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(「まあ、想定済みよ」)

『お父様の驚いてる顔初めて見たわ』


ディアナの言う通り驚愕の表情を浮かべるディアナのお父さん、もとい公爵は私と妹さん、そしてレスターへと視線を彷徨わせていた


「どうもこうも、事実です。お父様、こちらを」


「これは…!!」


私がサッと手をあげて合図をだせば、レスター、王太后に会った時に一緒にいた騎士達がぞろぞろと公爵の前へと並んだ
そして公爵に突き付けたのはあの時に拾って保管していた妹さんのドレスとビスチェ、そして極め付けは王太后に頼んで見つけてもらった2人の手紙ラブレター


「ではみなさん。証言をお願いいたします」



私のその合図で騎士達は公爵から国王の方へと体の向きを変えた


「「「我々は、この証拠品が王太子殿下の部屋から発見されたことを証言致します」」」



一言一句ズレることなく証言してくれた騎士達へニコリと笑みを向けた


 「…だ、そうだぞレスターよ。」


「ち、父上!違います!これは罠です!あの狡猾な女が私ん陥れるために作った虚言です!」


冷めた目で実の息子を見つめる国王の姿に萎縮しながらもレスターは必死に言い訳をしていた
どこか哀れむような瞳を浮かべている王太后がパチンと扇子を閉じた


「レスター。いい加減にしなさい。証言も、証拠あるのよ」

「おばあさま!ですが…!!……!!そうだ、証言だなんてそんな曖昧なものは意味がないではないですか!!」


抜け道を見つけたぞ!!と、言わんばかりに興奮しているレスターは滑稽で仕方なかった
王太子ともあろう者がこの国の法律を知らないだなんて笑い物だ


この国に来た私ですら知っていると言うのに



「殿下。この者達は名のある名家の次男三男です。この意味がお分かりですか?」

「??だからなんだというんだ」


「ルーニー王国法第325条では、貴族間での犯罪や、不貞行為の罪を裁く際には3つの証拠品と3人のが必要です。証拠品はこちらのドレス、ビスチェ、手紙。そして貴族による証言はこの3名です」


後ろに控える騎士3名が会釈する
彼らは我が家の騎士をしているが、しっかりとしたである



「えっあ…そんな…」


「ですので、貴方様と妹の不貞は証明されました」


私が堂々とそう放てば、椅子から立ち上がっていたレスターはがくりと膝をついて床を見つめていた


「陛下、ご判断をお願いいたします」


「うむ。王族の不貞行為は禁忌。よってレスターは廃嫡。ディアナ公女との婚約も解消し平民へと落ちるが良い。王太子には第二王子を添える」


「嘘だ、嘘だぁぁぁぁぁぁぁ!!」


正気を失ったのか叫び出したレスターを王宮騎士達が拘束しズルズルと引きずっていく
彼はもう王族でもなんでもないただの平民だ


さて、本題はここからだ



「陛下。実は我が妹はレスターと思い合っておりました」

「ほぉ」

「ちょ、ちょっと何言って…!!」


「ですから、どうか、2人を添い遂げさせて頂けないでしょうか?」


胸に手を当てて、目に力を入れて少し涙ぐむ
周りから見たら妹のために懇願している心優しい姉にみえている筈だ


「そうか。話によれば2人は姦通までしていたそうだな…ふむ。良い。2人の結婚認めよう。あぁ、だがアレが公爵家に入るのはまずいからな、ヴィオラ公女も平民にならねばな。そうだろう公爵?」

「……………」


「未婚の娘が結婚前に身を汚し、あまつさえその相手は実の姉の婚約者。この醜聞を公爵家ではどう捉える?」


「……ヴィオラは勘当します」

「嘘よ!いや!お父様!平民になるなんて嫌ぁぁ!!」


ディアナのお父さんが静かにそう答えると妹さんは声を荒げてなんとか必死に縋り付いた
そんな妹さんに見向きもせず前だけを向いている公爵は本当に娘達には興味がないのだろう


私の横に立っていたディアナはぎゅっと私の手を握っていた
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