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第6章 亡国の王女の子達
第6話 亡国の王女の子達ー2ー(キャサリン目線)
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小さな頃を思い出すと胸が切なくなる。
それは、彼のせいだ。
私の幼なじみのオースティンのせいだ。
私達は5歳の時に彼の屋敷の庭で出会った。母が侯爵邸で働く間、大人しく庭で遊ぶように言われ花壇のダンゴ虫を丸めて遊んでいるとそばに緑色の髪の男の子が私をじっと見ているのに気づいた。
暇を潰す相手を見つけれた私は一緒に遊ばないかと彼を誘うとすごく嬉しいそうな表情を浮かべ頷いてくれた。
私は昔から外にいることが好きで近所の子達と遊んだり、父を真似て木刀を振り回すおてんば娘だった。
周りの友達はみな私を男の子として扱うけど彼だけは違った。
「太陽の姫様、次はどこを探検しますか?」
「よし、次は馬を見に行こう」
あはははと2人で手を繋ぎながら広い侯爵邸を探検した。
私は彼がすごく好きだった。彼だけが私を女の子として見てくれて、お姫様扱いしてくれるからだ。
楽しい日々は続かず私が9歳の時、彼に別れも告げずコールディアを去る事になった。
夜、荷物を纏めて父と母は馬車を走らせた。
気づくと父は馬車から降りて母が1人で馬車を走らせ続けた。
私はなんだか怖くて兄にしがみつきながら馬車が止まるのを待った。ようやく馬車は止まると荷物をごく僅かだけ持ち馬車を乗り換え新しい街へと行った。
帝都グランディナだ。
ここで家族3人の暮らしが始まる。兄はすぐに騎士学校に入学すると母との2人だけの生活が始まる。
母が縫い物の仕事をして細々と2人で暮らしていた。
2年が経ち、兄は偶然騎士学校で出会ったオースティンの兄の従者となる為にコールディアへ旅立った。
兄がコールディアに旅立ったその年にノーザンランド全体に病が流行る。母がその病にかかってしまい、あっという間にこの世を去ってしまった。
母は私に我が一族の秘密を最後に話をして…
近所の方に手伝ってもらいながら母の葬儀と貯めていたお金でお墓も用意することできた。兄の迷惑になることはできないと思い、私は兄と同じ道に進むことを決意する。
ザクッ、
ザクッ。
髪を切るたびになぜか彼のことが浮かんで来た。
忘れるんだ。
ザクッ、
ザクッ。
母にいつも綺麗に手入れしてもらった髪を短く切り、この目立つ髪を茶色に染め上げだ。
無事、騎士学校の入学試験に合格でき騎士候補生となる。女であると舐められると思い学校では男として振る舞った。
しかし、私は運命の悪戯を呪ってしまう。騎士学校でオースティンに再会したのだ。同じクラスにもなり、彼に私とバレないように何とかやり過ごす。
私はあの時のお姫様なんかじゃない。
髪も茶色に染めたんだから、きっと気付かない。私は、男になったんだから…
1人でいるのがかえってクラスの中で目立ち、私は意地悪な貴族ウェイド・ザイデリカに目をつけられた。
勉強嫌いな子供の頃の私は知らなかった。この男の父親が我が一族を死に追いやった張本人だったと。
ウェイドのいじめは極端で水をかけたり勉強道具を隠すなど幼稚そのものだ。気にせず過ごしているとなくなったものは気づくと戻ってきたり、水をかけられた時、先生がすぐに駆けつけてくれたのだ。
日々のいじめに鬱憤が溜まっていた私は剣大会の時に自身の力を発揮し、いじめっ子をぼこぼこにして優勝した。
これに根を持ったウェイド達がサウストップ山の登山の時に仕返しをしてきたのだ。頂上手前の小屋で私の荷物はすべてどこかに隠され、朝起きると1人も居なくなっていた。
1人で途方にくれていると、オースティンの班がやって来た。
目を合わせないように下を向いていると彼は私に近づき、
「あいつらがまた、君に何かしたのか?」
「えっ?」
「荷物は?」
「なくなった」
「もしもの時と思って予備は持ってきたんだ。登れるか?」
私はできると頷く。
彼はなぜか食べ物も水筒も余分に持っていて、荷物も背負わせてくれなかった。
「ありがとう」
「いいさ」
私は無事下山すると怒りあまりウェイドに馬乗りになり殴る。弱いウェイドはただただ泣くだけだった。結局、先生達に私のことを知られたウェイド達は騎士学校を去ることになった。
騎士一年目が終わると私は女性特有の症状に悩まされる。どうすればいいかわからず途方にくれ、気づくと医療院まで歩いていたようだ。入ろうかやめようか悩んでいると、ある女性に突然声を掛けられた。
医療院のアーマノ先生だ。
「医療院の前でウロチョロして何してるんだい?」
「男の振りをして騎士学校に通っているんですが、私の体が変なの…私が女だとバレてしまう」
私は藁にもすがる思いで先生に今の状況を伝えた。
「母親がいないのか…大変だったね」
アーマノ先生は泣く私を優しく抱きしめてくれた。先生はすぐにマリアさんという女性騎士を呼んでくれた。マリアさんは女性としての対処方法を教えてくれ、先生も大切な任務日を優先できるように薬を処方してくれた。マリアさんは性別を偽っていたことも学校に掛けあってくれ、私は女の子として過ごすことが出来るようになったのだ。
学校が始まるとクラスの仲間達は驚いたが皆、今まで通りに接してくれた。
もちろん、彼もそうだ。
「早く、髪の色も戻せ。おまえには似合わない」
「言われなくても戻すもんねぇー」
私は知ってる。
私が話かけるとあなたは嬉しそうにするって。
今までいじめられていたのも影ながら助けてくれていたのも…
オースティン……
あなたなんでしょう…
かつて私が抱いた思いが再び現れる。
しかし、私に起こる悲劇により私はあなたとの決別を決意するしかなかった…
それは、彼のせいだ。
私の幼なじみのオースティンのせいだ。
私達は5歳の時に彼の屋敷の庭で出会った。母が侯爵邸で働く間、大人しく庭で遊ぶように言われ花壇のダンゴ虫を丸めて遊んでいるとそばに緑色の髪の男の子が私をじっと見ているのに気づいた。
暇を潰す相手を見つけれた私は一緒に遊ばないかと彼を誘うとすごく嬉しいそうな表情を浮かべ頷いてくれた。
私は昔から外にいることが好きで近所の子達と遊んだり、父を真似て木刀を振り回すおてんば娘だった。
周りの友達はみな私を男の子として扱うけど彼だけは違った。
「太陽の姫様、次はどこを探検しますか?」
「よし、次は馬を見に行こう」
あはははと2人で手を繋ぎながら広い侯爵邸を探検した。
私は彼がすごく好きだった。彼だけが私を女の子として見てくれて、お姫様扱いしてくれるからだ。
楽しい日々は続かず私が9歳の時、彼に別れも告げずコールディアを去る事になった。
夜、荷物を纏めて父と母は馬車を走らせた。
気づくと父は馬車から降りて母が1人で馬車を走らせ続けた。
私はなんだか怖くて兄にしがみつきながら馬車が止まるのを待った。ようやく馬車は止まると荷物をごく僅かだけ持ち馬車を乗り換え新しい街へと行った。
帝都グランディナだ。
ここで家族3人の暮らしが始まる。兄はすぐに騎士学校に入学すると母との2人だけの生活が始まる。
母が縫い物の仕事をして細々と2人で暮らしていた。
2年が経ち、兄は偶然騎士学校で出会ったオースティンの兄の従者となる為にコールディアへ旅立った。
兄がコールディアに旅立ったその年にノーザンランド全体に病が流行る。母がその病にかかってしまい、あっという間にこの世を去ってしまった。
母は私に我が一族の秘密を最後に話をして…
近所の方に手伝ってもらいながら母の葬儀と貯めていたお金でお墓も用意することできた。兄の迷惑になることはできないと思い、私は兄と同じ道に進むことを決意する。
ザクッ、
ザクッ。
髪を切るたびになぜか彼のことが浮かんで来た。
忘れるんだ。
ザクッ、
ザクッ。
母にいつも綺麗に手入れしてもらった髪を短く切り、この目立つ髪を茶色に染め上げだ。
無事、騎士学校の入学試験に合格でき騎士候補生となる。女であると舐められると思い学校では男として振る舞った。
しかし、私は運命の悪戯を呪ってしまう。騎士学校でオースティンに再会したのだ。同じクラスにもなり、彼に私とバレないように何とかやり過ごす。
私はあの時のお姫様なんかじゃない。
髪も茶色に染めたんだから、きっと気付かない。私は、男になったんだから…
1人でいるのがかえってクラスの中で目立ち、私は意地悪な貴族ウェイド・ザイデリカに目をつけられた。
勉強嫌いな子供の頃の私は知らなかった。この男の父親が我が一族を死に追いやった張本人だったと。
ウェイドのいじめは極端で水をかけたり勉強道具を隠すなど幼稚そのものだ。気にせず過ごしているとなくなったものは気づくと戻ってきたり、水をかけられた時、先生がすぐに駆けつけてくれたのだ。
日々のいじめに鬱憤が溜まっていた私は剣大会の時に自身の力を発揮し、いじめっ子をぼこぼこにして優勝した。
これに根を持ったウェイド達がサウストップ山の登山の時に仕返しをしてきたのだ。頂上手前の小屋で私の荷物はすべてどこかに隠され、朝起きると1人も居なくなっていた。
1人で途方にくれていると、オースティンの班がやって来た。
目を合わせないように下を向いていると彼は私に近づき、
「あいつらがまた、君に何かしたのか?」
「えっ?」
「荷物は?」
「なくなった」
「もしもの時と思って予備は持ってきたんだ。登れるか?」
私はできると頷く。
彼はなぜか食べ物も水筒も余分に持っていて、荷物も背負わせてくれなかった。
「ありがとう」
「いいさ」
私は無事下山すると怒りあまりウェイドに馬乗りになり殴る。弱いウェイドはただただ泣くだけだった。結局、先生達に私のことを知られたウェイド達は騎士学校を去ることになった。
騎士一年目が終わると私は女性特有の症状に悩まされる。どうすればいいかわからず途方にくれ、気づくと医療院まで歩いていたようだ。入ろうかやめようか悩んでいると、ある女性に突然声を掛けられた。
医療院のアーマノ先生だ。
「医療院の前でウロチョロして何してるんだい?」
「男の振りをして騎士学校に通っているんですが、私の体が変なの…私が女だとバレてしまう」
私は藁にもすがる思いで先生に今の状況を伝えた。
「母親がいないのか…大変だったね」
アーマノ先生は泣く私を優しく抱きしめてくれた。先生はすぐにマリアさんという女性騎士を呼んでくれた。マリアさんは女性としての対処方法を教えてくれ、先生も大切な任務日を優先できるように薬を処方してくれた。マリアさんは性別を偽っていたことも学校に掛けあってくれ、私は女の子として過ごすことが出来るようになったのだ。
学校が始まるとクラスの仲間達は驚いたが皆、今まで通りに接してくれた。
もちろん、彼もそうだ。
「早く、髪の色も戻せ。おまえには似合わない」
「言われなくても戻すもんねぇー」
私は知ってる。
私が話かけるとあなたは嬉しそうにするって。
今までいじめられていたのも影ながら助けてくれていたのも…
オースティン……
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かつて私が抱いた思いが再び現れる。
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