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第5章 リーラとアンデルクの王子

第6話 祖母との再会

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 早朝、ピーターも早起きしてリーラを見送りやって来た。

「みんなによろしく伝えてね。ルディにはくれぐれも牡蠣食べ過ぎ注意って伝えてね」

「伝えておくよ。じゃあ、ピーターも頑張ってね」

「うん、リーラも頑張れ」
 リーラ達は握手を交わし別れを告げる。
 
 4番隊は基地を後にし、馬を引きながら関所を通過する。大きな橋を渡るとアンデルク側に入国だ。馬に再び乗りテール川沿いを走りアンティーレの首都を目指す。
 
 ノーザンランドとアンデルクの間にはテール川が流れている。ノース山脈やアンデルク側の山から流れている川が合流するので川幅もあり流れもある川だ。下を見下ろすとテール川を運搬用の舟が行き来しているのが見える。

「うわぁ、舟だぁ」

「舟を使う方が早く安くアンティーレに着くんだ。アンティーレからユーリィまでは川を上がるから時間とお金は少しかかるんだ」
興奮気味のリーラに笑いながらネイルが教える。

 テール川沿いに走り街道を南下すると首都アンティーレだ。街道を南下すると建物の色が赤茶色が多くなる。
 アンデルクの国の紋章は紅色に鷹が描かれている。騎士服も紅色に統一されており、紅色が国のシンボルカラーだ。どうやら国全体の建物も合わせるように赤茶色に統一されているようだ。

 遠くの方に城らしき建物と街並みが見えてきた。遠くから見ていてもかなり大きな城だとわかる。背の高い灰色の石造りの城壁に囲まれていて近づくと城の様子は見えないようだ。 
 周辺の住宅街は赤茶色の建物が多いが、城の近くにある商いの街は灰色の石造りの建物が並んでいる。灰色の石造りの城の雰囲気に合わせているようだ。ゆっくり通りを馬で歩むと人々が黒獅子だ!と口々にしているのが聞こえる。

『アンデルクに着いたのか?』
『着いたよ』
『ははは。3 ヵ国目だ』
エクストリアも大喜びだ。

 城門が開く。
 紅色の騎士服を着た男がキャサリン達に礼をして誘導する。
 隊員達は馬舎に馬を預け宿舎に案内された。

キャサリンは隊員の前に立つと声をあげる。
「私達はこのあとアンデルク側と打ち合わせがあるので各自解散だ。集合は夕食の18:00までに戻って来い!その後、夕食後に明日の打ち合わせに入る。では、解散!!
リーラ!来てちょうだい!』

「はい!」

「親族のところに行くんでしょう。もし帰りが遅くなるならレンかアンディに伝令送ってね。あとお願いがあるんだけど…」

「なんですか?」
紙を手渡される。

「もし可能なら私のドレスを作ってほしいのよぉ~お金ならいくらでも出すから。ローリーブティックのドレスって今話題じゃない!女子ならやっぱり流行りのドレス着たいじゃない!人気で予約待ちって聞いてるから、いつでも待つからお願いできる?サイズはこの紙に書いてあるわ」

「わかりました!では、行ってきます!」

「ありがとう。気をつけてね」
リーラはキャサリンに頭を下げ退出するとレン達と街へ向かった。

 

 えっと、住所はパークホーム通り…

 レンはアンティーレは仕事で来たことがあるらしくすぐにの店を発見した。
 店の入り口には厳つい顔をした警備が立っていてなかなか大きな店だ。

「すみません。ローリーさんのお店ですよね。孫のリーラが来たと伝えてもらえますか?」

 警備はリーラとレンとアンディをジロジロ見ると、
「奥様には黒獅子の知り合いなどいない。今、お忙しいから帰れ!」

「えーっ、せっかくノーザンランドから来たのに!おばあ様に会わせてよ!おじさん!おばあさまぁー!リーラが来たよ~!!」

「このガキ黙れ!」

「リーラ様、他国で問題起こすのはやばいんじゃないですか?」

「だってぇー!」

カラーンと鈴が鳴り扉が開いた。

「何騒いでるの?」

「このガキがローリー様の孫だと嘘をついて」

「あらっ?もしかしてリーラ?嘘でしょ!!まぁ!大きくなった?バーバラにそっくりじゃない」

「あの?どちら様ですか?」

「あら?覚えてないか?あなたのおばあ様の兄の嫁のアイビーよ。最後に会ったのは10年前だもの、覚えてないわよね。ローリーびっくりするわよ。入って、入って。また、男前の騎士を2人も連れちゃて彼氏なの?」 

「まさか…先輩騎士ですよ」

「先輩さん、よかったらこちらでお茶でもどうぞ。この騎士様にお茶を出して。
ローリー呼んでくるわね」

店員が席に案内する。

店を見るとカラフルなドレスを着た人形がポーズを決め飾られていた。パーティ用や普段着用など陳列されていた。

「おばあ様が作ったのかぁ。すごい!」
   


「リーラ!!」

 質素ではあるが気品のある赤紫色のドレスを来た女性が部屋の階段から急いで降りて来た。

「おばあさま!!」
リーラはローリーのところまで急いで走り抱きついた。

「うっうっ、わぁーん。おばあ様、会いたかったよぉ」

「私も会いたかったわ!何度ノーザンランドに迎えに行こうかと思ったか。ごめんなさいね、1人にさせて。1人でよく頑張ったわね。リーラ、なんて立派になったの!あぁ、私のリーラ!!」

 二人は涙を流しながら抱き合った。
 店の従業員達は事情を知っている者も多く二人の涙に誘われ、皆泣き始めた。

「もう、びっくりしたわ。 突然来るんだもの。2年振りなのね。背がすごく高くなったわ。おばあ様より頭ひとつ分高くない?」

「おばあ様もすごく綺麗になったから一瞬わからなかったよ」

「実は明日から王女様がノーザンランドに行かれるので一緒に付き添いことになったのよ。あなたにも会うつもりにしてたんだけど、まさか今日会えるとは思わなかったわ」

「アンデルクに来たのは王女と王子の護衛で来たんだ」

「まぁ!じゃあ一緒にノーザンランドに行けるのね!」

「おばあ様、忙しい時に来てごめんなさい」

「準備はできてるんだけどあなたの服をどうしようかと思っていて。ちょうど良かったわ。サイズを計りましょう!」

「えーっ、ドレスあんまり着ないよ。
いつも騎士服だって手紙で書いたでしょ、普段着がいいよ」

「おばあ様の楽しみを奪わないでちょうだい」

「はぁーー。あっ、おばあ様、おじい様のことは…」

「ダリル様からお手紙で伺ったわ。あの人はエステール家の家訓を守ったのよ。そして、私達はおじい様の機転で生き抜くことかできたわ。あなたも騎士なんて危ない仕事を辞めて私の元にいらっしゃい」

「実はダリルさんがノーザンランドの皇帝に私の力について話をしたんだ」

「えっ?何ですって?!」

「ノーザンランドの王族って呪われてるって知ってる?」

「噂では知ってるわ」

「私がその呪いを解いたんだ」
ローリーは驚きすぎて声が出ないようだ。

「今は帝国の庇護下で生活をしてるんだ。あの先輩騎士も護衛なんだ。あと、ゾーン国が私を狙っているみたい。リヴァリオン国のバーリー隊長覚えている?」

「えぇ、覚えているわ」

「その息子のルーカスがゾーン側に洗脳されて私と戦闘になったんだ。そして……、殺したんだ。私…」
ローリーはリーラをギュッと抱きしめた。

「リーラ、無事でよかったわ。本当に無事で…」

「おばあ様、あの国の民は酷い状況にいると思う…」

「だめです!助けるなんて絶対だめよ。あなたは王族から捨てられた身よ。責任なんてないわ。あなたは王女ではない、
リーラ・エステールです。正直言うと王族達は自業自得よ。民もこうなるとわかっていてゾーンの内部侵略を許していたのよ」
ローリーは真剣な眼差しでリーラを見つめた。
 
 リーラは言えなかった…
 今は力がないが力をつけて、いつの日かあの国を救うチャンスが来たら私は戦いますと…

「おばあ様、だからノーザンランドに居た方が安全だと思うからアンデルクには行けないよ」

「そうね。大国の庇護下にあるのならその方がいいわね。 お願いだからおばあ様を一人にしちゃ嫌よ。生きるのよ。リーラ…」

「はい……」

 明日も一緒にノーザンランドに向けて移動ができるので、互い仕事の準備も考えリーラは城に戻ることにした。ローリーは少し寂しそうな表情をしたが明日すぐに会えるからとリーラは笑いかけ店をあとにした。






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