく首を横に振った。
「一人で両親の期待を背負うわたしに侍女たちは同情的だった。ただだからこそ、そこに付け込まれたことに気づかなかったのよ。事故も毒もそう……」
侍女たちはチェリーの弱さに付け込まれたという感じなのかな。
孤独だったこの子に付け込むことで、自分たちも利益を得ようとした。
しかし解雇され、それが叶わなくなると腹いせとしてチェリーに毒を渡し、罪を擦り付けようとした。
と考えるのが普通だろう。
でもチェリーが名前を言わないあの人は誰なの。
もっと話は単純ではない気がした。
「でも、姉さま、わたしは」
私はキースを見上げ、その場に降ろすように頼む。
私の行動に関して諦めているキースは、そのままそっと降ろしてくれた。
フラフラした足取りのまま、チェリーの前に立つ。
「姉さま、わたしは本当に! どうか信じて!」
「……姉と呼ぶのは辞めてって、いつも言っているでしょう」
私のその言葉に、チェリーは大きく目を見開き、息を飲む。
私が唯花だったあの日、唯奈に伝えた言葉だ。
「アイリス?」
私の発言の意図が分からないキースたちは、ただ首を傾げ様子を見守る。
「まさか記憶が……戻ったの?」
「戻っていたのよ。馬車の事故の時にね」
「それならどうして」
「どうして? そうではないでしょう。どうしてそれを告げなければいけなかったの?」
「だってわたしたちは」
「ねえ、チェリー。唯花と唯奈だった私たちは、あの日二人とも事故で死んだのよ。そしてこの世界に、アイリスとチェリーとして生まれてきた。違う?」
前世の記憶なんて、過去のことなんて全部無視してしまえばよかったのに。
引きずって拗れて、結果こんなことになってしまっている。
違う人間として生まれてきたのだから、違う人間として生きていけばよかったのに。
それは私そう。
悩むことも、めんどくさいことも考えもせず、正々堂々とアイリスとして生きればよかった。
「そうね。そうやっていつも自信たっぷりで、わたしのことを見下す唯花が大嫌いだったわ。わたしは瑞葉よりどれだけでも努力してあの位置にいたのに、努力なんて知りませんという澄ました顔をして、いつもいつもわたしの先に行こうとする」
チェリーの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「私はいつも誰からも愛されて、みんなの中心にいる唯奈が大嫌いだった。私にはないものをたくさん持っていて、いつでもそれを私にひけらかしていたわよね」
「わたしはそうすることで、ずっと自分の弱い心を守ってきたの。わたしがどれだけ努力しても、どんなに見下しても、素知らぬ顔で、わたしの前をいく唯花から。何にも努力なんてしていないくせに、どうして唯花はそのままでいいと言われて、どうしてわたしだけが努力をし続けなければいけなかったのよ!」
チェリーのその言葉は、叫びにも似ていた。
いつかキースが、チェリーは本当は私のことが羨ましいのではないかと言っていたっけ。
私たちはお互いがお互いに持ってないものを羨ましがって、こんな風に拗れてしまったのだろう。
「私たちはずっと同じだったから。私は唯奈が眩しくて、そして羨ましくて。だから見ないようにずっと避けて一人ぼっちを貫いてきた。でもそれは唯奈も同じで、お互いがないものをねだって羨ましがって、ずっと傷つけあってきたのね」
「……」
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