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90th パープラー隊長の苦悩
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昨日言われた通りに、正午の時間となったので隊長室を訪ねる。
「失礼します。隊長、エレット参りましたー!」
「そこまで大きな声を出さなくていいから。まぁ座りなさい」
「はいっ!」
「今お茶を用意しよう。少し長くなるが聞いて欲しい」
さっとお茶を用意するパープラー隊長。こういったものは機械任せにしないのがこの人だ。
命令してばかりでは疲れるからというのが本人の言うところなのだそうだが、それ以外にも
好みにうるさいというのが正直なところ。
いい香りのするお茶を出してくれた。
「まず任務ご苦労。早速だが惑星シドーから来客者がこちらへ向かっている。
現在この星は未開拓エリアに属するからマテリアラーズ本部の許可がない限り、侵入行為は
軍律違反となる上、許可など下りるはずがないのだが……惑星シドー。シドーカンパニー会長、その
お子さんとなれば許可を出さざるおえなくてね」
「シドーカンパニー会長のお子さんって……ええ? 最新装備を作ってるあの?」
「そうだ。君も惑星シドーの装備は使用したことがあるだろう? 特に我々マテリアラーズに
とって、最大の取引相手がシドーカンパニー。セイソーにはその試験装備を幾つも構築できるように
ミシーハ博士へ依頼を出していたよね。そのセイソーがお目当てだから、少々不在を装ったんだよ」
「それは助かります。セイソーを持って帰るなんて言われたら大ごとですし」
「さすがにそこまではしないだろうけどね。そのお子さん、少々困った事に……いやその話より
もっと悩ましい話がある。今回の素材でレグア、不知火・青井、シロ・コボルトは間違いなく
入団が決定する。ようやくこの惑星での探索活動を本格化できるというところで……護衛任務が
かかりそうなんだ」
「護衛ですか? それってまさか会長のお子さんじゃないですよね? だとしたら
お断りしまーす!」
「ふっふふー。察しが良くて助かるよエレット軍曹。
それではエレット軍曹に命令する。明日より二週間、視察に来たシドーカンパニー会長の
お子さんを護衛するように」
「お断りしまーす!」
「そうそう、もしエレットが引き受けない場合はレグア君に一人でやってもらうつもりだ。
可哀そうに。後輩に厳しすぎる先輩のせいで早速苦しむことになってしまうなんて……」
「ぐぐぐ……パープラー隊長ずるいです……」
「はっはっは。まぁそんなに深く考えず受けてくれ。ちゃんと報酬は弾むからさ。
その間レグア君や不知火・青井君、シロ・コボルト君には実習訓練を受けてもらう。
フラーはライチェ、パルスナーと共に素材の確認作業を伝えてある。
くれぐれも先方に失礼のないように。あちらの艦の着陸地点は後ほどセイソーに送っておこう。
それと、ミシーハ博士の事はくれぐれも内密に。頼むよ」
「そうするとアルバのことなんかも……」
「あれは最大級の極秘事項。こちらの場所も伝える項目には入っていない。
うまくやってくれ。頼むぞエレット!」
なんてことだ。殆ど丸投げじゃないか!
最高に嫌な予感がする。
「あのー、もう一つ聞いてもいいですか?」
「なんだい?」
「なぜ俺なんです? ライチェ先輩やパルスナー先輩でもよかったんじゃ?」
「うーん。年が離れているからって事にしておこうかな。ま、そういうことだから。明日から頑張れ!」
「は、はあ……わかりました。なんだか最近人の面倒を見てばかりだな、俺」
「いいことじゃないか。それでこそ軍曹!」
「からかわないでくださいよぉー!」
相変わらずなパープラー隊長。
護衛任務か。どんな相手なんだろう。
しばらくは皆と別行動だな。
「失礼します。隊長、エレット参りましたー!」
「そこまで大きな声を出さなくていいから。まぁ座りなさい」
「はいっ!」
「今お茶を用意しよう。少し長くなるが聞いて欲しい」
さっとお茶を用意するパープラー隊長。こういったものは機械任せにしないのがこの人だ。
命令してばかりでは疲れるからというのが本人の言うところなのだそうだが、それ以外にも
好みにうるさいというのが正直なところ。
いい香りのするお茶を出してくれた。
「まず任務ご苦労。早速だが惑星シドーから来客者がこちらへ向かっている。
現在この星は未開拓エリアに属するからマテリアラーズ本部の許可がない限り、侵入行為は
軍律違反となる上、許可など下りるはずがないのだが……惑星シドー。シドーカンパニー会長、その
お子さんとなれば許可を出さざるおえなくてね」
「シドーカンパニー会長のお子さんって……ええ? 最新装備を作ってるあの?」
「そうだ。君も惑星シドーの装備は使用したことがあるだろう? 特に我々マテリアラーズに
とって、最大の取引相手がシドーカンパニー。セイソーにはその試験装備を幾つも構築できるように
ミシーハ博士へ依頼を出していたよね。そのセイソーがお目当てだから、少々不在を装ったんだよ」
「それは助かります。セイソーを持って帰るなんて言われたら大ごとですし」
「さすがにそこまではしないだろうけどね。そのお子さん、少々困った事に……いやその話より
もっと悩ましい話がある。今回の素材でレグア、不知火・青井、シロ・コボルトは間違いなく
入団が決定する。ようやくこの惑星での探索活動を本格化できるというところで……護衛任務が
かかりそうなんだ」
「護衛ですか? それってまさか会長のお子さんじゃないですよね? だとしたら
お断りしまーす!」
「ふっふふー。察しが良くて助かるよエレット軍曹。
それではエレット軍曹に命令する。明日より二週間、視察に来たシドーカンパニー会長の
お子さんを護衛するように」
「お断りしまーす!」
「そうそう、もしエレットが引き受けない場合はレグア君に一人でやってもらうつもりだ。
可哀そうに。後輩に厳しすぎる先輩のせいで早速苦しむことになってしまうなんて……」
「ぐぐぐ……パープラー隊長ずるいです……」
「はっはっは。まぁそんなに深く考えず受けてくれ。ちゃんと報酬は弾むからさ。
その間レグア君や不知火・青井君、シロ・コボルト君には実習訓練を受けてもらう。
フラーはライチェ、パルスナーと共に素材の確認作業を伝えてある。
くれぐれも先方に失礼のないように。あちらの艦の着陸地点は後ほどセイソーに送っておこう。
それと、ミシーハ博士の事はくれぐれも内密に。頼むよ」
「そうするとアルバのことなんかも……」
「あれは最大級の極秘事項。こちらの場所も伝える項目には入っていない。
うまくやってくれ。頼むぞエレット!」
なんてことだ。殆ど丸投げじゃないか!
最高に嫌な予感がする。
「あのー、もう一つ聞いてもいいですか?」
「なんだい?」
「なぜ俺なんです? ライチェ先輩やパルスナー先輩でもよかったんじゃ?」
「うーん。年が離れているからって事にしておこうかな。ま、そういうことだから。明日から頑張れ!」
「は、はあ……わかりました。なんだか最近人の面倒を見てばかりだな、俺」
「いいことじゃないか。それでこそ軍曹!」
「からかわないでくださいよぉー!」
相変わらずなパープラー隊長。
護衛任務か。どんな相手なんだろう。
しばらくは皆と別行動だな。
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