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最終章 我が祖国よ永遠に……

第13話 アクアリディア神殿の戦いー2ー

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 クリストファーとハルクは上層階へと上がると中央の祭壇には白い外套を被った男が座っていた。

「ほっほっほ、もう辿り着くとは…」 

「おまえが教皇か?!」
クリストファーの問いに外套の男はクックッと笑う。

「私は教皇様の片腕、ここでは枢機卿と呼ばれておる。教皇様はリヴァリオンだ。今頃、完全なる力を手に入れているだろう、アハハハッ」

「リヴァリオンだとッ!!」
教皇が狙いがリーラだとわかっていた為、彼女の安全と国民との信頼を取り戻す為にリヴァリオンへ向かせたのが仇となり怒りに打ち震えるクリストファー。

「陛下、儂が枢機卿を仕留めます!リーラの元へ参られよ!!」

「そうはさせない」
大剣を担ぎ現れた将軍ジルベルトがクリストファーの前に立ちはばかる。


「ガルルルッ!」
「ピヨーッ!!」
窓から入ってきたぺぺとヴェスタは敵と向かい合うクリストファーとハルクを発見する。

「ガルルルッ(あの人間共、水の精霊と融合している、我が力で浄化するぞ)」

ぺぺはハルクの肩に乗り、
「僕が水の攻撃を食い止めるピヨ、あの男の動きを止めてくれ、ヴェスタが炎で浄化させるピヨ!」

「相分かった!」
ハルクは鞘から大剣を抜くと鼻息をフンと出し気合いを入れる。

枢機卿は嘲笑うかのように手を上げると無数の水の玉を創り出し、ハルクへ攻撃を仕掛けた。

「させないピヨッ!」
バサッ!
バサッ!
翼を羽ばたかせ、風の力で水の攻撃を吹き飛ばす。

上層階へ上がってきたカルロス王達は精霊達か繰り広げている戦いに驚き唖然となる。
「この戦いは……皆の者、巻き込まれぬよう一旦下がれ!」
カルロス王は助太刀できるタイミングを図ろうと部隊を後退させ待機させた。

バシャンッ!!
ハルクは前方から飛ばされる水を斬りながら枢機卿の前に立ち、剣を振り上げる。

ヒュッ!!
枢機卿は一瞬で消え去り、横に移動していた。

「クソッ、小癪こしゃくなッ!!」
ハルクは何度も剣を振り上げるが全く枢機卿にかすりもしない。

「クソッッ!はっ…」
突然、ハルクの前に金色に光輝く玉が現れる。
 ——リーラ……

「これでも喰らえーッ!!」
 剣の腹で光の玉を枢機卿に向かって飛ばし顔の位置へと打ち込む。

「ギャァーッ、何だこの光は!!!
 眩しいーーッ!!!」
ハルクは機械を逃さなかった。倒れ込んだ瞬間に枢機卿の足を斬り落とす。
グサッ!!
「ギャァーッ!!」

「精霊殿!今だ!」

 ヴェスタは枢機卿に炎を吐くと燃え盛る炎の中、枢機卿は灰となり消えていく。


一方、クリストファーは将軍ジルベルトと対峙していた。互いに重い剣の打ち合いが続く。

ガンッ!
ガンッ!

 クリストファーの一撃をジルベルトはニヤリと受ける。
「皇帝さんよ、
 あんたはこの場で死んでもらう。
 最強のノーザンランドは終わりだ。
 これからはゾーンが最強になるんだ」

 ジルベルトはクリストファーの剣を払い退けると何度も剣を振り上げ、クリストファーを追い込んでいく。

ガンッ!
ガンッ!
ガンッ!

「貰ったァーッ!!」
ジルベルトは片手から水を創り出しクリストファーにぶつるが、クリストファーの剣が燃え盛り、蒸発させる。 

「たかがそのような剣の腕で最強とは愚かな男だ、死ねーッ!!!」
クリストファーは炎を纏った剣が一気にジルベルトの胸に突き刺さる。

グサッ!!
「アッッ……ッ」

クリストファーは剣を抜くと剣を床に刺す。
ジルベルトの囲うように炎が起こり、ジルベルトの身体を包み込む。

「ギャァーッ、熱いーーッ」

「剣の腕を磨かず、
 水の精霊の力に頼り、
 人として生きることを諦めたおまえに
 我が負けるわけないだろう」

水の精霊と融合したジルベルトの身体は燃え尽き、足から頭へと灰になり消えていく。クリストファーは剣の血を払うと鞘に納めた。

命令を出す者を失った水の精霊達は神殿を混乱し出す。ヴェスタは神殿にいる水の精霊達に吠える。
「ガルルルッ(古の精霊に楯突くとは良い度胸だね、我が手により浄化されたくなければ、街の炎を消しな!)」

『は、はいー』
『けしますーー』
 古の精霊の圧に屈した水の精霊達は消火のために燃え盛る街に雨を降らす。


 援護のタイミングを逃したカルロス王は残念そう現れ、
「まったく見事な戦いだったよ」
とクリストファーを称賛した。

「カルロス、まだ危機は去っていない。リヴァリオン国に教皇がいる」

「何?!」

「今から我が騎士隊の援護にリヴァリオンへ行く、後を頼んだ。
 ハルク、おまえに戦闘部隊の指揮権を任せる」

「御意!陛下、どうかご無事で!
 あと、リーラを頼みましたよ」

「あぁ、もちろんだ」

『クリストファーは私の背に乗りなさい。ぺぺ、行くわよ!』
「わかったピヨ!」

 ヴェスタの背に乗ったクリストファーは雨が降りしきるアクアリディアの街を駆け抜け、リヴァリオン国へと向かったのだ。



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