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しおりを挟むカツン、カツン、カツンーー
『ここ本当に怖いわ』
「それなら待っていたらよかったのに」
『ダメよ!やっと、やっとなんだから』
私とディアナは今、公爵家の下にある地下牢へと向かっていた
普段は一切使われていないソコに今は妹さん、いや、ヴィオラが収容されている
と、言うのも平民になることが決まった彼女では合ったが、貴族籍から外すと言うのは案外時間がかかる
貴族籍から完全に籍が抜けていないのに町に出すと色々と面倒ごとが起きるために手続きが終わるまで彼女はここで過ごしている
「久しぶりね」
「………」
麻でできたゴワゴワしたワンピースをきて、美しく整えられていた髪は見る影もなくボサボサになっていた
私が来てもチラリと視線を向けるだけで反応は薄い
「貴方の貴族籍が今朝抹消されて、平民レスターとの結婚が承認されたわ。オメデトウ」
「………」
「早ければ昼頃には街へと出て行ってもらうわ」
「………」
「……最期に良いことを教えてあげる」
今まで無反応だったヴィオラがピクリと動く
ガチャリとヴィオラが入っている地下牢の鍵を開けて中に入り込む
座り込んでいるヴィオラに近づいて顎をぐいっと持ち上げた
「私の名前はー小鳥遊緋夏。ディアナに頼まれて、貴方に復讐するためにここにいるわ」
「タ、タカナシ、ヒナ…?誰よ、あなた誰よ…」
「ディアナはもう亡くなっているの。貴方のせいでね」
「えっ、お姉さまが?なんで?今目の前にいるじゃない…」
私の言葉に怯えた表情を浮かべるヴィオラに構わずニコリと笑いながら言葉を続けた
貴方が気まぐれで鞭で打ったことによって姉のディアナが亡くなったこと
悔やみきれなかったディアナが私と出会って私に復讐をしてほしいと願ったこと
その全てをヴィオラに話した
「意味が、わからない…だって、目の前にいるのに…」
「そうね…私は、ディアナの皮を被った別人よ。あぁ、勿論ディアナは私のそばでずーっとことの成り行きを見てたわ」
霊となってね、そう話すとヴィオラはガクガクと震えました
「いやぁ、いやっ、こっちに来ないで、ごめんなさいお姉さま、そんな顔で見ないで…!!」
私の顔を見て震えるヴィオラの表情は恐怖に支配されていた
(「さて、これでディアナも満足したかし、んん?!」)
ディアナの言うギャフンが達成されたであろうと思ったその瞬間
体の中に何かが入ってくる感覚があった
「『ヴィオラ、あなたは人殺しよ。実の姉を殺したんだもの。ずっと、ずーっとその事に苦しめられなさい。』」
その言葉わ私の言葉じゃなくてディアナ自身の声だった
「わたしが、人殺し…?ご、ごめんなさい、お姉さま、お姉さまぁ」
泣きじゃくるヴィオラの頭の髪を掴んでぐいっと強引に引っ張る
「『…泣いて許しを乞いなさいよ。得意でしょ?そうやって今まで人を見下して来たんだもの。……次は貴方の番よ』」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
地下牢に響き渡るヴィオラの叫び声
何人もの人がその声を聞いたが、誰も救いの手を伸ばすことはなかった
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