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第二章
第三十話 自覚しつつある心
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部屋にはすでにランプが灯されていた。
最近ふさぎがちな私のために、テーブルには軽食がが置かれている。
実際、今まで何も食べていないので、お腹が空いていたところだ。
ルカに感謝しなければと思いつつ、パンに手を伸ばす。
窓の外はすっかり夜の帳が下り、月が庭を明るく照らしている。
ベッドの縁に座り、パンを頬張る。
フランスパンのように硬めのパンだが、ほんのり甘い。
「それにしても疲れた~」
「お疲れ様だリン、ご主人サマ」
小さくなった時と同じように、音を立てながらリンが元の大きさのくまの人形へと戻る。
その顔に触れれば、もふもふとした人形の感触が心地いい。
「ああ、癒される」
片方の手でパンを持ったまま、もう片方の手でリンに触れるなんて行儀悪いわね。
ふと、リンに触れた自分の手を見て記憶が浮上してくる。
この手、さっきキースにキスされて……。
「んー、ばかばかばか」
手を一生懸命振り、遠ざける。
しかし自分の手は、もちろんどこかに行くはずもない。
「きゅ、急にどうしたんだリン。ご主人サマの手には虫なんて付いてないリンよ」
「そうじゃないの。悪い虫がさっきいたのよ」
「えええ。どこだリン。もしかして刺されたリンか?」
リンが辺りを見渡すように、部屋の中をぐるぐる飛び回る。
「リン、そっちの虫じゃないのよ。大丈夫、刺されてはいないわ」
「でも、顔が赤いリンよ」
「うん。いいの。そのうち治るから」
こんなことして、遊んでいる場合ではない。
キースが家に求婚に来ると言っていかが、もしそれが本心なら困ったことになる。
今の状況のチェリーの前にキースを出すのは、いろいろまずいだろう。
あの性格だから、きっとキースの前では露骨に敵対心を燃やすようなことはないだろうけど。
でも、今までみたいにキースに媚びを売られて、もしキースの心がチェリーに行ってしまったら。
「ご主人サマはキースって男が好きなんだリンか?」
「え。な、なんで。どうして」
「さっきから、その男のことばかり考えてるリン」
「ちょっと、心の中を読むの禁止!」
私はふよふよと飛ぶリンを捕まえると、ぎゅーっと抱きしめる。
ああ、落ち着く。
私はキースのことが好きなのかな。
好きとか、そんな感情って今までなかったからよくわかんない。
「ご主人サマはボクは好きリン?」
腕の中から、リンがもぞもぞと這い出す。
ああ、かわいいなぁ。
リンをしっかりと見た。
唯一の味方で、ずっと一緒だった存在。
「うん。そうね。リンのことは好き」
「それなら、好きって感情はわかるんじゃないんだリンか?」
「ん-。なんか、リンへの好きとキースさまへの好きみたいなのって少し違う気がするのよね」
「でも、盗られたくないのは一緒じゃないリンか」
「そう、ね。うん。それは一緒。なんだろうなぁ。自分に好意を持ってくれている人間をあの子に盗られるのが嫌」
唯花と唯奈だった頃、いつも唯奈はクラスの中心にいた。
引っ込み思案の私とは違い、よくしゃべり、よく笑い、たくさんの友達に囲まれていた。
最初こそ頑張ろうと思ってもいつもあの子のペースに飲み込まれ、私はひとりぼっちだった。
でもそれだけなら、まだ気にすることはなかった。
自分の性格が悪いと諦められたから。
現実はそれだけではなかった。
唯奈はいつでも、一人で可哀相な私の元に友達を連れてきた。
わざと自分と私とを比較させることで、優越感を味わうように。
だから本当は高校だって、同じところになんて行きなくなかった。
そのために受験勉強を頑張ったというのに、あの子はあっさり推薦で同じ高校へ入って来た。
その頃から、家で過ごすことも苦痛に。
母は唯奈にべったりで、相変わらず父は家のことに無関心だったから。
「そう考えると、今はまだすごく幸せなんだけどね。でもだからこそ、この幸せを壊させたくないの。もうあの頃になんて戻りたくないから」
「いつもボクは思ってたリン。ご主人サマは諦めてたんじゃなくて、諦めたと思うことで自分の心を守ろうとしていたんじゃないかリン」
「ああ、そうね。そうかもしれない。そしていつも一番最悪になるケースだけ考えてきた」
そう、一番最悪に進むことさえイメージ出来たら、それ以上のことは絶対に起きないから。
そうやって、自分の心を守ることに必死だった。
「でもだからこそ、今度は自分から行動に出て攻撃に転じればいいと思うんだリン」
「攻撃?」
「盗られたくないのなら、自分からがっしり掴みに行くリン。そして、もしチェリーがちょっかいをかけてくるようなら攻撃してやるリン」
「出来るかな」
「ボクがついてるリン。攻撃は最大の防御リンよ」
「ふふふ。確かにそうね。少なくとも、盗られるかもしれないと小さくなっているよりは、全然マシね」
「その意気だリン」
「でも、まだ自分の中でキースさまが好きかどうかも分からないのに、それでもいいのかな」
「その時はその時リン。合わなかったら、さよならリン」
「あはははは。それ、どーなの」
「だめリンか?」
つぶらな瞳で、リンが小首を傾げる。
チェリーなど比にならないくらいの攻撃力ね。
元が人形なだけあって、すごくかわいい。
リンが言うと、何でも許されてしまいそうね。
「でもそうね。もしかすると、それぐらいの軽い気持ちからでもいいのかもしれないわね。なんせ、いろいろ初心者なんだもの」
「うんうんだリン」
ともあれ、キースに屋敷まで来てもらうのはまずいことには変わりない。
明日朝一番に手紙を書こう。
妹が婚約式の用意で忙しいため、他の場所でお会いしたいと。
そこまで考えると、体温がゆっくりとベッドに吸い込まれるように広がっていく。
このまま寝たら、朝ルカに怒られるだろうなぁ。
しかしそう思いつつも、眠気には勝てることなく瞼は重くなっていった。
最近ふさぎがちな私のために、テーブルには軽食がが置かれている。
実際、今まで何も食べていないので、お腹が空いていたところだ。
ルカに感謝しなければと思いつつ、パンに手を伸ばす。
窓の外はすっかり夜の帳が下り、月が庭を明るく照らしている。
ベッドの縁に座り、パンを頬張る。
フランスパンのように硬めのパンだが、ほんのり甘い。
「それにしても疲れた~」
「お疲れ様だリン、ご主人サマ」
小さくなった時と同じように、音を立てながらリンが元の大きさのくまの人形へと戻る。
その顔に触れれば、もふもふとした人形の感触が心地いい。
「ああ、癒される」
片方の手でパンを持ったまま、もう片方の手でリンに触れるなんて行儀悪いわね。
ふと、リンに触れた自分の手を見て記憶が浮上してくる。
この手、さっきキースにキスされて……。
「んー、ばかばかばか」
手を一生懸命振り、遠ざける。
しかし自分の手は、もちろんどこかに行くはずもない。
「きゅ、急にどうしたんだリン。ご主人サマの手には虫なんて付いてないリンよ」
「そうじゃないの。悪い虫がさっきいたのよ」
「えええ。どこだリン。もしかして刺されたリンか?」
リンが辺りを見渡すように、部屋の中をぐるぐる飛び回る。
「リン、そっちの虫じゃないのよ。大丈夫、刺されてはいないわ」
「でも、顔が赤いリンよ」
「うん。いいの。そのうち治るから」
こんなことして、遊んでいる場合ではない。
キースが家に求婚に来ると言っていかが、もしそれが本心なら困ったことになる。
今の状況のチェリーの前にキースを出すのは、いろいろまずいだろう。
あの性格だから、きっとキースの前では露骨に敵対心を燃やすようなことはないだろうけど。
でも、今までみたいにキースに媚びを売られて、もしキースの心がチェリーに行ってしまったら。
「ご主人サマはキースって男が好きなんだリンか?」
「え。な、なんで。どうして」
「さっきから、その男のことばかり考えてるリン」
「ちょっと、心の中を読むの禁止!」
私はふよふよと飛ぶリンを捕まえると、ぎゅーっと抱きしめる。
ああ、落ち着く。
私はキースのことが好きなのかな。
好きとか、そんな感情って今までなかったからよくわかんない。
「ご主人サマはボクは好きリン?」
腕の中から、リンがもぞもぞと這い出す。
ああ、かわいいなぁ。
リンをしっかりと見た。
唯一の味方で、ずっと一緒だった存在。
「うん。そうね。リンのことは好き」
「それなら、好きって感情はわかるんじゃないんだリンか?」
「ん-。なんか、リンへの好きとキースさまへの好きみたいなのって少し違う気がするのよね」
「でも、盗られたくないのは一緒じゃないリンか」
「そう、ね。うん。それは一緒。なんだろうなぁ。自分に好意を持ってくれている人間をあの子に盗られるのが嫌」
唯花と唯奈だった頃、いつも唯奈はクラスの中心にいた。
引っ込み思案の私とは違い、よくしゃべり、よく笑い、たくさんの友達に囲まれていた。
最初こそ頑張ろうと思ってもいつもあの子のペースに飲み込まれ、私はひとりぼっちだった。
でもそれだけなら、まだ気にすることはなかった。
自分の性格が悪いと諦められたから。
現実はそれだけではなかった。
唯奈はいつでも、一人で可哀相な私の元に友達を連れてきた。
わざと自分と私とを比較させることで、優越感を味わうように。
だから本当は高校だって、同じところになんて行きなくなかった。
そのために受験勉強を頑張ったというのに、あの子はあっさり推薦で同じ高校へ入って来た。
その頃から、家で過ごすことも苦痛に。
母は唯奈にべったりで、相変わらず父は家のことに無関心だったから。
「そう考えると、今はまだすごく幸せなんだけどね。でもだからこそ、この幸せを壊させたくないの。もうあの頃になんて戻りたくないから」
「いつもボクは思ってたリン。ご主人サマは諦めてたんじゃなくて、諦めたと思うことで自分の心を守ろうとしていたんじゃないかリン」
「ああ、そうね。そうかもしれない。そしていつも一番最悪になるケースだけ考えてきた」
そう、一番最悪に進むことさえイメージ出来たら、それ以上のことは絶対に起きないから。
そうやって、自分の心を守ることに必死だった。
「でもだからこそ、今度は自分から行動に出て攻撃に転じればいいと思うんだリン」
「攻撃?」
「盗られたくないのなら、自分からがっしり掴みに行くリン。そして、もしチェリーがちょっかいをかけてくるようなら攻撃してやるリン」
「出来るかな」
「ボクがついてるリン。攻撃は最大の防御リンよ」
「ふふふ。確かにそうね。少なくとも、盗られるかもしれないと小さくなっているよりは、全然マシね」
「その意気だリン」
「でも、まだ自分の中でキースさまが好きかどうかも分からないのに、それでもいいのかな」
「その時はその時リン。合わなかったら、さよならリン」
「あはははは。それ、どーなの」
「だめリンか?」
つぶらな瞳で、リンが小首を傾げる。
チェリーなど比にならないくらいの攻撃力ね。
元が人形なだけあって、すごくかわいい。
リンが言うと、何でも許されてしまいそうね。
「でもそうね。もしかすると、それぐらいの軽い気持ちからでもいいのかもしれないわね。なんせ、いろいろ初心者なんだもの」
「うんうんだリン」
ともあれ、キースに屋敷まで来てもらうのはまずいことには変わりない。
明日朝一番に手紙を書こう。
妹が婚約式の用意で忙しいため、他の場所でお会いしたいと。
そこまで考えると、体温がゆっくりとベッドに吸い込まれるように広がっていく。
このまま寝たら、朝ルカに怒られるだろうなぁ。
しかしそう思いつつも、眠気には勝てることなく瞼は重くなっていった。
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