5 / 185
4「初めての獣人」
しおりを挟む
「ではこちらの母が使っていた部屋を使って下さい」
食堂奥の扉を手で示しました。
「僕はその隣りの部屋ですので、何かあったら声をかけて下さい」
「後片付け手伝うっす」
やはり良い子ですね。子って25歳に言うのもおかしいですが。
長らく引きこもってたそうなんでまだ子供の部分が多く残ってるんでしょう。
「ありがとうございます。でも結構ですよ。今日は色々あって疲れたでしょうから先に寝んで下さい」
「あざっす。お先におやすみっす」
アザッス?
痣っす?
感謝の意のようですが何でしょう。
たまに分からない言葉がありますね。
「おやすみなさい」
部屋に入って、少しして出てきたタロウの顔が驚いています。
「ちょっとヴァンさん、ベッドの横に棺桶あるんですが!」
「あぁ」
ポン、と手を打つ。
すっかり忘れていました。驚くのも無理ないですね。
「心配しなくても中身は空っぽです。確かに棺桶ですが、それ父のベッドなんです。死体を入れた事はありません」
「ベッドに上がる用の台かと思って踏んづけたんすけど……」
「良いんじゃないですか。母もそうやって使っていましたし」
「……そっすか」
別に死体が入っていてもただの棺桶ですけどね。異世界の方の価値観が少し違うのかも知れません。
「まぁ、あまり気にせずに。ただの家具だと思って下さい」
「……そっすね。じゃぁ今度こそおやすみなさい」
「おやすみなさい」
明日からの事を考えながら後片付けを済ませ、床に着きました。
大変でしょうね、きっと。
「おはようございます、タロウ」
「おはようっす、ヴァンさん早いっすね」
そうでもないです。
もうお昼前ですから。
「しっかりと眠れたようですね」
昨日より顔の青白さが幾分マシになったようです。それでもまだ青白いですが。
あ、僕はいつも通り青白い顔です。
「自分ちのぺたんこのマットレスと比べたら凄く寝心地良かったっす」
「それは良かったです」
ゆうべの残りで遅めの朝食の準備をします。
指先に火を灯しスープを温める火を熾し、掌に薄く火を纏わせパンを軽く炙る。
その様子をジッと見つめるタロウ。興味津々ですね。
「使えると便利そうっすね、魔法」
「そうですね、使い方を間違えなければ便利ですね」
「俺にもできますかね?」
「このくらいはほとんどみんな出来ますし、練習すればタロウにも出来ると思います」
出来てもらわないとダメなんじゃないかと思います。
「というか、僕も詳しくは知りませんが五英雄の結界っておそらく魔法ですからね。ある程度は魔力の使い方を練習する必要があるかもしれません」
「なるほど。生贄になるのに必要かもっすね」
タロウがぺこりと頭を下げる。
「やり方教えて下さい!」
かつてこれほど前向きに生贄になろうとする人がいたでしょうか。
苦笑いしながら答えます。
「ええ、道々練習していきましょう」
「よっしゃ!」
本当に前向きですね。
その後、朝食を摂りながら今後の事を相談する。
まずはアンセム様の元へ向かう準備をしなければなりません。
それと併せてペリエ村の村長にも挨拶に向かいましょう。
ここペリエ村はアンセム領ですが、アンセム様は最も遠い南端にいらっしゃるので四日は掛かります。
タロウは運動不足だとの事なので、もう二、三日掛かるかも知れませんね。
となると食糧などの手配も必要です。
僕は半年やそこら飲まず食わずでも全く問題ありませんが、人族であるタロウはそういう訳にもいきません。
そういった内容を相談し、
「とりあえずタロウの服をなんとかしましょうか」
「良かった! やっと言ってくれた! トランクスで村長の所に行くのかともうドキドキっすよ!」
タロウは空から落ちて来た時からずっとかなり短いズボン、とらんくす? に肌が透けて見えるようなシャツ一枚でした。
どう見ても上下とも下着ですね。
さらに裸足ですし。
「お古ですみませんが僕の服を差し上げますので着て下さい」
「助かります!」
あまりに自然に下着姿でいたので、タロウの世界の普段着なのかもと思っていました。
実は恥ずかしかったんですね。
気付かなくてすみません。
「僕が今着てる黒い薄手の魔導士コートか、畑仕事用の服とどちらが良いですか?」
「うーん、コスプレ感が凄いんで畑仕事の方が良いっす」
こすぷれかん?
ちょっと分かりませんが褒められてはいないようです。
「ではこちらをどうぞ」
この世界の普段着です。
長ズボンに長袖の襟付きシャツ、その上に羽織るベスト。靴は獣の革の物なのでサイズはあまり関係なし。
背の高さも僕より少しだけ高いくらいでそう変わらないし、服のサイズも特に問題無さそうですね。
着替えの済んだタロウを連れて村の中心を目指します。
「おぉ、太陽だ!」
「珍しいですか?」
「太陽は珍しくないっすけど、太陽の下を歩くのは珍しいっす」
引きこもりって楽しいんでしょうか。
道々、村の人々と挨拶をし、少し旅に出ることなどを話します。
タロウの事は説明がややこしいので遠くから来た友人、とだけ説明しました。
村長の家で訪いを告げると、体の大きい村長が扉を開きました。
ぎゃぁ、という叫び声と共にタロウが走って遠ざかります。
「ヴァンさんも早く! 逃げて!」
また何か異世界の方との価値観の差でしょうか。
「タロウ、どうかしましたか?」
割りと離れた木の陰に隠れたタロウへ問いかけます。
「どうもこうも熊! 熊おるで!」
「それは居るでしょう。こちらが村長のターさんです」
とりあえずタロウの側まで行って、ぎゃぁぎゃぁ喚くタロウの首根っこを掴んで引きずって、引きずりながら説明します。
「あまり騒ぐと失礼ですよ。ター村長は大変穏やかで、細やかな気配りのできる方です」
「いや、だって、完全に熊やん。服着てる以外完全に熊やん」
ビシッと頭に手刀を入れる。あんまり騒ぐのでお仕置きです。
「ぐはぁ」
何が、ぐはぁですか。聞き分けのない生徒にはヴァン先生は容赦しません。
村長の前にどさっとタロウを乱暴に降ろします。
「ちゃんと村長にごめんなさいしなさい」
「……ごめんなさい」
渋々というよりも、怯えのせいで村長と目を合わせませんね。まぁ良いでしょう。とにかくちゃんと謝りましたしね。
「ター村長、連れが大変失礼しました」
「はっはっは、構いませんよ。初めて獣人を見た子供も同じ反応ですからな」
「……しゃべった! ……獣人?」
「言いませんでしたか? ター村長は熊の獣人です。当然喋ります」
「聞いてないっす!」
あら? そうでしたか? 少し怒っていますね。
「でもあなたの世界にもいるでしょう? 獣人」
「いない! しかも獣人ってほら、もっとこう、なんてーの? 人にウサ耳が付いてたりウサ尻尾が生えてたりするんじゃないすか?」
またタロウがおかしな事を言ってますね。それはウサ耳とウサ尻尾が生えた人でしょう。そんな不思議な生き物はこちらにはいませんよ。
「タロウの世界の獣人は不思議な生き物なんですね」
「いやそんなんもいないっすけど!」
いないんですか。一体タロウは何が言いたいんでしょう。
食堂奥の扉を手で示しました。
「僕はその隣りの部屋ですので、何かあったら声をかけて下さい」
「後片付け手伝うっす」
やはり良い子ですね。子って25歳に言うのもおかしいですが。
長らく引きこもってたそうなんでまだ子供の部分が多く残ってるんでしょう。
「ありがとうございます。でも結構ですよ。今日は色々あって疲れたでしょうから先に寝んで下さい」
「あざっす。お先におやすみっす」
アザッス?
痣っす?
感謝の意のようですが何でしょう。
たまに分からない言葉がありますね。
「おやすみなさい」
部屋に入って、少しして出てきたタロウの顔が驚いています。
「ちょっとヴァンさん、ベッドの横に棺桶あるんですが!」
「あぁ」
ポン、と手を打つ。
すっかり忘れていました。驚くのも無理ないですね。
「心配しなくても中身は空っぽです。確かに棺桶ですが、それ父のベッドなんです。死体を入れた事はありません」
「ベッドに上がる用の台かと思って踏んづけたんすけど……」
「良いんじゃないですか。母もそうやって使っていましたし」
「……そっすか」
別に死体が入っていてもただの棺桶ですけどね。異世界の方の価値観が少し違うのかも知れません。
「まぁ、あまり気にせずに。ただの家具だと思って下さい」
「……そっすね。じゃぁ今度こそおやすみなさい」
「おやすみなさい」
明日からの事を考えながら後片付けを済ませ、床に着きました。
大変でしょうね、きっと。
「おはようございます、タロウ」
「おはようっす、ヴァンさん早いっすね」
そうでもないです。
もうお昼前ですから。
「しっかりと眠れたようですね」
昨日より顔の青白さが幾分マシになったようです。それでもまだ青白いですが。
あ、僕はいつも通り青白い顔です。
「自分ちのぺたんこのマットレスと比べたら凄く寝心地良かったっす」
「それは良かったです」
ゆうべの残りで遅めの朝食の準備をします。
指先に火を灯しスープを温める火を熾し、掌に薄く火を纏わせパンを軽く炙る。
その様子をジッと見つめるタロウ。興味津々ですね。
「使えると便利そうっすね、魔法」
「そうですね、使い方を間違えなければ便利ですね」
「俺にもできますかね?」
「このくらいはほとんどみんな出来ますし、練習すればタロウにも出来ると思います」
出来てもらわないとダメなんじゃないかと思います。
「というか、僕も詳しくは知りませんが五英雄の結界っておそらく魔法ですからね。ある程度は魔力の使い方を練習する必要があるかもしれません」
「なるほど。生贄になるのに必要かもっすね」
タロウがぺこりと頭を下げる。
「やり方教えて下さい!」
かつてこれほど前向きに生贄になろうとする人がいたでしょうか。
苦笑いしながら答えます。
「ええ、道々練習していきましょう」
「よっしゃ!」
本当に前向きですね。
その後、朝食を摂りながら今後の事を相談する。
まずはアンセム様の元へ向かう準備をしなければなりません。
それと併せてペリエ村の村長にも挨拶に向かいましょう。
ここペリエ村はアンセム領ですが、アンセム様は最も遠い南端にいらっしゃるので四日は掛かります。
タロウは運動不足だとの事なので、もう二、三日掛かるかも知れませんね。
となると食糧などの手配も必要です。
僕は半年やそこら飲まず食わずでも全く問題ありませんが、人族であるタロウはそういう訳にもいきません。
そういった内容を相談し、
「とりあえずタロウの服をなんとかしましょうか」
「良かった! やっと言ってくれた! トランクスで村長の所に行くのかともうドキドキっすよ!」
タロウは空から落ちて来た時からずっとかなり短いズボン、とらんくす? に肌が透けて見えるようなシャツ一枚でした。
どう見ても上下とも下着ですね。
さらに裸足ですし。
「お古ですみませんが僕の服を差し上げますので着て下さい」
「助かります!」
あまりに自然に下着姿でいたので、タロウの世界の普段着なのかもと思っていました。
実は恥ずかしかったんですね。
気付かなくてすみません。
「僕が今着てる黒い薄手の魔導士コートか、畑仕事用の服とどちらが良いですか?」
「うーん、コスプレ感が凄いんで畑仕事の方が良いっす」
こすぷれかん?
ちょっと分かりませんが褒められてはいないようです。
「ではこちらをどうぞ」
この世界の普段着です。
長ズボンに長袖の襟付きシャツ、その上に羽織るベスト。靴は獣の革の物なのでサイズはあまり関係なし。
背の高さも僕より少しだけ高いくらいでそう変わらないし、服のサイズも特に問題無さそうですね。
着替えの済んだタロウを連れて村の中心を目指します。
「おぉ、太陽だ!」
「珍しいですか?」
「太陽は珍しくないっすけど、太陽の下を歩くのは珍しいっす」
引きこもりって楽しいんでしょうか。
道々、村の人々と挨拶をし、少し旅に出ることなどを話します。
タロウの事は説明がややこしいので遠くから来た友人、とだけ説明しました。
村長の家で訪いを告げると、体の大きい村長が扉を開きました。
ぎゃぁ、という叫び声と共にタロウが走って遠ざかります。
「ヴァンさんも早く! 逃げて!」
また何か異世界の方との価値観の差でしょうか。
「タロウ、どうかしましたか?」
割りと離れた木の陰に隠れたタロウへ問いかけます。
「どうもこうも熊! 熊おるで!」
「それは居るでしょう。こちらが村長のターさんです」
とりあえずタロウの側まで行って、ぎゃぁぎゃぁ喚くタロウの首根っこを掴んで引きずって、引きずりながら説明します。
「あまり騒ぐと失礼ですよ。ター村長は大変穏やかで、細やかな気配りのできる方です」
「いや、だって、完全に熊やん。服着てる以外完全に熊やん」
ビシッと頭に手刀を入れる。あんまり騒ぐのでお仕置きです。
「ぐはぁ」
何が、ぐはぁですか。聞き分けのない生徒にはヴァン先生は容赦しません。
村長の前にどさっとタロウを乱暴に降ろします。
「ちゃんと村長にごめんなさいしなさい」
「……ごめんなさい」
渋々というよりも、怯えのせいで村長と目を合わせませんね。まぁ良いでしょう。とにかくちゃんと謝りましたしね。
「ター村長、連れが大変失礼しました」
「はっはっは、構いませんよ。初めて獣人を見た子供も同じ反応ですからな」
「……しゃべった! ……獣人?」
「言いませんでしたか? ター村長は熊の獣人です。当然喋ります」
「聞いてないっす!」
あら? そうでしたか? 少し怒っていますね。
「でもあなたの世界にもいるでしょう? 獣人」
「いない! しかも獣人ってほら、もっとこう、なんてーの? 人にウサ耳が付いてたりウサ尻尾が生えてたりするんじゃないすか?」
またタロウがおかしな事を言ってますね。それはウサ耳とウサ尻尾が生えた人でしょう。そんな不思議な生き物はこちらにはいませんよ。
「タロウの世界の獣人は不思議な生き物なんですね」
「いやそんなんもいないっすけど!」
いないんですか。一体タロウは何が言いたいんでしょう。
10
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
魔獣奉賛士
柚緒駆
ファンタジー
砂漠の巨大帝国アルハグラを支配する冷酷な王ゲンゼルは、東の果て、氷の山脈に棲む魔獣ザンビエンに、己の姫リーリアを生け贄として捧げる事を決めた。姫を送り届ける役目には、三十人の傭兵達と年老いた魔獣奉賛士が一人。それ以外の奉賛隊はアルハグラの民から選ばれる。孤児として育ったランシャは、報奨金目当てに奉賛隊に参加した。一方隣国ダナラムは、奉賛隊を壊滅すべく秘密裏に聖滅団を差し向ける。
最強の女騎士さんは、休みの日の過ごし方を知りたい。
ろうでい
ファンタジー
――
王国歴 221年。
世は混迷を極めていた。
魔物、魔獣の襲撃に王国の防御は疲弊し、民の恐怖は限界に達す。
その混乱の世に、光が差し込む。
王国騎士団。
剣技、知略、諜報に優れたその集団の活躍は瞬く間に国全土に広がり、平和と安寧をもたらすのであった。
エリートばかりの騎士団の中での、絶対的エースの存在がその活躍の源。
ルーティア・フォエル。別名『稲光の騎士』。
雷光のように鋭く、伸びる穂先のように枝分かれする華麗な剣技を持つその騎士は――女性であった。
これは、彼女の闘いの――
――ではなく。
彼女の、『休日』との闘いの記録である。
生まれも育ちも城で育った彼女は、幼い頃から国のために剣技に明け暮れていた。
そのため、彼女は『休む』事を知らない。自分の身体は国のため、民のためにあると、信じていた。
しかし、国王の心配は増すばかり。
若く美しい女騎士は、未だに自分の人生を全くといっていいほど謳歌していないのであった。
国王は告げる。「休日を満喫する事」を。
そして、王国からの刺客により、ルーティアは知るのだった。
――『休日』を。
※この作品の世界観は『極めて現代日本に近いファンタジー世界』です。緩い目で見ていただけると幸いです。
※一話につき七分割しています。毎日投稿しますので、一週間で一話が終わるくらいのペースです。
※この小説は他サイトと重複投稿を行っております。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです
もきち
ファンタジー
私は男に肩を抱かれ、真横で婚約破棄を言い渡す瞬間に立ち会っている。
この位置って…もしかして私ってヒロインの位置じゃない?え、やだやだ。だってこの場合のヒロインって最終的にはざまぁされるんでしょうぉぉぉぉぉ
知らない間にヒロインになっていたアリアナ・カビラ
しがない男爵の末娘だったアリアナがなぜ?
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる