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第3章 二人からのプロポーズ
第8話 愛しい人からのプロポーズ
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立ち去るマルクスの姿を見送る二人は我に返える。
「兄さん、騎士のくせに暴力はだめだよ」
「ウッっ…すまない」
しょんぼりするカイルを見て、怒られた犬が
反省しているように見えてきて笑いがこみあげてくる。
「ぷっははは、飼い主に怒られた犬みたい!」
カイルのムッとした顔付きをみて、
「ごめん、ごめん!まだ、仕事なんでしょう。じゃあ、私は先に帰るね」
と手を振り帰ろうとすると待てと手を掴まれた。
「??」
「今日は仕事は終わったんだ。久しぶりに馬で乗せてやろう」
「そうなの?行きたい!!」
「その前に寄りたい所があるんだ」
カラーン。
宝石店の扉を開ける。
「主、先日頼んだ物を取りに来た」
「いらっしゃませ。準備出来ていますよ。こちらでございます。いかがでしょうか?」
店主は青色に輝くダイヤが入ったネックレスと指輪を出してきた。
「うむ、問題ない」
店から出た二人は馬に乗り、城下町から離れた湖畔に向かう。街道から森の中へ入ると木々の隙間から湖が太陽の陽射しがあたり、キラキラ光り輝いているのが見える。
「久しぶりに来たね」
リーリラはカイルを見上げるとそうだなと額に優しくキスをくれた。恥ずかしくなり顔を赤くしたリーリラは下を向く。
「怒りっぽい兄さんが優しくなるから、調子狂うよ」
「ごめんね。リーリラ」
と言うとさらに身体をぎゅっと近づけた。
カイルは木に馬を括りつけるとリーリラを手を取り、湖の方へ向かう。
真っ青な空の色を写した湖が見えてきた。
「うわぁ、今日も湖が澄んでいて綺麗ね!」
リーリラの気持ちを察した精霊達が集まり、二人の周りを飛び、花の精霊が花びらを出し風の精霊がその花びらを舞わせている。
「花びら綺麗~」
カイルは先程、宝石屋から受け取った包みを開けるとリーリラの首にネックレスを付け、手に指輪をはめる。湖の青色のようにキラリと光り輝く宝石がついたネックレスと指輪だった。
カイルは片膝をつき、リーリラに指輪をはめた左手に優しくキスをすると
「リーリラ、私は城で初めて貴女に会い惹かれてしまった。もうこの気持ちを抑えることは出来ない。貴女を愛しているんだ。私の伴侶となり、生涯、私と共に生きていこう」
カイルはリーリラの瞳をじっと熱く見つめる。
リーリラは瞳からポロポロと涙を流す。
「本当に私のこと愛してるの?どうして今まで冷たかったの?」
カイルは立ち上がるとリーリラを抱き締め、
「すまない。君は王族であり王女だ。君との距離が近いと咎められ、離れなくてはと冷たくしてしまった私を許してくれ」
「わ、わたしはすごく寂しかったし、悲しかったし、兄さんにずっと抱き締めて欲しかったのにー。私は冷たくされてもずっと、ずっと兄さんが好きなのに…」
「リーリラ、ごめん。早く君を抱き締めてあげれば良かったね」
カイルはリーリラの瞳から流れる涙を拭うと、顔を近づけリーリラの唇にキスをする。
そして、二人は背中に腕を回すとより深く、深く、想いを分かち合うように口づけを交わす。
二人の幸せな感情を受け取った精霊達は良かったねぇと飛び回り喜び合う。
ようやく離れていた二人の心が一つに結ばれる。
しかし、二人を切り離す運命が刻々と近づいているとはリーリラは知りもしなかったのだ。
「兄さん、騎士のくせに暴力はだめだよ」
「ウッっ…すまない」
しょんぼりするカイルを見て、怒られた犬が
反省しているように見えてきて笑いがこみあげてくる。
「ぷっははは、飼い主に怒られた犬みたい!」
カイルのムッとした顔付きをみて、
「ごめん、ごめん!まだ、仕事なんでしょう。じゃあ、私は先に帰るね」
と手を振り帰ろうとすると待てと手を掴まれた。
「??」
「今日は仕事は終わったんだ。久しぶりに馬で乗せてやろう」
「そうなの?行きたい!!」
「その前に寄りたい所があるんだ」
カラーン。
宝石店の扉を開ける。
「主、先日頼んだ物を取りに来た」
「いらっしゃませ。準備出来ていますよ。こちらでございます。いかがでしょうか?」
店主は青色に輝くダイヤが入ったネックレスと指輪を出してきた。
「うむ、問題ない」
店から出た二人は馬に乗り、城下町から離れた湖畔に向かう。街道から森の中へ入ると木々の隙間から湖が太陽の陽射しがあたり、キラキラ光り輝いているのが見える。
「久しぶりに来たね」
リーリラはカイルを見上げるとそうだなと額に優しくキスをくれた。恥ずかしくなり顔を赤くしたリーリラは下を向く。
「怒りっぽい兄さんが優しくなるから、調子狂うよ」
「ごめんね。リーリラ」
と言うとさらに身体をぎゅっと近づけた。
カイルは木に馬を括りつけるとリーリラを手を取り、湖の方へ向かう。
真っ青な空の色を写した湖が見えてきた。
「うわぁ、今日も湖が澄んでいて綺麗ね!」
リーリラの気持ちを察した精霊達が集まり、二人の周りを飛び、花の精霊が花びらを出し風の精霊がその花びらを舞わせている。
「花びら綺麗~」
カイルは先程、宝石屋から受け取った包みを開けるとリーリラの首にネックレスを付け、手に指輪をはめる。湖の青色のようにキラリと光り輝く宝石がついたネックレスと指輪だった。
カイルは片膝をつき、リーリラに指輪をはめた左手に優しくキスをすると
「リーリラ、私は城で初めて貴女に会い惹かれてしまった。もうこの気持ちを抑えることは出来ない。貴女を愛しているんだ。私の伴侶となり、生涯、私と共に生きていこう」
カイルはリーリラの瞳をじっと熱く見つめる。
リーリラは瞳からポロポロと涙を流す。
「本当に私のこと愛してるの?どうして今まで冷たかったの?」
カイルは立ち上がるとリーリラを抱き締め、
「すまない。君は王族であり王女だ。君との距離が近いと咎められ、離れなくてはと冷たくしてしまった私を許してくれ」
「わ、わたしはすごく寂しかったし、悲しかったし、兄さんにずっと抱き締めて欲しかったのにー。私は冷たくされてもずっと、ずっと兄さんが好きなのに…」
「リーリラ、ごめん。早く君を抱き締めてあげれば良かったね」
カイルはリーリラの瞳から流れる涙を拭うと、顔を近づけリーリラの唇にキスをする。
そして、二人は背中に腕を回すとより深く、深く、想いを分かち合うように口づけを交わす。
二人の幸せな感情を受け取った精霊達は良かったねぇと飛び回り喜び合う。
ようやく離れていた二人の心が一つに結ばれる。
しかし、二人を切り離す運命が刻々と近づいているとはリーリラは知りもしなかったのだ。
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